14.寄宿舎教育

岩手県立一関聾学校 工藤 弥生

 本分科会は「社会生活に適応できる力を育てるための寄宿舎教育について考えよう」というテーマをもとに7本の研究発表がありました。福井大会では、指定討論者制の形態がとられ大阪教育大学の井坂先生の討論者に、指針を示して頂きながら討論と各校の情報交換が行われました。午前は研究発表と質疑応答があり、最初の宮城県立ろう学校から「健康に関心を持たせるための試み」というテーマで、食事作りを通して卒業後のより良い食生活につなげる取り組みを行い、生徒も関心を持って参加出来たという発表がありました。数年前からのO−157の影響で寄宿舎での調理実習が難しくなり、全面禁止や調理器具の規制があるなど各校の厳しい現状が話されました。食事作りに取り組める事が羨ましいとの声が聞かれました。
 筑波大附属、北海道高等聾学校の二校は、寄宿舎が新しくなるのを機に、よりよい寄宿舎生活を送るため日課の見直しの実践、特に筑波では「きれいな寄宿舎を引き継ぐ」という目標で、清掃をテーマにかかげ、指導方法・清掃方法を工夫し計画的に実施、また生徒の自主的な活動へつなげるため次の計画の構想も出されました。各校条件が違い課題も様々でしたが、指導する上でのポイントは同じで今の取り組みから次のステップへつなげるまでを見通した計画で、定着を図っていくことだと思いました。埼玉県立大宮ろう、北海道旭川聾学校の発表では、安心した人間関係を持てる環境作りと、指導者側の関わり方・見方を見直し、押しつけの指導にならないよう生徒の気持ちを大切に、どう関われば良いのか改めて考えさせられました。また、舎生活についての話し合いを通して常識、ルールの大切さを考えさせた茨城県立水戸聾学校からは、プロジェクターを使い話し合いの内容が説明され、生徒の声もわかりとても見やすく参考になりました。最後の秋田県立聾学校からは、生活言葉拡充、マナーの獲得について言語調査を行い掲示での指導をはじめ、その場その場に応じた対応と、学校、家庭の協力を得ながら進めている実践でした。調査の捉え方として井坂先生より、生徒が身構える調査になってはならない、なにを目的にするか、また目的を与えるのではなく、共に共有しながら支援していく事の大切さが話されました。
 最後に、井坂先生から助言がありました。「行事も大切だが普段の寄宿舎生活から人と人との関係が育ち、関わり方によって心も動く。課題をマイナスに捉えることなく、できることを確実に捉えた支援が大切である。21世紀は一貫教育、支援が大切になり、寄宿舎もその一端を担う。そのためには、個別の指導計画をたて学校、家庭と連携を取りよりよい支援かできる寄宿舎へとつなげていく必要がある。」と話され、改めて自分の姿勢、関わりを見直さなければならないと思いました。本分科会で学んだ事を参考に、これからの寄宿舎の支援の在り方を考えて行きたいと思います。