10.国  語

日本聾話学校 瀬底 正嗣

 国語分科会では、「確かな国語力を育て、自分の考えを適切に表現する力を育てるための国語科教育のあり方を、実践を通して考えよう」というテーマのもと3件の発表とそれに基づく討議が、指定討論者の付属聾前教頭の馬場先生からの適切なご助言、ご指導によって方向性を定めていただきながら行われました。
 札幌校の大西先生による「読みの指導」についての発表では、子ども達が本を好きになるために取り組んでいる読み聞かせの実践についての報告がされました。クラスごとではなく縦割りグループで読み聞かせの時間を持つことで、クラスに帰ってから読んでもらった本の紹介をする事ができるようになってきたり、子どもたちの図書室の利用のしかたが変わってきたりと、回数を重ねることで積み上がってきているこの実践の良さについの紹介でした。酒田校の土門先生による「読みを深める言語指導について」の発表では、国語科指導の中での文章のイメージ化や劇化、ディベートなどを取り入れた実践の報告がされました。文章を読みとる力を付けるために日々授業の中で試行錯誤しながら実践してきた内容の具体的な紹介でした。平塚校の先生方による「聾学校における日本語文法の課題とその可能性」の発表では、形式名詞や準体助詞に注目した生徒の作文中の読解力・作文力についての研究の報告がされました。聾学校の生徒と普通校の生徒の作文を細かく分析する中から、形式名詞や準体助詞の使われている頻度や使い方に違いがあるという傾向が見えてきたという研究報告でした。発表はいずれも、各学校において先生方が真剣に子ども達と向き合って取り組んでおられる実践や研究についての報告で、示唆に富んだものでした。各発表後には、発表の中から中心話題を設定して協議が行われ、各学校の実践の紹介を中心に意見の交換などがされました。
 話題は、読み聞かせから読書指導、難解語句の指導、教科書の進度、文法に関することなど多岐にわたりました。この中で、馬場先生からの「国語科指導」と「言語指導」の違いは何か、という問いかけにはじまり、聾学校における国語科教育の難しさについて参加された先生方の率直な思いや意見、現状などが語られました。 またこれを受けて馬場先生は、「言葉というものは教えることができるものではない。日常生活の中で使いながら覚えていくものなんだ。国語科の指導方法にも魔法の杖はなく、地道にやるしかないんだ。」と語ってくださいました。 いつも使っている「知っているはずの言葉」が、ある文脈の中で突然、深い響きのある言葉として使われている。そんな、ことばの持つ楽しさや奥の深さを、目の前にいるこの子たちにどう伝えていったらよいのか。私にとっては、多くを学び、また沢山の宿題をもらった充実したときとなりました。
 最後になりましたが、この分科会の運営に当たってくださった新潟校の先生方、指定討論者として導いてくださった馬場先生、どうもありがとうございました。