6.補償工学−聴覚活用

宮崎県立都城ろう学校  神田 里美


 本分科会では、『子どもの保有する聴覚を最大限に活用し、聴覚学習を効果的に進めるための聴覚補償について考えよう』というテーマで、7本の発表がなされた。どの発表もそれぞれの立場からの研究がまとめられており、大変興味深いものであった。
 「近畿教育オーディオロジー研究協議会の取り組み」では、教育オーディオロジーについて研修や研究を行う研究会の設立の経過や活動内容などが発表された。専門的力量を高めるための研修が身近な地域で受けられることや、地域の学校と連携を取りながら研修等ができることを羨ましく思うながら聞かせていただいた。
 「聴覚資料のデータベース化」では京都府立聾学校の聴能言語室での取り組みが発表された。どの学校にも膨大な量の個人のファイルがあると思われるが、それらのファイルをデータベース化している学校はまだまだ少なく、その方法や取り組み状況などを参加者も興味深く聞き入っていた。
 「音楽鑑賞における体感音響振動装置を用いた聴覚補償に関する研究」では、振動が音の受容に影響を及ぼす可能性について発表された。今後さらに被検者を増やして研究が進められるようなので、その結果についても関心が寄せられた。
 「通常学級の授業場面における補聴について」では、授業中の教室の音響的環境や、指向性マイク搭載補聴器の性能とS/N比改善能力についての研究報告がなされた。指向性モードで、最大8dB程のS/N比の改善が期待できるとの結果には驚かされた。
 指導実践としては「周波数圧縮変換型補聴器装用幼児の聴取能力の変化」と「人工内耳装用児の発音・発語指導実践ー明瞭さと滑らかなスピーチをめざしてー」の2本が発表された。すごろくや子どもの好きなキャラクターを用いての聞き取り遊び、また、発音指導の様子などをビデオで見ながら聞かせていただいた。どちらも、先生方の子どもに対する思いが反映された指導であり、参考になる部分がたくさんあった。
 「テクノロジーを超えて」では、人工内耳がもたらす効果について、生後6ヶ月や12ヶ月という早い段階で人工内耳を装用した子どもの例なども交えながら発表がなされた。
 指定討論者の星名先生からの「聴覚学習では、子どもに聞くことに目的を持たせたり、聞くことで達成感が味わえるようにする」ということばや、「子どもの活動のねらいと教師の活動のねらいをはっきりさせることが大切」ということばがとても印象に残った。また、指導にあたっては、計画・実施・評価を繰り返すこと、中でも評価はしっかり行わなければならないということを改めて学んだ。たくさんの先生方の実践を聞いたが、それらを今後の指導に生かしていきたいと思う。