5.早期教育−幼稚部

福島県立聾学校 飯塚 和也

夏を思わせるぬけるような青空の下、2日目の研究協議分科会−早期教育(幼稚部)−が行われました。今年度のテーマは、「生きた言葉を身につけ、主体的に活動できる子どもを育てるための幼稚部教育について考えよう」でした。 まず、前半は7つの研究発表と質疑が行われました。どの研究も日々の教育実践をいかに充実したものにしていくか、それぞれの先生方が真摯に取り組まれた結果をまとめられたものばかりであり、明日からの教育実践に示唆を与える内容ばかりでした。ここでは、特に「聴覚障害幼児の概念獲得について」の研究に関して簡単に紹介したいと思います。
 この研究は、聴覚障害を持つ幼児に対し、幾つかのテストを実施し、概念化の発達について考察を加えたものです。この研究の結果として、概念化の促される時期は、3歳児から4歳児にかけてであることや、概念獲得過程には幾つかのタイプがあることなどの報告がなされました。そして、結論の中で幼児期の教育において、具体的経験を丁寧に取り扱い、個々の事物・事象の概念を言語に結びつけながら、豊かにしていくことの重要性が示されました。ややもすると、幼児に係わりを持つ私たちは、幼児の言語獲得を急ぐあまり、十分な概念化がなされていないにもかかわらず、言葉が獲得されたと誤解しているような場合が多々あります。日々の幼児との係わりを、概念獲得・形成という視点で見直す契機となる研究発表でした。
 後半は、協議の柱(「生きた言葉をどうとらえるか」「子どもの主体性をそだてるためには」)をもとに、活発に意見交換が行われました。その中で、特に印象に残った意見を幾つか紹介したいと思います。『生きた言葉を育てるための係わりはどうあればよいか』に関して、「子どもの心が動いたときに生きた言葉が育つのではないか。だからこそ、どのような時においても、子どもに合わせて、活動することが大切である。」「毎日の聾学校の生活が、カリキュラムや時間に拘束されず、目の前の子どもが興味のあることにとことん付き合うこと、そして、子どもと遊び、楽しむ中で生きた言葉も育っていく。」ここに生きた言葉を育だてるためのヒントがあるのではないでしょうか。
会のまとめで、指定討論者の南村洋子先生が、「子どもと遊びほうける」ことの大切さについてお話をいただきました。時間も活動もゆったりとした流れの中で、じっくりと子どもと付き合えるような場の保障について、今後実践の中で考えていく必要があると感じました。大変学ぶところと多い分科会となりました。ありがとうございました。