1.基 本 問 題

東京都立江東ろう学校 池田 由貴子

本分科会では、その名称にふさわしく、教育の基本であり、かつ今日的な課題について大変熱のこもった発表・ 討議がなされました。発表件数も参加者も1番多い分科会で、「変化する社会の中で『生きる力』をどのように育てるか」というメインテーマのもとに、12件の研究発表がありました。分科会担当の高岡ろう学校の配慮で、予め討議の柱が3つ立てられていました。1番目の柱は、「明るくたくましい心と体を育む取り組みを中心に」した6件の発表に基づくものでした。発表はどれも子どもの心を大切にした、地に足のついた実践研究でした。異色は筑波技短による「PENーinternational」(最終日、大沼教授より詳しくお話がありました)についてで、国際教育交流の夢広がるものでした。その後、「生きる力」をどう考えるかを中心に討議がなされました。様々な意見が出ましたが、指定討論者の菅原廣一先生が次のようにまとめて下さいました。
「生きる力はいろいろある。与え合う喜びもある。」「何のための教育か、一言で言えば、世界に通用する聴覚障害者を育てることである。口話か手話かの段階ではなく、日本人として活躍する力を育てるために聾青年・成人で世界に活躍している方の知見を導入していくことも必要。そのためには幼・小・中・高一貫性が大切である。」午後は、2番目の柱「総合的な学習など新学習指導要領の実践を中心に」した6件の発表に基づく協議でした。午後の発表に共通していたのは、「具体的体験について見通しを持ち、自分から考え、主体的に活動すると、子ども達の学習意欲が喚起され、生き生きとした子どもに変容する。」ということでした。発表後の討議では、「総合的な学習を進めると、教科学習の時間が減り、学力の低下につながる。」のではないかと言うことを中心に、「学力」をどう考えるか、個体能力論と生活充実論等議 論が沸騰しました。菅原先生から「教科と総合的な学習は、互いに行ったり来たりする関係ではない。事前学習をすれば、総合的な学習は貧弱になる。総合的な学習はつまり土・日曜日をどう有意義に活用するか、と言うことにかかる。保護者は大変だと言うが、我々の知恵を出 すときではないか。そういう意味での実践研究を進めてはどうか。」と示唆に富んだお話を頂きました。3番目の協議は、「聴覚障害教育のこれからの方向性をどのように考えるか・・・センター的な役割や教員研修の課題を中心に」という、大きなものでしたが、時間が少なく、意見交換はあまりできませんでした。菅原先生の「障害者にとって良いことは、みんなにとっても良い。」との温かい全体のまとめで終了しました。盛り沢山の内容で、一端しかお伝えすることはできませんが、視野を広げる必要性を感じながら、よりよい教育の方向について、頭をフル回転させた充実した一日でした。