高 等 部 教 育

愛知県立名古屋聾学校 鈴木 美紀子

 初日の午前中参観させていただいた指定授業は自立活動で、高等部1年生から3年生までの10名合同で行われました。題材名は「心のバリアフリーを目指して〜福祉制度の取材を通して〜」で、聴覚障害者に保障されている福祉制度について学び、実際に取材を行い、報告会をした後のまとめにあたる時間でした。福井県の各市町村の手話通訳者派遣制度に着目し、2名の生徒が取材してきたことをまとめて発表し、他の生徒が制度上の課題について意見を発表するという流れで進んでいきました.1時間の様子から、4月から計画に沿った授業がなされていること、先生と生徒たちとの温かい関係が築かれていること、また多くの参観者にも動じないで堂々と意見を述べる生徒たちの様子から授業研究が十分行われてきていること等がうかがえ、授業に対する真摯な姿勢を感じました。
 午後、高等部では『豊かな人間性を養い、自立した社会人として生きていくためのコミュニケーション能力を育てよう』というテーマのもとに実に活発な話し合いがなされました。 まず福井ろう学校における全校研究の概要について説明がなされました。 とりわけ平成10年度から12年度の『豊かなコミュニケーション活動を支援するための指導』の研究の結果、学校としての基本的な姿勢、考え方が培われたとのことでした。生徒の実態を的確に把握した上で、、「自己認織」「障害常識」という言葉の定義をし、教員の共通認識のもとに実践していることを、「学校生活全体を通しての指導」「生徒主催の手話講習会」「自立活動」の3つの柱で説明がなされました。お話を聞き、厚みのある指定授業がなされていたのもうなずけました。
 授業者から、司会進行を生徒に任せた時の教師の入り方、自分の予想と反する方向へ話し合いが進んだ時の終わり方についての難しさが話された後、質疑応答も活発に行われました.「素晴らしい授業だが、仮に教員が転勤してもできるという継続性、系統性を考えて行く必要がある」という意見が印象に残っています.
 更に、後半は「障害認識の取り組み」「コミュニケーション手段の現状と課題」という柱で討議がなされました。その中で、コミュニケーションの根底にあるのはやはり「関わりたい」「伝えたい」という気持ちであることが再確認できました.また、「耳が聞こえないことを主張するのはいいが、一方的な主張でなく、相手の状況を考えて一緒に考えることのできる生徒になってほしい」という目指す生徒像についての意見を聞くこともでき、大変参考になりました。
 日頃開くことのできない各校の様子も垣間見ることができ、貴重な時間を持つことができました。