14.芸 術 教 育

大阪府立生野聾学校 川田 和子

 普通校を経て、聾学校で美術を担当して10年目。私は渇望していた聾の芸術、聾学校の子供に合った表現活動について、この分科会で深い研鑽を積ませていただきました。
 「創作や表現の喜びを味わい主体的に生きる力を育む指導を考えよう。」というテーマのもと、10のレポート、6の実践発表が為されました。石渡先生(横須賀)は演劇に対する生徒のモチベーションの高さを、吉本先生(奈良:幼稚部)は絵本の読み聴かせで言葉に頼りすぎない表現のすばらしさを示されました。小倉先生(静岡)はリコーダーの行き届いた指導、茂木、森泉先生ら(大宮)はリズムや和太鼓を進んで楽しむ生徒らの姿を紹介してくれました。荻野先生(滋賀)は聴覚障害に焦点を当てた美術作品を大小、平面立体取り混ぜ見せてくださり、大友先生(秋田)は美術科の連携の下、高校生の表現を深め、最新メヂアへ導入されていました。
 芸術教育の名で演劇、パントマイム的分野、音楽的分野、美術的分野がひとまとめになっていた訳です。が、座長の森先生の「芸術でしかできないものを子供らの立場で、共通して探っていこう。」との言葉どうり、分野を越え、白熱した質疑応答、議論が展開されました。出席者が聴覚障害をもつ子供の目線で表現への意欲と自信を培いたい、という共通の基盤に立っていたからでしょう。討論を深めた大きな要因に、発表者の先生方によるビデオ、写真、作品などによる紹介があります。見ればよくわかります。私たちの生徒にとっても同じなのではないでしょうか。
 この分科会でのもう一つの収穫は聴覚障害を持つ先生先生方が見せてくれた芸術です。 全員が、見とれたのが吉本先生のサインポエム実演でした。絵本の画面から先生の手で出来た帆船が進み出て大海原を漂い始める。やがて嵐に遭い木の葉のように揉まれ始め船乗り達の悲鳴とともに沈没していきます。音はありません。言葉も多くはない。しかし演じ手の表情、手の動きと語りかけに30人あまりの教師達が子供のように手に汗を握っていました。聞こえないことを持って生きてこられた、それ故に見えてきた、体得した世界のすばらしさ。これが「ろう文化」なのだ、とショックを受けたのは私だけではないでしょう。前日のオープニングセレモニーを振り付けされた南村さんも、聴覚障害の先生と協力し合って頑張って欲しい、と激励してくれました。
 時間数の削減など芸術教科をとりまく現実には厳しいものがあります。「芸術が滅んだら国が滅ぶ。」との鹿児島の校長先生の一言にうなずきました。「ハーモニーを実感させる必要性は、」との問いに眉を寄せる音楽の先生の熱意。美術科は聾学校の生徒達が大好きな教科です。私たちは更に多彩な実践にチャレンジするなどもっと頑張らなくては。教え込むのではない、生徒自らが持つ力を理解し、引き出して行く姿勢でありたい。子供達が社会に巣立って行く日に、自分の文化、アイデンティティーに自負を持って立っていけるよう支援できる教師でありたいと思いました。