13.社  会

横浜市立聾学校 渡辺 祥子

 「自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に対応できる力を育てるための社会科学習の在り方について考えよう」というテーマで、滋賀県立聾話学校の西垣先生を座長にお迎えして分科会が開かれました。16ある分科会の内一番小さい分科会で、発表も3本なので時間的には余裕があるはずでしたが、熱心な発表、各校の実態報告や意見交換などで、あっという間の一日でした。
 最初に座長から、テーマにあるところの「自ら学ぶ意欲」「主体的に対応できる力」をどう捉えるか。「聴こえない子供たちに社会科でどんな力を付けたいのか」を皆さんで考えていきたいというお話がありました。 最初の発表は小学6年生の歴史学習で、インターネットを利用した授業実践でした。インターネットを使うことが、まず調べてみよう、確かめてみようという「自ら学ぶ意欲」につながることは間違いないのですが、文字情報を読みこなすための言語力や、そこで得た大量の情報を取捨選択する力をつけないと、それ以上発展しないで、ただ機械の操作に満足して終わってしまう恐れがあるということも、発表者も含めて皆さんの共通認識だったと思います。情報不足が課題といわれる聾学校の生徒にとって、インターネットの利用は、卒業後の生活に欠かせないものとなりそうですが、情報に対するこれらの力をどうつけていくかは、まさに学校で学ぶ間の課題であり、社会科の果たす役割も大きいと考えます。
 次の発表は高等部の地理の授業実践で、地形図とデジタルカメラを利用した学校周辺の野外観察と、その記録(ホームページ)作りでした。「将来にあたって生徒に役立つ地理的な見方、考え方、技能とは何だろう」という観点から工夫された授業でした。
 コンピューターにしてもデジタルカメラにしても、機材(予算)があれば情報機器の利用は生徒の学習意欲を高めるのに効果的ですが、操作(技能)に時間が取られすぎたり、準備など教師の負担も大きいのが課題ということでした。
 最後の発表も高等部で、「アイデンティティの確立に向けて〜現代社会科でできること〜」という題でした。聾学校の生徒に関して私が日頃感じている事と共通することが多く、卒業後に本当に「生きる力」として役に立つ社会科の授業はということを考えるうえで、大変参考になりました。二人の生徒の卒業前のレポートには、成長のあとがはっきり見られ、感激しました。 発表の後、それぞれの学校の生徒の実態や、授業の様子を情報交換する中から、冒頭のテーマ「社会科でどんな力をつけたいのか」についての意見交換をしました。皆さんのお話の中から、自らいろいろな情報を取り入れ、選択・判断して自分の考えを持つことができる、問題意識を持ち、疑問に思うことについて調べ方や、解決の方法がわかることが大切なのではないかと思いました。