9.交 流 教 育

富山県立高岡ろう学校 河合 利志子

 「認め合い、学び合い、育ち合う交流教育の在り方について実践をとおして考えよう」というテーマのもと、6本の多岐にわたる研究発表がありました。今年度初めて「座長制」という形態がとられ、長野ろう学校の花岡先生が本分科会の座長として、要所要所に先生御自身の経験も挟みながら進行してくださいました。
 午前の6本の研究発表は多岐にわたり、「交流教育」の幅の広さを感じました。筑波技術短期大学の2本の発表は、10年間続いているNTID(アメリカの聾者のための高等教育機関)の学生との交流についてと、テレビ電話を使ったマルチメディアによるリアルタイムの遠隔ビジュアルコミュニケーションについての実践報告で、21世紀の交流の姿を垣間見たように感じられました。鳥取聾学校写真部の活動報告では、写真を通して「心がふれあう瞬間」に自然に交流が生まれる様子がビデオ等で紹介され、お膳立てされた場ではなく何かした時に二次的に生まれる交流こそ本当の交流であろうと、うらやましく思いました。
 今回の発表の中で一番関心を持ったのは、普通小学校に在籍する聴覚障害児が聾学校へ体験学習に訪れるという豊橋聾学校の発表です。健聴児の中でがんばっている子供たちに同じ障害を持った仲間と関わり合える場を提供することは、聾学校の重要な役割であると強く思いました。まさに「目からうろこが落ちる」でした。盛岡聾学校や一関聾学校の25年以上続く地域校との交流は、個に応じた支援方法の検討も含めて綿密な計画のもとに行われており、等身大のモデルとして今までの本校の交流を省みるよい機会を与えてもらいました。
 午後は、協議・情報交換がなされました。「交流教育で何をねらうか。場の設定・教師の支援」では、様々な次元での異なりを互いに理解し合って共感・共存につなげることの大切さ、子どもに応じた意図的な場の設定の必要性、交流の場として自信のあるものが出せる場がふさわしいこと、そして、必然的な交流が継続的な交流の中で相手が変わっていくことによって自然な交流に発展していくことなど、実践経験の中からの意見が出されました。「これからの交流教育」では、「総合的な学習の時間」に関連して急増している交流申し込みに対する各校の対処方法や、居住地校交流の取り組み方や問題点について情報交換がなされました。
 今回、交流教育に対して考えを深めたり新しい見方を得たりすることができ、実りある1日でした。「聾学校が聴覚障害を理解してもらうための情報発信地となって、社会の理解を進めなければならない」という座長の言葉は、新たな課題として私の耳に残りました。