7.進路指導

徳島県立聾学校 曽根 彦太

 「一人一人の個性を生かし,社会自立を目指す進路指導について考えよう」との分科会テーマの下で,4本の研究発表がなされましたが,座長の提案で5つの討議題に絞って論議を深めようと言うことになりました。「卒業生の姿と現状について」との議題では,島根県浜田聾学校からユニークな観点からの報告がありました。早期教育,幼児教育に永らく携わって来られた発表者が社会人となって就業している生徒と久しぶりに逢い何に悩んでいるか,会社からはどのような問題点が指摘されているのかを聞き取りそれらを踏まえて聾学校の早期教育や聾教育全体を見直してみようと言うものでした。コミュニケイションの確保が確かに重要であることは論を待たないが本人の向上心,やる気を育てる教育と家族の暖かく厳しい支援ががより大切なのではないかと問いかけるものでした。
 「進路に向けた取り組みと聾学校の役割」との議題では筑波技短から同校の卒業生の職場環境及び就職指導に関する意識の調査に関する発表がありました。短大卒の資格で就職するのでライン作業,オペレーターというような職種とは少し違い自分の意志や考えが反映される機会があり得る職種への就職がなされているとのことでした。企業側に対しては情報保障として会議に於ける要約筆記,研修会での手話通訳の要請等をしているとのことでした。なを,IT時代を映して社員間でメールによるコミュニケーションが実施されている事業所もあるとのことでした。
 「進路支援の仕方」とのテーマでは国立特殊教育研究所から全国70の聾学校へ出されたアンケートの結果が報告されました(回答52校)。現場実習は高等部2年、専攻科1年で実施されている学校が多いことや問題点としては実習先の確保が困難,追支援の予算的裏付けがないとの回答が見られたとのことですが,討議の中で労働省,文部省のインターンシップの提唱もあり体験学習としての現場実習については引き受けてくれる事業所も増加しているのとの報告がありました。ただ就労を目的とした実習となるといささか難しいとの報告もありました。
 「聾重複生徒の進路」では熊本聾学校から郷里の木工所で働きたいとの思いを持った生徒との関わりが事例研究として報告されましたが,生活自立支援を含む広い支援がなければ本当の就労支援とはならないとの指摘がありました。
 「進学及び高等教育の進路指導について」との議題では筑波技短より聴覚障害者には門戸が開かれにくかった建築部門に果敢に挑戦した8年間の実績が紹介されました。学生達に一般教養の重要性を訴えたり,就職プロセスの説明,企業研修の実施,個別に面接の受け方や発言のチェックを行ったことが紹介されました。その結果CAD・CG部門や積算業務に能力を発揮している卒業生が見られるとのことでした。