高 等 部 教 育

京都府立聾学校 酒井  弘
  秋の気持ちの良い1日の朝、福島県立聾学校の指定授業を参観させていただきました。早くから担当の先生が教室においでになり、生徒の緊張をほぐされている姿が印象的でした。先生と生徒の信頼関係の深さを垣間見たような気がして心地よい印象を持ちました。 
 さて、授業が始まり生徒は4人、先生のきれいな手話にスムーズに授業が進みます。内容は「漢字の性格」時折、先生からの質問がなされます。生徒も簡潔に答えます。プリントを読む時間を少々とり、その後、生徒が手話を交えて前で読み上げます。しっかりとした手話です。声もはっきり出て、内容がよく読みとれます。続いてキーワードになる言葉を調べ、答えをなんと先生の特製のホワイトボードに書いていきます。後でお伺いするとホームセンターでどこでも売っている材料を自分の授業形態に応じて切り取って使用するとおっしゃっていました。後ろにマグネットをつけて黒板に張ることで生徒みんなが見えて、その考察で他人の意見が見えて意見が理解しやすい、場所も自由に変えられる。これはすばらしいアイデアだなと思いました。背の低い生徒も下の方に書いても上に貼ることができる。様々な授業方法の改善がなされていることに関心しました。
 生徒一人一人が自分の意見を発表し、先生からのコメントがなされます。視覚的にわかり、授業の理解が早く短い時間で効率よく授業が進みます。自分のノートにも記入し、意見をまとめます。これで考えがまとまり、次の先生のまとめも理解しやすくなります。「蟹」という漢字の話や「危」「本」「靴」など漢字の持つ性格や、視覚的にわかりやすい点など実に容易に理解が進みました。実際に色を変えた掲示物を準備していただいたり、生徒は視覚的な面からしっかりと内容をつかんでいるようでした。
 この授業の組み立てが、後の授業研究会に参加して、方針を持って進められたことがわかり、私自身も大変参考になりました。つまり自分で調べる・自分で考える・自分で発表する。この一連の流れが全て授業に凝縮されていました。自分でキーワードやキーセンテンスを探し、次に要点をまとめ、発表をする。友達のまとめと自分のまとめを比較し、気づいたことをまた発表する。こういう話し合い活動の指導が積み重なって生徒の実力を向上させていることがよくわかりました。課題を解決するために必要な知識を関連づけて考えさせることが求められていました。また、わからないことを理解し、課題を持って次に取り組み、その結果新しい知識の広がりが生まれ、この積み重ねから生徒は大きく成長していきます。これが学校の教育の柱になっているようでした。本当に様々な場面でこの方針が理解でき、すばらしい教育がなされていることに感銘を受けました。今回の全日聾研に参加させていただき、先生方の実践をこれからの指導に生かしていきたいと思いました。本当にお世話になりありがとうございました。