中 学 部 教 育

筑波大学附属聾学校 板橋 安人

 ここでは中学部の実践報告会・授業研究会の様子を、これに参加した感想と意見を交えて述べたい。
 指定授業は、国語(中1、6名)、地理(中2、5名)、保健体育(中2、4名)の3教科であり、授業研究会は文化センター4階の広い第3会議室で3教科が同一会場になることを考え、私はこれらの授業を足早に順に参観した。どの教科の指導案にも「キーワード」欄が設けられていた。授業では、指導者のにこやかな表情と生徒の伸び伸びとした雰囲気で学習に臨んでいたのが印象的だった。今回のテーマ「一人一人が自ら学習課題を解決するための支援はどうあるべきか」に迫るためにキーワードを設定し、課題解決を図ろうという工夫の跡が十分伺えた授業だと思った。参観者は、その成果の一 端を指定授業を通して垣間見たのであった。
 授業者からは、もっと効果的な発問ができればよかった(国語)、資料の提示の仕方に曖昧さが残った(地理)、キーワードの導入法が展開を左右するので留意したい(保健体育)などが出された。私は「なるほど」と自分なりに合点した。しかし、授業者は「キーワード法」の実践的な検討を踏まえた上で授業を振り返ったことを考えると、その意味するところはもっと深いものだったかもしれない。
 参観者の授業の見方は、もっと素朴な点に向けられていたようであった。 例えば、チームティーチング方式におけるサブティーチャーの役割は何か、集団補聴器の使用状況について、指導案にある「※」の自立活動的な配慮とは何か、生徒の意見を教員はどれくらい把握できていたか、キーワードによる読み(すなわち、知っている単語だけから文を理解していく単語読み)で内容の誤解はないか、芸術教科にキーワードはそぐわないのではないか、などが出されていたようであった(この討議の詳細は、後日配布される事後集録で確認できる)。会場は満席で、後方には補助椅子が並べられていた。これだけ先生方が集まると、授業の見方や観点は実に多様だ(し、だからいいのだ)と改めて感じた。
  国語の音読に関しては、音読時に手話と指文字を付加することで、今読んでいる箇所の明確化や、本文の意味内容にそぐわない手話表現を生徒がしたときに、その指摘をすることができる。本時でも「〜つれて」で、この指摘がみられた。これは、良い点である。その一方で、日本語の持っリズムや音読のダイナミックな味わいをさせる機会なり活動も大切なのではないかと思った。個々の教科の授業展開に別して、キーワードの意図と位置づけの討議を深めることができる時間がもっと欲しかった。