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『聴覚障害』誌2004年11月号掲載

*APCD2006に向けて(2)

国際会議の歴史(2)

−第14回聴覚障害児教育国際会議東京大会(1975)−

元筑波技術短期大学

小畑修一

 1975年(昭和50年)8月25日から29日までの5日間「国際交流を通しての聴覚障害児教育の発展」をメインテーマとして第14回聴覚障害児教育国際会議は東京(帝国ホテル)で開催された。

1.意 義

 この大会は,アジアでははじめて開催された国際会議であることと,わが国が戦後30年間積みあげてきた聴覚活用,早期教育,インテグレーションの成果を世界に問う国際会議であることに意義があった。

2.大会推進の観点(大嶋委員長の方針)

1)全日本聾教育研究大会の経験を背景に日本の聾教育の特徴を発揮すること(研究授業の実演,教科外活動の実演,分科会発表およびろう美術家協会油絵展など)

2)医学,工学などの関係諸分野との連係が乏しい現状から,この方面の権威をお招き して今後の教育の糧とすること。

3)国際会議で来日された外国の方々を各地に招いて講演会を開催するなどの地方プログラムを展開し国際親善を深めること。

4)アジア諸国の特別な諸問題を討議するシンポジウムを設けてその連帯を強化するこ と。

3.国別(38)の参加者(2292),発表者(240)

国 名 参加者 発表者 フィンランド 7 0 ノルウェー 1 0
日   本 1953 162 デンマーク 5 2 ルクセンブルク 1 0
アメリカ 129 69 イ ン  ド 5 2 フィリピ ン 1 0
オーストラリア 58 7 フランス 4 1 フィジ− 1 1
スウェ−デン 18 5 インドネシア 4 0 イ  ラ  ク 1 1
イ ギ リ ス 14 5 マレーシア 3 1 イ  ラ  シ 1 1
カ  ナ  ダ 12 3 イスラエル 2 2 レバノン 1 0
韓   国 11 1 スリランカ 2 2 シ リ  ア 1 0
オランダ 10 4 シンガポール 2 1 中    国 1 0
台   湾 10 0 ガーナ 2 O タ     イ 1 0
メキシコ 8 3 スペイン 2 0 パキスタン 1 1
香  港 8 0 トリニダード 2 0 ケニア 1 0
ドイツ 7 4 サウジアラビア 2 0 マダガスカル 1 0

  

4.講演(7件7名,その中2名は日本)

1)基調講演(1件1名)

・S.R.シルバーマン「学ぶ喜び」※アメリカ

2)特別講演(6件6名,その中2名日本)

・勝木保次「感覚系に関する近年の知見」

・H.デービス「聴覚障害教育への医学的援助」

・R.テルフォード「言語の発達と聴覚障害児」

・藤村 靖「スピーチ研究の最近の発達」

・E.C.メリル「聴覚障害教育における普遍的権利と進歩」

・R.フリジーナ「技術社会に聾者を送り出すに当たって」

5.シンポジウム(6件30名,その中6名日本)

1)診断・評価(4名,その中2名日本)

・清水 弘「難聴の医学的評価」

・鈴木篤郎「オージオロジー的診断評価」

・P.オレロン「心理学的評価」

・T.バンデベン「重複障害ろう児」

2)早期教育(4名,その中2名日本)

・L.フィッシュ「早期発見の難しさ」

・村井潤一「早期教育の目的」

・A.L.リング「聴き取り,発音,言語の技能を発達させ評価する方法」

・A.レーベ「最初の教師となる親への援助」

3)コミュニケーション(4名)

・D.リング「聴覚一口話コミュニケーション」

・K.シェルテ「聾児の発語」

 ●R.K.ホルコム「トータル・コミュニケーションの現状」

・A.リスベルグ「感覚補助具の開発と評価」

4)カリキュラム(4名,その中2名日本)

・住 宏平「ことばの獲得−ろう児の言語欠陥と言語能力」

・(5).N.オニール「学校のカリキュラム」

・M.J.ノーウッド「メディアと技術」

・木村允彦「認知発達をめぐって」

5)心理的社会的問題(4名,その中1名日本)

・G.B.ビター「0.N.Eシステムによるインテグレーションと国際的影響」

・小川再治「パーソ≠リティの発達」

・P.ゴーマン「成人ろう者」

・J.P.アワハン「社会福祉」

6)アジア諸国における諸問題(10名)

 ●L.J.マーフイ「東南アジア及び南太平洋における聾者教育サービス上の協力」

・G.Y.シェー「聴覚障害児の直面する問題」

・S.G.エスゲラ「フィリピンにおける聴覚障害者教育の成果,計画,問題点」

・K.G.クーレイ「スリランカの聴覚障害教育」

・C.メンディス「スリランカでの教育及び職業訓練事業状」

・R.ドーア「フィジーでの聴覚障害児教育」

・R.C.セン「インドの聴覚障害児の社会復帰」

・S.バーゲンへ−ベン「開発途上国の発展計画」

・S.Y.イサ「西マレーシアの聴覚障害教育」

・Y.J.ウォン「韓国の学童中の聴覚障害児の出現率」

6.分科会236件(その中158件日本)

1)診断・評価14件(9件は日本‥…・下記の方々)

 村上宗一,大迫茂人,永淵正昭,平山宗宏,清水宏,岡本途也,根本乾一,鈴木陽子,大谷勝己

早期教育29件(20件日本・…‥下記の方々)田中美郷,小久保正夫,愛甲洋,森寿子,古谷佳子,松下貞男,中島貞子,千葉芙美子,大西酉喜子,金山千代子,藤根喜美子,三上敏夫,玉田昭彦,平田慶子,野原政雄,三宅良,里見定義,川村華,五十嵐勇,手塚正枝

3)コミュニケーション23件(12件日本‥‥‥下記の方々)

 森明子,清野茂,菅原贋一,原沢志寿於,福田友美子,大沢正,関育子,青木すず,堀田勝俊,益尾茂子,鏡隆左衛門,比企静雄

4)感覚補助具31件(23件は日本…‥・下記の方々)

 南久三郎,星名信昭,出口利定,鷲尾純一,島正三,北野与一,赤羽信雄,中野豊道,細田嘉吉,重永幸英,本田高,石田義久,小川信行,木村澄蔵,檎井千鶴子,安川宏,庄司寿一,伊福部達,高久恵,鈴木久喜,今井秀雄,中村公枝,伊藤治夫●

5)カリキュラム44件(34件は日本・・‥‥下記の方々)、

 吉野公喜,守矢早苗,山中和子,山口誠,亀井市郎,村上公一,小川再治,成田茂子,後藤弘,和田和子,野崎悦子,大塚明敏,井口みよ,河野友子,遠藤伍作,相原益美,佐野ふみ子,坂部勝三,馬場顕,工藤幸治,兵頑大彦,堀みさお,渡辺研,和田宣男,原田雅夫,小川俊彦,東田桂一,井岡友諒,本山宏敵,菅原和夫,川測茂,酒井弘,佐藤正雄,山野照人

6)重複障害教育21件(17件日本・…‥下記の方々)

 三島敏夫,奥野喜美枝,野々山顕夫,平野日出男,上田正俊,伊藤敏子,菅井邦明,土佐林一,高浦理,草薙進郎,菊地賢一,田中農夫男,能登健,棚橋達雄,高杉弘之,森宏,前東高儀

7)インテグレーション28件(13件日本……下記の方々)

 本宮敏司,上野益雄,井原栄二,山本隆二,舟橋高昭,藤井克美,古川正五,堀内亨,畑昭夫,江原宏文,伊藤努,鈴木守次,大森一二三

8)高等教育・社会福祉27件(19件日本……下記の方々)

 大金延浩,大畑重吉,山内軍治,新田義博,石沢清,原京子,笠井精,小野庄六,富川哲次,野沢克哉,井上康喜,伊藤政雄,田口武,斉藤純,本田晃,吉田敏道,田中進,相野田紀子,鈴木茂美

9)その他重要な諸問題19件(11件日本…下記の方々)

 北原一敏,鳥居英夫,伊藤紀美子,中野孝子,高橋保雄,芦田達郎,小畑修一,岡本 稲丸,渡辺親治,畠口健,福田節夫

7.成果と課題

 戦後30年に亘って積みあげてきた聴覚活用,早期教育,インテグレーションの成果を問う東京大会が無事終了し,日本の聾教育の世界における評価を著しく高めることができたこと,また世界の権威から直接新しい情報を得られたことは大きな成果であった。一方,この大会が日本に残した課題は技術革新に伴うアメリカの高等教育の進展に比べ専門的な技術教育の面での著しい立ち遅れにあった。このため,聴覚障害者のための高等教育機関の設立運動が推進されていくことになる。

 参考文献

・国際会議組織委員会編「聴覚障害児教育国 際会議論文集」昭和51年3月 他