医療講演要旨集


No.871   『ウロストミー(人工膀胱造設者)の診療と対応について』
横浜市立市民病院   泌尿器科部長  森山正敏先生

ウロストミー研修会  医療講演   2002年11月24日

No.931   『 術後2年未満オストメイトのストーマ・ケアについて 』
神奈川県立ガンセンター WOC認定看護師 平澤真弓先生

初心者研修会  医療講演   2003年10月4日

医療講演要旨
2002年11月24日
ウロストミー(人工膀胱)研修会
                            

『ウロの診療と対応について』

       
横浜市立市民病院
泌尿器科部長
 森山正敏先生


1.はじめに
 泌尿器科医の立場より、尿路変更、いわゆるストーマを持っている人を対象に日常生活で苦労する問題点を取り上げ解説する。

2.尿路変更術
 尿は腎臓で造って尿管を通り膀胱に蓄えられ、尿道を通って対外に排出されるが、色々な病気が原因で尿路を変更せざるを得ないことがある。尿路変更には、次のような手法がある。

・腎臓から直接尿をとる方法(腎瘻)
・尿管を直接腹部に出す方法(尿管皮膚瘻)
・膀胱から直接出す方法(膀胱瘻)
・尿管を腸の一部につなぎ、その一端を腹部に出す方法(回腸導管)
・尿道へ管を挿入する方法
泌尿器科医は、このような尿路変更には各 々特質があるので、患者やその家族と相談し ながら術式を決定している。

(1)腎瘻術
 腎瘻は、直接腎臓に管(カテーテル)を入れる。非常に稀であるが腎盂に管を入れること(腎盂瘻術)もある。 腎臓は皮膚から7〜8cmの距離にあるが、挿入に際しては、管に付いている目盛りを見 ながら挿入長を調整する。管の位置は深かすぎても、浅すぎても良くないので、目盛りを記憶しておくと良い。  時として挿入位置が変わることがあるので日頃から注意を怠らない。
尿の流れ、量などが充分でない時や血尿などのトラブルがある場合は管の位置がずれている可能性がある。このような時は正常な位置に戻せば良い。  管が腎臓から外れた時は、時間を置かず夜間でも病院で入れ直すようにする。そうしないと腎臓に入れる位置がずれ、また瘻孔が狭くなって、管が入り難くなる。自分で挿入できる場合は処置をしてから医師に連絡をする。

(2)尿管皮膚瘻術
 尿管皮膚瘻では尿管を別々に腹部左右に出すものと、二本の尿管を一本にまとめて出すものがある。一本にすると煩わしさが半減することや瘻孔を太くし管理しやすくなるが、肥満の人には適用できない。
 管には抜けにくいように先の方に風船を取りつけたものもあるが、管をテープで皮膚に固定するなどの工夫が必要である。この場合テープは管の回りを一周するようにして空隙が出来ないように皮膚に張りつける。

(3)回腸導管術
 大腸の手前の回腸(小腸の一部)を15〜20cm切離して、2本の尿管を片方に繋いで腸孔を閉じ、他方の腸孔は腹部の外に出してストーマとする。回腸の切断面は繋ぎ合わせる。
 尿管の大きさは、通常径5〜6mm、長さ25〜26cmである。腹部に左右に出す皮膚瘻の瘻孔はこの太さに、一束合流する場合は径10〜12mmであるが、回腸導管ではストーマの太さは25〜35mmで、他の術式より太く狭くなり難いという長所がある。

3.ストーマのトラブル事例

a)フランジ接着部の皮膚炎症
  術後早期に見られ、フランジ接着剤よる皮膚の赤い炎症や発疹が生じる。
b)ストーマ周りの黒い色素沈着
  術後しばらくしてみられる。尿が少しずつ洩れ皮膚を慢性的に刺激したもので、元に戻すのは難しいが
  特に問題はない。
c)ストーマ周りの白い盛上り
  慢性的な刺激で皮膚が少し変性し硬くなっている。
d)ストーマ高の低下
  ストーマ高さが皮膚と同じぐらいに低くなり、パウチが1〜2日で剥れ易くなる。
e)ストーマの陥没
  ストーマが周りの皮膚よりも低くなりストーマが縮小した状態になる。
f)ストーマ周辺腹部の盛上り
  パウチを貼る時にストーマを見ることが出来なくほど腹部が膨らんだり、力んだ時に盛上ることがある。
  著しい時は何らかの処置が必要になる。
g)ストーマの黒化
  何らかの原因で血液の循環が悪くなり、ストーマが変色したもので、術後2〜3日で変化の兆候がなければ
  このようなことは生じない。
h)ストーマの陥凹
  腹部にできる皺の部分にあるストーマで、皺で隠れてしまいパウチの貼付けに困難をきたす。
  このようなことがないように術前にストーマ位置をマーキングして注意をしている。
i)突出したストーマ
  回腸導管の腹中での固定が不充分なため生じるのかもしれないが、非常に稀である。
  腹圧が長くかかった状態で突出することもあり、出血や痛みがある。
j)ストーマ周囲の膿瘍
  ストーマの周りに空間が出来て中に膿が溜まる。


4.ストーマ周囲の皮膚管理
 皮膚は中性よりもやや酸性に近いもので、その値は場所によって少し異なり、また病気によっても僅かにPH値が高くなる。 皮膚の状態は清潔に管理することが重要で あるが、次のように身体の状態によっても影 響を受ける。
 また、ステロイド類を多用していると、皮膚がもろくなることもあるので注意を要する。

皮膚管理における危険因子

(1)内臓疾患が原因になる場合
   a. 糖尿病
   b. 肝臓病(慢性肝炎、肝硬変)
   c. 甲状腺機能低下
   d. 潰瘍性大腸炎、クローン病
   e. 腎疾患(腎不全、急性糸球体腎炎)
   f. 心疾患(リュウマチ) 

(2)内臓疾患には異常のない場合
   a. 尋常乾癬
   b. 接触性皮膚炎(アレルギー)
   c. 脂漏性皮膚炎
   d. エリテマトーデス・全身性強皮性・皮膚筋炎などの膠原病

 皮膚に生じた創傷を治癒することを阻害する因子としては次のようなものがあり、日頃から健康管理に気をつけるようにしたい。

創傷治癒阻害因子
   a.ビタミンC欠乏(コラーゲン産生の減少)
   b.低蛋白症
   c.長期ステロイド剤投与
   d.貧血症
   e.組織内低酸素
   f.肥満
   g.感染症

 ストーマ周囲の皮膚管理や皮膚のトラブルを生じないようにする留意点を次に示すが、清潔を保つことと強く擦ったりしないことが重要である。

ストーマ周囲のスキンケア
   a.ストーマ周囲の清潔
     排泄物は早めに除去する
     装具交換時に皮膚を強く擦らない
     微温湯や刺激の少ない石鹸を使用
     石鹸を使用後は十分に洗浄する
     粘着剤除去に除去溶剤を適宜使用
   b.刺激物の除去
     粘着剤・皮膚保護剤・溶剤・排泄物
   c.機械的刺激を避ける
     皮膚の損傷
     皮膚の虚血
   d.感染予防

予防的スキンケアのための留意点
   a)装着法
     1) ストーマのタイプと使用装具
        カラヤ系、CMC系、混合系
     2) 装具交換頻度
   b)管理時期からみたスキンケア
     術直後
     社会復帰後
   c)局所管理条件を考慮したスキンケア
     1) ストーマの大きさ、突出度、形状、構造、位置
     2) ストーマ周囲皮膚の皺、瘍痕、皮膚の硬さ
     3) ストーマ周囲ヘルニア、腸管脱出の有無
     4) 尿量、尿酸性度

5.尿
 尿は腎臓で造られるが、通常成人の尿量は1日当り1300〜1600ccである。ストーマをもつ人、特に管を入れてる人では、尿量をこれより多くすることが重要で、トラブルが少なくなり好ましい。 尿中には、上皮細胞、ムチン、細菌円柱、白血球円柱、赤血球円柱、脂肪円柱などの有形成分が含まれており、これらを観察することにより尿の状態、全身状態を確認することが出来る。出血や膿は、赤血球や白血球を診て判断ができる。
 また、尿中には種々の結晶成分が含まれており、結晶の形を見て成分を概略特定できる。これは結石など診断に参考になる。尿酸などは酸性度が6以下になると析出している可能性が高いので尿をアルカリ性にすると良い。 尿にはバクテリアなどが繁殖して濁る混濁尿や血液が混じる血尿がある。泌尿器としては血尿が重要である。 市販のテープで赤血球、蛋白、糖や細菌を検出でき、自分で健康状態の確認が出来る。血尿とは尿中に赤血球が混じることで、尿が赤くても血尿とは限らない。濃色尿で赤く見えたり、色素で赤くなったり、薬物や食事の影響も有り得る。テープで潜血反応が陽性と出ても、テープでは赤血球を検出しているのではなく、色素反応を検出しているので、必ずしも血尿とは限らない。 また、蓄尿袋が紫色になる場合もあるがこれはバクテリアの影響による。 血尿で赤いというのは、かなり赤い状態で尿中の血液濃度が0.5%程度の色である。

 血尿は、次のような多くの疾患が原因となる事が多く、兆候が認められる時は直ちに医師の診断を受けることが肝要である。
血尿の原因疾患(主に泌尿器科的)

    感染症     腎盂腎炎 膀胱炎 前立腺炎 尿道炎 尿路結核
    腫瘍 悪性   腎細胞癌 前立線癌 腎盂・尿管癌 膀胱癌 尿道癌
        良性   腎血管筋脂肪腫 腎線腫 前立線肥大症 膀胱血管腫 等
    結石・異物   腎結石 尿管結石 膀胱結石 尿道結石 膀胱異物
    外傷       腎・尿管・膀胱・尿道の外傷
    その他     遊走腎 突発性腎出血 等

6.社会的・精神.的問題点

(1)常生活における問題点
   a.食事
     暴飲暴食を避ければ特に食事の制限はないが、次の食品は尿の臭いが強くなる。
       葱、韮、大蒜、豆類、ビール、チーズ、卵、海老、かに、アスパラガス
   b.衣類
     服装はゆったりしたものが好ましく、ベルトでなくサスペンダーなど良い。
   c.入浴
     入浴の制限はなく、お湯がストーマから入ることはないが、パウチを装着したまま入浴するのが良い。
   d.睡眠
     蓄尿袋は足先の低めの位置に置き、また畳の場合は布団の下にマットを入れて高めにする。
   e.運動
     毎日適度の運動をすることが好ましい。
   f.通勤・通学
     体調を見ながらもとの職場に復帰できる。
     朝夕のラッシュ時は避けると良い。予備のパウチを準備して行動する。
   g.精神的な問題
     トラブルに対する的確な助言をオストメートや家族等から受ける。

(2)旅行・結婚・性生活
   a.旅行
     自由に旅行をすることが出来るが、装具は多めに用意した方が安心である。
     生水や生の食物は避けるようにする。
     飛行機では予備の装具を機内に持込むようにし、各地オストミークラブの連絡先を控えおく。
   b.結婚・妊娠
     結婚相手にはストーマのことを説明しておくことが肝要である。
     また、原疾患が癌の場合は治癒の可能性の正確な判断が必要である。
     妊娠はストーマを付けてから約1年は控え、妊娠後半はストーマが変形したり、粘着剤に過敏になる
     可能性がある。
   c.性生活
     ストーマで真の愛情や性欲は変らない。
     医師・看護師・オストメイトに気軽に相談できる環境をつくっておく。
     男性では、勃起障害や射精障害が器質的か機能的かを専門医に判断して貰い、クリニックは
     夫婦で相談をうける。
     器質的障害の場合は専門医に治療を任せ、逆流性射精の場合は泌尿器科医に任せる。
     器質的障害の場合は勃起補助器、prostesisの手術がある。

(3)原疾患の増悪・再発等への対処
     a. 内服治療の持続脱水や電解質バランスに気を付け、栄養素吸収障害等のチェックをする。
      b. 腫瘍マーカーの追跡
         CEA、AFP、SCC、CA19-9、IAP、PSA、NSE等のマーカーを検査する。
     c. 骨盤内再発の検索
          US(超音波画像診断)
           CT(コンピュータ断層撮影診断)
           MRI(核磁気共鳴画像診断)
          RI(核医学診断)
         等の機器診断を受ける。
     d. 定期的な外来通院
         月1回程度の通院で全身をチェックする。


質 問


Q1;
  術後5ケ月ですが、現在4日毎にパウチ交換をし、交換日だけ入浴しています。他の日はフランジの接着剤が溶けて、洩れるのではないかと心配で入浴をしていません。何か良い方法はないでしょうか。(68歳男性)
A1;
  パウチを付けたまま入浴しても、接着が溶け出すことは無い。どうしても気になるのであれば、耐水性のテープでフランジの周囲をシールすると良い。

Q2;
  術後2年8ケ月です。 尿管皮膚瘻ですが、カテーテルは一生とれないのでしょうか。ストーマのまわりの皮膚が爛れ、毎日痛くて辛いのですが、何か良い方法はありませんか。(55歳男性)
A2;
  術式にもよるが、尿管は細く時間が経つと狭くなることもあるので、これを防ぐためにも管を入れておくほうが良い。腎盂まで管を入れる必要もないので、筋肉層だけを貫入する短い長さのボタン式カテーテルを使用することもできる。

Q3;
  術後2年6ヶ月ですが、一側合流式の尿管皮膚瘻で、最初は尿管にカテーテルを挿入しない前提でした。術後2ケ月ほどで 尿管がつまったので、以後カテーテルを入れ1ケ月毎に交換しています。交換時に熱を出し入退院を繰返しています。  今後どのように対処すれば良いか悩んでいます。尿管は萎縮したり、塞がることが多いのでしょうか。(79歳男性)
A3;
  一側合流式は尿管が狭くなり難い術式ですが、それでも狭くなることがある。多分筋肉を通過するところで狭くなっていると思われる。ボタン式の短いカテーテル を検討するのも良い。尿の流れや量で管が正しく固定されているかを判断し、流れが悪いようであれば固定を修正しなければならない。

Q4;
  術後7ヶ月ですが、ウロストミーの性機能障害の対策を伺いたい。(63歳男性)
A4;
  術式により多少異なるが、膀胱の手術で骨盤内神経叢の左右が損傷されると勃起はできない。少しでも神経が残っていればバイアグラなどで勃起が可能になることもある。   陰茎の中にプロステーシスという器具を手術により挿入する方法や吸引式で勃起を補助する器具がある。主治医に相談してどの方法が可能か検討してもらうのが良い。すべての方がうまく行くかどうかわからない。

Q5;
  他支部の術後4年の男性(コロ)から質問を依頼されました。術後7回の入退院と3回の手術を繰返し、前立腺の放射線治療の影響もあり、排尿困難になってきました。   主治医から膀胱を切除してはと、勧められましたが断ってきました。3ケ月前に微熱と失禁、背中の異常な痛みなど症状があり入院し、三日間意識不明になりました。   排尿が出来ないことが原因の急性腎不全で、尿道からカテーテルを挿入し、強制排尿と点滴で治るかと思われました。
  しかし、人工肛門の手術の時取り残されたガン細胞が前立腺、膀胱まで進んでいる関係から膀胱瘻を造設しました。膀胱瘻のケアー情報や参考になる文献などをご教示頂きたい。
A5;
  膀胱瘻の情報提供を何処でやっているか知らない。むしろオストメートの会やそのHPなどにあるのかもしれない。膀胱は全身状態が良ければ除去した方が良く、体力や時間的な条件が満たさない場合は尿管皮膚瘻や膀胱瘻を造設する。尿管皮膚瘻の方が良いとも思われるが、急性腎不全という緊急時で膀胱瘻になったのだと思われる。
  尿管がつまるようなことがあると尿管皮膚瘻か腎瘻になる。膀胱瘻を置かないで、内視鏡を使って尿管にステントを腎臓までいれる尿管ステント法がある。外見上ストーマはないが、2か月毎にステントを交換する。 最近では、かなり行われるようになったが、男性には辛い方法である。排尿時の痛み、尿意が近い、刺激感などの症状もある。

Q6;
  術後5年で日常生活は順調ですが、4年目頃から臍の上辺りが膨らんできました。排便時など力む時にはピクピク動きますので、手で押さえるようにしています。ヘルニアだと思いますが、アドバイスをお願い致します。(男性)
A6;
  腹壁ヘルニアで、筋膜のところが少し弱くなってきて腸が張り出してきたのだと思われる。対処としては、@腹圧などをかけない生活をする、A脱腸ベルト、あるいはタオルを当て、さらしを巻くなどして圧迫する、などです。
  時間が経つと膨らみが大きくなることが多く、あまり大きくなるようであれば手術をして筋膜の欠損部を充填することも出来る。小さい内は圧力をかけるようにし、重い荷物を持たないように心がけると良い。

Q7;
  膀胱ガンは他の場所に転移し易いと聞きますが医学的に確かなのでしょうか。(女性)
A7;
  膀胱ガンに限らず、ガンは何処へでも転移する可能性があります。膀胱ガンは尿の通り道、すなわち尿道、腎盂、リンパ節、肺、肝臓などに、また骨、脳にも転移する可能性がある。 したがって、月に一度は診察を受け、尿検査、血液検査、CT、超音波検査などでチェックを受ける必要がある。



     (注記)
腫瘍マーカーについて
 腫瘍の消長に合わせて増減する血液中の物質で癌の可能性を検出する。

CEA(carcinoembryonic antigen)
  大腸癌 直腸癌 尿路癌 子宮癌 乳癌   胃癌 肺癌 膵癌
AFP(α-fetoproten)
  肝臓癌、精巣癌
CA19-9(carbohydrate antigen 19-9)
  膵臓癌 肝癌 大腸癌 胆道癌 胃癌   卵巣癌
PSA(prostate specific antigen)
  前立腺癌
SCC(squamous cell carcinoma related antigen)
  子宮頚癌 肺癌 食道癌 頭頚部癌 皮膚癌
IAP(immunosuppressive acid protein)
  肺癌 白血病 食道癌 膵癌 卵巣癌 腎癌 胆管癌 膀胱癌
  大腸癌 胃癌 甲状腺癌 悪性リンパ腫
NSE(neuron specific enolase)
  肺癌 神経芽細胞腫 神経系腫瘍 胃癌 食道小細胞癌
  膵小島癌 腎臓癌 乳癌 

                   医療講演要旨
2003年10月4日
初心者研修会
『術後2年未満オストメイトのストーマケアについて』

    
神奈川県立がんセンター  WOC認定看護師
 平澤真弓先生


                      
1.はじめに
 術後2年未満のオストメイトを対象に、スキンケア、ストーマケアならびに日常生活の基本的事項について解説する。

2.皮膚について
 皮膚は毛穴から皮脂が分泌され、その膜で覆われ弱酸性(pH3.5〜6.0)に保たれている。この皮脂膜によって体外から化学物質や余分な水分の侵入を防いでいる。
また体内に必要な物質や体液の喪失を防ぐ働きをしている。これらの皮膚の働きが損なわれると皮膚障害が起こることになる。
 スキンケアは、「皮膚の働きを損なわないように皮膚を健やかに保つこと」を意味する。これから寒くなると、手の皮膚が乾燥して「がさがさ」するようになり、ハンドクリームが手放せなくなる。このように皮膚が乾燥すると、皮膚の表面はひび割れた状態になり、更に乾燥がひどくなるとあかぎれをおこして痛みを伴うこともある。
 反対に、皮膚が蒸れたりふやけたりすると、皮膚表面の角質が脆くなり中性に傾いていき、化学物質や細菌が体の中に進入しやすくなる。 角質はいずれ垢となり皮膚から剥離していくが、この角質はたんぱく質のケラチン、脂質のセラミド、天然保湿因子によって構成されている。角質は皮膚にとって非常に大切なものであり、角質を無理に取るのは良くない。
皮膚に適度な潤い(皮脂膜)を保つことが重要である。 皮膚は常に新陳代謝を行い油性の汚れが生じるので、私達はこれを落とすために石鹸を用いて体を洗っている。
しかし、石鹸を使用すると、皮膚の汚れだけでなく皮脂膜を取り除き、加えて垢すりで擦ると角質まで傷つけ、もはや皮膚を清潔にすることではなく皮膚の持つ本来の機能を取除いてしまうことになる。

3.皮膚と石鹸
 市販されている石鹸のpH値を表1に示すが、このように石鹸は皮膚の油分をある程度落とす洗浄力を必要とするため、弱アルカリ性のものが多い。石鹸の形状によってpHの差異はないが、液状のものは添加剤を多く含んでいる。
 化学的には、pH=7.0が中性であるが、皮膚の表面は弱酸性でpH値は3.5から6.0であるため、皮膚の生理的中性はその中間値であるpH=5.0としている。
 したがって、弱酸性と表示されている石鹸のpH値は6.4であり、化学的には正しい表示であるが、皮膚生理学上は弱アルカリ性を意味する。
 皮膚には中和能力があるので、石鹸を使用しても問題になることはない。石鹸を使用した後の皮膚のpH値は0.6から0.8程度高くなるが、健康な皮膚であれば45分から2時間経過すると中和されて元のpH値に戻る。

  
   表1  市販石鹸のpH値 (1998年)
   形 状   pH    商 品 名  
固形      
  
  
 
  化粧石鹸    9.3 - 10.0  ホワイト、植物物語、LUX  
  薬用石鹸    9.8 - 10.5  ミューズ、牛乳石鹸  
  ベビー石鹸   10.1 - 10.6  ピジョンベビー、牛乳ベビー  
  弱酸性石鹸    6.4     ミノン   
クリーム状     9.3 - 10.7   ボンズ、洗顔物語、シーズ  
           6.9   ビオレ  
白色ローション状  9.4 - 10.2   植物物語、LUX  
           7.1    ビオレU
透明液状       10.1    シャワーソープ  
           6.1    ミノン全身シャンプー  


4.石鹸の洗浄機構
 石鹸の洗浄メカニズムは次のように考えられている。

@ 石鹸の主成分である界面活性剤が汚れのまわりを取り囲む。
A 界面活性剤に取り囲まれた汚れを皮膚から剥離し取除く。
B 界面活性剤に取り込まれた汚れはミセルの中に取り込まれて皮膚には再付着しない。
C 皮膚についている石鹸をシャワーなどで洗い流せば汚れは落ちて清潔な皮膚になる。

石鹸はアルカリ性という特性から汚れを落とすが、同時に皮膚にとって大切な皮脂膜も洗い落してしまうので保湿保護が必要になる。
角質の隙間を埋めるためのセラミド、保湿を高めるための尿素、代用皮脂膜を形成し保湿性を高めるとともに外からの汚れや水分を寄せ付けなくするためのオイルなど使用するとよい。

5.ストーマケア
皮膚保護剤には粘着作用、水分の吸収作用、酸アルカリを中和する緩衝作用、細菌の繁殖を防ぐ細菌繁殖防止作用がある。
   皮膚障害の原因は次のように考えられている。
 @ 便、尿、汗など排泄物が皮膚に直接付着することによるかぶれ
 A 皮膚保護剤や粘着剤の化学成分によるアレルギー
 B 装具交換ため皮膚保護剤を剥がす時に、皮膚へかかる機械的刺激

ストーマからの排泄物によりストーマ周囲の皮膚は尿や便に晒される。便はアルカリ性の消化液や消化酵素を含んでいるので、 皮膚に対しても消化能力があり皮膚を傷めてかぶれを生じる。
尿や汗は水分により皮膚をふやけさせ、皮膚障害をおこす。尿は排泄時では弱酸性であるが、時間の経過とともにアルカリ性に 変化するので、いつまでも皮膚についていると皮膚を刺激してかぶれを起こす原因となる。
ストーマケアは皮膚保護剤付きの装具で管理し、ストーマ周辺の皮膚は常に皮膚保護剤で覆われる。皮膚保護剤の水分吸収機能の 限界を超えると蒸れてしまい、また皮膚保護剤自体の刺激でアレルギーを生じる場合がある。 機械的刺激では装具を交換する時、皮膚表面の角質を剥がして皮膚を傷つけてしまうことがある。

 
6.装具交換方法
 装具を剥がす時には、石鹸やサニーナ、剥離剤などを用い、強い力を加えないようにする。指で皮膚を押さえながら、皮膚保護剤 が皮膚に対して90度以上になるようにやさしく剥がすと良い。
角質の剥離を最小限にする皮膚保護剤の剥離角度は90〜150度とされている。装具を剥がしたら必ず裏面を観察して、皮膚保護剤がどのくらい溶けているかを観察する。皮膚保護剤が白くなっているところが溶けた部分であるが、この幅が1cm以内になるように交換日数を調整する。 ストーマ周囲の皮膚の洗浄は、石鹸を良く泡立て泡で汚れを浮かせるようにして洗い、石鹸が残らないようにお湯で良く洗い流す。
お湯の温度は熱すぎずぬる過ぎず適度の温度とし、皮膚に一番優しい素手で洗うのが良い。 石鹸分が皮膚に残ると肌荒れの原因になるのでよく洗い落とすのが肝要である。
 皮膚保護剤の孔径は、ストーマからの排泄物が皮膚に付着するとかぶれを生じるので、なるべく付着しないように大きさを調節する。
孔径が大きすぎると皮膚に排泄物が付着し、また小さすぎるとストーマを傷つけるだけでなく、皮膚保護剤がストーマに引っ掛かり浮いた状態になって、その間隙に尿や便が潜り込んで皮膚障害を生じることがある。

 したがって、皮膚保護剤の孔径は、ストーマのサイズより一回り大きめ(直径で4〜6mm)にカットして使用する。装具の貼付けは、しっかりと行う。
装具は体温で熱が加わり粘着力が増加し、種類にもよるが、24時間経過後に最大の粘着力を発揮する。
粘着力が強いことは、漏れを防止する上で必要であるが、あまり強すぎると剥がす時に皮膚に機械的刺激を与えることになるので、粘着力がある程度低下する経過時期に交換間隔を守って使用する。

7.皮膚障害が生じたら
 皮膚障害は生じた部位によってその原因を推定することができる。ストーマに近接する周囲部の皮膚障害は、ほとんど排泄物の付着によるものと考えられる。
排泄物が皮膚に直接付いていなくても、皮膚保護剤が溶けている部分は、その機能が限界を超えており、排泄物が皮膚に付いているのと同じである。このようなストーマの周囲の皮膚障害では、次のような点をチェックすると良い。
(1) 汚れを残さずよく洗っているか。
(2) 皮膚保護剤の孔は大きすぎないか。
(3) 皮膚保護剤が溶け過ぎていないか。

皮膚保護剤が密着している部分の皮膚障害では、アレルギーによるものもあるが稀であり、剥がす時の機械的刺激によるものが多い。このような部分の皮膚障害では、次のような点をチェックする。
(1) 乱暴に皮膚保護剤を剥がしていないか。
(2) 皮膚保護剤の交換間隔を正しく取っているか。粘着力の強いものを1〜2日で交換していないか。
(3) 汚れをよく洗い落としているか。

皮膚保護剤の周縁部(粘着辺縁部)は、想像以上に機械的刺激が加わっている。皮膚保護剤の周辺部が変性し、刺激を与え皮膚障害を生じている。最近では皮膚保護剤の厚みがかなり薄くなってきているが、体の動きによっては皮膚保護剤が皮膚に当たって刺激を与えることもある。このような周辺部分の皮膚障害では、次のような点をチェックする。 (1) 装具を貼り付ける時に皮膚を平らにしようとして引っ張りすぎていないか。 (2) 貼り付ける時に皮膚保護剤が当たる感じや痛みがないか。皮膚保護剤は周りをカットしたり面積を変えたりして工夫して使用できないか。

8.日常生活
 手術を受けた患者は手術前とほとんど変わらない生活を送ることができる。

(1)食事
 特別制限をすることはない。腸の手術によって腸管が空気にふれて癒着し、腸の通りが悪くなっていることがあり、腸閉塞を起こしやすい。
したがって、腸閉塞を防ぐためには、食物繊維を多く含む食品を一度に多く摂らないように気をつけ、水分を多く摂るようにする。 便秘や下痢は食事だけでなく、環境の変化やストレス、薬剤の服用によってもおきる。

(2)ガス
 ガスの量は環境、食事、生活習慣によっても個人差があり、その音をなくすことは困難である。食事の時に空気を一緒に飲み込むとガス量も多くなる。 ガスでパウチが膨らまないようにするガス抜きフィルターがあるが、最初は効果があるが時間とともに効果が低くなる。

(3)臭い
 便や尿の臭いは、食事の内容によって影響を受ける。最近では、装具の防臭性が良くなっているので、パウチから排泄物を出した後、排泄口の部分をしっかりふき取るか、良く洗うことで臭いを防ぐことができる。  パウチの中を良く洗い、いつも空の状態に保つ人もいるが、あまり洗いすぎるとパウチの防臭性が低下する。

(4)入浴
装具を装着したまま入浴しても、はずして入浴しても良い。風呂の水圧程度ではストーマからお湯が体内に入ることはない。 ただし、ウロストーマで、ステントカテーテルを挿入したまま浴槽につかる場合は、カテーテルを通して体内にお湯が入るので、感染を予防するために装具を付けたまま入浴するようにする。シャワーを浴びる分には差し使えない。
温泉や公衆浴場では入浴用装具を活用すると良い。

(5)スポーツ
特別制限はないが、主治医に相談して始めると良い。ただし、腹筋を強く使うスポーツや格闘技は、ヘルニアを防止する意味で避けた方が良い。皮膚保護剤の粘着力が、貼り付け後最大になるようにスポーツをする前日に装具交換を行い、また、運動によって皮膚保護剤が多量の汗を吸収しているので通常より1日早く装具交換をすると良い。

(6)仕事
全く問題はないが、漏れた場合の対応として、装具の予備や着替えの衣類を職場等に置いておくことや装具の予備を必ず携帯することが必要である。
 通勤途上で使えるトイレの場所をあらかじめ確認しておくと安心できる。

(7)旅行
 旅行も問題ないが、外出や宿泊する時には装具の予備を必ず多めに携帯する。

(8)性
病院では術前に性機能障害について説明をしているが、悩みがあれば主治医や看護師に相談し、悩みを抱え込まないようにすることが大切である。女性は直接的な機能障害はなく、男性は手術による神経損傷の程度により障害が生じる。



質 問

Q1; 術後6ヶ月を順調に経過しましたが、手術の傷跡の部分がちくちく痛みます。痛みは表層に部分ではなく傷の中の部分で、痛む回数は少なくなってきました。このような痛みは、いつまであるものなのか、原因などお聞きしたい。(ウロ、術後6ヶ月、男性)

A1; 痛みは手術による傷、傷の影響、腸を縫合したところの影響、腸管の位置が変動する影響などがあり、原因は分かりにくい。
   どれくらい長く続くかは個人差があるが、半年から1年程度は続くと思われる。


Q2; スポーツは術後どの程度経過すればできるのでしょうか。(ウロ、男性)

A2; 先に述べたように、主治医と相談してからはじめるようにして頂きたいが、半年ぐいで軽度な運動からはじめることができる。
   個人差があるが、すぐにスキーやダイビングをする人もいる。


Q3; 皮膚がただれ,その上にパウチを貼り付けているので痛みでひりひりする。元来皮膚が弱く、接着剤が合わないのか周りから肌荒れしている。    皮膚が湿疹のように赤くぶちぶちしている。どうすれば良いでしょうか。(コロ、女性)

A3; 皮膚保護剤自体でアレルギーを生じることがあり、急性のものとしばらくして生じる遅発的なものがある。フランジ(面板)の貼り付け面に全体的に生じるもの、周りから拡大してくるものがある。このような場合は、装具が合っていない可能性があるので、メーカーの異なる装具を試してみると良い。メーカーによって皮膚保護剤の成分が異なっているので、相性が良くない可能性がある。    痛みに関しては、痛み止めを処方してもらって飲むと良い。(会場からも、メーカーを替えて良くなったとの経験談があった。)


Q4; ステントカテーテルを入れていますが、将来外す事ができるでしょうか。また、カテーテルの交換間隔は、最初4ヶ月でしたが、右側だけに結石が付き、3ヶ月、2ヶ月と短くなってきました。どう対処すれば良いでしょうか。    入浴する時には、装具つけておりますが、シャワーであれば、装具を外してもよろしいでしょうか。(ウロ、術後1年2ヶ月)

A4; ステントカテーテルは、尿管の狭窄を防ぐために挿入しています。狭窄の心配がなくなれば外すことができ、そのようにしている方もいます。手術の術法にもよりますので主治医に相談してください。交換間隔は、もっと短く、通常2週間〜1ヶ月です。感染症や結石を防ぐためにも短くします。十分に水分を摂り、グランベリージュースを飲んで尿を弱酸性にすると良いでしょう。    内蔵は100%フル活動しているのではなく、腎臓も右と左で活動状態が異なり、尿の排出量も異なるので、片側だけに結石が生じるのかもしれない。
   シャワーを浴びる時は、装具を外しても差し支えありません。

Q5; 入浴時に皮膚保護剤がゆるみ外れそうになります。2ピースタイプで4〜5日もつタイプを使用し、シャワーであれば中4日持ちます。入浴で長く持たせるにはどうすれば良いでしょうか。(ウロ、術後2ヶ月、男性)

A5; 最近装具の種類が増え、長期交換型のものがある。このようなタイプを使用するか、入浴前にフランジの周囲にテープを貼って防水すると良いでしょう。


Q6; 洗腸の方法を教えて頂きたい。(コロ、術後1年半、家族)

A6; 県立がんセンターでも希望する人が多いが、体力のある人、意欲のある人でないと    できない。S状結腸や、下行結腸にストーマがある人が対象で、500mlのお湯をストーマから腸に入れた後、すぐに排便を促す方法です。   (事務局に、洗腸の方法を解説したビデオがあるので希望者には貸出しを行っている)


Q7; パウチを外して入浴する場合、どの程度長く空気に曝しておいて良いでしょうか。(コロ、女性)

A7; 可能な限り長く曝して、皮膚呼吸をさせてください。皮膚保護剤を貼り付けている環境は想像以上に苛酷な環境です。
   ただし、温風、ドライヤー、紫外線などをあてることは避けて頂きたい。


Q8; 弱酸性の石鹸・洗剤を使用したほうが、アルカリ性の石鹸・洗剤を使用するより洗ったあと皮膚が酸性に戻る時間が短いでしょうか。(ウロ、術後5年、男性)

A8; アルカリ性の強い石鹸は、皮脂を取除き皮膚が突っ張るようになりますが、弱酸性の石鹸は、皮脂もあまり落とすことなく洗いあがりもしっとりとするので、弱酸性の石鹸を良く泡立てて使用してください。
   液状石鹸より固形石鹸を薦めています。液状石鹸は添加物が多く含まれ皮膚がぬるぬるしますが、固形石鹸は良く泡立てればさっぱりした感じが得られます。石鹸のpH値は、かぶれやびらんをおこしている場合は弱酸性のものを薦めています。そうでない場合はpH値にこだわることはありません。


Q9; 胃の検診でバリウムを飲みますが、そのバリウムはストーマから普通に出るのでしょうか。(コロ、術後2年半、男性)

A9; ストーマからだといって特別なことはありません。大腸を通ってストーマから普通に排出されます。下剤を飲み、水分を多くとって早く出さないと固まって石のようになるので、術前の時と同じように気をつけてください。


Q10; 皮膚をできるだけ乾かした方が良いと聞いていますので、入浴後パウチを外してそのままガーゼを当てる程度で就寝します。私の場合、夜間は絶対に排出物は出ないのでこのようにしていますが、よろしいでしょうか。(コロ、女性)

A10; 排泄物が出ない限り、装具を外しておくことには何等問題はありません。排出物が出ると肌荒れしますので注意してください。


Q11; 術後6ヶ月で試行錯誤でストーマ管理をしています。パウチ交換してきれいにして就寝すると、すぐに排泄物が出てパウチの上の方にてんこ盛りに溜まります。パウチの下の方に落とす良い方法はないでしょうか。
   (コロ、術後6ヶ月、女性)

A11; パウチの中にサニーナやゴマ油などをいれて滑りやすくすると良い。サニーナは装具を貼り付けた後で、パウチの下部から少量入れて万遍なくいきわたるようにします。


Q12; 皮膚がただれて困って、事務局に相談しアドバイスを頂きました。お話では皮膚保護剤を替えると良いとのことですが、公費補助で購入している場合メーカを変えることは問題ないのでしょうか。(ウロ、術後4ヶ月、男性)

A12; 公費補助は自分にあったものを購入できるようになっており、メーカを変えることは問題ありません。販売代理店は多くのメーカのものを取り扱っています。


Q13; 公費補助では不足で、かなりの金額を自己負担しています。装具類の自己負担購入は医療費控除の対象になりますか。(女性)

A13; 自己負担分(1月〜12月)は医療費控除の対象になります。前年所得の5%又は10万円を超える医療費は控除を受けることができます。
    装具に関する自己負担分は、主治医からストーマ用装具使用証明書を貰い確定申告時に添付してください。高額医療費控除には対象になりません。(事務局)


Q14; ストーマとは異なり二分脊症です。肛門からの洗腸について、ご意見をお伺いしたいのですが。(男性)

A14; 大腸内視鏡検査や腸の手術をする時に、洗腸するケースもありますが、500〜1000mlとかなり多量のお湯を肛門から入れ、一度に排泄させる方法です。多量のお湯を入れるので、ショック状態といって気分が悪くなったり、腸穿孔を起こすことがありますが、     洗腸方法をマスターして行えば大丈夫です。


Q15; 最近新聞に手術や検査前に使用する下剤で、ニフレックが腸に弊害を与え、副作用があると、記載されていましたがどうなのでしょうか。(コロ、男性)

A15; マグコロールというのが使われています。これは、飲む量がやや少なく(1800ml)、味や臭いも改善され飲みやすくなっています。


Q16; 1年ほど洗腸を続けていますが、先生からお休みを入れたらどうかといわれました。休まなければいけないでしょうか。

A16; そのようなことは聞いたことがありません。体力に問題がなければ、休む必要はないと思います。先生の意図されていることを良く聞いてください。


          (文責 笹岡 勁)