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since 2011/05/12 

幼稚部教育課程(0〜5歳児)の内容を豊かに確かに描き出す

−筑波大学附属聾学校幼稚部による教育経験の集積−

目白大学 齋藤 佐和

 平成11年3月初版刊行の『幼稚部教育課程(0〜5歳児)』(聾教育研究会)は、平成12年4月の「盲学校・聾学校幼稚部教育要領」改訂に向けて、平成9〜10年度に筑波大学附属聾学校幼稚部が受けた研究指定の成果であった。実質本意とも言うべきB4版の簡素な体裁の、いわば資料集であったが、その実質こそが各地の聾学校幼稚部の先生方に支持されたのであろう、平成20年まで版を重ねる結果となっていた。このたび、平成21年4月の「特別支援学校幼稚部教育要領」改正を受けて、概ね初版の内容を踏襲しつつ必要な見直しを行って、装いも新たにA4版で平成23年度版が誕生した。 幼児期の教育課程は、「幼稚園教育要領」「幼稚部教育要領」による心身の調和のとれた発達を促すという基本にたって、そのために必要な内容が領域別に、また一定の階梯性をもって示されている。小学校以上と異なり、幼児期は枠組みが緩やかであることこそ発達に自然に適うものであり、その共通理解の上に、ねらいや内容の大枠が設定されている。  しかし、子どもと日々関わっていくなかで、教師は豊かであるとともに確実な見通しをもたなければ、聴覚に障害のある子どもの調和の取れた発達を実現していくことは困難であると感じているはずである。新生児聴覚スクリーニングの普及にともない、0歳代からの教育相談、育児支援に関わることが増加している現在、0〜2歳児期からの関わりの在り方、両親支援の具体的指針も求められている。日々の対応だけでなく、今日の活動は、子どもの明日の、来月の、来年のどんな発達に繋がっていくのか、教師はその見通しを支えに、今ここでの柔軟な関わりを創り出していきたいと願うものではないだろうか。  本書は、聴覚障害幼児に発達に必要な教育的対応を、幼稚園教育要領による領域に、0〜2歳児では「聴覚の活用」、3〜5歳児では「聴覚活用」「発音」を加え、さらに「言葉」の領域では、自立活動領域に含まれる言語指導に関する部分も含んで内容構成しており、そこに筑波大学聾学校幼稚部積年の教育経験の知が豊かに確かに描き出されている。確実なコミュニケーションの形成、子どもの発達に沿った日本語の習得をどのように支えていくのか、幼稚部の日々の実践の中から抽出し、発達の階梯を具体的に提供している貴重な資料である。さらに保育計画例や両親支援の項目があることも初版以来の特徴である。伸ばせばA3版になる表を折り込んだユニークな製本は、平成16年刊行の「幼稚部3年間の子どもの姿」(聾教育研究会)とも共通し、同じ仕事に携わる人の日常の教育活動に役立ちたいという思いが伝わる。ぜひ手近に置いて活用してほしい。近い将来、様々な教材例あるいはそのヒント集が追加されれば、更にありがたいと思っているが、それらが読者の創意工夫と相俟って聴覚障害幼児の発達に還元されることを強く願っている。


【著者】 筑波大学附属聴覚特別支援学校・幼稚部

【版形】 A4判 28ページ(23ページはA3の折込)

【頒価】 500円

【発行】 聾教育研究会



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