桃夭(隷書)
宮城県  鎌田 久夫  76歳  肢体不自由

平成22年8月19日

【作品PR】
出典/詩経 国風・周南の桃夭、四言古詩、桃夭の一編は祝婚歌として知られています。 選定理由/私がお世話になっている施設で今年お2人の女性職員がめでたく御結婚、お2人の末永い人生のお幸せを祈念して選びました。 制作留意/執筆が左手の為、隷書の基本である中峰になっているのか、峰先の状態が把握できない、また右払い、左払いの収筆に苦労しました。

【寸評】
伸びやかな線は障害があるとは思えません。雄大な左右への動きは詩情に合致し温和な風情を与えています。特に「桃」の動きは大変魅力的です。
寿雲
福島県  阿部 イネ  91歳  内部障害

平成22年8月26日

【作品PR】
いつも大空を仰ぎ、広い心を持って過ごしたいと思い、書きました。

【寸評】
高齢を感じさせないこの艶麗な線を引けることの驚きと長寿をと願います。余分な力の抜けた遅速、落筆の高さなど大変立派です。
敦篤
福島県  村岡 綾子  45歳  肢体不自由

平成22年8月26日

【作品PR】
文字の持つ意味を踏まえ、心を込めて書きました。

【寸評】
丁寧に穂先を整えて細部まで注意を配って書いており、深く沈潜させた線は立派です。毛筆の特性を良く摑んで書いています。名前佳いですね。
なつ
茨城県  中澤 恵子  33歳

平成22年8月20日

【作品PR】

【寸評】
直線的なリズムに富んだ線は生気に満ち、生々とした表情を見せています。曲線を直線のリズムで書くことの良さを十分理解した作品です。
孔子廟堂碑
千葉県  清水 元子  67歳  肢体不自由

平成10年2月

【作品PR】
生徳を禀けて霊を降さる。生まれながらにして聖徳を身につけ神霊が降さる。 工夫…右肩の転折が種々あって注意して書いた。

【寸評】
虞世南の臨書ですが、細かな所まで注意しながらも伸びやかで温雅な原帖の特性を良く出しています。見事としか言えません。

千葉県  小池 真由美  51歳  肢体不自由

平成22年9月28日

【作品PR】
筋緊張を緩和するリハビリ後、左手の中指と人差し指の間に筆を持ち書いていました。療養中の方の健康回復を祈って書いていました。

【寸評】
筆の重さを利用してじっくりゆっくりと筆を運ぶ根気。障害がありながら墨の持つ微妙な墨彩を楽しむ前向きな姿勢に惹かれます。
既集
東京都  鈴木 巖  64歳  肢体不自由

平成22年10月23日

【作品PR】

【寸評】
障害を感じさせない鋭く強い線が作品を大きく見せています。細部に拘らずあるがままの自分と向き合っている点に共感を覚えます。

滋賀県  寺本 一隆  12歳

平成22年10月15日

【作品PR】
太い筆を使い、墨をたっぷりとつけて思いきりよく書けました。「黒」という文字らしく、にじみもありながら、名前と一緒に堂々と書けました。

【寸評】
「黒」と言うイメージをやや淡墨で書き上げています。滲みを生かし、遅速の変化による墨彩の変化など堂々とした書き振りで見事な作になりました。
「つ」
滋賀県  竹内 春奈  15歳

平成22年9月28日

【作品PR】
国語の授業で毛筆にとりくみました。「つ」の字を選んで集中していい表情で書き上げました。

【寸評】
大きく筆を振って伸びやかで艶めいた線になりました。徐々に速度を上げて終筆の渇筆がこの作品に生気を与えています。見事な作品です。
鶏頭
奈良県  住吉 典子  25歳  知的障害

平成22年9月5日

【作品PR】

【寸評】
落ち着いて丁寧に書いており、文字の構成をしっかりと理解して書いている。気持ち良く大きな動きで運筆して作品が大きく見えます。

奈良県  中西 雅則  40歳  肢体不自由

平成22年6月

【作品PR】

【寸評】
アンバランスの妙とも思える形体でこれ以上毀せない限界に挑戦して成功しています。最終画の角度と力強さがこの作品の命です。
天文台
徳島県  鉄野 直子  55歳  肢体不自由

平成22年10月

【作品PR】

【寸評】
毛筆の特性である柔軟性を利用して穏やかで温かい線になりました。送筆もゆったりと落ち着きがあり、作品に春風を感じます。
「毎日がルンルン好きな人がいる」
徳島県  吉田 繁子  79歳

平成22年10月10日

【作品PR】

【寸評】
片仮名の跳ねるような表現にいかにも楽しい気分が表れて何とも言えず楽しい作品になりました。気持ちを先へ先へと追い気脈の通貫性に富んでいます。
瑞色鮮
佐賀県  宮本 久美  67歳

平成22年9月30日

【作品PR】
私は日常紫色が好きです。めでたい色の瑞色が鮮やかであるというこの言葉の様に日々過ごしたいと思って、この作品を選びました。

【寸評】
伸びやかで柔軟性に富んだ線は確かな実力を発揮しています。長い習練を思わせます。気持ちの余裕が作品に広がりを与えています。

熊本県  山本 繁隆  40歳  知的障害

平成22年10月12日

【作品PR】
毎月2回、第二、第三火曜日に書道をしています。同じ文字を書いても1枚1枚すべて違った作品になると指導の先生も大絶賛です。動きのある文字の作品です。

【寸評】
ロデオのように奔馬に立ち上がっているような形体で妙に心惹かれます。日頃馬を見慣れているかのような書き振りで楽しい作品です。
随意
宮崎県  山内 文代  61歳  肢体不自由

平成22年9月28日

【作品PR】
往く者は諌むべからず。(過ぎ去ったことは改めようがない、これからのことなら間に合う。)工夫したこと→右腕がありませんので押さえる文鎮を上下横と三個使って書きました。

【寸評】
左手線と言われる強い横線が自然な流れの内に含まれて適度な緊張感を持った作品となりました。印の位置も考えましょう。

宮崎県  釘元 満彦  51歳

平成22年9月28日

【作品PR】

【寸評】
障害に負けない力強い書き振りが目に入ります。気合いの入った起筆、一気呵成の送筆など見ると「書は心画なり」と言う事がよく分かります。
「納豆」
宮崎県  有馬 圭太朗  12歳

平成22年9月15日

【作品PR】
筆を握った瞬間ひらめいた言葉が「納豆」でした。メモ用紙に漢字で書いたものを見ながらサラサラと書き上げました。「豆」が「豆(中に点が入っている)」となっているのがポイントです。豆らしさが表現されていると思います。

【寸評】
何とも可愛い「豆」でしょう。豆が凝縮された「納」とポッンと落とされた「豆」の点が印象的です。心象の書をもっと広げていきましよう。
くどうなおこ「ふくろうめがね」より
鹿児島県  湯村 美香  32歳  知的障害

平成22年10月5日

【作品PR】
本年度より硬筆をしています。真剣に取り組みました。

【寸評】
硬筆検定の課題でしょうが丁寧にしっかりと書いている。特に平仮名の遅速の変化が自然で伸びやかな見事な線になりました。
公為遊谿詩
沖縄県  宮城 洋子  61歳

平成22年10月10日

【作品PR】

【寸評】
転折の強さは六朝楷書を思わせる緊張感に満ちあふれた作品です。半紙に入るのかと思わせる大きな動きからの布字は日頃の習練の賜物でしょう。

沖縄県  大城 勝一  54歳

平成22年10月13日

【作品PR】

【寸評】
神への祈りを大きな口で述べる原義ですので字意に添った構成が非常に効果的です。障害の中から生まれた書に大きな祈りを感じます。
母へ
仙台市  丹野 久美  47歳

平成22年6月14日

【作品PR】
何十年ぶりに筆を持って、ドキドキしながら書きました。私の母は優しく、頑張り屋で一緒にいるとほっとする存在です。

【寸評】
どっしりと構えて何でも受け止めてくれる母親。乳児期の思い出などが一杯詰まって見える作品です。まさに「母」は太陽のイメージそのままです。

静岡市  須藤 那月  14歳

平成22年7月17日

【作品PR】

【寸評】
緩やかに波打つ海岸の漣。豊饒の海を思い浮かべての作でしょうか。豊かな自然の恵みに感謝する柔らかな送筆に惹かれます。
楽道閑居
浜松市  河島 はつ子  67歳  肢体不自由

平成22年9月24日

【作品PR】

【寸評】
作品作りに手慣れた様子が窺えます。余分な力や贅肉を取り去った直筆の線が深く強い。苦労の末に辿り着いた今を楽しんで書いている姿が窺えます。
向日葵
浜松市  柴田 しのぶ  65歳  肢体不自由

平成22年9月3日

【作品PR】
字の大きさを揃えるのが難しかった。筆の流れと勢いをつける。

【寸評】
両手を差し伸ばし、陽の光を一身に受けている向日葵の姿を自分の言葉で書いている。自作故にリズムも構成も自然で高度な作となりました。