こだま364号 2008年9月号


  目次
視点…1
対都要請行動を終えて…4
原水禁大会 派遣者報告…6
行ってきました 女性部大会に!…8
ミュージックフェスタを終えて…15
この秋 最後のお出かけはこちらへ…17
「別所温泉 日帰りの旅」へどうぞ!…19
ステッキーズだより…20
難聴・補聴器について…23
【連載47】ビブリオネット・モバイルの衝撃…25
情報アラカルト…29
ありがとうコーナー…32
役員会だより…33
日程情報…34
編集後記…37
(目次 終わり)

   視点
 9月は「障害者の雇用強調月間」である。この機会に視覚障害者の雇用・就労の状況を概観し、特に東京都における課題について考えてみたい。
 去る3月24日、厚生労働省は「2006年身体障害者実態調査」を発表した。これによると、在宅身体障害者の総数は348万3千人、この内、視覚障害者は推計で31万人(障害者全体の8.9%)と報告されている。この中の就業状況をみてみると、仕事についている視覚障害者は21.4%と、およそ5人に1人しかいない。その内訳は、あはき師29.6%、専門的技術的職業11.1%、農林業8.6%、事務7.4%と続いている。
 一方、平成19年度のハローワークにおける職業紹介状況もこのほど明らかとなった。これによると、昨年1年間で1820人の視覚障害者がハローワークの紹介によって就職している。この内、主な求職先をみてみると、あはき関係が827人(45.4%)と全体の半数近くを占めている。
 その内訳は、医療機関が225人、施術院が471人、ヘルスキーパーが94人、機能訓練指導員が31人などとなっている。他の職種では、事務的職業が277人、サービスの職業が84人、生産工程労務の職業が337人などが多かった。
 ところで、東京都では障害者を対象とした別枠採用制度が1981年度から実施されている。このV類の職員採用試験において、点字による受験がいまだに認められていない。その理由としては、「V類の仕事は表計算など数的処理が主な業務なので活字資料が読めない視覚障害者は無理」というものである。私たちは毎年実施している夏季要請行動の中で点字試験の実施を要望しているが、都側のかたくなな態度は変化の兆しが見いだせない。そもそもの考え方として、仕事に障害者を合わせるのでなく、障害者に仕事を合わせるという発想が今こそ必要ではないだろうか。
 おりしも高知県では、視覚障害者らの要望が実り、身体障害者を対象とした職員採用試験の点字試験と受験年齢の条件を29歳から34歳に引き上げることが決まった。県人事委員会は、11月試験実施のための135万円の補正を組んだという。また、点字の苦手な中途視覚障害者のために京都府ではテープ、大阪府ではパソコンの併用が今年から職員採用試験で認められたという。これらのニュースを聞くにつけ、長期にわたって受験の機会を奪っている都側の人権感覚に疑問を感ぜざるをえない。
 前述したように、視覚障害者の多くは、あはき関係の仕事に従事している。そこで東京都におけるV類の点字試験の実施にあたっては、あはき関係 とりわけ、あんまマッサージ指圧を活用した職場をまず念頭においてはどうだろうか。その具体例はお隣の神奈川県にある。都側の積極的な検討を期待したい。
       編集委員  田中 章治
 ☆ 先月号の「視点」のタイトルについて、「鍼灸に思う」とありましたが、正しくは「はり 灸に思う」の誤りでした。執筆していただいた佐野昭典さんには多大なご迷惑をおかけしました。お詫びして訂正いたします。

   対都要請行動を終えて
       事務局長  織田津友子
 会員から出された要求に基づき、今年も7月28日の総務局・人事委員会を皮切りに、対都要請行動を行いました。視覚障害者の就労、障害者会館の改善と充実、選挙制度と広報の改善、駅ホームの可動柵設置をはじめ、音響式信号や点字ブロック・エスコートゾーン敷設等々の要求を出し合い、その実現を求めました。
 今回の要請でも、都の職員の人事異動に伴う引継ぎがきちんとされていないため、私たちの要求が理解されていないというお粗末な場面を何度となく繰り返していました。「財政難で実現は困難」視覚障害者の実情を全く わかっていない、バリアフリーというのは、段差を解消することしか考えていないと、感想を述べた人がいました。都が打ち出している「障害者の3万人就労」が、23区に就労支援センターを設置し、働く場の新規確保にも力を入れているということが、お題目にならないことを願うばかりです。そんな中で点字ブロックの敷設では、いくつか成果がありました。また、美術館の「施設案内点字版」が新しく作られるそうです。
 今回は、要請行動終了後に、参加者から感想を聞きました。大半は、「石原都政ではだめだ」「次回までに調査や検討をしてほしい」と言っても何もしないと怒りの声が聞かれました。参加者は、毎回10数名で、「しんぶん赤旗」が報道しました。
 皆さん、ご協力ありがとうございました。

   原水禁大会に送り出していただき、ありがとうございました
        南部  野島 潔
 8月4日から6日の「原水禁2008年世界大会 広島」は、「原爆許すまじ」の大合唱で幕を閉じましたが、その開会集会で、国民平和大行進東京コースの通し行進者2名が紹介されました。思えば、50周年のスタートとなった5月6日からたったの二日間ではありましたが、私も通し行進者と共に一緒に歩き、この広島の地でその人たちと再会できたことで、90日間全てを共に歩いてきたような気持ちになり、平和への連帯感を強くすることができました。
 これが原水禁世界大会に初めて参加した、私の全視協代表としての感想ですが、分科会の休憩時などに平和記念公園を散策し、爆心地に生き残った「青桐の木」の話や70年は草木も生えないだろうと言われたのに翌年の夏には花を咲かせた夾竹桃(きょうちくとう)の真っ赤な花を触り、「栗原貞子の像」の千羽鶴の由来を紙芝居で聞いたりして、平和の文化にもちょっぴり触れてきたというのが、私的な感想です。

   行ってきました 女性部大会に!
        女性部  西原 和子
 やっとコンサートの時間がやって来た! 私はこの企画を楽しみに参加したようなもの。松本真理子さんのマリンバを中心に、ピアノ・ドラム・トランペットが加わったコンサートは、想像以上にすばらしいものでした。選曲よし! 爆笑トークあり、参加者を巻き込んでの歌や演奏は本当に楽しかった!
 報告はこれで終わりと言いたいのですが、会議にも出ましたので、もう少しお付き合い下さい。
 22日の代表者会議では、2年間の活動のまとめと今後2年間の活動方針について討議しました。そこで感じたのは、全国で一番バランス良く活動しているのは福岡ではないかなあと思いました。
 方針の中で、20年ほど前に作った点字の母子手帳の活用状況を調査することが決定しておりますので、その節は皆さん、ご協力お願いします。
 23、24日の第15回全視協女性部大会は、120名の参加でした。東視協からは女性8名、男性1名で参加しました。
 23日の全体会では、様々な意見が出された中で、「公文書の処理はどうしているか、公的制度はあるのか」という質問が出て、東京都の文字サービスの制度と、三鷹市の読み書き訪問サービスの制度を紹介してきました。
 24日の午前中は、6つの分科会に分かれて学習。私は平和の分科会に出ました。この分科会では、椎葉寅生(とらお)さんの講演を聞きました。椎葉さんは厚木の米軍機の墜落で「パパ、ママ、バイバイ」と言って死んでいった子供たちと同じ地域に住んでいたそうです。講師自身、奥様が被害に遭われ、そのときの状況、裁判のこと、国やアメリカの取った行動など話していただきました。参加者誰もが「本当に国は私たちを守ってくれるのかな?」と思ったのではないでしょうか。
 午後は記念講演。「東大寺創建の志を後世に伝えていく意義」という演題で、狭川普文(ふもん)氏にお話していただきました。東大寺にはあまり興味のない私も、吉本興業から派遣されてきた人みたいに笑わせながら話されたので退屈しませんでした。
 やっと終って帰れると思ったら、豪雨で新幹線のダイヤが乱れているという知らせ。何度か係員とのやりとりはありましたが、予定より2時間位の遅れで、皆、無事帰り着いたようです。皆さん、お疲れ様でした。
 次回の大会は福岡です。部長から決意の言葉があり「若い人とベテランとのコラボレーションでがんばります。」 素晴らしい!! これからずーっと福岡でやってくれないかなあ!
   ・・・・・・・・・・・
   女性部大会 感想
 内田邦子さん:女性部大会は2年に1度、ほぼ参加していますが、おなじみの全国の仲間とお会いできて懐かしいやら、奈良の実行委員のがんばりで「たそがれコンサート(マリンバ)」、東大寺庶務執事の「東大寺にまつわる話」など聞くことができ、参加して良かったと思いました。また、分科会では、雇用・就労の分科会に参加しましたが、憲法に照らして私たち障害者の働く権利を学ぶことができました。
 帰途は、雨の影響で新幹線で夜明かしをしました。こんなことはめったに体験できないことだと慰めて始発電車で帰ってきました。

 織田津友子さん:女性部奈良大会の思い出三つ。東大寺の大仏さまは1260年前に作られたのですが、今なお 受け継がれているというのは、当時の技術がすごいものだと感心しました。マリンバ演奏とお話が楽しくすばらしく、幸せになりました。帰りの新幹線が大雨のため、2時間くらい遅れて東京駅に到着、もうちょっとで特急券の払い戻しがされたかもしれないなあ!

 神作悦穂さん:私は今回初参加でした。どんなことをするのかと思って緊張していましたが、自立支援法の問題点、就労状況、ヘルパー利用状況など全国の皆さんと情報交換できて良い勉強になりました。また食事がおいしくて良かったです。そして現地のボランティアさんたちのあたたかさに感動しました。でも帰りに旅行ができなくて残念でした。ぜひまた、このような大会に参加したいです。皆さん、お世話になりありがとうございました。

 杉田直枝さん:今回は、観光なしの1泊大会参加でしたが、充実した内容で、満足して帰ってきました。 まずは、大会セレモニーの後の全体会。日頃困っている問題に時間を取り、たくさんの発言がありました。そして夕食もそこそこにたそがれコンサート、開けてびっくり!! 演奏者の営業向きではない大サービス。乗りに乗ってしまいました。楽器も触らせていただき、大いに楽しみました。翌日の分科会。「気軽に参加体操」も、私にとって本当に楽しく、気軽に参加できました。食事についても、3食とも気遣いのある内容でうれしかった。行く前は、観光がないので後ろ向きな気持ちで参加しましたが、帰りはルンルン気分。満足、満足の大会参加でした。

 滝沢由紀子さん:初めて女性部大会に参加しました。開会セレモニーでは地元の民話を聞いたり、全体集会ではヘルパー利用についての活発な意見交換がなされました。夜はマリンバの演奏を聴き、楽しいひと時を過ごしました。
 女性の労働分科会に参加しましたが、やはり世の中はまだまだ男性社会であること、女性が男性と同じように働くには大変だなあと感じました。有意義な大会でした。

 中西陽子さん:みんなとても旅慣れているなあと感じました。いろんなところに出てくると勉強になることがたくさんあるなあと思います。

 野島潔さん:「どうせやるならでっかいことやれ、奈良の大仏、ヘで飛ばせ」と、気を入れて初めての女性部大会に参加してきました。そこで驚いたことは、15回の歴史上 初めて保育を受ける幼児がいなかったことを耳にした時と、大会宣言に「母性保護」の文字がなかったことでした。少子化とうわべだけの男女機会均等の影響がここにも忍び寄っていることを感じました。でっかいことは何もできませんでした。

 平井 久子さん:全体会での各地の取組みやいろいろな意見を聞いて大変勉強になりました。気軽に参加の体操がとても良かった。

   ミュージックフェスタを終えて
        実行委員長  小板橋靖彦
 3部構成で行われたミュージックフェスタは、オカリナの演奏から、取りをお願いしたグッドニュースジャズトリオまで、楽器演奏・カラオケ・生オケ・弾き語りなど、様々な楽曲が散りばめられた中で、みんながリラックスした楽しい時間を過ごせた集いであったと思います。
 オカリナの演奏とコーラスは、ほのぼの癒されるものでしたし、ジャズトリオは、みんなの気分を高揚させ、場内 大いに盛り上がりましたね。そして、その間を埋めたのが、カラオケなどでしたが、セレナーデを原語で歌う方あり、ピアノで弾き語りをされる方あり、アドリブのセリフを入れて歌う方あり、また、珍しく聴いたベテラン会員の方の歌など、多彩な中身であったと思います。
 今回、カラオケの音源の確保と、参加者の確保がカギになりましたが、頼りになる実行委員と各支部の方々のがんばりなどのお陰で、49名という大勢の会の内外からの参加者があって、盛大に開催できたことを嬉しく思っています。
 これからも、色々な企画の中で、会とその外側の方々との交流の輪が拡げられればと思います。皆さん、ご協力ありがとうございました。

   この秋 最後のお出かけはこちらへ
     ― 東視協1泊旅行のご案内 ―
 今年度は西部支部の小板橋観光が加藤厚実の添乗のもとに自信をもって皆さまをご案内します。
 今回は、水戸黄門でおなじみの常陸路(ひたちじ)を訪ね、晩秋の香りを求めて旅します。
 海の幸を存分に味わった後で暮れから正月に備えて新鮮な海産物をたっぷり仕入れてまいりましょう。
 会員はもとより、関係者、並びに、入会対象者のご参加をお待ちしております。

   〈主な日程〉
11月29(土)〜30(日)
 1日目:集合、出発(9時30分、都障害者福祉会館前)
  常磐道 ― つくばエキスポランド見学と昼食(11時〜13時)
  霞ヶ浦ふれあいランド散策(14時30分〜15時15分)
  宿舎着(16時)
 2日目:宿舎発(9時30分)
  納豆博物館見学(10時〜11時)
  森田水産大洗店で昼食(12時〜13時) ― 移動
  森田水産で買い物(13時30分〜14時30分)
  帰路 出発地で解散(17時)
 宿舎:茨城県鉾田市「いこいの村 涸沼(ひぬま)」
 電話:0291−37−1181
 参加費:1万5千円(1泊4食)
 申込み:10月末日までに各支部長まで。
 定員:30名予定

   「別所温泉日帰りの旅」へどうぞ!
 南部支部では、楽しさ満載の日帰り温泉旅行を企画しました。秋の1日を、小田急本厚木からバスに乗り、宮ヶ瀬ダムの近くで自然たっぷりの温泉に浸かり、日ごろの疲れを癒しましょう。たくさんのご参加をお待ちしています。
 旅行日:10月18日(土)
 行き先:神奈川県清川村「ふれあいセンター 別所の湯」
 会費:2000円程度(交通費・入浴代・部屋代など)
 待ち合わせ:JR 新宿駅 西口改札を出た左側9時(同駅18時解散予定)
 問い合わせ:下奥(電話 3715−4518 夜間のみ)

   ステッキーズだより
         南部  田中 禎一
 ファーストコンサートから、はや1年がたち、あのコンサートを聴いた人やテープ雑誌「ホームライフ」で紹介されたことでコンサート後に新しい団員を迎え、現在16人になりました。
 では、これから年末までの活動をご紹介します。
 9月20日(土曜)には、麻布区民センターで午後5時半から、みなとピースサンデー。今年は日本のうたごえ60周年プレ企画として例年の「港区合唱交流会」を兼ねています。ステッキーズは「合唱交流会」で「さくら」と「花をおくろう」を歌います。(チラシ同封)
 10月4日には、横浜開港記念会館で全視協の文化の集いの音楽会に参加し、全国の視覚障害をもつ音楽仲間と交流するのを楽しみにしています。
 11月22〜24日には、60周年記念 日本のうたごえ祭典が東京で開かれます。今年は障害者のステージがないのでまとまっての参加はむずかしいのですが、参加できるステージに出たり、祭典成功のために港区実行委員会を通して協力しています。特に24日(休日)は有明コロシアムで大音楽会が開かれますので、皆さんもぜひ参加してください。
 年末恒例のうたごえ喫茶は、今年は12月20日(土)の予定です。

   『みなとピースサンデー 2008』
日時:2008年9月20日(土) 17時開場、17時30分開演
会場:港区麻布区民センター(地下鉄 日比谷線・大江戸線「六本木」徒歩8分、
    地下鉄大江戸線・南北線「麻布十番」徒歩10分)
参加費:一般 1500円、小・中学生 500円(障害者割引はないがガイドヘルパーは無料)
 日本のうたごえ運動60周年記念 2008年日本のうたごえ祭典in東京(11月22、23、24日)参加プレ企画
   ― プログラム ―
第1部 港合唱交流発表会
 港合唱団、みなと新婦人コスモスコーラス、東視協ステッキーズ、港湾合唱団 他
第2部 バンド、アンサンブル
 プログラムゼット、劇団トゥモロー、新婦人わくわく班 他
第3部 スペシャル企画 うたごえ誕生60年
 愛唱歌15曲で綴る音楽舞台構成。乞うご期待。
主催:2008年日本のうたごえ祭典 東京 港実行委員会
連絡先:東視協の皆さんはステッキーズ 田中まで。

   難聴・補聴器について
       西部  橋本 宗明
 (1)8月24日(日)、国立(くにたち)にある多摩障害者スポーツセンターの集会室で、表記内容の勉強会がありました。講師は耳鼻科の医師で、国立聴言センターの責任者をしている田中美郷(よしさと)先生でした。私は中等度の難聴なので関心があり、喜んで参加しました。
 (2)私がわかったことはおよそ次のようなことでした。
 音を脳ミソで聞き取り、理解するには大きく二つの段階があるそうです。鼓膜の奥の小さな骨で音を内耳にまでつなげる部分の障害を「伝音障害」といい、補聴器の効果のあるところはここまでだそうです。その奥、電気信号を含め脳ミソに伝えるところの障害を「感音障害」といって、ここは補聴器の効かないところだそうです。そして、「音は聞こえるけれど意味がはっきり聞き取れない」というのはこの「感音障害」のところだそうです。ここに有効な補聴器はないそうです。ですから意味が聞き取りにくい(わかりにくい)ときは、補聴器の音をいくら大きくしてもだめなようです。
 (3)補聴器の音を大きくすれば余計な音も大きくなるし、つまるところ聞こえやすくなる訳ではないです。私は「骨伝道」の補聴器について関心がありましたが、これも「伝音障害」の部分へのものであり、既存のものと大きく異なるものではなさそうです。また、補聴器は値段の高いデジタル製品を勧めますが、基本的にはこれまでのアナログと同じものです。(高いから良く聞こえるということはないようです)。
 要するに、補聴器はないよりはましだけれど大きな期待は持てません。
 視覚障害者の教養講座では初めて取り上げられたテーマでした。

   【連載47】ビブリオネット・モバイルの衝撃
         北部  長谷川貞夫
 去る8月から、ビブリオネット(日本点字図書館・日本ライトハウス)が、NTTドコモ FOMA(フォーマ)のらくらくホン X(5)」、「らくらくホン・プレミアム」でビブリオネットの図書を携帯電話で読めるようにした。
 携帯電話はどこへでも持ち歩けるのだから、これは視覚障害者の読書において衝撃的なことである。現在の段階において、とにかく約1万1千冊の本と最新の雑誌の中から好きな本を携帯電話で読むことができるのだ。私は8月の初めからこれまでに十何冊もの本を読んでいる。まさに、これは視覚障害者にとっての読書革命である。ビブリオネット・モバイルの関係者にこの上ない賛辞を送りたい。
 以下、ここに視覚障害者の読書の歴史において私の知るところの重要なポイントを記させてもらう。
 ルイ・ブライユによる1825年の点字の発明は、その視覚障害者に文字という大きな福音をもたらした。文字であるから、その図書を集めた点字図書館が外国に生まれた。日本でもそれにならって点字図書館ができた。
 ところが、声を記録できる録音技術がその後に生まれたが、レコードとして普及したものは、自分で録音することはできなかった。アメリカには、このLPレコードによる視覚障害者用図書はあったが、高価であり、戦後の貧困の日本で到底真似することはできなかった。
 レコードの後で、自分で録音し自由にその場で再生できる録音盤や録音テープの技術を、放送局が実用した。しかし、その技術で、視覚障害者の本にすることは考える人はいなかった。
 私は、昭和31年に放送局の使用済みや編集作業で不要となった録音テープを利用して、高額の費用をかけないで視覚障害者用図書を作ることを考えた。そして、それを日本点字図書館で新たに録音図書として備えることを提案した。しかし、この提案が受け入れられなかったので、中央区銀座4丁目にあった教文館ビル5階の国際キリスト教奉仕団がこれを採用してくれた。これが日本における録音資料による視覚障害者のための図書館の最初である。外国の情報によって作ったものでないから、これが世界で最初の録音テープによる図書館かもしれない。
 昭和32年に、附属盲学校の寄宿舎で、この図書館の録音図書で読書会を開いているところを本間一夫先生が見学に来られ、録音図書の素晴らしさをご認識なさったようである。その後に日本点字図書館で録音図書を備えることに真剣にとりかかった、その資料を私は拝見している。その効果があって、やがて日本点字図書館も録音テープを備えるようになり、録音図書を昭和36年6月15日以後に本格的に貸し出すようになったことが史実である。細かいことは省略するが、全国の視覚障害者情報提供施設と呼ばれるようになった点字図書館もこれに倣って今日に至っている。ビブリオネット・モバイルは、この延長線上にあるものである。今後の更なる展開を期待する。

   情報アラカルト
 1.チャリティーコンサート
 視覚障害児のための雪国教室支援 第7回ゆきんこチャリティーコンサート「全盲のバイオリニスト 穴澤 雄介(あなざわ ゆうすけ)と共に」
 日時:2008年10月4日(土) 開場1時半、開演2時
 場所:竹の塚 区民ホール 東武伊勢崎線竹の塚駅よりおおむね徒歩10分
 予定曲目:「いつか 王子様が」「テキーラ」「この星を歩こう」ほか
 入場料:一般 2000円、小中高生 1000円、障害者割引あり。
 ☆ コンサートに来られない方も、ぜひ募金にご協力下さい。
 主催:ゆきんこチャリティーコンサート実行委員会
 後援:視覚障害児のための雪国教室実行委員会・全国視覚障害児者 親の会東京支部・足立区教育委員会

 2.物品販売にご協力を!
 2009年6月12〜14日に、石川県金沢市で、第29回全視協大会が行われます。大会成功のために物品販売がスタートしており、協力してほしいと全国委員会で呼びかけがありました。協力していただける方は、事務所まで商品名をお知らせ下さい。

  〈物品内容〉
 A 能登輪島 朝市3点セット(500セット限定) ― 舳倉島(へぶらじま)産 干しメカブ、おつまみ昆布、梅ちりめんふりかけ(50グラムずつ) 1,500円
 B 能登輪島 朝市 ふりかけ3種パック ― 梅じそワカメ、イカ昆布、海苔タラ(70グラムずつ) 1,200円
 梅じそワカメには丸形シールを1つ、イカ昆布には2つ、袋の左上に貼り付けてあります。
 C 無添加 手作り岩のりの佃煮(180グラム) 800円
 ご注文は事務所 03−6410−7118 まで。

   ありがとうコーナー (省略)

   役員会だより
 1. 3つのカンパの取り組みに、ご協力ありがとうございました
 (1)全視協事務所のプリンタ購入のための取組みにたくさんのご寄付、ありがとうございました。集まった金額は27万4,400円です。プリンタカンパ、東視協活動に役立てていきたいと思います。
 (2)障都連夏季募金は3万5千円集まり、障都連の方にお渡ししました。
 (3)原水禁派遣カンパ 1万5,882円集まり、全国委員会の時に会計に渡しました。

 2.文化の集いの待ち合わせについて
 10月4日(土)、12時にJR 渋谷駅南口 改札 外 集合です。一緒に行かれる方は、こちらにおいで下さい。また、参加された方は、感想を点字で5行、活字で100字以内で、こだま編集委員の織田洋さんにメールか、点字のメモでお願いいたします。

   日程情報
9/16(火) 都議会厚生委員会傍聴(特マ陳情書について)
9/17(水) 障館相談・鈴木 彰
9/18(木) 都議会開会日行動
  同     こだま9月号活字版発行
9/20(土) 事務局作業
9/21(日) 東視協役員会
9/22(月) かーなづーちレッスン
9/23(火) 事務局会議
9/24(水) 障館相談・栗山 健
9/25(木) 事務局作業
  同     まちづくり委員会
9/27(土) 事務局作業
  同     組織委員会
9/28(日) 女性部例会
  同     教養講座
9/30(火) 事務局会議
10/1(水) 障館相談・織田津友子
  同     障都連三役会議
10/2(木) 事務局作業
  同     こだま編集委員会
10/3(金) 雇用をすすめる会
10/4・5(土・日) 全視協文化の集い
10/6(月) 点民編集委員会
10/7(火) 事務局会議
10/8(水) 障館相談・山城完治
10/9(木) 事務局作業
10/11(土) こだま10月号点字版発行
  同     北部支部例会
10/12(日) 西部支部例会
  同     東部支部 東京駅点検行動と例会
10/13(月) 全視協情報問題会議(予定)
10/14(火) 鉄道の日交渉
  同     事務局会議
10/15(水) 障館相談・鈴木 彰
10/16(木) こだま10月号活字版発行
10/18(土) 南部支部 日帰り旅行
  同     事務局作業
  同     ステッキーズレッスン
  同     青学部例会
10/19(日) 東視協役員会

   編集後記
 少し、朝夕が涼しくなりましたが、皆さん、いかがお過ごしですか。
 女性部大会に出かけた皆さん、集中豪雨で大変な目にあったようですね。これも思い出のひとコマ、新たな活動につなげてがんばってください。
 事務局から、今年も点墨名簿をつくりたいとのことです。昨年の名簿をみて、まちがっているところなどありましたら事務所にご連絡ください。また、メールアドレスなどを変えた方も一緒にお知らせください。
 東視協も9月のタンデム車に始まり、神奈川での文化の集い、南部の温泉 日帰り旅行、毎年恒例の東視協1泊旅行と目白押しの行事が満載です。一つでも多くの行事に参加をし、会員同士の交流を深めてください。次号をお楽しみに。

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