こだま 2005年 1月号 (320号)


    もくじ
視点・・・・・・・・・・・・・・ 1
新年のご挨拶・・・・・・・・・・ 5
「2005年・酉年」・・・・・・  8
ホップ・ステップ・ジャンプ!!・・・・・・・・・・・・・ 10
第38回都民集会へのお誘い・・ 12
新島旅行へのお誘い・・・・・・ 13
歌声喫茶に感動!・・・・・・・ 14
教養講座に参加して・・・・・・ 15
(連載16)「やはり欲しかった
 点字ラインプリンター」・・・  19
情報アラカルト・・・・・・・・ 27
ありがとうコーナー・・・・・・ 29
事務局だより・・・・・・・・・ 30
日程情報・・・・・・・・・・・ 31
編集後記・・・・・・・・・・・ 34

   視 点
 2005年が始まった。今年1年と東視協運動について考えてみたい。
 課題の第一は安全な歩行・移動の推進だ。交通バリアフリー法は、今年見直される。
そのことは、昨年11月の国土交通省要請でも確認された。駅ホームへの可動式ホー
ム柵設置をはじめ、視覚障害者の安全な歩行・移動のための施策を交通バリアフリー
法に位置づけさせる運動は大切であり、チャンスとして運動に取り組まなければなら
ない。2月1日の「駅ホーム転落事故ゼロの日」行動を契機にその具体化に取り組み
たい。
 課題の第二は、ヒューマンアシスタント制度の年限延長の問題だ。要求の当事者内
田邦子さんが今年10年の年限となるからだ。10年勤務したからといって内田さん
が見えるようになるわけではない。なのに職場介助者の雇用への補助制度は一方的に
切られてしまうのだ。国会などへの署名に取り組むなど実態を見ない現状を改めよう
ではないか。
 課題の第三は、将来像委員会が取り組んでいる協同治療院を前進させることだ。視
覚障害者の就労支援を当事者である私達が主体的に進める運動の第一歩となるように
したいと考えている。
 第四は、4種・3種郵便を守る運動だ。郵政民営化問題は、自民党内の合意の問題
としてしかマスコミは取り上げない。4種・3種郵便は、視覚障害者の選択的な情
報入手と発信の基盤だ。何としても守らなければならない。
 第五は、夏に行われる都議会議員選挙を要求実現のチャンスにする運動だ。
予算不足で都立中央図書館の対面朗読が実施できない状況の改善、大江戸線への可動
式ホーム柵の設置・・・など私達の要求を各党の公約に押し挙げ、要求に応える勢力
が前進するよう取り組みたい。
 第六は、小泉内閣の進める障害者福祉のかつてない切り捨てを跳ね返す運動だ。グ
ランドデザインといわれる厚生労働省案の柱は、福祉サービスへの費用負担の仕組み
を、現行の所得に応じて支払うやり方から、サービスを受ける毎に支払うやり方にする
としている。就業する視覚障害者が23.9%(厚生労働省推計)の現状から考える
と、受けたくても我慢せざるを得なくなる。使わなくなれば制度は滅びる。これが国の
ねらいだ。総ての障害者との協同が求められる。
 最後は平和憲法を護る運動への連帯だ。自民党・公明党・民主党の憲法改悪への動
きは激しさを増している。平和9条をなきものにすることである。有事法制の発動の
妨げだからである。障害者の平等、社会参加、人権を守り進める土台に平和な社会が
あることは余りにも明らかである。可動式ホーム柵は、線路への転落を確実に防ぐ。同じように憲法9条は、戦争への道への転落を防いでいるのではないだろうか。
 課題は沢山、必要な力を注がなければならない。そのためにはエネルギーが、喜び
が、仲間が必要だ。目標を見据えて歩んで行きたい。
                              (編集委員会)
  新年のご挨拶 
          会長 鈴木 彰
 会員の皆様、そして『こだま』読者の皆様、2005年明けましておめでとうござ
います。皆様、それぞれ思い新たに新年をお迎えになられたことと思います。
 昨年を振り返って見ますと色々な出来事が多く、心痛む1年であったと思います。
そんな中で、東視協としては街づくり運動に大いに奮闘した年でありました。また、
会員の橋本宗明さんが「点字毎日文化賞」を受賞されました。橋本さんの永い間の障
害者運動の功績を評価されての受賞で、東視協にとっても本当にうれしいことであり、
改めてお祝いを申し上げます。
 さて、今年も私達を取り巻く情勢は厳しいものになりそうです。障害者福祉の根幹
をなす「グランドデザイン」なるものが打ち出され、福祉の有料化を目論んでいます。
また、郵政民営化により「盲人用郵便物」の有料化もたくまれようとしています。障害者の社会参加どころか、生きていくことさえ否定するような政策が次々と出されています。
 平和の問題では、憲法改正を自・公・民の各党が公然と口にし始めました。
イラクの海外派兵にとどまらず、この憲法改正により9条をなくし、アメリカに一層
近づこうとしています。私達は福祉と戦争は相対するものだと思っています。戦争を
なくすことこそ私達の生きる社会ができるのだと考えています。
 今年も、東視協が関わる行事が沢山あります。2月11日(金)の都民集会、5月
29日の第39回東視協総会、秋には、全視協福岡大会も10月8〜10日(土・月)
に開かれます。会員を増やし、要求実現のために活動し、ブロックや組織を大きく、
そして活発な活動を行う絶好の機会です。厳しい厳しいといっても仕方が有りません。
それらを跳ね返すため、この三つの集会を皆様の力で成功させましょう。
 7月始めに都議会議員選挙があります。私達の要求を実現するために、障害者の立
場に立って都政を任せられる候補者に当選して頂き、私達の要求を実現していきまし
ょう。そのために、それぞれができることを工夫して、沢山の候補者を当選させまし
ょう。
 今年も大変厳しい1年になるかも知れません。しかし、一人だけの努力で私達の幸
せを求めることは困難です。一人一人が東視協に結集してみんなの力を合わせて要求
を実現するために大いに活動を、そして親睦を図りましょう。

 「2005年・酉年」 
 今年の酉は乙酉(きのととり)で、十二支の第10番目、方角は西を示し、昔の時
刻の名として用いられ、今の午後6時頃。また、その前後の2時間のことで、暮れ六
つともいわれ、酉年生まれの人は世話好きで交際範囲も広く、情報に敏感で、時代を
先取りする能力に優れているそうです。それでは恒例の年男・年女の皆さんのご紹介
です。

  (北部 阿部正文)
 私的なことでいえば、来年あたり都営住宅の建て替えで引っ越しをしなければなら
ないのでそれに向けて準備を始めることと、趣味の和太鼓やハムを楽しむことです。
仕事の関係ではとりあえず10月の任期切れまで全視協総務局長を勤め上げることです。
 私は赤字を背負って総務局長に就任しました。みなさんのご協力で事業活動の成果
があがりつつありますが、まだまだです。土佐文旦をはじめ、りんご・とうきび・里
芋など、今年もいろいろとご紹介しますので、ご協力をお願いします。あと、会員と
「点字民報」読者の拡大は財政面だけでなく、いろいろな意味で会の力になりますの
で、周囲の方にひろめてくださいね。今年も宜しく。

  (南部 田中章治) 抱負
 酉は「こけこっこ」と鳴き、「ぱたぱたぱた」と羽ばたきます。小泉内閣の悪政と
石原都政の福祉切り捨ては、我慢ができません。酉のように元気にこれを跳ね返して
行きましょう。今年は一つ一つの事柄を確実に片づけるように心がけたいと思います。

  ホップ・ステップ・ジャンプ!!
                        北部 織田津友子
 新年の初の東視協全体行事は、恒例の「新年の集い」です。今年は北部ブロックが企
画・準備、来賓とボランティアを含めて44名の参加でした。

 今回は春に咲く可愛い花の「スイートピー」「すみれ」「たんぽぽ」「チューリッ
プ」の4グループにしました。来賓からは「地震や災害に対するプランを早急にたて
る必要がある」「福祉をどんどん切り捨てる石原都政を決して許すことはできない」
などご挨拶を頂きました。参加者の自己紹介を挟みながら、オカリナやピアノの演奏、
独唱、ショート落語、ビンゴゲーム、東視協・全視協に関するクイズの出題で盛り上
がりました。ここでは今回初参加だった3名の方の感想を記します。
 神作悦穂さん:とても楽しかった、中でもクイズは東視協を知るのに大変役立つも
のでした。初対面の人がほとんどでしたが、田中禎一先生に会えて、これから音楽のこ
とを話したり、一緒に演奏したりしていけたらと思います。とても感動したので来年
も参加したいです。
 萱野トシ子さん:視力が落ちて理屈では分かっていましたが、始めて参加して「違
う世界をを見ているようでした。でもとても楽しかったです。」
 日野レイ子さん:色々な悩み事で落ち込んでいましたが、杉田さんや小原さんから
誘われて参加して良かったです。
 少し元気になったかなあ?
 最後に「たんぽぽ」と「命の輝き」を全員合唱して、今年も頑張ろうと確認しあい
ました。

   第38回都民集会へのお誘い
 今年も恒例の都民集会が下記の要領で開催されます。多くの皆さんの参加をお待ち
しています。憲法の問題やグランドデザインの問題など私達の運動に重要な課題を提
起しています。
 当日参加できる方は事務局まで一報下さい。
 日時:2005年2月11日(金)午前10〜17時
 場所:都立障害者福祉会館
 記念講演:『憲法と平和を護る」(講師早乙女勝元氏)
 分科会:              
@「グランドデザイン」について 
A教育(「特別支援教育」・放課後問題)
B街づくり(ユニバーサルデザイン)
C就労
D権利(国連障害者の権利条約、参政権など)
 参加費:資料代1500円

  新島旅行へのお誘い
                       西部 栗山 健
 新島は東京から163キロ、南北に細長い、車で一周1時間30分の小さな島です。
世界のサーファーが集う美しいリアス式海岸、新島特産の抗火石・もやい彫像(もや
いとは力を合わせるの意味)、新島の歴史・文化を伝える博物館、白い砂を使ったユニ
ークな温泉などが楽しめ、民宿「浜庄」の主人・現役の釣り師が採る新鮮な魚介が味
わえます。
 往きは夜行船、帰りは大島からジェット船、観光はマイクロバスです。ご一緒に楽
しみましょう
      ー記ー
 日にち:3月4日(金)から6日(日)
 参加費:2万3千円
 参加申込み締め切り:1月29日(土)
 参加申込み:小板橋靖彦(рO422−55−6537)
 ★参加は個人またはブロックでまとめて申し込んで下さい。
 
  歌声喫茶に感動!
                       西部 中丸忠次
 毎年、歌声を楽しみにしています。私は、4回くらいは出席しております。
滝さんの的確な曲紹介・合唱団のお姉さまの軽妙な司会。
 「ステッキーズ」のすってきーな演奏、心づくしの手料理、どれを取っても心温ま
る楽しい時間、空間です。アルコールも適当に入ってなかなか至福状態に何度もなっ
てしまう私なのであります。
色々想い出はありますが、今は亡き生熊さんの、アコーディオンの演奏と「長崎の鐘」
の歌声が今でも心に残っています。
これからも、年末恒例になってきているこの小さな歌の祭典を大切に灯しつづけてい
けたらなあと言う気持ちと皆さんも是非ご参加して頂きたいと思ってやみません。

  

  教養講座に参加して
                       南部 下奥重望
 12月の教養講座は「視覚重複障害者の就労と日中活動」というテーマで知的障害
者通所授産施設むつぼしの施設長・纐纈(こうけつ)建史さんに講演して頂きました。
同施設は、1989年、千葉盲学校の重複障害者を持つ親御さん達が「むつぼし会」
を結成し、96年春、「小規模作業所むつぼし」(無認可作業所)を同市に開所、翌
年には、作業所に隣接して、「むつぼし生活ホーム」を開所。更に、2003年春「知
的障害者授産施設むつぼし」を開所致しました。最初は、視覚重複障害者6名が利用
して、農業を中心に行っておりましたが、最近では、新たにパン・ケーキ工房やさお
り織りなどの仕事をしているそうです。
 施設を利用して変わった点としては、@生活リズムがついたこと。A友達や仲間が
できたこと。B外出する機会が増え、社会との繋がりが持てるようになったこと、な
どが挙げられておりました。利用者が楽しみにしていることは、作業所に通所するこ
と、買い物、音楽を聞いたりしながら過ごすことなどだそうです。
この点は、私達単一の視覚障害者も共通する点ではないかと感じました。
 重複障害者ゆえに悩みを抱えている点としては、生活面では、入浴・排泄の介助、
移動や外出の難しさ、パニックに陥った時の対応が、地域生活面では親戚や近所との
関係で気を使う、地域活動に自由に参加できない、本人の意思表示が非常に難しいの
で、何か助けを求めたくても求められない、といった問題があがっておりました。その
他、介護者90%が母親に負担がかかっておりますので、万一母親が病気になった場
合の生活面、逆に家族が病気になった場合の対応、更に(深刻な話ですが)親なき後
の生活の心配など、数え切れないほどの問題・課題があるとのことでした。
 法定施設になりましても、法で定めた基準よりも職員を過配して利用者にサービス
提供しているそうですが、障害の重い人達と接する職員は、毎日想像を絶する程神経
をすり減らしながら処遇にあたっているのではないかと感じました。
 私達は、つい自分の障害の程度が重いと考えてしまいがちです。障害の種類や程度
によって一概に物差しで測ることはできませんが、(私を含め)この講座を機会に、
改めて自分たちより重い人達の実状について考えて頂けたらと思います。

〔連載16〕           
  「やはり欲しかった点字ラインプリンター」
                         北部 長谷川貞雄
 前号において、点字カセットシステム開発研究会という、日本点字図書館(日点)を
中心とするグループが誕生したことを述べた。
 そのメンバーは、研究グループ代表の東京工業大学 長谷川健介(はせがわ けんす
け)先生、技術担当の芝浦工業大学入江正俊(いりえ まさとし)先生、日点の本間
一夫(ほんま かずお)館長、同花島弘(はなしま ひろし)氏、それに視覚障害者と
しては、尾関育三(おぜき いくぞう)、木塚泰弘(きづか やすひろ)、田中徹二
(たなか てつじ)、直居鉄(なおい てつ)の諸氏と私だった。
 研究テーマが決まる前に、本間先生からテーマの問いかけがあったので、私は点字
ラインプリンターの開発を提案した。それは岡崎氏のプリンターのプリント速度があ
まりにも遅かったからである。
 しかし、日点としては「点字カセットシステム」のテーマを選んだのである。 テ
ーマを決めたのが昭和48年であったから、もしも点字ラインプリンターをテーマとし、
その開発に成功していたら、現在におけるジェイ・ティー・アールのESAプリンタ
ー以上に、日本中の点字プリンターがそれになっていたかもしれない。
 以前にも述べたが、この研究会における目的の一つは、初期のバーサブレイルのよ
うに、デジタルカセットテープを用い、ピンが上下して点字を構成する、点字ディス
プレイ式読書機を開発することであった。
 もう一つの目的は、点訳奉仕者により作られた点字書の点字を光学(ひかり)的に読
み取り、そのデータで、1冊きりしかない点字書を何冊にも複製することであった。
 その点字読み取り装置の試作機製作が芝浦工業大学の入江先生の手で進み、昭和50
年12月にメンバーを対象とする試作機の発表があった。それは、紙に書かれた点字を
見事に読み取り、結果を紙テープに出力した。しかし、その研究室には点字プリンタ
ーがなかったので、その結果を点字印刷することはできなかった。
 その時点において、日本で可動する専用点字プリンターは、私の所有するものだけ
であった。だから、能率的な点字ラインプリンターの開発が必要だったのである。
 この研究会のコンピュータはHITAC-10(ハイタック・テン)というミニコンピュー
タであった。メモリーは4キロワードを8キロワードに増設してあった。周辺装置に
もよるが、価格は400万円ぐらいではなかったろうか。
 もちろん、活字式プリンターはあったが、漢字を印刷することはできなかった。
 点字の読み取りは、点字の行の方向に、発光ダイオードと受光ダイオードを対にし
て数個並べ、点字1点を復数の素子で読ませるものであった。
 私はこのグループの研究会の席上で、ここでパーキンスタイプライターで点字を書
き、それをこの実験装置で読ませて点字データにし、紙テープに出力して、それを国
会図書館で墨字にできないかと考えた。
私はさっそく申し出て、パーキンス点字タイプライターで六点漢字を使い「これは紙
に書かれた点字を光学的に読み取り普通の文字に変換したものです。」と書いた。
 そして、これをその装置で読ませたら1点の読み取りミスもなかった。
 そこで同年私はその紙テープを持って国会図書館へ行き墨字に変換した。
 その変換結果は、雑誌『コンピュートピア』昭和53年9月号「点字情報処理におけ
る自動点訳・自動代筆」の[写真2]として記録されている。
 一方、電子技術総合研究所の自動点訳研究は、同研究所の中島恒夫(なかじまつね
お)氏と都立工業技術センターの平塚尚一(ひらつか しょういち)氏とで進められ
た。(中島恒夫氏は、この数年後、長野県立松本盲学校教諭になっている。)
 この自動点訳実験で対象とした資料は、まず「当用漢字音訓表」であった。
 これは昭和48年に内閣告示されたものであるが、それを国立国会図書館が入力して
いた。その磁気テープデータを利用させてもらったのである。
 この自動点訳に使った電子技術総合研究所のコンピュータは、FACOM230/75という
当時としては、国産コンピュータの最大級のものであった。とは言うものの、今とな
っては内部メモリーがたったの256キロワードであった。
 しかし、当時はその「当用漢字音訓表」約5万字の点訳処理時間が14秒程であった
と聞いて、その速さに驚いたものであった。点訳結果は紙テープ3巻ぐらいだった。
 ちょうどその時、平塚尚一氏の試作点字プリンターができ、そのプリンターの耐久
試験も兼ねて点字印刷してもらった。しかも、平塚氏はこの「当用漢字音訓表」を立派なバインダー4冊に製本して下さっ
た。前に述べたが、共同通信社の新聞印刷用データを用いた六点漢字による自動点訳
と、国語研究所が行なった教科書をコンピュータで全文仮名文にしたデータからの、
自動仮名点訳がある。この二つは最初の実験としての意味があった。
 それに対し、この「当用漢字音訓表」は、私が実用的に用いたものであり、実用のた
めの点訳という意味で価値があった。 この印刷を行なった試作点字プリンター
が後のESA点字プリンターシリーズになったのである。
 ここで点字ラインプリンターについて触れてみよう。
 専用の点字プリンターが開発される以前に、コンピュータのプリンターのピリオド
などの点を使って点字を印刷する試みがあった。
 私が知る範囲では、現在声楽家として有名な塩谷靖子(しおのや のぶこ)さんが、昭
和46年に日本ユニバックに、日本で初の全盲のプログラマーとして入社した。そして
彼女は通常のラインプリンターを用いて点字を印刷したのであった。これが初の試み
で、通常の点字よりは読みにくかったが、仕事の実用には耐えられたとのことである。
 この方法は、すでにアメリカでは行なわれていたらしいが、デニムという木綿の厚
手の生地とラインプリンターの活字ドラムの間に紙をはさむ。そしてアポストロフィ、
コンマ、ピリオドなどの点で、ソフト的に点字を構成し、点字を印刷したのである。
いかにもコンピュータ会社らしい方法である。
 活字ドラムとは、太目の茶筒を長くしたようなもので、その円周にアルファベット、
数字、記号などの活字がある。もし1行の文字数が80字なら、この活字の輪が80本あるのだ。ドラムはものすごいスピードで回転し、印刷すべき文字の活字がちょうど来たところで、ハンマーが動きインクリボンで文字が印刷される。
 点字の場合は、点が押し出されるようにデニムの生地をはさむのである。
 私は、昭和50年に岡崎氏と再会してから、点字を1マスずつでなく、1行ずつ印字す
る専用の点字ラインプリンターを提案した。その結果は、後にいろいろな形で現れた。

   情報アラカルト
  1.バリアフリー化支援事業に”MYNEWS”が対象に
 東京都は障害者のバリアフリー化支援事業(10万円まで助成)にコーチシステム
開発の「マイニュース」を給付対象から外していましたが、東視協会員のSさんが購
入したいと相談があり、都と交渉をしました。都は、「マイニュース」はインターネ
ットの基本ソフトではないので、給付対象にならない(交労省の見解)といっていま
したが、新聞を読むのは日常生活を送るための基本の一つではないかと交労省に申し
入れたところ、実施主体は自治体だから自治体が良ければ構わないということで、都
にその旨話したところ、「マイニュース」が給付の対象となりました。
 説明が遅くなりましたが、「マイニュース」とはネット上にある大手の新聞社の記
事を音声で読めるソフトのことです。毎日の出来事がほぼリアルタイムで読めるので、
ラジオでニュースを聞くより情報も多く便利だといわれています。同じようなソフトが
他にもありますので、ニュースをぜひパソコンで聞きたいという人は事務局まで電話
下さい。もう少し詳しくお知らせ致します。

  ありがとうコーナー(省略)


     事務局だより
 1.東視協の運動が効を奏して銀行の視覚障害者対応ATMが大幅に増えています。
全国銀行協会(全銀協)の調査によると、昨年5月から10月の間に都銀5行で約1
530台、地銀65行で、約790台、第2地銀48行で約310台増えています。
東視協では、昨年春に全銀協と金融庁に要請。そして4月と5月に衆議院の佐々木憲
昭議員(日本共産党)が金融委員会で質問、積極的に取り組むとの竹中大臣の答弁を引
き出してくれました。これが大幅増の力となりました。
 2.今年の「駅ホーム転落事故ゼロの日」行動は、東京都交通局電車部長とJR東日
本本社要請、高田馬場駅頭宣伝、同駅ホームでの献花、上野正博さんを交えた交流な
どを行います。当日2月1日は、10時30分にJR新宿駅西口改札の外で待ち合わ
せます。途中からの参加も歓迎です。

   日程情報
 1/17(月):みずほ銀行要請
 1/18(火):福祉タクシー券削減問題で豊島区障害者福祉部長要請
 1/19(水):障館相談(担当・鈴木彰)
 1/20(木):「こだま」1月号活字版発行
  同:全視協差別禁止法シンポジウム実行委員会
 ☆17日の週「こだま」テープ版発行
 1/22(土):青年学生部例会
 1/23(日):教養講座「按摩、鍼、灸治療の現代における役割」、午後1時半
障館教室
  同:かーなづーちレッスン、午後6時
 1/24(月):南部ブロック障全協署名田町駅頭行動
 1/25(火):将来像委員会
 1/26(水):パソコン教室
 1/27(木):音による誘導についての福島大学の研究に協力
  同:街づくり委員会
 1/29(土):横断歩道の誘導帯についての東京都土木研究所の調査に協力
 1/30(日):西部ブロック会、午1時半、国立公民館
  同:全視協差別禁止法問題シンポジウム
 2/1(火):「駅ホーム転落事故ゼロの日」行動(都交通局・JR東日本本社要
請、駅頭宣伝、高田馬場駅献花、交流会)
 2/3(木):こだま編集委員会
 2/4(金):雇用を進める会
 2/5(土):歩車道段差についての東京都土木研究所の調査に協力
  同:「ステッキーズ」レッスン
  同:北部ブロック会、午後6時半南大塚社協館
 2/6(日):「ステッキーズ」レッスン、午後3時
 2/9(水):パソコン教室
 2/11(金):障都連都民集会
 2/12(土):「こだま」2月号点字版発行
 2/19(土):東部ブロック会、午後7時障館
 2/27(日)教養講座「地震のメカニズムと防災対策の基礎」、午後1時半、
多摩障害者スポーツセンター
 §障館相談
  1/19:(担当・鈴木彰)
  1/26:(担当・織田洋)
  2/2:(担当・山城完治)
  2/9:(担当・西原和子)
  2/16:(担当・鈴木彰)
  2/23:(担当・織田洋)
 §事務局作業:
  1月/20,22,27,29
 2月/3,5,10,12,17,19,24,26日


    編集後記
 2005年が始まりました。いつになく今年も忙しそうな年になりそうです。近く
は盲人用郵便物の無料かがどうなるか、グランドデザインが決まり、応能負担から応
益負担になるのか、憲法が改悪されるのではないか、など私達の生活を脅かす課題が
沢山です。皆さんと共に運動してこれらを跳ね返しましょう。
 点字の表記を今号から「する」という言葉を前を区切って書くようにしました。皆
さんのご意見をお聞かせ下さい。 (終わり)


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