視覚障害者9条の会結成に向けてのアピール


 「広島・長崎の原爆にいたる残虐な兵器によって、5千万を超える人命を奪った第2次世界大戦。この戦争から、世界の市民は、国際紛争の解決のためであっても、武力を使うことを選択肢にすべきではないという教訓を導き出しました。侵略戦争をし続けることで、この戦争に多大な責任を負った日本は、戦争放棄と戦力をもたないことを規定した9条を含む憲法を制定し、こうした世界の市民の意思を実現しようと決心しました(『9条の会アピール』より)。」
 しかるにわが国はいま、平和憲法の指し示す、この国のあり方を根本的に転換し、戦争のできる国・する国へ足を踏みだそうとしています。
 戦争は、命・文化・経済などありとあらゆるものを破壊しつくします。その度に障害者は、社会的に役立たない「ごくつぶし」「非国民」とさげすまれ、差別され抑圧されてきました。
 障害発生の最大の原因は、戦争による暴力です。  戦争と障害者の幸せはぜったいに両立しません。
 障害者は、平和でなければ生きられないのです。
 日本の憲法は、戦争と軍事国家への厳しい反省のもとに獲得した世界に誇るべきものです。とりわけ第9条は、憲法の根幹であり、戦争を放棄し戦力をもたないことを国の内外に示したものです。また、第25条の「生存権」をはじめとする憲法の規定は、戦後国民の努力によって実質化された様々な権利の土台となっています。
 障害者の社会への「全面参加と平等」をアピールした国際障害者年は、世界平和の強化を強調し、国連ではいま、障害者権利条約制定への動きが大きく進んでいます。平和を求める世界の世論は、圧倒的に多数派なのです。
 視覚障害者として私たちは、「平和憲法を守りたい」との1つの思いをつなぎ、平和と人権保障を求める内外の動きに連帯し、大きな波に育てることを呼びかけます。そして、動きを強めている「改憲」の火を消し、平和と人権をたいせつにする社会づくりを発信しようではありませんか。
 2004年6月10日、作家の大江健三郎、評論家の加藤周一氏等9氏の呼びかけで、「9条の会」が結成されました。私たちは、この呼びかけに応え、「視覚障害者9条の会」を結成し、1人1人ができるあらゆる努力を始めることを訴えます。

2006年8月1日


  呼びかけ人――(氏名は50音順、敬称略)

以上です。



トップページに戻る