8月22日 「障害者自立支援法を考える大阪のつどい パート6」
−障害者の地域運動交流会− 報告
日時 2006年8月22日(火)午後1時30分〜4時30分
場所 大阪府福祉人権推進センター「ヒューマインド」
自立支援法が施行されて4ヶ月。利用料負担や日額制の導入により全国で大きな混乱が生じている中、「障害者自立支援法を考える大阪のつどい パート6」が開催されました。
8月22日、大阪市浪速区にある大阪府福祉人権推進センター「ヒューマインド」には当事者、関係者、家族、約250人が集まり、「障害者の地域運動交流」をテーマに府下各地域の取り組みの状況と課題について話し合いました。
ひばり障害者作業所の川畑浩正さんの司会で交流会が始まると、真夏の日差しだった大阪の空に雷が鳴り響き激しい風雨となる、まさに嵐を呼ぶ集会となりました。
<開会>
開会のあいさつに立った障大連の楠敏雄さんは、「いよいよ10月から厳しい自立支援法が本格的に強行されます。私たちはグランドデザイン発表以来、さまざまな取り組みを進め、強い思いを訴えてきたが、厚労省は耳を傾けず、府・市町村も役割を果たそうとしていない。小泉内閣は、金がないとして弱いものや当事者に我慢を強いている。つどいで作られた力を発揮するためにも、今日は地域レベルの取り組みを確認し創り出していく第一歩として行こう」と提起されました。
<基調報告・行動提起>
続いて、障大連の古田朋也さんから基調報告がされました。
古田さんは利用負担、障害程度区分認定、居宅支援、日中活動事業など8つの分野について最新情報を織り交ぜて報告。「応益負担の導入で障害の重い人ほど負担が増え、全国で利用をあきらめたり控えたりする状況がある。独自の利用料負担の軽減策が講じられているところもあるが、まだ数は少ない状況。一方、グループホームやケアホーム、通所事業など報酬の大幅減額により運営自体が成り立たなくなる不安が広がっているし、とりわけ市町村事業である地域生活支援事業の国庫配分額が低く、市町村の負担が増えなければガイヘルなどの利用制限や相談事業の統廃合も懸念される事態がうまれている。市町村は『わからない』と言いつつ単価、基準を検討している。私たちはそうした市町村の動きをよくつかみ働きかけることが必要です」と訴えました。
次に障連協の塩見洋介さんから5項目にわたって行動提起がありました。
塩見さんは「今日の出会いの場を次に生かしていくためにも、市町村からの運動をしっかりと積み上げ、大もとの国や府に対する改善要望とともに、市町村への具体的課題をしっかり練り上げ要請行動を取り組もう。そして、9月25日には府下一斉宣伝行動を各市町村ごとに成功さよう」と提起しました。
<各地域の取り組み>
続いて、府下4地域からの取り組みが報告されました。
堺市(堺障害・難病当事者関係者連絡会 白田幸治さん)
「堺では今年6月21日、堺市庁舎を800人を超える人たちが包囲しました。これは自立支援法案が示されて以来、さまざまな運動団体と事業者団体が違いを超えて共同してきた運動の蓄積の力だ。府立身障センター跡地の活用という、地域の共通課題を話し合う中で、最初は顔のつながりから始まり、話し合い、取り組みが生まれた。ひとつの運動をする上で 小さな違いを超えて取り組むことが重要であり、運動課題を一致させ取り組むことが大切。この取り組みの中で、これまでは取り残されていた精神関係の団体が一緒に参加できるようになったことは大きな成果だ」
東大阪市(障害者自立支援法を考える東大阪のつどい実行委員会 地村貴士さん)
「これまで東大阪では各団体が個々に活動してきたが、昨年、6つの団体が集まり『つどい実行委員会』を立ち上げました。その後、話し合いや取り組みを進める中で7団体に増え、市への要望書を提出するなどの行動をすすめてきている。さらに9月5日には市への独自施策を求める緊急フォーラムを開催することにしている。市はこれまでグループホームや作業所に対し独自の加算を実施してきたが、自立支援法をきっかけに『独自施策はいったん無くしていこう』という考えを出してきている。私たちは、それぞれの団体の個別要求も大事にしながら、市議会へのロビー活動や市への働きかけをあきらめず続けていきたい。」
吹田市(吹田の障害者福祉と医療をすすめる会 高田ひとしさん)
「吹田の特徴は会の構成員に『医療』が入っていること。昨年10月に学習会を企画し、今年の4月に結成総会を行った。現在100団体が結集し、学習会を開催したり市に要望書を提出するなどの行動を行っている。一方、吹田市は5月議会に独自の上限緩和策を提案してきた。府下で初めてという点では評価できるが、当事者・関係者がひとつになって取り組んでいるなか、あまりに突然であり一方的だ。今後は会員への情報提供や、共同の行政行動を続けながら市の支援策の中身をよりよいものにしていきたい。」
豊中市(豊中市自立支援法を考える会 瀧野龍雄さん)
「豊中は革新市政の時代から他市にはない独自施策がとられ、行政とも情報交換をしながら進めてきた。一昨年グランドデザインが出され学習会をする中で、そこに参加する7団体で考える会が発足した。2005年には市への要望書を提出し、これまで4回の学習会を開催してきた。今年6月には29団体名で要望書を提出し、市議会では全会一致で採択された。
この間の取り組みで大切にしたことは、会に結集する団体が情報を平等に共有し、一致点を大事にし、互いに支援しあおうということだった。そうしたことを通じて豊中市では独自の集会や学習会を開催する共同の力がついてきたといえる」
<交流会・報告>
いったん交流会参加者は、大阪市、北摂、北河内、中河内、南河内・泉州の5グループに別れ、各地域ごとの交流を行いました。1時間あまりの短い交流でしたが、それぞれ中身の濃い交流会を行うことができました。この後参加者は再度ひとつになり、それぞれのグループ討議の報告を次のように行いました。
大阪市内(姜博久さん)
「大阪市では各区でまちまちの区分判定が出ている。また、障害者に重くのしかかっているのが利用料負担で、利用を控えている実例も出た。さらに、極端に運営費が低くなるグループホームは運営がやっていけるのか。これまで使えていたホームヘルプの支援が維持されるのかなどの不安が出された。みなが心配していたが、日常生活用具の福祉電話が『グループホームは施設なのでこれからは支給しない』と区役所が言っているらしい。これは早急に確認したい。次に作業所。どこに移行するのか見えない。結局、利用者にしわ寄せが行き支援の質が低下しかねない。居宅介護についても、児童期のサービスが十分に使えていない。生活のことを知らない社協の職員が調査等を進めていることへの不安などの報告があった。また施設ガイドヘルプについても契約事業所がどうなるのかなど施設入所の障害者も不安を抱いている。中身を点検すると大阪市も不透明で課題が多いということを確認した。」
北摂(山口剛さん 障連協)
「参加者は高槻、茨木、箕面、吹田、豊中から。まず地域状況の報告を受け、さらに視覚障害者、聴覚障害者の状況も報告。高槻では以前から要望や議会対策がされており、今日も高槻市から要望への回答が出るなどの動きがある。しかし、全体的には要望書を持っていっても『検討中。決まってない』という回答が多く、前進や成果がなかなか見えにくい状況。分科会では『これから9月議会があり大事なことが決まっていくので、市町村への取り組みのネットワークが大事ではないか』と言う意見や『来年の地方選挙がある。ここでプレッシャーを』という提案もあった。今日の行動提起を市町村でも進めていく必要があるが、各市町村も横のつながりで話をしているようなので全体での取り組みも必要かと思う」
中河内(高井博之さん)
「参加地域は八尾、柏原、東大阪です。東大阪市では小規模作業所や無認可作業所への補助体系はほぼ府どおりの回答。八尾市はまだだが、ほぼ同じ形になるだろう。共通しているのは『まだ最終決定ではない』という状況。東大阪市では急遽30ヶ所以上の作業所と市とで検討会を作り、今後の作業所のあり方を検討しようとしている。
支援センターについては補助金や委託先などまったく不透明の状態。これからの運動にかかっているといえる。地域生活支援事業への国からの補助金の金額が市町村に示されている。東大阪市は1億200万円程度。多いように見えるが今の水準なら3億円かかるのでとても足りない。障害者予算に回すお金を後退させないように運動していかないといけないと確認して終わった。」
泉州・南河内(石本悦治さん)
「岸和田、富田林、太子町、和泉、高石、泉佐野市、泉大津、羽曳野から参加が。南河内では障害者団体連絡会を結成した。太子町では障害者人口も少なくどう動いたらよいのかわからない。泉州では村意識がありなかなか盛り上がりにくい。情報を知っている団体とそうでない団体の格差が大きい。どう是正するかが課題だ。どの地域でも利用抑制が起こっており、ガイドやホームヘルプの支給決定時間がどう出るのか市町村の格差が心配だ。情報交換をしながら実態にあった支決定をしてほしい。グループホームは行政も見えていない。などの意見が出されましたが、全体的に市町村へ訴えていく取り組みができていない。圏域でなんとかまとまった動きができればという話で終わった」
北河内(長尾祥司さん)
「参加地域は枚方、守口、四条畷、寝屋川。枚方では自立支援法にむけて提案や協議をし施策推進協議会で検討している。負担について市は当初、過度な負担を求めないとしてきたが、最終、市長会の案を基にと言うことになりそう。ただ世帯認定は本人所得として検討されている。グループホームの加算については、世話人の宿泊加算や入院中の加算などを検討しているが財政当局からかなりの反発があるようだ。寝屋川からは施設関係で要望書を出している。懇談会については市の責任所在がはっきりせず実現していない。
来年度の移行どこも問題。新体系についても見えない中での移行は難しい。四条畷は負担とサービスについて話をしている。コミュニケーション事業無料となったのは歓迎だが対応する手話通訳、生活支援もできるようにすることが重要。報告で時間がなくなったがこれからも状況を報告しあっていきたい」
<閉会>
報告の後、閉会あいさつに立った障連協の中内福成さんは「今日の集会は、自分たちの地域が、となりの地域がどうなっているのかを交流しました。今後はそれぞれの行政に訴えていく行動を通じ、市町村が真剣に考えていくようにできるかどうかが問われています。今日顔をあわせた人たちが、これまでの運動の成果を共有してこれからもがんばっていくことを確認したい」と締めくくりました。