遠隔パソコン要約筆記実験について

今回の遠隔パソコン要約筆記実験について

この実験は2004年2月16日(月)に、静岡県立大学の石川准・国際関係学部国際関係学科教授ならびに湯瀬裕昭・経営情報学部経営情報学科助教授により主催されました。日本障害者リハビリテーション協会は共催者として本実験に協力しました。

今回の実験ではビデオ会議システムを使用して静岡県立大学の講義の映像と音声を日本障害者リハビリテーション協会(東京都新宿区)に送信し、パソコンを使用して要約されたテキストデータを静岡県立大学に送り返しました。

人員配置は、静岡県立大学側に機器設置・設定スタッフ数名、東京側は要約筆記者1名と機器設置・設定スタッフ3名という構成でした。

使用した機材

東京(要約筆記側)では、以下の機材を使用しました。

SONY PCS-1
ネットワーク対応のビデオ会議システム。実験ではグローバルIPアドレスを割り当て、対向する静岡側のPCS-1と通信をさせました。
PLUS U4-136
液晶プロジェクタ。PCS-1の映像出力をこの液晶プロジェクタに入力して静岡側の様子を表示しました。
SONY C-357
コンデンサマイクロフォン。新宿側の音声をPCS-1に入力し、静岡側に伝達するために使用しました。
YAMAHA MS101II
アンプ内蔵スピーカ。PCS-1の音声出力をこのスピーカに入力して静岡側の音声を出力しました。
YAMAHA Q2031A
グラフィックイコライザ。PCS-1の内蔵マイク使用時にハウリングが頻繁に起きたため、C-357とPCS-1のマイク入力との間に挟み、特定の周波数帯域を減衰してハウリングを解消しました。

要約筆記用のコンピュータは、静岡県立大学の要約筆記表示用コンピュータとVPN接続され、東京で要約筆記された内容を静岡県立大学に送信しました。

ネットワーク環境

東京(要約筆記側)のネットワーク環境は、回線帯域が10Mbps(占有)です。ただし、今回使用したビデオ会議システムの使用帯域は64kbps〜約2Mbpsまであり、

以上のビットレートをそれぞれ変更して接続したところ、64kbpsでは動画は転送されず、音声のみとなりました。384kbps以上では動画・音声共に明瞭に受信できました。64kbpsでも音声は充分に聞き取ることが出来るレベルでした。

ビデオ会議システムには「音声優先」「動画優先」などの様々な設定がありましたが、今回の実験では時間の都合上、詳細な検証をすることは出来ませんでした。なお、静岡県立大学側のネットワーク環境に関しましては不明です。

学生へのインタビュー

実験終了後、石川研究室の学生にインタビューを行いました。ある学生の方からは「講義の内容を聞き漏らしたときに、要約筆記の内容で聞き漏らした部分を確かめることができた」という回答をいただきました。

実験の様子

パソコン要約筆記の様子要約筆記中のパソコン画面です。スピーカから出力される音声を聞きながら要約し、入力しています。写真奥に写っているのはスタッフです。

使用した機材の一部今回使用した機材の一部です。写真左上から、液晶プロジェクタ、グラフィックイコライザ(背面)、ビデオ会議システム。

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