〇回答3
(1)おっしゃるとおり、漢字変換は私たち視覚障害者にとって、まことに厄介千万なしろもので、わたしたちがパソコンで文章を書くとき、いつもついてまわる最大の悩みとなっているものです。日本語の宿命とでもいうのでしょうか。私は視覚障害者にとっては、このMLだからこそ、真剣に検討すべき一つの研究分野ではないかと思います。それにしても、まだ中途失明の方はともかくとして、最初から点字だけで勉強してこられた方々のご苦労はお察しするに余りあるものがあり、またそのバリアを見事に克服されているご努力には全く敬服のほかありません。

 思わず前置きが長くなってしまいましたが、日常わたくしが使っている方法をご紹介します。ご参考になれば幸いです。それは目的の漢字一つだけを検索するのではなく、その文字が含まれていて日常よく使う簡単な熟語を入力して文字を確定し、それから余分な文字を削除する方法です。ちょっと回り道のようですが、これが一番間違いのないやり方のように思います。この適当な熟語を思いつくのが、また一苦労ですが、クイズでも解くつもりでゲーム感覚でやるのです。例えば「年賀状」の「賀」を書きたいときには「ねんがじょう」と入力して漢字の「年賀状」を出し、そのあとで「年」と「状」を消します。

(2)私の場合も漢字はほとんど知りません。言葉の難しさ、特に同音異議語の使い分けや、当て字が困ります。先日も「ねこばば」を変換したところ猫に糞尿の糞と出てきました。これが正しいかどうか分かりません。それで高知システムの声の国語辞典を引いて正しいことを知りました。マイワードではこの国語辞典が文章作成の際にいつでも利用できるので大変重宝しております。

(3)私は晴眼者です。生まれつき、あるいは幼いときから全盲でおられた方の文字認識については想像がつきませんが、音だけの世界なんだろうなとは思っています。

 ところで、パソコンでの漢字変換ですが、最近の日本語入力ソフトはとても賢くなっているので、文章をきちんと述語や修飾語も含めて入力すれば、ほとんどの場合、正しい漢字に変換してくれます。キー入力に慣れた方には、文章をいっぺんに入力して変換する「一括変換」方式をおすすめしています。たとえば、「はしでたべる」と入力してスペースキーで変換すれば、ちゃんと「箸で食べる」と正しい「箸」という漢字になりますし、また、「はしをわたる」と入力すれば、「橋を渡る」となります。日本語入力ソフトの方で、文章の前後関係から自動的に判断して正しい漢字を優先して出力しているのです。

 ですから、IT講習会テキストの第2回で説明しているように、初心者の段階では、キー入力のまちがいも多いことから、確実性を期すために、文節ごとで区切って入力して変換する「文節変換」方式をおすすめしていますが、キー入力に慣れてくれば、文章をいっぺんに入力して変換する「一括変換」方式の方が正しく漢字変換するので、それをおすすめしています。