設立趣旨書

 

特定非営利活動法人千葉県中途失聴者・難聴者協会

 

1.設立の趣旨

  失聴者には、人生の途中でまったく聞こえなくなった中途失聴者、ある程度の聴力を残し補聴器が有効な難聴者、また幼児期からの難聴者まで、様々な聴力程度の人たちが居ます。そして失聴者時期の以前、以後の教育環境によって、聞こえに代わる、あるいは聞こえを補うコミュニケーション手段も一様ではありません。

 聴力障害の有無、障害の大きさは外見からは気づかれにくく、理解されにくい特質があり、失聴により、多くの人が転職、職場替えを余儀なくされ、しかしそれまで築いてきた知識や技能、技術を活かすことも困難なため、生活破綻の危険にさらされる人も少なくありません。また社会的な交際の機会が激減し、孤独となり、障害の受容を拒否するなど精神的な落ち込みを多くの人が経験します。

  社会福祉、障害者福祉の制度が整備されつつある中にあっても、とかく「聴覚障害」ということで十杷一絡げにされているため、日本語習得後、社会経験を経て失聴した事情を持つ中途失聴者、難聴者が必要とするコミュニケーション手段の講習会の開催や、文字による情報保障である要約筆記に関する制度的な整備が為されている自治体はまだ少なく、それ以前に、中途失聴者、難聴者特有の相談機関は極めて少ないのが現実であります。

  このことから、中途失聴者、難聴者は社会的順応が更に遅れる傾向を否定できません。

 私たちは、ここまで20年に及ぶ活動経験を踏まえ、千葉県に30万人とも言われる聴覚障害者の大半を占める中途失聴者、難聴者の福祉にさらなる力を注がねばならないと決意を新たにしました。

2.申請に至るまでの経緯

 私たちは、これまで定例会や研修会において福祉機器や制度、一般教養、コミュニケーション手段などの学習を進めるとともに、同障の仲間との出会い、話し合いが失聴後の立ち直りに顕著な効果があることが経験的に分かっており、そのための場を各種例会の形で提供してきました。

 また機関紙「菜の花」の発行による情報の提供、また聴覚障害者のための通訳の一つとして、中途失聴者、難聴者が主に頼りとする要約筆記者の養成、指導にも力を注ぎ、活動してきました。

  しかしここまでの活動は任意団体としてのものであり、社会的な基盤は脆弱でありました。

  千葉県で暮らす多くの中途失聴者、難聴者が、耳の不自由を乗り越え、自立し、社会参加を果たし、価値ある人生を生きて行けるように支援することが私たちのやるべき責務と考え、これまでの活動を一層活発に、且つ、社会的に認められる活動団体となるべく、ここに、特定非営利活動法人千葉県中途失聴者・難聴者協会を設立するものであります。                           

平成15125