2001年11月12日発行(第2・4月曜日発行)

News Source of Educational Audiology

聴能情報誌  みみだより  第3巻  第422号  通巻507号


編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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【目次】第422号

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緊急特集
 聾教育の専門性は これで維持できるのか!

「総合免許状を探る」
 
文部科学省は,「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」を組織し,今後の特殊教育の在り方について検討を進めてきた。報告書自体は,みみみだより411号で紹介した。
その号に,以下のコメントをつけている(抄)。

一方で,心配な記述もある。1つは「総合免許状」である。現在,特殊教育の免許状は校種別になっており,盲学校・聾学校・養護学校の3校種それぞれについて,専修・一種・二種との3段階構成になっている。さらに,自立活動免許状が別途にある。
こうした特殊教育諸学校の教員免許状は通常,教育学部の障害児教育教員養成課程で取得されることが多い。通常,四年制の大学では一種免を取得することができ,加えて専攻科や大学院に進学することで専修免許状を取得できる。その他,教員として働きながら,「認定講習会」で単位を積み重ねることで,こうした免許状を取得することができる。
しかし,現在,重度・重複化,多様化のもと,幅広い障害に対する知識が求められ,特に養護学校系の領域から「総合免許状」の要望が出されている。つまり,「広く薄く」という論理である。私はそれよりも例えば,「聾免一種と養護免二種」のような複数免許を取得できる道を開くべきだと考える。従来のカリキュラムのまま,聾免一種+盲免一種+養一種で総合免一種とするならば,四年制を基本とする教員養成の中では取得は難しい。つまり各領域のエッセンスの組み合わせにせざるを得ない。特に盲・聾教育は専門的技能を身につける必要があり,今以上に薄い内容しか持ち得ない状態で卒業し新任教員として採用されるようになれば聾学校の専門性は今以上に低下していくことは疑いの余地もない。この論議の際,大学院レベルでは盲専修,聾専修のように各領域ごとに専門性の高い教員養成を条件のように言う風潮もある。しかし,四年制レベルで従来の半分の聾専門の講義しか取れないとすれば,その残りを大学院にあげたところで結局は従来の学部卒レベルにとどまり,高度職業人などはお題目になるであろう。聾学校の今以上の専門性の低下を防ぐためにも,総合免許状の検討動向には注意をしていかなくてはならないと考えている。

さて,現在,文部科学省の中で総合免許状に関する検討が着々と行われている。インターネットで公開される議事録からは,聾学校の専門性,感覚障害児の特殊性に触れた論議は行われていない。聴覚障害児教育の根幹に関わる問題だけに,公開されている議事録の抜粋や問題提起をし,この問題の重要性を訴えると共に,各読者に,この問題への関心と文部科学省への意見表明をお願いしたいと思う。

1)現在の免許取得はどのように行われているのか
現在,盲・聾・養護学校の各免許は以下のように取得単位によって規定されている。


ここで専修免は修士課程,あるいは専攻科など四年制学部卒後に取得するものであるので,論議の対象からはずし,四年制学部で取得できる一種免,二種免の論議のみにしぼりたい。
四年制学部の場合,卒業要件としての最低履修単位数が決められている。いわば,この単位を取得すれば卒業できますと言うラインである。通常,障害児教育教員養成課程の学生は,共通教育と呼ばれる以前の教養部または教養課程の単位の上に,小学校教諭免許状などの「基礎免」を取得する単位を取得し,さらに特殊教育関係の単位を取得して卒業することになる。
すると,特殊一種免取得のための単位数を組み入れただけで自由選択単位が5単位になるほどのきついカリキュラムが組まれることになる。


しかし,聾教育1分野をとっても,「規定の23単位だけで十分な知識と技能が身に付くかと言うと,これはまったく無理」であって,実際は,それ以上の授業を開講し,ほとんどの学生が開講されている9割以上の講義を受講するために,卒業時に150〜170単位になるまで講義を取る。それでも,採用後に即戦力になるまでの実力を身につけて大学から現場に来る学生は少ないのが実情である。

下に某大学の障害児教員養成課程のカリキュラムをモデルに聾学校教員養成に関する履修表を再現してみた。サンプルではあるが,聾免を出すことができている大学はほぼ同じようなカリキュラムを持っている。


上表のように開講されている講義のうちのほんのわずかさえ取得すれば,法律上は免許が取得できるシステムではあるが,事実上,学生にはほとんどすべての講義の単位を取得するよう指導しているのが全国的な実体である。
問題は「これでも足りない」のである。

さて,今回,話題にあがっている総合免許状について想定をしてみよう。前述の通り大学の最低履修単位数はほとんど決まっていて,特殊教育に関係する単位数全体を多くすることは難しいという想定で考えてみる。


仮に総合免一種に必要単位数を現状通りとして,この単位数を盲・聾・養護で均等割りするならば,各校種に割り当てることができる単位数は6単位となる。総合免一種という学生が,聾学校に赴任するといった時,聾学校に関する講義を3つ程度受講しただけで,本当に現場で利用できうる人材が育つのであろうか? むしろ,例えば,「手話」ひとつ取っても,補聴器一つとっても現状の単位では少なすぎるのである。私は,「二種免要件40単位,一種免要件60単位ぐらいが最低」でも良いと思っている。
しかし,総合免は各分野,つまり聾に関する講義は,おそらく10単位程度以下にならざるを得ないだろうと考えている。それでは,現状の二種免より薄っぺらになるではないか!
もし総合免が23単位程度で取得可能とするならば,その程度の知識で現場に立つことは,教える当人にとっても,教えられる側にとっても不幸なことではないだろうか?

 せめて,総合免導入ならば,特殊学校教員採用試験の際の最低資格を大学院卒にし,
    受験資格として「専修免所持者に限定する」ことを条件とするよう明記をすべき

さて,初等中等教育分科会教員養成部会は,特殊免許の所持率が低いことを問題視し,この問題に対する対策として総合免構想を打ち出している。もちろん,所持率が低いことは問題だが,薄っぺらな免許を乱発することで所持率を上げるという考えはあまりに拙策である。そこで,この免許所持率についても論議をしたい。

     「特殊免所持」=「高い専門性」ではないということは十二分に承知しているけれど・・・


2)いわゆる無免許が許されている事情と異常
小学校の教諭には「小学校教諭免許状」,中学校の教諭には「中学校教諭免許状」が必要だというのは世間の常識である。しかし,現在,聾学校の教諭には「聾学校教諭免許状」が必要とされていない。これは教育職員免許状を定めた法律の附則に「当分の間」聾学校教諭の免許がなくても,各学部の教諭の免許状を所持していれば良いという条文があるからだ。このために,特殊教育諸学校はいわば「無免許」でも良い状態となっている。しかし,この「当分の間」というのが40年も続いていることは,異常である。私たちの会話の中で「それでは当分の間,これでいきましょう」という時,これが40年もの期間を指すと常識的に考えるであろうか。最近,ハンセン病訴訟でも,するべきことをしなかったことが裁判にかかり,原告側が勝訴との判決が出たが,この件も40年間,文部省は改正のための努力も,改正に向けた具体的施策も出していない。これもまた「異常」な事態である。

3)その結果としての極めて高い無免許率
下の表は文部科学省自身が公表した免許状保有率である。平均して 無免許率は73%に達している。運転免許に例えていただきたい。道路を走っている大型車の運転手のうち,免許保有率は27%,つまり7割が無免許だという状態で安心して道路を歩けるだろうか。まさしく,聾学校に子どもを通わせている保護者の多くは,コロコロ変わる聾教育を知らない担任に子どもを預けざる得ない不安を抱えている。これも事実である。

4)「他校種免保有率」の調査理由とは?
下表で文部科学省は「他校種免保有率」を調査している。つまり,聾学校の先生のうち,養護学校や盲学校の教員免許を保有している先生の率を調べている。つまり,聾学校教諭のうち,特殊免保有者率を調べている。保有率は当然あがり55%となる。
また運転免許に置き換えよう。「四輪の大型免は27%。でも二輪大型や特殊大型とか,とにかく大型という文字が入るものを含めりゃ55%。ま,大型と名が付きゃ,なんとかなるっしょ」ということか・・・。
さて,どうして文部科学省は関係のない免許の保有率まで調べたのだろうか?

5)考えたくもないけれど・・・
もし,現行の「聾学校教諭免許状」が「総合免許状」(=つまり何でも大型なら可)となれば,特殊学校の特殊免保有率は一挙に上昇する。保有率を上げることが至上命題であるならば,何の努力なしに「倍」になる施策は魅力的かもしれない。しかし,それで中身はどうなるのだろう。今でも危機だと叫ばれている聴覚障害児教育の専門性の維持が,総合免許状に移行して,向上はおろか,維持ですら望める見込みがあるのだろうか。私は「ない」と考えている。皆さんはどうだろうか。もし,数あわせの論理に反対であるならば,検討が進行中に,はっきりと「反対」だと声をあげるべきではないだろうか!。


6)もちろん,重度・重複化,多様化への対応は必要
もちろん,重度・重複化,多様化への対応は必要である。そのために,教員免許状は,複数の免許を所持することが可能になっている。
  例えば:初任時,聾学校教員免許状を取得している者を採用する
      数年後,養護学校教員免許状を認定講習で取得
      さらに,盲学校教員免許状を認定講習で取得することは可能である。
このような認定講習会による免許取得は都道府県によっては積極的に推奨されており,認定講習会を定期的に開催している都道府県は聾学校免許所有率が高くなっている(資料2)。
また,新規教員採用時の採用方法や採用後の赴任校の不適切さも指摘されている。例えば,京都府は特殊教育諸学校の採用枠が存在しない。やむを得ず,特殊学校関連の免許状を所持した者が小学校枠で受験し合格しても,特殊教育諸学校小学部に赴任させず,普通小学校に赴任させている。これが,特殊教育免所持率をあえて下げる施策となっていることに京都府は気づいていないのだろうか? つまり,このような採用システムや赴任を行う都道府県には,本当にやる気のある特殊学校希望学生は受験をしなくなる。また例外があるものの,特殊枠を設け,特殊免を受験要件としている県はそれ以外の県に比べて保有率が高くなっている(資料3)。

つまり,最初から聾学校の教員補充として聾学校教員免許状所持者を採用すれば,次第に聾免保有率は高くなるし,聾学校に赴任後,必要に応じて他校種の免許を認定講習で取得するようにすれば,重度・重複化,多様化に対応できる。
養護学校でも同じことだ。最初から養護学校の教員補充として養護学校教員免許状所持者を採用すれば,次第に養護免保有率は高くなるし,養護学校に赴任後,必要に応じて聾学校や盲学校の免許を認定講習で取得するようにすれば,重度・重複化,多様化に対応できる。

7)聾学校赴任当初は聾免を持っていない教員も必要
一方で常に100%を維持する必要もないと考える。つまり,特殊学校の小学部ではやはり「教科教育法」は必要であり,一定割合で「当該学部に相当する通常学校の教員」との人事交流は絶対的に必要である。例えば,小学部には通常の小学校から教科教育にたけた教員が定期的に替わりながら聾学校に来ることが必要である。これらの交流人事は臨時免許で可能である。しかし,現状では,特殊学校が県立校であるため,掌握教育委員会が異なる小中学校との人事交流は極めて少数である。特殊の教員を特殊学校間で行うのではなく通常の学校との間で行う必要については,検討すらされていない。
現状では,高校教育課内での人事が多く,例えば,3月まで高校で数学を教えていた先生が4月から聾学校の幼稚部担当という異動もある。自分の専門性を生かせない職場で保護者の突き上げをくらい,病的になられる先生もいる。こうした現状を見過ごすこともできない。

資料2:
各県別 聾学校教諭認定講習会実施状況と聾学校教諭のうち,
                  聾学校教諭免許状保有者の割合

資料3:2000年度特殊学校教員採用方法調査(2年前の調査なので現在と異なっている場合があります)

8)今,総合免の必要性はあるのか
特殊学校の幼児・児童・生徒が,重度・重複化の様相を示していることは事実である。しかし,もう一方で「多様化」もある。つまり,LD,学習障害に代表される新しい障害分野,また聴覚障害児教育の世界では「0歳からの対応」など,新たな領域へ踏み出すべき状況もある。
こうした状況の中で,「LD教育士」などの認定制度が誕生するなど,関係領域はむしろ,精鋭化し細分化されつつある。総合免導入は,まさに,この流れに逆行した案である。言語障害分野のように実態として教育が行われているにもかかわらず,免許制度が制度化されていない分野もある。こうした取り残してきた分野,新たな分野に対応する免許を創設し,きちんと対応できる教員の養成の方が急務ではないのだろうか。

今,小児科医が少なくなっていることが新聞で話題になることが多い。小児科医を増やそうという論議の中で,「小児の症状は多領域にまたがることが多いので,眼科,耳鼻科,脳外科,整形外科・・・を一緒にして,総合科を作ろう」という論議は出ていない。仮にできても患者が向かうだろうか。残念ながら,学校は通わす側に選択権がなく,競争原理が働かない。もっと,そこに通わせている保護者の意見を聞き,総合免の教員ばかりがいる聾学校に魅力を感じるかどうかという点も検討されるべきではないだろうか。


 まとめ

 重度・重複化,多様化への対応は,認定講習を活用し,
   複数免許を所持する教員を多くすることで対応するべきではないか。

 免許保有率の向上は,薄く広く対応できる安易な総合免導入ではなく,
   採用,赴任,教員異動システムの見直しで対応すべきではないか。

 仮に総合免を導入するのであれば,内容の希薄化を防ぐため,
   教員採用試験時「特殊専修」免の取得者に受験者を限定すべき。

 特殊免許総合化の検討にあたっては,聴覚障害児教育関係者は当然として,
   難聴児を持つ親の会,全日本ろうあ連盟など,
   「教えられる側」の意見を十二分に聴取する必要があるのではないか。

      その他の意見をぜひぜひ編集部または文部科学省にお寄せください!


注目! 文部科学省初等中等教育分科会教員養成部会議事要旨からの抜粋
            アンダーライン・ゴシックは編集部にて付けた。 (    )は編集部追記。

●初等中等教育分科会教員養成部会(第1回)議事要旨 [2001年6月11日]
盲・聾・養護学校に関しては,各学校種ごとの免許状保有率が低い。また,児童生徒の障害の重度重複化という問題があり,それに対応するために免許状の総合化が課題である。
 (免許状保有率が低いから総合化というのはおかしい)

免許状の総合化・弾力化は賛成であり,学校種ごとの人事交流を資質向上の観点からも進めてもらいたい。
また,免許法上で特殊の免許状の保有要件を外した「当分の間」の規定は外していただきたい


●初等中等教育分科会教員養成部会(第2回)議事要旨 [2001年6月18日]
(1)教員免許制度の総合化・弾力化についての討議
なお,人事上,教員は3年以内で異動になるので,特殊の専門性が低下している。また,最近は盲・聾・養護学校が,新任教員の養成コースになっているのではないか。特殊教育についての理解にはいいかもしれないが,専門性の見地からはどうだろうか。
          (3年異動など機械的異動については「21世紀・・・」でも問題を指摘済み)

●初等中等教育分科会教員養成部会(第5回)議事要旨 [2001年7月16日]
今後の教員免許制度の在り方について関係団体から意見聴取を行った
(○=委員,△=文部科学省,□=全国特殊学校長会)
○特別な教育的ニーズに応じた教育について,それを指導する教員がいないという問題は,大学の特殊教育の在り方自体が縦割りで総合化とか教育的ニーズという発想にはまだなっていないためと思える。カリキュラム等も含め,検討会等具体的な取組等をされているのか。
□21世紀の特殊教育の在り方に関する報告がこの1月に出され,特別な教育的ニーズに応じた支援が明確に打ち出された。また,特殊教育学会を中心にこうした免許制度の検討がされており,やはり総合免許状という形で大学の課程の在り方も考えていく必要があるという議論がされている。それに連動しながら,この部会でも具体的に進めていただきたいと考えている。
現状の盲・聾・養護の3本立ての免許を一挙に総合化するのではなく,複数の障害種に対応する総合免許状を創設するという非常に弾力的な提言を得られた。複数の障害種の免許と,3本立て免許の総合化との関わりについてお答えいただきたい。
□(3本立てと言っても)養護学校の中でも肢体不自由,知的障害,病弱の校種があり,それぞれ全く異なっている。重度重複化への対応の意味では共通する課題が多くある。例えば,特別な教育的ニーズの視点に立った場合,障害の状態に関する基礎知識や自立活動の内容,教材・教具などは共通の課題である。文部科学省が特別な教育的ニーズに立った教育に転換すると言ったことで,現在は以前と情勢が大きく変わってきていると考える。
(つまりは 盲・聾・養護・総合免という4本立てということも視野に入れると言うことか・・・? 質問と回答がかみ合っていないのでは?)


●初等中等教育分科会教員養成部会(第6回)議事要旨 [2001年7月19日]
(○=委員,△=文部科学省,□=日本高等学校教職員組合)
○障害の重度重複化の進行により、現場の教員は多くの障害種に対応する必要が出てきているが、総合免許状の導入に一定の意義を認めるとしながら慎重論を唱えていることについて説明をいただきたい。 
□現場では、担当する障害種別の免許状を取ることに努力している教員がまだ多く、総合免許状を検討するのは早いという認識をしている。重複化への対応は重要だが、まずは障害種別免許状に対応するのが先決であろう。 
○前回の部会で、一種、二種を総合免許状として、専修を障害種別の専門性の高い免許状とするという意見が出たがそれについてはどう考えるか。 
□考えられる方法であると思う。 
○障害の重度重複化への対応は、これから免許を取る人についても現職教員と同様に障害種別で良いと考えているのか。 
□まだそこまで検討していないが、現職教員は今現在必要な免許状の取得を希望しており、それには日々の研修で対応したいという意見が多い。新たな養成課程で総合免許状を念頭に置くのはかまわないと考える。


●初等中等教育分科会教員養成部会(第8回)議事要旨 [2001年9月17日]
○では、特殊教育関係の免許状の総合化・弾力化についてだが、障害の重度重複化への対応が早急に必要である。さらに盲・聾・養護学校の教員の、盲・聾・養護学校各免許の保有率が非常に低いことから、これらを一本化した免許を創設するという意見が強く出ている。この部会に専門委員会を立ち上げ、そこでの議論を答申にできれば盛り込んでいってまとめたいと考える。
(免許状保有率が低いから総合化というのは短絡的)
ぜひ専門委員会を設置し、早急に検討してほしい。総合免許が必要な理由として最近言われる「特別な教育的ニーズに応じた教育」があり、先進国では盲・聾・養護学校の枠を外す考えが進みつつある。また、既に肢体不自由と知的障害、病弱等に対応できるよう養護学校を複合化している自治体がある。視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、知的障害という複数の障害に1つの学校で対応しているという地域もあり、現在は人事異動で対応しているが不十分である。「21世紀の特殊教育の在り方」という報告にも免許の総合化と総合養護学校が検討された事項として出ており、今は多くの人が具体的な改善を待っている状況だと思う。
(アメリカや欧州でも聾学校は聾学校として存在している。複数障害に対応しているのは地理的事情でやむを得なく対応しているのであって,本来の姿ではない。第6回の上の議事のように多くの人が免許の総合化を待っているとは言えないのでは?)


中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会委員
 部 会 長 高倉 翔(明海大学長)
 副部会長 横山洋吉(東京都教育委員会教育長)
(委員)
 荒木喜久子(新宿区立津久戸小学校長)
 今井佐知子(社団法人日本PTA全国協議会会長)
 田村哲夫(学校法人渋谷教育学園理事長,渋谷幕張中学・高等学校長)
 千田捷熙(東京都両国高等学校長)
 横山英一(教職員共済生活協同組合顧問)
(臨時委員)
 岡本靖正(東京学芸大学長)
 齊藤美代子(文京区立小日向台町幼稚園長)
 永井順國(女子美術大学芸術学部教授)
 野村 新(大分大学長)
 宮崎英憲(東京都立青鳥養護学校長)
(専門委員)
 天笠 茂(千葉大学教育学部教授)
 宇佐美博子(江戸川区立二之江中学校長)
 大南英明(帝京大学文学部教授)
 小川正人(東京大学大学院教育学研究科教授)
 川並弘昭(学校法人東京聖徳学園理事長)
 平出彦仁(中部大学人文学部長)
 松尾澤幸(恵稲城市教育委員会教育長)
 山極 隆(玉川大学文学部教授)
 渡邉重範(早稲田大学副総長)
 渡辺三枝子(筑波大学教授)

第1期中央教育審議会初等中等教育分科会委員・臨時委員
分科会長
 木村 孟(大学評価・学位授与機構長)
副分科会長
 倉 翔(明海大学長)
委 員
 荒木喜久子(新宿区立津久戸小学校長)
 今井佐知子(社団法人日本PTA全国協議会会長)
 梶田叡一(京都ノートルダム女子大学長)
 國分正明(日本芸術文化振興会理事長)
 田村哲夫(学校法人渋谷教育学園理事長,渋谷幕張中学・高等学校長)
 千田捷熙(東京都立両国高等学校長)
 永井多惠子(世田谷文化生活情報センター館長,日本放送協会解説委員)
 横山英一(教職員共済生活協同組合顧問)
 横山洋吉(東京都教育委員会教育長)
臨時委員
 市川伸一(東京大学大学院教育学研究科教授)
 浮川初子(株式会社ジャストシステム代表取締役専務)
 岡本靖正(東京学芸大学長)
 齊藤美代子(文京区立小日向台町幼稚園長)
 永井順國(女子美術大学芸術学部教授)
 野村 新(大分大学長)
 野村萬斎(狂言師)
 星 正雄(世田谷区立八幡中学校長)
 宮崎英憲(東京都立青鳥養護学校長)
 若月秀夫(品川区教育委員会教育長)

管轄部局
 文部科学省初等中等教育局教職員課 免許係 高田,安部様
 TEL:03-5253-4111(内線2453・2457)
 FAX:03-3508-4409


なお,議事録は下記のHPで読むことができます。
今後の成り行きにぜひぜひ注目していってください。
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/



聾学校における教育の質は,そこで教えている先生の質でもあります。先生の質は,その養成カリキュラム,免許の認定制度によって大きく異なってくるはずです。
また運転免許に話を置き換えましょう。教習所(=大学)で,免許を取るとしましょう。卒業までの時間数は同じです。今までは四輪大型(=聾学校)の免許を取るのに23時間の教習を必要としていた。ところが[大型総合]免許になったので,四輪大型に8時間,二輪大型に8時間,特殊大型に8時間の教習で済ませなくてはいけなくなった。四輪大型の技術は未熟で時々路肩に落ちる。でも[大型総合]免許を持って,四輪大型を実地に運転することになった(=聾学校に採用になった)。
さて,総合化になることで,いったい誰がその利益を受けることになるのでしょうか? 四輪も二輪も特殊も中途半端な教習しか受けずに,路上に出して良いのでしょうか? 委員の中に,聾学校において教えられる側の代表が含まれぬままに,内容を低下させる広く薄い免許状への論議が進められることに危惧を感じています


※ペーパーメディアに対しては転載に関する著作権を頂戴したが,インターネット上での転載は承諾を申請していないため,閲覧できないようになっています。内容は,月刊「実践障害児教育」(学習研究社)340,1,2001をご参照願います。

上は学習研究社が発行している「月刊 実践障害児教育」10月号に掲載された巻頭言です。これに対して,すぐに発行元である学習研究社に下記の文章をファックスで送信しました(10月5日)。編集長よりお電話をいただき,「(月刊 障害児教育への)掲載については検討させて欲しい」との回答を得ました。しかし,未だ掲載されるとの連絡を受けていません。掲載が見込まれるのであれば,二重投稿になりますが,その兆しがないので,以下,編集部に送付したファックスの文面を紹介します。


「月刊実践障害児教育」10月号巻頭提言にて,伊藤鉄夫氏は総合免許状の新設への期待論を表明しています。一方では専門性の向上を唱い,他方では「薄く広く」という総合免許状の導入という氏の考えは相反するものであり,受け入れられる考えではありません。
もちろん,重度・重複,多様化に対応することは必要であり,そのために,複数免許を所持することが可能になっています。伊藤氏ご自身も文中で,養護学校教諭免許状と盲学校教諭免許状の2つの免許状を取られたことを述べておられます。つまり,養護学校免,聾学校免,盲学校免などの複数免許を所持することは制度的に可能ですし,いくつかの教員養成系大学では,四年制のカリキュラムの中で,聾学校一種と養護学校一種など複数免の取得が可能なカリキュラムを用意し,重度・重複,多様化に対応できる教員を養成しています。卒業生の中には,在学時に聾学校免と養護学校免を取得し,聾学校教諭として勤めながら,認定講習で盲学校教諭免を取得している者もおります。さらに,加えて 言語障害,聴覚障害分野の自立活動教諭免許を所持する者も現れています。
盲学校・聾学校のような感覚障害系特殊学校は,点字や補聴器・手話など習得に時間がかかる教育手段を利用しますので,教員の交流が容易になることが専門性の向上に寄与するとは考えられません。むしろ,盲学校,聾学校,病虚弱養護学校の教科担任等の場合には,特殊教育諸学校内の人事交流ではなく,通常の幼稚園,小学校,中学校,高等学校の教諭との人事交流を進め,常に高いレベルの教科教育能力を維持することが必要です。一方で自立活動分野に代表される各障害分野特有の対応が可能な教諭について,期限を定めた異動を画一的に適用すれば,特殊教育諸学校の専門性は著しく低下し,障害のある子どもの保護者が期待する学校の構築は困難になります。
かつ,氏はすべての学部で指導可能となる基礎免許も提案されておられます。しかし,盲学校,聾学校,病虚弱養護学校等では対応の教育が実施可能な部分もあり,教科や学部のある程度の専門性は必要かと思います。聾学校高等部での教科教育と,聾学校幼稚部または0〜2歳を対象とした教育相談活動を行う教諭の専門性を同じ括(くく)りで良いとするならば,伊藤氏に,幼稚園,小学校,中学校,高等学校という分類自体の存在価値をどのようにお考えかと問いたくなります。もちろん知的障害養護学校等では異なる実態があろうかと思います。しかし,それは臨時免許,柔軟な対応といった従前の手法で解決できていることではないのでしょうか。
専門性の向上が必要なことは一致できる考えです。しかし,そのために「薄く広く」すれば良いと言うのは,重度・重複,多様化に対応するための方策とは思えません。むしろ,1)認定講習の機会を拡大し,現職教諭の各所属校種の特殊免所持の義務化,さらに他の種別の特殊免を取得することを奨励する。2)専修免が取得できる認定講習や内地留学制度を充実させる。3)特殊学校教諭の採用試験の実施にあたっては,採用校種に応じた特殊免の所持を受験要件とし,選考にあたっては特殊複数免所持を考慮する。4)専門的能力の高い教諭は画一的人事異動を適用しない。5)専門的能力を持つ教諭かどうかを判断できる管理職を確保するため管理職には各学校種に応じた専修免許状の取得を義務づけるなどの方策が望まれると考えます。

【目次】



衛星劇場
 日本語字幕入り映画放送

12月 渚のシンドバット              9日(日)AM 7:00〜
    野菊の如き君なりき            16日(日)AM 7:00〜
    連弾                   23日(日)AM 7:00〜
    おとうと                 30日(日)AM 7:00〜

 1月 あかね色の空を見たよ            6日(日)AM 7:00〜
    幸福の黄色いハンカチ           13日(日)AM 7:00〜
    息子                   20日(日)AM 7:00〜
    男はつらいよ 寅次郎かもめ歌       27日(日)AM 7:00〜

字幕入り放送へのご意見/リクエスト等は 衛星劇場編成部まで FAX:03-5250-2324
受信に関する照会は,パーフェクTV FAX:03-5802-8438か,上記衛星劇場まで。
詳しくは,〒104-0045 中央区築地4-1-1 東劇ビル5F 衛星劇場まで。
または,衛星デフシアター http://www.eigeki.com/smsvc420.html

【息子】
1991年の山田洋次監督作品。岩手に住む心臓病を患っている父が東京に住む二人の息子を訪ねて行く。優等生だった長男は父に東京のマンションでの同居をすすめる。なにをやっても長続きしなかった末息子。その末息子は,町工場で働く若い娘に恋をする。想いを伝えようとするのだが,なまりと生来の口下手のため,なかなか話し掛けられない。また,彼女は聴覚障害者なので,末息子の声が聞こえないのだ。その恋は実り,将来を約束した相手として父親に紹介する。最初はとまどう父親であったが,次第に他の兄弟よりも絆を強くしていく。

【目次】



日本語字幕入り映画
 千年の恋ひかる源氏物語

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092(281)0776
映画については, http://www.sennen-no-koi.com/ を参照してください。

【目次】



第5回 International Forum 開催のお知らせ(第1報)

「補聴に関する国際フォーラム(International Forum)」は、聴覚障害児の補聴器装用・人工内耳・聴能など Educational Audiologyに関して外国人講師を招き、世界の実践を紹介する研究会です。2年に1回の開催を続けており、第1回目は1994年、 Mark Ross氏を迎えて、FM補聴器の問題を取り上げ、第2回目は1996年、ロチェスター聾学校の Educational Audiologistである Chris 氏を迎えて、Educational Audiologyの具体的中身を紹介して参りました。第3回目は、Cheryl DeConde Johnson教育学博士をお招きしました。彼女は21年間に渡り、コロラド州のグレーリー学校区の Educational Audiologistとして、0歳から21歳の聴覚障害児のケァに携わり、現在はコロラド州教育省オーディオロジー・コンサルタントとして活躍されておられます。1997年には、この領域のまさに座右の書となるEducational Audiology Handbookを著しています。第4回目は,アメリカEducational Audiology協会の会長Barbara Richard Murphy氏を招き,米国のオーディオロジーの現状を細かくご報告いただきました。
今回の第5回目は,1998年に一度招聘したCheryl DeConde Johnson教育学博士を再度,招聘することにいたしました。彼女はアメリカ マリオン・ダウンズ全米聴力スクリーニングセンターで新生児聴力スクリーニング検査に携わり,主に新生児で聴覚障害を指摘された家族へのサポートや,その後の補聴や教育について指導的立場で携わっています。厚生労働省は3年後に新生児聴力スクリーニング検査を全国的に実施できるよう準備を進めています。モデル事業としていくつかの県では,新生児聴力スクリーニング検査が始まり,4カ月児など0歳児への対応が迫られています。これら聴覚障害新生児への対応は,日本では未開の領域です。今回,Cheryl女史から新生児聴力スクリーニング検査に対応した家族へのサポートのあり方,補聴や教育のあり方を学びたいと思っております。ぜひ、ご参加をお待ち申し上げております。

 日時:2002年2月 9日  東京会場[          ]
    2002年2月11日  大阪会場[          ]

 日程: 9:30〜12:30 C.D.Johnson教育学博士講演
    12:30〜13:30 昼食
    13:30〜15:00 日本側パネラーによる発表
    15:00〜15:20 休憩
    15:20〜17:00 パネルディスカッション

 参加申し込みなど:
    12月中に開催要項を配布します。
    その中で申し込み方法などもご案内する予定です。

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