2001年2月26日(第2・4月曜日発行)

News Source of Educational Audiology

聴能情報誌  みみだより  第3巻  第406号  通巻491号


編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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【目次】第406号

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聴能関連主要研究会日程

インパクト臨床検討会(大阪市)          5月12日(土)
第30回補聴器勉強会(奈良県橿原市)       6月16・17日(土・日)
九州教育オーディオロジー研修会(初級該当)    6月23・24日(土・日)
中四国教育オーディオロジー研修会(初級該当)   7月28・29日(土・日)
近畿教育オーディオロジー研究協議会(初級該当)  8月21・22日(火・水)
愛媛大学公開講座「聴能学セミナー」(中級該当)  8月24〜26日(金〜日)
全日本聾教育研究大会(福井大会)         9月26〜28日(水〜金)
フィッティング・フォーラム(福井)        9月29日(土)
日本聴覚医学会(盛岡)             10月4・5日(木・金)
教育オーディオロジー実習講習会(上級該当)   11月23〜25日(金〜日)
International Forum 2002       2002年2月9・11日(金・日)

【目次】



95年ミス・アメリカ「ヘザー・ホワイトストーン」講演記録

95年度ミス・アメリカの栄冠に輝いた重度難聴者である「ヘザー・ホワイトストーン女史」が来日し,2月23日に東京,池袋のワールドインポートマートで講演を行いました。この講演の要旨を入手できましたので,下記にご紹介します。


Heather Whitestone McCallum
Former Miss America 1995

スターズ STARS
行動による成功と夢の実現
(Success Through Action and Realization of your dreams)

時に人生は驚くようなことが起こります。しかし、時にはそれが夢の実現に結びつくこともあるのかもしれません。
約20年前、アラバマの小さな町に住む耳の聞こえない少女は、いつの日か聞くことができない音楽に合わせて大観衆の前でバレーを踊り、そして栄冠を勝ち得ることを夢見みていました。1994年9月17日その少女は4千万人のテレビ視聴者の前でバレーを踊りました。そしてミスアメリカの栄冠を勝ち得ました。彼女は自分の夢に信念を持っていました。
私はそんな少女でした。そして皆さんにも夢はかなうということを知って欲しいのです。もしかなわないのであれば、神は自分自身より大きく、すごいものへの憧れを抱く心を人間に授けたりするのでしょうか。
夢は旅と同じです。たとえ私が皆さんのことをよく存じ上げなくても、皆さんは神から授かった人生の目的や計画−つまり夢をお持ちであると存じ上げます。皆さんは神から夢を授かったのです。そして偉大なる挑戦と喜びはその結果がどうであれ、夢を追いつづけることにあるのです。私は28歳ですが、まだ旅を続けています。そして神が授けてくださった私の夢に向かっている途中なのです。旅の途中で私は耳が聞こえなくなりましたが、話すことを学びミスアメリカに選ばれ、アメリカ中を旅し、素敵な男性と結婚し、母になりましたが、まだ夢を抱いています。私はまだ私の心に耳を傾けます。そして皆さんにもご自分の心に耳を傾け、夢を追いつづけて欲しいのです。
皆さんを夢の達成に向けて導く前に、少し私の子ども時代のことをお話したいと思います。それはSTARSという言語発話発達における基礎プログラムを身に付ける際にサポートしてくれた、私の家族と友達に関することです。私は生れたときは聞こえていましたが、18ヶ月になったある朝、私は異常な高熱とともに目覚めました。非常に重い病気で、熱は40度にもなりました。まさに生死の境をさまようという状況でした。その後なんとか回復しましたが、これは私の人生そのものを、そして私の家族の生き方をも変える大きな事件でした。
熱を下げるために医師は2つの異なる種の抗生物質を投与しました。その抗生物質は非常に強く、また危険を伴うものでした。しかし、私は生死の淵にあり、非常手段ではありますが、この状況から回復するには他に方法はありませんでした。不幸にもこのとき、投与による副作用により、今後視力および聴力を失い、知的障害を引き起こす恐れがあったのです。
抗生物質は効果があり、熱は冷めました。2週間の入院の後、医師の了解のもと、私は家に帰ることができました。しかし、このときはまだ私が聴力を失ったことを両親は知りませんでした。
2、3ヵ月後の1974年のクリスマスの日、母が家族に伝統的なクリスマスディナーを急いで料理していたときです。キッチンキャビネットを開けたとき、ポットやらフライパンやらを一斉に落としてしまったのです。その音たるやものすごいもので、部屋中の皆が飛び上がってびっくりしたほどです。その時私がクリスマスツリーで遊んでいるのを見ていた祖母が母を心配そうに居間へ呼びました。
「ダフニー」。祖母は心配そうに私を見ながら言いました。「ヘザーの耳だけど、聞こえにくいような気がするのだけど・・・あなたがフライパンとかを落としたとき、ステファニー(私の叔母)と私は心臓が飛び出るくらいビックリしたけど、ヘザーはそっちを見もしなかったのよ。」
私の耳が聞こえないという祖母の考えを信じようとしなかった母はおもむろにフライパンと木のスプーンを手に持ち、私の耳の後でバンバンと音を鳴らし始めました。でも私は後にいた母に気づくことはありませんでした。ただクリスマスツリーの光と手に持っている新しいおもちゃを眺めていたのです。
医師は家族にこう告げました。“ヘザーはもう普通の人生は送れない、うまくしゃべることもできない、3年生以上の教育にはついていけない、自分で車を運転することもできないだろう”と。しかし、私は今こうして皆さんに私自身の声で講演を行っています。私は高校を手話通訳無しで、優秀な成績で卒業しました。大学にも行きました。運転免許は16歳の誕生日の日に最初の試験で合格しました。私の二人の姉妹は最初の試験では合格できませんでした。ちなみに彼女たちは障害を持っているわけではありません。私は両親が医師の意見を全く無視してくれたことに感謝しています。両親は愛をもっと注げば、もっともっといろいろなことが可能だと確信したのです。両親は私が神より授かった夢の実現を夢見るようになりました。愛そのものがそうであるように、両親はあきらめることをせず、信念を失わなかったのです。両親は前向きな姿勢を実演し、私はそれを見て学びました。
従って、私が言語発話の基礎を習得しているとき、家族の皆がこのSTARSプログラムの基礎を教えてくれたのです。STARSとは行動による成功と夢の実現(Success Through Action and Realization of your dreams)のことです。ここには5つのスター(星)があり、成功に導く5つのポイントがあります。一つは“前向きな姿勢を保つこと”。二つ目は“ゴールを持つこと”。3つ目は“努力をいとわないこと”。4つ目は“困難に向き合うこと”。そして最後は“自分をサポートしてくれる仲間を作ること”です。
まず始める前に、夢の達成は可能であると信じなくてはなりません。ある人とある人を見たとき、その違いは非常に小さいものですが、その小さい違いが非常に重要なのです。その違いとは物事に対する姿勢であり、それはポジティブにもネガティブにもなり得ます。もし皆さんが神のご加護を信じ、そして神が皆さんを夢の実現へ導いてくれると信じれば、それは可能なのです。
ミスアラバマコンテストの審査員に、どのようにハンディキャップと向き合ってきたのですかと尋ねられた時、私は答えました。「あなたと同じ方法で」と。すると彼らは意外と思ったのか目を大きくさせたので、私はちょっと笑ってしまいました。彼らもまた人生におけるそれぞれのハンディキャップと戦っているのです。中には私のハンディキャップよりもっと大きなものを抱えている人がいるかも知れません。彼らに説明しました。もし何かが私をステージで踊ることや皆さんの前で講演することを妨害したのであれば、それは私の耳が聞こえないからではなく、私がネガティブな姿勢をとったからです、と。私はこの世の中で最も大きな障害というのはネガティブな姿勢以外にないと心から信じています。
ミスアメリカコンテストの際に、自分の声に不安を感じました。ステージで自己紹介をしたとき皆理解してくれるのか、と。私の声はちょっと違うのです。実際、あるレストランでフランス人のウェイターが私が注文するのを聞いて、驚きのまなざしで私を見て、尋ねてきました。「フランスから来たのですか? 私はフランス人ですが、あなたはフランス語のアクセントがある」と。
従って私はフランス語のアクセントがあります。でもフランス語を習ったことは一度もないのですけどね。
まあ、私の声に関する冗談は置いといて、私は自分が経験したことに関しては常に肯定的に解釈するように努めています。アメリカ人がフランス語のアクセントを持つミスアメリカを望むのかなあと思ったことはありますけど。
サイエンスフィクションのベストセラー作家レイ・ブラッドベリー氏が成功への鍵を教えてくれています。それは“自分のやっていることを好きになり、やりとおしなさい”です。また、MCIテレフォンネットワークの創立者のジャック・ゴーケン氏は“何事も不可能ではないと信じなさい。何回失敗しても構いません。あなたに必要なのはたった一回の成功なのです。”と説いています。私はこのような前向きな姿勢が好きです。
失敗は誰にもつきものです。しかし、ネガティブな姿勢がこの世の中で一番のハンディキャップであると私は信じています。私が失敗をしたときは、その原因を神や運命、また環境などの周りのせいにするのではなく、私のネガティブな姿勢が原因なのだと考えます。時に私たちは失敗をしますが、それは失敗するような計画だったからです。時に私たちは準備が整わないうちに夢の達成を試みることがあります。時に神は次なる新たな挑戦をさせるために、現在の挑戦における失敗をお許しになります。どんな大きな失敗をしても信念を持ちつづけ前向きな姿勢を崩さなければ、再び挑戦しつづけられるのです。
2番目のポイントは夢を持つことです。夢の達成と同様に、教育は立派な夢です。私は耳が聞こえないからミスアメリカに選ばれないとは考えませんでした。なぜなら私は一生懸命勉強や諸活動に勤しんだからです。ですから若者たちに高校をドロップアウトしないで、少しずつで良いから夢に向かって勉強や様々な活動を続けることを奨励しています。
エボニーマガジンのジョン・H・ジョンソン氏は小さな夢から始めなさいと訴えています。“短期間でなし得るゴールを設定なさい。大きな夢は自分の届く範囲から遠くにありすぎてしばしば嫌になることがあります。しかし、小さなゴールの達成は、次のゴールへ向かう確信を与えてくれます。”
私の夢はミスアメリカコンテストにおいて4千万人のテレビ視聴者の前で、聞くことができない音楽に完璧に合わせてバレーを踊ることでした。これは実現不可能な夢のように思え、当時はやる気を失いかけたことがありました。しかし、コンテストの2年前に短期間でなし得るゴールを設定し始めました。音楽に合わせて拍子をとることを始めました。拍子の数を数え、覚えることを始めてから2ヵ月後、次のゴールへ向かう自信が湧いてきました。ダンススタジオに行き、そこで先生に私の頭の中にある音楽にステップを振付けてくれるよう頼みました。まず、音楽の最初の30秒に特化してステップを振付けました。徐々にですが、翌月には完璧なステップを振付けることができました。それから次の30秒に特化して更なるステップを振付けていき、またその翌月には完璧なステップを振付けました。音楽は2分30秒あったので振り付け終えるまでに少なくとも一年を費やしました。
しかし、大きな夢の実現に向けてやり残している短期間のゴールがまだありました。ミスアメリカコンテストのステージに立つ一年前、実際にコンテスト会場に足を運んでみました。そこで音楽がよく聞こえず、音楽の始まりの部分が聞こえないことがわかりました。音楽の最初の部分を聞きとることは、頭の中で拍子をとっている私にとって非常に重要なことでした。観衆の数はフットボールの約2倍という大観衆です。つけている補聴器からは拍手や会場の騒音ばかりが聞こえました。そこで新たな短期間ゴールを設定しました。翌年の1年間、療養所の特にうるさいカフェテリアや学校のジム、そして大聖堂のある教会での練習を続けました。次第に騒音にもなれ、このような環境も違和感がなくなってきました。ミスアメリカコンテストのステージで踊るまでは、短期間のゴールを次々にクリアしてきた私にとって、全く緊張するものではありませんでした。
STARSプログラムの3番目のポイントは積極的に懸命に努力するという気持ちです。人は皆、懸命に努力すべきなのです。補聴器を使って聞く訓練のために、母親は口元を手で隠してしゃべっていましたが、そのことに対処する必要がなければ良かったのにと思うこともあります。しかし今となっては、やり遂げたことにとても満足しています。なぜなら家族や友人と電話で話せるようになったからです。赤ん坊のための品物を電話でオペレータに注文する事だってできるのですから。
一つの曲に合わせて踊る練習を、週に5日、毎日2、3時間しました。時には同じことを何回も何回も繰り返すことにうんざりしました。だから皆さんがどういう気持ちで私に「仕事が大変で疲れるよ」とか「毎晩宿題ばかりでうんざりだ」というのかが分かるのです。
泣きながら「主よ、どうしてこんなに過酷な運命を私に課すのですか?」と神に訴えていた時期もありました。しかし神はどんな問題にも理由があるのだということを気付かせてくれました。もたらされた困難や試練は私を強くしてくれましたし、十分に強くなれない時には神に頼ることを教えてくれました。神がなにかの課題をもって、皆さんを呼ばれた時には、自分の中のエネルギーすべてを使って準備すべきなのです。
夢を実現するにはたゆまぬ努力が必要です。懸命に努力すればしただけ、ありがたみも増します。
4番目のポイントは自分の限界を直視することです。誰でも人生の中で困難に直面します。私はヘレン・ケラーの例にとてつもない刺激を受けてきました。私と同じアラバマ出身のヘレンは、耳が聞こえず目も見えませんでした。そのうえ、幼い頃は教育するのはとても無理だと決めつけられ見捨てられていたのです。ヘレンは私が経験してきたよりももっと困難な障害を持っていました。ところが、私は彼女の賢明さに驚かされました。ヘレンは話されている言葉を聞くこともできなければ本で調べることもできなかったのに、それでもなお、素晴らしい物語を書いたのです。「何が問題かを認識しなさい。でも決してそれらの問題に征服されないようにしなさい」ヘレンがしばしば口にしていた言葉です。「自分が直面している問題から忍耐、愛らしさ、思いやりを学ぶのです。他の人々の人生や自分自身の人生にどんな奇跡が起きるかは誰にもわからないのですから。」
私自身、ミスアメリカになるのに自分の限界に直面しなければなりませんでした。初めてこのような大会に参加したのは、ミスアメリカの栄冠を得る3年程前のことです。私はインタビュー室に入りましたが、他の聴者の参加者と同じように扱って欲しいと思っていました。私の聴力障害が問題でした。他の参加者のように聞くことはできなかったのです。その大会に勝つことはできませんでした。聴力障害のみが敗因ではありませんでした。状況を支配する能力がなかったのです。家族の助力で真実を理解しこのとてつもない困難に打ち勝ちました。
母は言いました。「ヘザー、審査員達はとまどったのよ。だって、どうすればうまくコミュニケーションが取れるかを、説明しなかったでしょう。あなたの顔を見ながら話さなければいけないなんて、知らなかったのよ。ゆっくり話すように言うのよ。あなたと上手にコミュニケーションを取る方法を誰でも無意識に知っているなんて期待してもダメ。バリアが発生しそうになったら、先手を打ってバリアを取り除くのよ。」
こんなふうに応援されれば、がんばって続けていくしかないないですよね。私は自分の問題を直視し理解しなければなりませんでした。自分の問題を学習して成長しなければなりませんでした。審査員に対して、そして自分自身に対しても、誠実にあらねばなりませんでした。
それで、次にコンテストに参加した時は、インタビュー室に入ると、まるで旧友にでも会ったかのように、にこやかに微笑んで審査員に挨拶しました。空いている席まで歩いていき、腰掛け、審査員一人一人の目を見てから、母親のアドバイスを実行しました。
「こんにちは。ヘザー・ホワイトストーンと申します。」私は続けました。「私は耳が聞こえません。が、唇の動きが読めますので、ゆっくりと私の方を向いて話して下されば、おっしゃっていることを理解できます。こんなことは朝飯前ですので、ご心配には及びません。もし理解できないときは、質問を紙に書いて下されば喜んでお答えします。」
審査員は、一斉に微笑みました。私の誠実な態度が彼らに、そして私自身にも、気楽な雰囲気をもたらしたのです。審査員達は私の誠実さを評価して、心を開いてくれました。すばらしいインタビューでした。笑いが絶えず、まるで友達同志がするいつものおしゃべりのようでした。今までで最高のインタビューでした。いえ、ミスアメリカ大会中のインタビューよりも素晴らしかったと言えます。
自分の限界を直視するということは、自分がぶつかっている困難が原因で自分自身に対して低めのゴールを設定するべきだという意味ではありません。ただ、困難に打ち勝つ為には現実的に困難に対峙しなければなりません。限界が存在しないように振舞っていては限界に打ち勝つことはできないのです。
STARSプログラムの最後のポイントは能力のあるサポートチームを結成して利用することです。サポートチームなしで幸福や成功を手にいれることはできないと思っています。サポートチームのメンバーは私の抱えている問題を異なった視点から検討できるよう助力してくれます。私を哀れむことなく、私がベストを尽くせるように挑戦させてくれます。先生方もまた教育を与えてくれました。
サポートチームは「神のご加護があれば何だってやり遂げられる」ということを気付かせてくれる人々で構成されます。サポートチームのメンバーになるのは両親、教師、教会や集会に集うの人々、あるいは皆さんの人生において影響を及ぼすような人々でしょう。
もし自分のサポートチームがなければ絶望的です。あなたの夢は実現しないでしょう。この広い世界の誰一人として、たとえ一番パワフルなリーダーですらも、彼女または彼自身だけで偉大な業績を成し遂げることは不可能です。万一「自分だけの力で実現した」などと言う人がいれば、私はその人のことを、とんだ愚か者だと思うでしょう。私には分別というものがあります。
時折がっかりして落ち込むのは自然なことです。私はバレリーナでありミスアメリカでありながらも、いまだに自分自身について不安な気分になります。時には夫が私のSTARSプログラムを彼の口から聞きたいかと尋ねてきます。
スピーチを終えるにあたって、教会の説教で聞いた、元気付けられる実際にあったお話をしたいと思います。両親を無くした少女がいました。ある医者は、彼女が法律で言うところの盲目であるという、ただそれだけの理由で、彼女の将来には何の希望もないといいました。施設の年配の女性はこの医者のコメントを信じようとはしませんでした。なぜなら神が少女の人生について何か計画を持っていると信じていたからです。女性はこの少女の部屋をしばしば訪問しましたが、少女が応えることはありませんでした。そこでこの女性は甘いお菓子を作って少女の部屋に置いてくることにしました。もし少女がお菓子を食べてくれれば、少女の人生に触れることができると考えたのです。この女性が少女の所へ戻ったとき、その甘いお菓子はなくなっていました。しだいに少女は心を開き、身の回りの世界とコミュニケーションを取り始めました。
数年後、この少女は若く美しい女性に成長しました。例の医者はようやく「成長したから施設を出ていっても良い」と言いましたが、彼女は去りませんでした。彼女は施設に残って子ども達の人生の琴線に触れたいと思ったのでした。かつて、自分自身の人生が触れられたのと同じように。ついに彼女は耳が聞こえず目も見えない子どもの心をつかみました。その子どもの名前はヘレン・ケラーといいました。彼女自身の名前はアン・サリバン。ヘレン・ケラーの“奇跡の”教師です。
誰でもこの年配女性のように人々のサポートチームの一部になることができるのです。あなたはアン・サリバンでもヘレン・ケラーでもないかもしれません。しかしながら、この一人の年配女性の存在がなければ、たぶん、世界の人々がアン・サリバンやヘレン・ケラーの名前を知ることはなかったでしょう。幼いアン・サリバンに向けられた彼女の優しさがあったからこそアン・サリバンがヘレン・ケラーの心をつかめたということを、年配女性は知る由もなかったでしょう。ヘレン・ケラーが言ったように、ひょっとすると素晴らしい奇跡を人々の人生にもたらすかもしれないのです。これが成功の真の意味なのです。
前向きな態度でのぞみ、夢を失わず、自ら懸命に努力し、自分の抱えている問題を現実的にとらえ、そしてサポートチームがいれば、そうすれば、どんなことでも実現可能だということを、忘れないで頂きたいと思います。

【目次】



関連学会誌・研究会誌Contents

The Volta Review 101(3),1999
Individual Differences in Effectiveness of Cochlear Implants in Children Who Are Prelingually  Deaf : New Process Measures of Performance
 David B.Pisoni,Miranda Cleary,Ann E.Geers and Emily A.Tobey.111-164
The Psychological Development of Children Who Are Deaf or Hard of Hearing::A Critical Review
 Christine M.Ita and Howard A.Friedman.165-181
BRITISH JOURNAL OF AUDIOLOGY 34, 2000
Universal neonatal hearing screening-parental attitudes and concern
 L.Hergils and A.Hergils 321-327
Evidence on the efficacy of insert earphone and sound field VRA with young infants
 J.Day,J.Bamford,G.Parry,M.Shepherd and A.Quigley 329-334
Speech perception with steeply sloply hearing loss:effects of frequency transposition
 H.J.McDermott and M.R.Dean 353-361
Insertion gain measurements using two low-powered analogue hearing aids
 M.Norman and P.James 375-377

【目次】



日本語字幕付き映画
 「ドラえもん・のび太と翼の勇者たち」他

例年の「ドラえもんフェスティバル」に,日本語字幕付きの上映が決定となり,下記のように上映期日が決まりました。上映時間等の詳細は直接劇場に問い合わせてください。映画の内容についての詳細は,東宝のホームページ http://toho.co.jp/doraemon2001/ をご覧下さい。このホームページからは,割引券(一人200円)も入手できます。http://toho.co.jp/doraemon2001/camp_02.html

 地区日 程 劇場名  電話番号 FAX番号
 北海道
 関東
 
 
 
 東北
 中部
 
 
 
 
 
 
 関西
 
 
 
 
 
 
 
 
 中国
 
 
 
 四国
 九州
 
 
 
 
 
 
 4月14日(土)〜20日(金)
 3月24日(土)〜3月28日(水)
 3月24日(土)〜3月28日(水)
 3月31日(土)〜4月 4日(水)
 4月14日(土)〜4月20日(金)
 3月31日(土)〜4月 4日(水)
 4月 7日(土)〜4月11日(水)
 4月 7日(土)〜4月10日(火)
 3月24日(土)〜3月27日(火)
 3月30日(金)〜4月 2日(月)
 4月 6日(金)〜4月 9日(月)
 4月13日(金)〜4月15日(日)
 4月18日(水)〜4月20日(金)
 3月24日(土)・25日(日)
 4月 4日(水)・5日(木)
 4月 8日(日)〜10日(火)
 4月 8日(日)・9日(月)
 4月13日(金)〜4月15日(日)
 4月14日(土)・15日(日)
 4月18日(水)〜4月20日(金)
 4月18日(水)〜4月20日(金)
 5月 6日(日)
 3月28日(水)
 3月29日(木)
 3月31日(土)・4月1日(日)
 3月31日(土)・4月1日(日)
 4月 4日(水)・5日(木)
 3月24日(土)・25日(日)
 3月28日(水)・29日(木)
 4月 2日(月)・3日(火)
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 097-535-0022
 092-762-5400
 096-351-8887
 099-222-1310

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ビデオ発売
  「金沢方式」における文字指導

聴覚障害児のための言語訓練法「金沢方式」における文字指導ビデオ販売のご案内

先に,金沢方式研究会の初期段階で用いている手話についてのビデオを作成し,ご好評を得ました。今回は,金沢方式の中核でもある文字指導を中心としたビデオを作成しましたので,ご案内致します。このビデオでは,文字指導の理論的根拠,手話や文字言語を併用しても話し言葉の発達が遅れないこと,むしろ文字言語は話し言葉の発達を促進するものであることなどが紹介されています。あわせて,実際の家庭での親子による訓練場面も収録されています。

価 格  第2巻 1万円(約20分:送料込み)
申込先  金沢方式研究会事務局
     〒920-0934 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
     FAX:076-234-4265
今後の発売予定
     第3巻 後天聾例における人工内耳装着の経過(7年間の経過)

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関連新刊図書紹介

★これが大阪の手話でっせ
 大阪聴力障害者協会 星湖舎 1500円 4-921142-53-X
★21世紀耳鼻咽喉科領域の臨床:CLIENT21:13 口腔・咽頭
 野村恭也総編集 中山書店 31000円 4-521-59121-3
★障害児教育に生かす心理学 橘英弥編著 朱鷺書房 1600円 4-88602-526-9
★障害保健福祉六法:平成13年版
 障害者福祉研究会監修 中央法規出版 5300円 4-8058-4323-3
★社会福祉六法:平成13年版
 社会福祉法規研究会監修 新日本法規出版 5000円 4-7882-0259-X
★構音と音韻の障害:音韻発達から評価・訓練まで
 John E.Bernthal編著 協同医書出版社 6400円 4-7639-3016-8
★WIBA:保健+医療+福祉の現代用語
 幸田正孝他監修 日本医療企画 11429円 4-89041-439-8
★音声障害 苅安誠編著 建帛社 2600円 4-7679-4514-3

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補聴器相談員
 聴覚障害者情報提供施設に
        専任の補聴器相談員を設置

山口県聴覚障害者情報センター(山口市陶)では,このほど,補聴器相談担当職員を新規採用することになりました。同センターは全国の聴覚障害者情報提供施設の中で,唯一,専任の補聴器相談員を置いており,山口県の難聴者のために活躍が期待されています。今回,採用となったのは,清水久美子さん。清水さんは愛媛大学教育学部大学院修士課程を修了,聴覚障害児の教育を専攻するとともに,補聴器調整技術を修得,今回の採用となったものです。

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聴導犬
 聴導犬デモンストレーション

 下記の日程で日本聴導犬協会が聴導犬のデモを行います。

  3月29日(木) 13:00〜 愛知県熱田区社協主催
  5月27日(日) 13:00〜 南知多ビーチランド(愛知県知多郡美浜町奥田428-1)
             TEL:0569-87-2000 FAX:0569-87-3776
             http://www.meitetsu.co.jp/meitetsu/bl/hyoushi.htm
             場所:イルカスタジアム
             講師:日本聴導犬協会会長  有場もと

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冊子紹介
 歯科医院で使う手話読本

歯科医院で使う手話読本
歯科医院での会話を想定して作られた手話の本。全面カラー写真でわかりやすいが,収録されている手話数は少なく,また冊子代も高価。筆談チャートの他,腕を歯に見立てて説明する方法などオリジナルな部分もある。手話指導は石崎氏。氏は筑波大学附属聾学校の非常勤講師を詰めている。
1冊4000円+税(送料380円)。購入は口腔保健協会へ。FAX:03-3947-8073。詳しくは,下記のホームページでも紹介している。
http://www.kokuhoken.co.jp

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業界話
 補聴器業界は次々と合併・吸収,社名変更

ここ数年,補聴器業界の合併や吸収が非常に増えてきた。
オーティコン社はFM補聴器の老舗ホニックイヤ社を吸収。
デンマークのGNダナボックス社はアメリカのリサウンド社を吸収。GNリサウンド社に社名を変更した。
アメリカのベルトーン社はオランダのフィリップスの補聴器部門を買収した。
さらにGNリサウンド社はそのベルトーン補聴器を買収した。
昨年末,スイスのホナック社はカナダのユニトロン社を吸収。

このような世界的な動きに対し,日本国内は独自の動きをしていて,大きな影響を受けずにきた。例えば,ホニックイヤの耳かけ形FM補聴器は日本オーティコンが市販するのではなく,某社が販売しているし,リサウンドの補聴器はHOYA系列でのみしか販売されていない。スイスのホナック本社がユニトロン社を吸収したとしてもユニトロンブランドの補聴器はNJHが販売し,その逆でホナックの補聴器は理研産業以外のチャネルでは販売されない。
しかし,今年に入り,国内でも動きが出てきた。1つは 日本補聴器販売株式会社がデンマークのワイデックスの子会社になり,「ワイデックス株式会社」になった。さらに4月からダナジャパン社と日本ベルトーン社も,デンマークのGNリサウンドに買収・合併され,「GNダナジャパン」社として営業活動をすることになった。「GNダナジャパン」社は,人工内耳のメーカーであるコクレア社,Extend-Earやインパクトを製造しているAVR社との関係は従前通り維持する予定という。
そのほか,国内某社とリサウンド社は共通のアメリカのメーカーから補聴器の主要部品の供給を受けているし,スターキー社も別の会社が開発したアンプを自社ブランドで販売している。さらに国内某社はワイデックスの補聴器を自社ブランドで販売するなど様々な提携関係も生まれつつある。
これらの動きは補聴器の急速なデジタル化の中で,1つのデジタル補聴器の開発・製造コストを回収するために大きなマーケットを手中に入れる必要があること。広告への資本集中が迫られているという事情がある。デジタル補聴器の開発・販売では,ワイデックス/シーメンス/オーティコン/GNリサウンド/スターキー/ホナックなど主要メーカーがさらなる生き残りをかけた攻勢をかけている。その下の中小の部品供給会社は,リーズナブルなアンプや,使い捨て補聴器など新しい販路を求めて動き出している。大資本の補聴器製造会社が業界を占めてしまうことは,ある意味では独自性のある補聴器などが生まれにくい構造となるのではないかとも心配していまう。世界で最初に耳かけ形FM補聴器を製造したAVR社も非常に小さな企業で,過去にユニトロン社,スターキー社に製品を供給する話があったものの,結局は頓挫している。ユニークな補聴器を作っていく補聴器メーカーにも日が当たる業界であって欲しいと願っている。

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冊子紹介
 聴覚障害児の理解のために 第28集
      「補聴器の上手な使用法」

補聴器の上手な使用法
本書は今から7年ほど前に出版された聴覚障害児の理解のために:第21集「補聴器の上手な使用法」の改訂版です。
本書では大空晴子さんという架空の聴覚障害児が小学校に入学してからの1年間,春・夏・秋・冬の各季節で経験することを読むことで,補聴器について学べるようになっています。
新しく聴覚障害児を担任することになった小学校の先生を主な対象として書いてありますが,初めて補聴器に出会ったばかりの方にもわかりやすい「補聴器入門書」としてもお使いいただけると思います。
第21集からの改訂箇所はFMに関する内容が主。平均聴力に関する記述も書き加えた。
1冊400円(送料別)。書店で扱っていないので,入手希望の場合は,発行元である「全国難聴児を持つ親の会」に依頼することになる。FAX:03−3488−1236。
4月下旬締め切りで,編集部でもお申し込みをお受けする。



 「補聴器の上手な使用法」申込書   送信先FAX:089−946−5211

ふりがな
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連絡先:(郵便番号 □□□−□□□□

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