2000年1月24日(第2・4月曜日発行)


News Source of Educational Audiology

聴能情報誌 みみだより 第3巻 第382号 通巻467号


編集・発行人:みみだより会、立入 哉 〒790−0833 愛媛県松山市祝谷5丁目2−25 FAX:089-946-5211
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【目次】第382号

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International Forum '2000
教育オーディオロジー
米国における最近の動向と今後の展望
EDUCATIONAL AUDIOLOGY
TODAY AND TOMORROW A UNITED STATES PERSPECTIVE

招聘講師
Barbara R. Murphy, M.A., CCC-A, FAAA
イリノイ州オーディオロジーサービス コーディネータ
アメリカ教育オーディオロジー協会 会長

講演の概要
T.教育オーディオロジーの最近の動向
 アメリカ教育オーディオロジー協会
 臨床活動の展望
 推薦される内容
 意見声明
V.より焦点を絞って
 コミュニケーションの方法
 人工内耳
 聴能学習
 個別教育計画(IEP)の立案
 教室教師との連携
 軽度または一側性聴覚障害児
U.教育オーディオロジーの今後の展望
 聴覚障害児の数
 教育オーディオロジストの数
 容認できない結果
 望まれる結果

添付資料
1.スライド
2.聾児および難聴児への教育とコミュニケーションに最も良く使用されるコミュニケ−ション方法とその考え方
3.教育オーディオロジストと人工内耳
4.聞こえの発達プロフィール(Appendix 7-C)
5.個別教育計画チェックリスト(Appendix 11-A)
6.オーディオロジーに関する最終目標と短期目的
7.担任教師への一般的紹介状(Appendix 4-H)

【目次】



機器紹介
 ボディソニック・システム
 音声言語学習機器《振動体感で言語学習》

 ボディソニック・システムとは? みみだより363号P7でボディソニックのシステムについて紹介したが,これは音声を低音化し,身体に振動(トランスデュ−サ)として伝える装置のことである。VTM(バーボ トーナル メソッドあるいは,ヴェルボトナル メソッド)と呼ばれる聴覚言語障害児者の発音訓練法を支える機器として開発されている。「言語学習用ボディソニックシステム JX−1」は,そもそもパイオニアの子会社 ボディソニック社が製造していたものだが,販売社が変わり,ヴェルボトナル・ジャパン社が新たに販売を継続している。
 ヴェルボトナル法(言語聴覚法)とは,リズム・イントネーション等の言語の調子や聞き取りを重視した聴覚言語障害者等に言語を教える理論体系。この理論に基づき椅子の上に置いたクッション(振動体)に座り,もう一つの小型クッションを手に持ことで,マイクへの発話音声を二つのクッションに振動として伝えることができる。また,外部入力にてテレビやラジカセ等での外国語学習や音楽を楽しむことに応用できる。
ボディソニック システム構成
システム構成

【目次】



お知らせ
 大阪市立聾学校高等部の手話劇上演

 3月3日の「みみの日」を記念して,社団法人大阪聴力障害者協会の「みみの日記念大会」 が毎年開催されています。今年で22回目となる大会には,大阪市立聾学校高等部2年生による手話劇が披露されることになりました。
 この劇は,昨秋の大阪市立聾学校文化祭で上演されたもので,学校内外の来場者から好評を得ており,今回の大舞台での公演となりました。聾学校の高等部の生徒自らによる作品で,高等部の子どもたちの様子を知る絶好にチャンスとなると思います。現在,下記の主催元で前売りチケットを販売中です。

日 時: 2月27日(日)12時40分〜16時30分
会 場: 大阪国際交流センター大ホール(大阪市天王寺区上本町8−2−6)
地下鉄谷町9丁目駅下車南へ徒歩約10分
内 容: ◆講演「車椅子ダンスと私」講師:松島 トモ子
◆アトラクション
 ・車椅子ダンス実演(出演:ジェネシス)
 ・手話劇「先の見えない promise 〜約束〜」
   出演:大阪市立聾学校高等部2年
参加費:
大人  2,500円(当日券 3,000円)
小中高校生  1,000円(当日券 1,000円)
主 催: 社団法人大阪聴力障害者協会
大阪市中央区谷町5−4−13 大阪府谷町福祉センター3F
TEL:06−6761−1394 FAX:06−6768−3833

【目次】



Q:VRA特集に関して
 学校でオージオメータ連動のCORを使って,光刺激を1つで検査をしているのですが,これもVRAなのでしょうか?

:VRAとしての使用も可能だと思います。しかし,光刺激が2つだと混乱するように思います。いっそのこと片づけてしまった方が・・・。また,オージオメータ連動だと 音→光といった最初の条件付け場面や,プレィ時にオージオメータのダイヤルを下げているときに子どもが偶然ボタンを押してしまったときに光ってしまったり,かえって意図的に光報酬を与えられないことが多いような気がします。光のコントロールは音とは別の回路で,足で意図的に操作できるようにしておいた方が検査しやすいように思います。

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冊子紹介
 「学校における障害者の雇用促進」
     障害者雇用マニュアル 89号(1999.3月号)

 日本の法律では,障害者を一定の割合で雇用する義務があり,具体的には,私立の学校法人では1.8%,公立学校では2.0%の雇用義務があります。そこで,日本障害者雇用促進協会が全国の学校で働く障害者の方を紹介したパンフレットが「学校における障害者の雇用促進」です。内容としては,様々な障害を持った8人の先生方が紹介され,その他にも教育現場で働く障害のある職員に対しての配慮等について書かれてあります。
障害者雇用マニュアル89号
 ここでは,神奈川県立高浜高等学校の美術教師,原康夫先生を紹介します。原先生は2歳で失聴し,聾学校の小学部,普通中・高を経て大学の芸術学科へ入学。大学卒業後に神奈川県の教員採用試験に合格し,現在の高浜高校で4校目になります。採用当初は同僚の教師と一緒に授業を担当していましたが,現在では一人で行っています。
 では,どのような学校生活を行っているのでしょう。
 週10時間の美術と福祉教養コ−スで4時間の手話の授業を受け持っている原先生は,美術の授業にも手話を採り入れており,例えば,自分の名前を手話で描かせることなどを行っています。また,手話コミュニケ−ション部の顧問も務め,全校集会などの際,先生のそばで手話部員が手話通訳を行っています。その他,1年生の副担任,さらに生徒会指導部の一員でもあるなど,精力的に活動を行っている様子が分かります。
 原先生が教師を目指した理由をこう書かれています。
 「それまでの僕は,耳が聞こえないからと何事にも退いていました。でも障害があってもどんどん外に出て,社会で活躍する先輩たちを見て,自分は学校の先生になろうと決心したのです。」
 今後も原先生に続く聴覚障害を持つ教師が増えることを期待したいと思います。

資料請求先:日本障害者雇用促進協会
〒105-0022 東京都港区海岸1−11−1 ニュ−ピア竹芝ノ−スタワ−
FAX:03−5400−1635 http://www.jaed.or.jp
冊子代は無料。

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文部省答申
 教育職員養成審議会 第3次答申

 昨年,12月10日付けで,文部省教育職員養成審議会は,第3次答申を行った。題目は,「養成と採用・研修との連携の円滑化について」。以下に関係の深い項目を抜粋した。全文は http://www.monbu.go.jp/singi/yosei/00000214/ から入手できる。

目次
T はじめに
U 教員に求められる資質能力について
  1.教員に求められる資質能力
  2.養成・採用・研修の各段階における教員の資質能力形成に係る役割分担
  3.教員の各ライフステージに応じて求められる資質能力
V 採用の改善
W 研修の見直し
X 大学と教育委員会等との連携方策の充実
Y 教職課程の充実と教員養成に携わる大学教員の指導力の向上
Z むすび

V−3.具体的方策 
(5)障害者の受験に対する配慮 
 多様な人材を確保する観点から,教員を志望する障害者の受験に対する配慮が必要である。 
 多様な人材を確保する観点から,例えば,点字での試験問題の作成や手話による面接等の実施により受験の機会の拡大を図るなど,教員を志望する障害者の受験に対する配慮が必要である。

3.具体的方策 
(1)教員の自主的・主体的研修活動の奨励・支援 
 都道府県,市町村においては,教育センターを中心に勤務時間外の研修機会の提供,研修に関する情報提供,指導者の派遣等により教員の自主的・主体的研修活動を奨励・支援するよう努めることが必要である。都道府県教育委員会等においては,意欲ある教員を広く対象として,修士レベルの教育機会を現職研修の体系に明確に位置付けることが必要である。

ア 研修機会の提供
 個々の教員のニーズに応じた多様な内容・方法の研修機会を大学等とも連携し,夜間も含め勤務時間外に幅広く提供すること。また,教育センターを活用して教員自らが研修を企画し,自主的に参加することが可能となる環境整備を行うなどの支援を行うこと。ウ 指導者の派遣
 教員が,学校あるいは一定の場所においてグループで自主的・主体的研修活動を行う場合に,そのための指導者を派遣すること。 

(3)教職経験者研修等の見直し 
 盲・聾・養護学校等に転勤した教員等の研修については,障害がある幼児・児童・生徒や特殊教育に関する正しい理解が深められるようにする観点から研修の充実を図る必要がある。  

c.管理職研修 
 盲・聾・養護学校や特殊学級・通級指導教室を設置する小・中学校の校長・教頭には盲・聾・養護学校教諭免許状の保有者等の経験者の配置に配慮したり,特殊教育の経験のない新任管理職への研修の充実を図っていくことも必要である。 

e.盲・聾・養護学校等の教員の研修 
 障害がある幼児・児童・生徒や特殊教育についての理解を深められるよう,他校種から盲・聾・養護学校に転勤した教員に対する研修の充実を図るとともに,特殊学級及び通級による指導を担当する教員への研修の実施や,盲・聾・養護学校教諭免許状の取得のための研修等の充実を図ることに努めることが必要である。


 障害がある教員の採用を充実すること,特殊教育への転入教員,管理職に対する研修の充実など,「今さら・・・」と思うばかりの当然のことではあるが,一応,評価しておきたい。しかし,聴覚障害者教員の新任教員研修の際に手話通訳が付かないなどの異常な事態も生じていると聞いている。雇用後の課題も忘れないで欲しいものだ。その他,教員の自主的研究会の促進が記述された。本誌で紹介している「International Forum 2000」,各地の教育オーディオロジーに関する研修会もこの類に入る。このような会への支援や教員の派遣について積極的にあるべきとの内容はたのもしい。各校でぜひ,この答申の活用を考えて欲しい。

【目次】



2000年度 AAAは、3月16〜19日
           シカゴにて開催される


 AAA(American Academy of Audiology)は、世界でも有数なオーディオロジーに関する学会です。例年、多くの日本人参加者があり,国籍別参加者では,アメリカ人に次ぎ,第2の参加者を送り込んでいます。

 詳しくは、http://www.audiology.orgをご参照下さい。

【目次】



ご意見募集
 「教育改革に関する意見」
 −新しい21世紀の「教育百年の計」−

趣旨
 政府は,教育の基本に遡って幅広く今後の教育のあり方について検討していきたいと考えています。この検討の一環として,広く国民の皆様方から21世紀における教育の在り方についての意見(例えば,@教育という営みにとって大切な視点(基本理念)は何か,A学校・家族・地域社会のそれぞれがどのような役割を発揮すべきか,生涯学習をどのように進めるか,B「個」と「公」についてどのように考えるべきか,C教育改革を今後具体的にどのように進めていくべきか等)を募集することにしました。
 多くの方々から自由な御意見をお待ちしております。
意見の取り扱い
 お寄せいたただいた御意見については,今後開催予定の「教育改革国民会議」での検討に役立たせていたただきてたいと考えております。
 氏名,住所,電話番号,年齢,職業(児童・生徒・学生の場合は学校名及び学年)を本文の前に明記の上,郵送,FAX,電子メールのいずれかの方法でお送りください。
(字数については,問いません)

電子メール:下記より送信できる= http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/goiken.html
FAX番号:03-3581-3967
郵便送付先:〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1 内閣官房内政審議室
       「教育改革に関する意見公募係」



政府募集
 『「教育改革に関する意見」
      −新しい21世紀の「教育百年の計」−』に
      聴覚障害児教育の声を届けよう!

 首相は国会で「教育改革に取り組む」と述べています。今回の内閣官房の意見募集もこれを受けたもの。しかし,こうした改革案の中で障害児者の問題は,案を作成するメンバーに当事者が入ることが少ないためか,いつもオマケで,ちょこっとで・・・と思うことも少なくありません。ぜひ,この機を逃さず,日頃,聴覚障害児教育について思うこと,統合教育でのサポートのなさ,聾学校教員の専門性低下などなど,意見を送ろうではありませんか!

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