家族が家族であり続けるために

 

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発行 全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会

 

 

 

 

 

子供の発達が遅いと言われるとどんな親でも心配になります。まして、障害の疑いがあると言われるとどうしたら良いか分らなくなるものです。

多くの場合、主に母親がそのショックを直接受け止め、全てのことがその子供を中心にまわりはじめます。父親の支えが望まれます。きょうだいは、かまってもらえずさびしい思いをします。家族が家族らしさを失ってしまうのです。 

しかし、親が悪いわけではありません。家族全体への支援が必要なのです。

そして、家族が互いに支えあって行くことが望まれます。

このパンフレットでは、きょうだいも含めた家族への支援の大切さと、主に知的な障害がある子供たちの将来のことなどを説明していきます。

☆様々な支援:行政、専門機関、親の会、きょうだいの会、地域社会 等

 

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障害があると疑われた時に

Q)障害があると疑われた時にはどうすればいいでしょうか?

A)ご心配ですね。早めに療育センター等の障害の専門機関に相談すると良いでしょう。できれば両親そろって行けるとよいと思います。母親だけに責任や精神的負担がかからないように、父親と共に子育てをしたいものです。

 

Q)障害のある子供も成長するのでしょうか?

A)もちろんです。どんな障害の子供でも、何かを知りたい、人と心を通わせたい等の気持ちがあります。しかし、その障害の内容や程度などと子供を取り巻く状況により成長のしかたは違います。

 

Q)障害のある子供を取り巻く状況とは何でしょうか?

A) 以下のようなものです。これはとても重要です。障害のもつ基本的な課題に加えて、状況が作り出す二次的な課題が多いのです(注1)。それを軽減するためにも、子供を取り巻く状況を少しでも良いものにしましょう。

  ☆このとき、必要な支援を得ることが大切です。

◇親の生きる姿勢:人生を前向きに生きることです。子供は親の姿をしっかりと見ています。言うは易く行うは難しいことですが・・・。

◇本人が理解しやすい工夫:意思の疎通や物事の理解のために、普通とはちがう工夫が必要になる事があります。専門家の助言を受けましょう。

◇家族の愛情、適切な療育と教育:後で述べます。

(注1)二次的な課題:例えば、人と関わることを嫌ったり、自分や人を傷つけたり、人から指示されないと何もできない 等のような事です。

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障害のある子供の育て方や教育…その人なりの自立をめざして

 

Q)その人なりの自立とは何ですか?

A)支援や介助などのサービスを利用しながらも、自分の意思で生きていくことと言えるでしょう。意思を上手に表現できない人では、周りの人が察してあげることが必要です。そして、いずれ家族(親やきょうだい)から独立して生活し互いに心を支えあう事を目指したいものです。一人暮らしやグループホーム、入所施設などその時に適した方法を選びましょう。

 

Q)そのためにはどんな育て方をすればいいでしょうか?

A)なんと言っても、親の愛情を感じてもらうことです。愛されるということは、自分を大切にすることや相手を大切にする気持ち、人と心を通わせたいという気持ちなどが育つことにつながります。愛されている安心感が自立に結びつくのです。しつけも、愛してくれる人の言うことだから身につくのです。これらは全て社会の中で生きていく時に大切なことです。

 

Q)一生懸命にしているつもりですが、気持ちは通じているのでしょうか?

A)子供の気持ちが分からないと不安になりますね。障害についての知識や経験など、ここでも専門家や親の仲間の助言・支えが必要です。

 

Q)どんな療育や教育をすればいいでしょうか?

A)その子供の障害や性格にあった療育や教育を受けましょう。そこで大切な事は、その子供にとってストレスが少なく、心の成長や様々な経験を大切にする事です。興味や意欲、自分の気持の表現や人との関わり、充実感のある経験などが様々な成長の可能性を開くのではないでしょうか。

 

障害児・者の現状について

 

Q)障害のある子供はどれくらいいるのですか?    

A)・身体障害児・者(身体・視覚・聴覚など)で70歳未満は185万人(人口の約1.5%)、知的障害児・者は、約46万人(同約0.4%)です。なお、自閉症(同約0.2%)は知的障害とは別な障害ですが、その約80%は、知的障害を併せ持っています。また、精神障害者は約200万人(同約1.5%)ですが、ほとんどは思春期以後に発症します。  (2000年現在)           

 

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家族(親やきょうだい)のありかたについて

 

Q)なぜ家族のあり方が大切なのですか?

A)先に書いた子供(障害があっても無くても)の成長に関することも、家族の支え合いがあってこそできることだからです。

 

Q)きょうだいの関係はどうなるのでしょう? 

A)家族にはきょうだいもいる場合があります。きょうだいは親と違い、生涯を同じ時期に生きていきます。きょうだい同士が影響し合うことも互いにとって大切です。将来きょうだいはそれぞれが別な暮らしをするのが普通ですが、互いに心を支え合って生きていくためにもきょうだいは仲良く育って欲しいものです。

 

Q)きょうだいの気持ちはどんなでしょう?

A) きょうだいは小さいころから我慢することがたくさんあります。親がかまってくれない、障害のある子供にいたずらされた時の辛さを親は分かってくれない、などです。「普通の家族のようになりたい」と言うのがきょうだいの切なる願いです。外で障害のあるきょうだいの事でいじめられる事もあります。でもそれらのことは自分から親には言えないものなのです。

 

Q)親はきょうだいに、どのようにしてあげればいいのでしょうか?

A)上記のような辛い思いが少なくなるような心遣いと工夫が大切です。時には障害のある子供をショートステイなどに託し、きょうだいに普通の家庭のような経験をさせてあげるなども良いでしょう。「親は自分のことを愛してくれている」と感じてくれるようにすることがとても重要なのです。

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プラス思考でいきましょう!

 

Q)どういう事ですか?

A)障害のある人たちが明るく生き生きとしている場面はいろいろあります。施設での活動やボランティア、同じ障害の仲間などとの活動の時などもそうです。これは本人とともに親の努力の結果です。このように親が前向きに生きることで、家族は絆を強めます。そして障害のある人や一生懸命な家族にひかれて、その家族のまわりに心の豊かな人たちが集まり、良いお付き合いが始まった、という事をよく聞きます。     

 

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障害のある人とその家族のライフステージの一例  

ステージ 障害のある人 家族(親・きょうだい等) 備 考

幼児期

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◎心の発達が最も大切な時期で。成長に大きく影響します。

◎家族が支えあう事が最も大切です。

・父親と母親の協力、きょうだいへの配慮が大切です。

◎療育機関等との関係作りが必要です。

・療育の方針がその子供に合っていることが大切です。

子供にとってストレスを少なく、心の発達(興味や意欲、自分の気持の表現や人との関わり等)を大切にする事が様々な成長の可能性を開きます

学齢前期

(年少期)

◎社会性を身につける時期です。家族以外の人との関係作りが大切です。

◎学校との関係作りが大切です。

・教育の方針が納得できることが大切です。

◎きょうだいが辛い思いをすることが増えます。

・統合教育も含め、学校の選択が大切です

・教育機関と福祉機関の連携が大切です。

・PTAでの活動も有効です。

学齢後期

(思春期)

◎自己主張を上手に出来るようになる事と沢山の経験が大切です。

・将来、自分で色々な事を考え、決めること(自己決定)が出来るためにこれらの事が大切です。

◎自立心が芽生えます。

◎失敗を恐れずに多くの経験をさせる事が大切です。

・この時、父親の役割が大きくなります。社会資源も沢山活用しましょう。

◎きょうだいに将来の見通しを伝えましょう。

・きょうだいも思春期に入ると色々な事を考えます。親はきちんと将来の見通しを伝えてください。

・自立に向けた心の準備が始まります。

 

 

・「きょうだいの会」の存在をきょうだいに伝えてください。

・将来のことは専門機関に相談しましょう。

 

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*これは、あくまで一般的な一例です。その人、家族によって生き方は違います。 

ステージ 障害のある人 家 族 備 考

青年期

◎社会人になります。

・会社や福祉施設で活動をするようになります。

◎「自己決定」の努力をしましょう。

・支援を受けながらも自分のことは自分で考え自分で決める事です。

◎自立の準備、早い人は自立の時期です。

・その人に合った形で自立の体験をしましょう。

◎自立を促す事が役割です。

・親が自立を妨ないように、親自身も「子離れ」をする体験になります。

◎きょうだいも自立します。

・きょうだいには、「自分の結婚」と言う課題がはっきりしてきます。この課題は、障害のある人も将来別に生活する見通しを持って乗り越えましょう。

・様々な制度や社会資源を活用するように、相談機関を活用しましょう。

・きょうだいも、同じ仲間と交流する事で課題を乗り越えていく事ができます。

壮年期

◎誰もが自立すべき時期です。

・自立には色々な形態があります。その人に合った支援を受けましょう。

福祉機関との連絡など、親に代わることから始めます。

 

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◎親と離れた生活を実現するよう福祉制度を利用する事が役割です。

・きょうだいに上手に引き継ぐためにも必要な事です。

◎きょうだいは自分の生活を確立しつつ、親から引き継ぐ準備を始めます。

・自立生活のための資源:

グループホーム、入所施設、ホームヘルパーを活用した夫婦での暮らし、友達との暮らし、一人暮らし

   等々

高齢期

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◎自立した穏やかな老後の生活

・生活の形態などを、必要に応じて変えることもあるでしょう。

◎親が関われなくなり、代わってきょうだいが関わる事が増えます。

・きょうだいとしては、様々な負担が少ない範囲で関わることがでできます。

・前提は、きょうだいが別に暮らすことです。制度の充実が求められます。

 

―5―

同じ立場の仲間たち(知的障害関係)

 

Q)同じ悩みを分かり合える仲間が欲しいのですが。

A)そうですね。療育センターや学校の親の集まりの他、地域や全国的な規模で、親の会、きょうだいの会、そして最近は障害のある本人の会もあります。同じ立場の仲間と交流することは、自分の心を癒すだけでなく専門家に相談するのとは違った情報や安心感を得ることができ、大きな心の支えとなります。 

☆主な団体を紹介します。 (その他の団体は、当会のホームページをご覧下さい。)

@親の会など:

 全日本手をつなぐ育成会(知的障害) 電話03-3431-0668

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 ホームページ゙ http://www1.odn.ne.jp/ikuseikai  

日本自閉症協会  電話 03-3545-3380 

ホームページ゙ http://www.autism.or.jp/

日本ダウン症協会 電話 03-5287-6418    

ホームページ゙ http://www16.ocn.ne.jp/~jds2004/

全国肢体不自由児・者父母の会連合会 電話 03-3971-3666

 ホームページ  http://www.zenshiren.or.jp

全国重症心身障害児(者)を守る会   電話03−3413−6781

ホームページ  http://www.normanet.ne.jp/~ww100092/

Aきょうだいの会:全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会 (後に記します)

電話03-5634-8790 ホームページhttp://www.normanet.ne.jp/~kyodai/

 

きょうだいをめぐる課題

 

Q)「きょうだい」ってどんなことで悩んでいるのですか?

A) よく寄せられる相談の中で、代表的なものは次の二つです。

@結婚のこと:最近はあまりなくなったようですが、障害のあるきょうだいがいることで、結婚が不利になるのではと感じることがあります。でも結局は自分自身が誠実に生きている事を、相手の方や家族に伝えて乗り越えていくことが大切だと思います。

A親なき後のこと:親が障害のあるきょうだいの世話ができなくなったとき、親に代わる事が求められる事がます。しかし自分の生活に大きな負担になってしまっては、互いに良い関係を築くことが出来ません。

「世話をする=同居」と考える必要はありません。いろいろな方法があるので、正確な情報を得て一番いい方法を見つけましょう。

 (次のページに続きます) 

 

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a全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会

(略称:きょうだいの会)

*************************

〒101-0073 東京都江東区北砂1-15-8 地域交流センター内

電話03(5634)8790(留守電対応)FAX 03(3644)6808

 ホームページ http://www.normanet.ne.jp/~kyodai/

 メールアドレス  kyodainokai@yahoo.co.jp

 

 「きょうだい」の悩みは、先ほどの二大問題のほかにも、仕事、障害のあるきょうだいと仲良くできない、親と気持ちが合わないなどなど色々です。

様々な課題に正解はありません。一人で悩まずに同じ立場の仲間と話をすることが、不安を少しずつ取り除くきっかけになると思います。

 

<主な活動>

★情報の収集・提供 ★交流の場の提供 ★国や社会への働きかけ

 ★会員の相談・支援 ★学習活動、施設見学 等

<会の組織> 本部・・・・直属会員  支部等・・・支部会員 

◆本部→支部や直属会員の支援、国や社会への働きかけなどの中心的役割、

機関誌『つくし』の発行、その他上記の活動をしています。

◆支部→会員の皆さんが直接かかわるところです。親睦会などのレク活動や、学習活動、支部同士の交流など支部ごとに独自の活動をしています。支部には地域単位のところと、施設単位のところがあります。

※お近くに支部がない場合は、「直属会員」となります。

<支部等>

●北海道(苫小牧市)●新潟県(北魚沼郡)●群馬県(勢多郡)●埼玉県(深谷市)

●千葉県(千葉市)●東京都(江東区)●神奈川県(横浜市)

●岐阜県(高山市、益田郡、吉城郡、大野郡)●静岡県(浜松市、駿東郡)

●愛知県(大府市)●京都府(宇治市)●大阪府(東大阪市)●兵庫県(神戸市)

●山口県(厚狭郡)●福岡県(遠賀郡)

<加盟している主な団体>・全国社会福祉協議会 ・日本障害者協議会

 

みずほ福祉助成財団助成事業 (2005)

 



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