障害者総合福祉法の制定を求める意見書 平成22年1月に内閣府に設置された「障がい者制度改革推進会議」は、国連の障害者権利条約の 批准及び障害者自立支援法訴訟団との基本合意文書をもとに国内法の整備を進めるために議論してきました。 平成22年4月には、この推進会議の下に全国の障害者・支援者団体の代表等55名が参加した 「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会」が設けられ、障害者自立支援法に代わる 「障害者総合福祉法」(仮称)を平成25年8月までに制定するための検討が精力的に重ねられてきました。 そして、55名の総合福祉部会委員の総意として、平成23年8月30日に「障害者総合福祉法の骨格に関する 総合福祉部会の提言」(以下「骨格提言」)がまとめられました。 骨格提言は、平成23年8月に改正された障害者基本法の理念「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、 等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」をもとに、 障害者を保護の対象から権利の主体へ転換するよう求め、地域で自立した生活を営む基本的権利の保障を明確に 打ち出しています。 これに対して政府は、現行の障害者自立支援法を改正した「障害者総合支援法案」を平成24年3月13日に閣議決定しましたが、 これは基本的に現行法の枠組みを踏襲したものであり、骨格提言の内容を十分に反映したものではありません。 このような理由から、障害者が基本的人権を享有する個人として尊重される社会を実現するため、 骨格提言を反映した障害者総合福祉法の確実な成立・施行を求め、政府に対し以下について要請します。 記 1 平成23年8月30日に55名の全委員一致でまとめられた、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言を尊重した 障害者総合福祉法を制定すること。 2 障害者総合福祉法において、障害者の自立した地域生活を可能とするため、 質的量的に充実した障害者福祉施策の予算を確保し、その提供体制を確立すること。 3 障害者総合福祉法制定にあたり、障害者福祉を充実させるため地方自治体の財源を十分に確保すること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。 平成24年3月26日 内閣総理大臣 野田 佳彦 様 財務大臣 安住 淳 様 厚生労働大臣 小宮山 洋子 様