障がい者の権利を保障する新たな総合福祉法(仮称)の制定を求める意見書 「障がいが重いほどサービス利用料も増える『応益負担』制度の障害者自立支援法を廃上してほしい。」、 これが障がい者、家族の切実な願いである。 しかし、厚生労働省が本年2月の新法制定に向けて、示した法案の概要は、 昨年8月に政府がまとめた「骨格提言」の具体化と落差があり、 利用者負担原則無償化を見送り、対象範囲を難病患者にとどめる内容になっている。 これでは、障害者権利条約の求める社会を実現することはできない。 今日まで、平成18年4月に施行された障害者自立支援法はさまざまな問題点が指摘され、 とくに応益負担制度は障がい者、家族に多大な負担と苦しみを強いてきた。 それゆえ、政府は平成22年1月に、障害者自立支援法訴訟の原告との間で、 速やかに応益負担制度を廃止するとともに、遅くとも平成25年3月までに障害者自立支援法を廃止し、 新たな総合的福祉法制を実現するとの基本合意を交わした。 一方、国連では平成18年12月に障害者権利条約が採択され、既に100カ国以上が批准を終えているが、 我が国では国内法が未整備のため、批准に至っていない。 人間は一人ひとりの存在が心から大切にされ、だれもが排除されることなく社会的に包摂されなければならない。 障がいの有無、種類や程度、家族の状況、経済力、居住する自治体にかかわらず、 障がい者自らが選んだ地域で自分らしく暮らせる社会を実現するべきである。 よって、政府においては障害者自立支援法の基本的な枠組みを残すのではなく、 平成23年7月に改正された障害者基本法や「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」を尊重し、 地方自治体への財源を充分配慮し、障がい者の権利を保障する新たな総合福祉法(仮称)を 着実かつ速やかに制定することを強く要請する。 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。 平成24年3月22日 橿原市議会