「障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言を尊重した障がい者総合福祉法の制定を求める意見書」 平成18年12月、国際連合総会において、「障害者の権利に関する条約」が採択され、各国の批准を経て平成20年5月に発効された。 平成24年2月8日現在、批准国は110か国にまで拡がっている。 同条約は、「これまで国際連合が採択してきた人権に関わる権利を障害のある全ての人が等しく享受することができる」 「障害のない人と同等の社会参加や地域生活、自立と自己決定などを可能にする積極的な措置をとる」 「一人ひとりのニーズに応じた手立てをとる」「第3者機関による条約の実施・促進・保護・監視システムを設置する」などを謳っている。  何より大切な理念として、同条約は「障害」「障害者」のとらえ直しを図り、障がい者を権利の主体として位置付けている。 「障害」は個人的なものではなく、社会の環境との関係から生まれ、障がいのない人との実質的な平等を図るためには、 これまで排除してきた社会の側の変化を求めている。 我が国の動きは、平成22年1月、障害者自立支援法違憲訴訟団が、国と基本合意を交わし、「和解」という実質的な勝訴を実現した。 厚生労働大臣は、障害者自立支援法の廃止を宣言し、政府は、障がい当事者が政策づくりに参画する 「障がい者制度改革推進会議」を設置し、検討・審議が始まった。 平成22年6月にまとめられた「障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第一次意見)」では、 障害者基本法改正、障害者総合福祉法、障害者差別禁止法制定などの改革のロードマップが示され、 その後、第一次意見を受けて「制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援の整備等を内容とする 障がい者総合福祉法(仮称)の制定に向け、平成24年通常国会への法案提出、平成25年8月までに施行を目指す」などとした閣議決定がなされた。  平成22年4月には、上記の推進会議のもとに、障がい者及び家族、そして多くの関係者による 「総合福祉部会」が設けられた。「障害者の権利に関する条約」と障害者自立支援法違憲訴訟の「基本合意文書」を指針として、 様々な立場の構成員が議論を重ね、平成23年8月に「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」は、 構成員55人の総意としてまとめられ、障がい者制度改革推進本部副本部長に手渡された。 多くの障がい者・家族・関係者は、この骨格提言に大きな期待を寄せている。 東日本大震災は、計り知れないほどの甚大な被害を障がい者・家族に及ぼした。 障がい者や高齢者の人的被害は、とりわけ悲惨な状況であり、加えて避難所やその後の生活等にかかわる困難さは現在も継続している。 一方で、未曽有の大災害は、改めて共生社会の在り方を考えさせてくれた。 よって、国においては「一人ひとりの存在が心より大切にされ、誰もが排除されることなく社会に包摂される」とした 骨格提言に基づいた障がい者総合福祉法を制定されるよう、下記のとおり強く要望する。 記 1 障がい者総合福祉法(仮称)の制定にあたり、総合福祉部会構成員55人の総意としてまとめられた骨格提言を最大限尊重すること。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 平成24年3月22日 長野県飯田市議会議長 上澤義一  提出先 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣