JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第94号 2011年5月30日発行 + このたびの東日本大地震におきまして被災された皆様、そのご家族様へ心よりお見舞い申し上げます。 JANNETの会員で、被災地にて支援活動を開始した団体の状況をお知らせしています。 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet+ 目次 ++ トピックス −東日本大震災被災障害者支援活動特集− 1.アキレスふれあいマラソンで被災障害者支援 2.避難所での理学療法士としての関わり 3.気仙沼でのトイレ清掃ボランティア活動に参加して 4.東日本大震災被災者支援に関する情報 ++ インフォメーション 1.6月5日 JANNET総会のご案内 2.6月5日 東日本大震災被災障害者支援活動報告会のご案内 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ++ イベント情報 1.ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第12期生 成果発表会 会員の中には所属団体以外でもさまざまな支援活動に参加しています。今回はそれらの活動をご紹介しています。 ++ トピック 1 アキレスふれあいマラソンで被災障害者支援  社会福祉法人 日本盲人会連合                                   田畑 美智子 米国に本部を持つアキレスという走友会があり、10年以上前から私も日本支部の会員としてランニングをしています。アキレスは、交通事故で片脚を膝上から切断したディック・トラウムさんという米国の実業家が1978年にニューヨークシティマラソンを走ったのがきっかけで結成されました。あらゆる障害のあるアスリートのためのクラブとして世界60カ国程で活動しています。毎年11月のニューヨークシティマラソンには、米国内外から300名以上の様々な障害のあるアスリートが集い、途上国からの参加者にはアキレスがスポンサーシップを提供しています。障害者同士の国際交流やパソコン指導など、スポーツを離れた障害者支援も行っています。  阪神大震災の後に神戸から障害のあるアスリートがニューヨークに招待されたことがきっかけで出来た日本支部です。東日本大震災でも何かしたいと考え、月に2回程開催される代々木公園の練習会で寄付金を募りました。また、2005年に日本支部10周年を記念して始まった自前のマラソン大会、「アキレスふれあいマラソン」も今年はチャリティマラソンとして、5月15日に開催しました。参加者から寄付金を募るのと併せ、チャリティオークションを開催。大会をスポンサーいただいたスタンダードチャータード銀行東京支店の皆さんからも寄贈を受け、盛況な大会となりました。  アキレスの主旨から、出来れば種別を超えた被災障害者の支援を行っている団体に寄付したいと会員から情報を求めたところ、日本障害フォーラムの被災地支援活動に寄付することになりました。被災障害者の支援に少しでも役立てていただければと、アキレス一同心より願っております。  復興には何年も時間が掛かります。アキレスを初め、多方面の支援活動が、細くとも長く続くことを願っています。 ++ トピック 2 避難所での理学療法士としての関わり 新潟医療福祉大学  古西 勇 東北の被災者の方々と避難を余儀なくされている方々への直接的な支援は、避難された方々を公的に受け入れ、住民を挙げて支援の手を尽くしている市町村によっても東北地方の内外にわたって広範囲に行われてきました。新潟県は、太平洋に面する福島県から標高2000m級の山を越えて反対側の日本海に面している県であり、福島県が西の県境の大部分を接している県でもあります。そのような位置関係から、被災地の外の自治体の中では一番多い避難者の方々を受け入れていました。  私が勤める大学の近くの町にも、何百人もの方々が避難されてきましたが、その町から大学へ避難所での保健活動への協力の要請があった関連で、理学療法士として私も関わらせていただく機会がありました。特に要請のあったのは、避難されてきた方々の中で、最終便の避難バスで来られた方々です。最終便まで現地に残っていらっしゃったということは、皆さんそれぞれのご事情があったようですが、地域とのつながりが生活に必要不可欠だった方々、慣れた環境から離れて生活することが活動の制限などの「障害」に影響を与えると考えられた方々も含んでいたようです。  避難所開設後から、大学の看護学科の教員が、本業の傍ら交替で避難所に詰める町の保健師さんをサポートして、日中や夜間の健康相談などに対応していましたが、少し落ち着いた頃に町の保健師さんから出た要望の一つとして、身体を動かさないことにより新たに介護が必要な高齢者の方が出ないような支援が挙がりました。それを受けて、看護学科の教員から私どもの理学療法学科へ協力の要請があり、私と他の理学療法士の教員が避難所の訪問を担当しました。 一度に多くの方には関われませんでしたが、避難当初は寝たきり状態だった方が、杖で室内を歩けるようになったりすることで、ご本人も家族の方々も、徐々に明るい笑顔を取り戻され、大変うれしかったことを思い出します。避難所の閉鎖に先立ち、避難して来られた方々の町も職員の方がチームで派遣され、皆さんの健康対策や各種手続きなどの窓口業務の対応もされるようになり、私たちはチームの方々に役割を引き継ぎ、4月末で活動を終了しました。  なお、大学の学生は、他に要請のあった近隣の市の避難所に、学友会がボランティアを組織して活動を続けています。このような時代に私たちは何をすべきか。医療の専門職として、あるいは大学生として、「答え探し」はまだまだ続きます。 ++ トピック 3 気仙沼でのトイレ清掃ボランティア活動に参加して 日本障害者リハビリテーション協会 上野 悦子 NPO法人日本トイレ研究所が主催した、避難所でのトイレ清掃ボランティアに参加して、4月29日から5月1日まで気仙沼に行ってきましたので報告します。  日本トイレ研究所は、快適なトイレ環境作り、食事や身体と排泄の研究、学校や公共の場のトイレが快適になるための啓発活動などを行っています。気仙沼の関係者とは1997年、2005年にトイレと災害というシンポジウムを共催するなど長年に渡る交流があったことが今回のボランティア活動に結び付いたようです。直接の受け入れ先は気仙沼ボランティアセンターでした。  今回のトイレ掃除隊には全部で21人が参加しました。腸内細菌の研究者、災害救援の専門家、医者、雑誌編集者、理学療法士、トイレ関連企業、会社員、政府の人などバックグラウンドは多岐にわたっていました。共通していたのは被災した人々のために何かをしたいという思いです。 一行は、1日目に東京を朝7時半にチャーターバスで出発し、気仙沼に着いたのは午後5時近くでした。途中車窓から目に入るのは、がれきの山、倒壊した建物や途切れた線路に乗っている瓦屋根など、いまだに考えられない光景でした。到着後気仙沼ボランティアセンターの方から説明を受け、翌日は3か所の避難所、3日目には1か所を訪問しました。グループは現地のボランティアさんも加わり、3つのグループに分かれて、@避難所の建物内トイレ清掃、A避難所仮設トイレ清掃、B聞きとりを行いました。訪問した避難所は学校の体育館や教室で、高齢者が多く、外に行かなくてはならない仮設トイレは大変使いにくいように思いました。バリアフリーの仮設トイレもありましたが、周囲の環境で改善されるべきことはまだ多くあることを実感しました。  障害関連では、今回訪問した避難所で暮らしていた身体障害の方の所には手すりが床にしっかりと取り付けられてありました。また気仙沼の保健所所属の理学療法士を中心とする数人のリハビリテーションチームが杖を携えて避難所を訪問し、必要な人に配布したり、聞きとりを行っていました。  避難所という非日常的な環境の中で、トイレは人間としての尊厳に関わる場でもあります。日本トイレ研究所は、これまで行われている災害支援、復興への取り組みの中で、トイレがきちんと取り上げられていないことを憂慮し提言活動も行っています。 ++ トピック 4 東日本大震災被災者支援に関する情報 東日本大震災被災障害者および被災者支援の活動をご紹介いたします。 ++ ●JDF東日本大震災被災障害者総合支援本部 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/JDF_shienhonbu.html http://www.dinf.ne.jp/doc/english/resource/tohoku_earthquake.html (英語版) (1) 構成13団体の対策本部や活動を結ぶネットワークの構築(情報の集約と発信を含む)、 (2) 対政府、内外の関係機関、報道、寄付金等の窓口機能、 (3) 必要な支援活動、 等を行う。 ++ ●みやぎ支援センター (5月1日より)  〒982-0804 宮城県仙台市太白区鈎取御堂平38 萩の郷 第二福寿苑内 TEL:080−4373−6077   080−4373−6078 TEL・FAX:022−244−6965 代表: 阿部 一彦 (仙台市障害者福祉協会) Eメール: jdf.miyagi@gmail.com *活動ニュース「ゆい」を発行。内容はDINFのウェブ「被災地支援センター日報」から閲覧可能 (HTML、テキスト、PDF版) ++ ●障害者支援センターふくしま  〒963-8025 福島県郡山市桑野1−5−17 深谷ビルB棟101号 TEL・FAX: 024−925−2428 代表:白石 清春 (郡山あいえるの会) Eメール: shienfukushima2011green@yahoo.co.jp *活動ニュース「つながり」を発行。内容はDINFのウェブ「被災地支援センター日報」から閲覧可能(HTML、テキスト、PDF版) ++ ●Japan Civil Network (JCN) 東日本大震災支援全国ネットワーク事務局 〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル5F http://www.jpn-civil.net/ (ホームページ内に問い合わせフォーム有り) *東日本大震災支援全国ネットワーク(JCN)は、実際に支援活動を行う、セクターを超えた全国の組織・団体の民間ネットワーク。主に支援者向けの情報を提供。 ++ インフォメーション 1.JANNET総会のご案内. 日時:2011年6月5日(日) 午後1時から2時30分  会場:戸山サンライズ2階大研修室B     総会後の休憩時間にはお茶とお菓子を用意します。交流の時間としてお使いください。 ++ 2.東日本大震災被災障害者支援活動報告会のご案内 日時:2011年6月5日(日) 午後2時45分から5時 (総会後、休憩をはさんでの開催) 会場:総会と同じ  被災地での障害者支援活動報告会を開催します。活動報告は会員を中心に行います。 ++ 3. 国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 1. アルジェリア 2. アルゼンチン 3. オーストラリア 4. オーストリア 5. アゼルバイジャン共和国 6. バングラディシュ 7. ベルギー 8. ボリビア 9. ボスニア・ヘルツェゴビナ 10. ブラジル 11. ブルキナファソ 12. カナダ 13. チリ 14. 中国 15. クック諸島 16. コスタリカ 17. クロアチア 18. キューバ 19. チェコ共和国 20. デンマーク 21. ドミニカ共和国 22. エクアドル 23. エジプト 24. エルサルバドル 25. フランス 26. ガボン 27. ドイツ 28. グアテマラ 29. ギニア 30. ハイチ 31. ホンジュラス 32. ハンガリー 33. インド 34. イラン 35. イタリア 36. ジャマイカ 37. ヨルダン 38. ケニア 39. ラオス 40. ラトビア 41. レソト 42. マラウイ 43. モルディブ 44. マリ共和国 45. モーリシャス 46. メキシコ 47. モンゴル 48. モンテネグロ 49. モロッコ 50. ナミビア 51. ネパール 52. ニュージーランド 53. ニカラグア 54. ニジェール共和国 55. オマーン 56. パナマ 57. パラグアイ 58. ペルー 59. フィリピン 60. ポルトガル 61. カタール 62. 韓国 63. ルワンダ 64. サンマリノ共和国 65. サウジアラビア 66. セルビア 67. セイシェル共和国 68. スロバキア 69. スロベニア 70. 南アフリカ 71. スペイン 72. スーダン 73. スウェーデン 74. シリア 75. タイ 76. チュニジア 77. トルクメニスタン 78. トルコ 79. ウガンダ 80. ウクライナ 81. イギリス 82. タンザニア連合共和国 83. ウルグアイ 84. バヌアツ共和国 85. イエメン 86. ザンビア 87. アラブ首長国連邦  88 エチオピア 89. マレーシア 90. リトアニア 91. アルメニア 92. ナイジェリア 93. モルドバ共和国 94. シエラレオネ共和国 95. セネガル 96. セントビンセント及びグレナディーン諸島 97. 欧州連合 EU 98. ルーマニア 99. トーゴ共和国 100. コロンビア (2011年5月19日現在) 国連 批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ イベント情報 1.ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業第12期生 成果発表会 日 時 平成23年6月19日(日)13:30〜17:00 会 場 戸山サンライズ 2階 大研修室 〒162-0052 東京都新宿区戸山1−22−1  (地図参照http://www.normanet.ne.jp/~ww100006/tizu.htm) 主 催 財団法人 広げよう愛の輪運動基金 ほか 参加費 500円 (資料代) *当日受付にてお支払いください。介助者は無料です。 定 員 200名 (先着順) 申込み 6月13日(月)までに下記HP上からお申込願います。 http://cgi.normanet.ne.jp/~duskin/clipmail/clipmail.html 事務局 日本障害者リハビリテーション協会 企画研修部研修課 TEL: 03-5273-0633 FAX: 03-5273-1523 Email: inquiry@dinf.ne.jp ++ 編集後記  耳を傾ければ、個々人の被災者から発せられる声や原発事故拡大の心配などいろいろあるのですが、目を背ければどうにか以前とそう変わらない無関心な日常生活を過ごしてしまいそうになります。 日曜日には郡山で福島の自立生活センターの会合に出席しました。月曜日には障がい者制度改革推進会議で震災に関して議論しました。ここ数日に伺ったいろいろな方からのお話から、障害者が受ける被害とは、@自分の生活や生命を守るための、自己決定ができないこと、A一般的なサービスや設備しか提供されないこと、B合理的配慮の欠如が緊急事態にあるとして否定される、C環境がバリアフリーでなくなり、均等な機会が得られないこと、D他の人たちから隔離した環境に置かれること、E既存のサービスや制度が変更されるため、日常生活の維持が困難になること、F安全な環境を自分で整えねばならないために、特別な支出を余儀なくされる、の以上7つに分類してみました。 問題は、途上国であればなおのこと、いまだこのように問題とされる状況に障害者が日常遭遇しているということです。 中西由起子 ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。 団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/