JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第236号 5月号 2023年5月31日発行 ―目 次―  トピックス 〜第5回アジア太平洋CBID会議参加報告〜 1. 第5回アジア太平洋CBID会議に参加してきました 障害分野NGO連絡会(JANNET) 研修・研究委員長/公益社団法人 日本理学療法士協会国際事業課課長 伊藤 智典 〜第5回アジア太平洋CBID会議参加報告〜 2. 第5回アジア太平洋CBID会議 ポスター発表報告 特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan) プログラム・コーディネーター 横尾 和磨 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2.「学ぶことは変わること 自分と地域の力を引き出すアイディアブック」(書籍&電子版)が出版されました。 イベント情報 1. 第17回「リハ協カフェ」〜第10回国際アビリンピック大会 開催報告〜 2023年7月14日(金) トピックス 〜第5回アジア太平洋CBID会議参加報告〜 1. 第5回アジア太平洋CBID会議に参加してきました 障害分野NGO連絡会(JANNET) 研修・研究委員長/公益社団法人 日本理学療法士協会国際事業課課長 伊藤 智典 ぼくがはじめてアジア太平洋CBID会議に参加したのは2015年、東京で開催された、第3回アジア太平洋CBR会議(前名称)でした。会場は西新宿にある京王プラザホテルだったのですが、東京に住んでいるにもかかわらず、あまり行くことのない美しいオフィス街の地域でまぶしく感じました。 まぶしく感じたのは会議の内容や参加者についてもそうです。アジア太平洋の各国からCommunity Based Rehabilitationに関連する実践者、研究者らが集まった会議はとても新鮮で学びの多い機会となりました。2015年の会議テーマとして、貧困の視点とSDGsへのリンケージが示されました。2019年のアジア太平洋CBID会議ではその流れを引き継ぎ、CBIDを通じた持続可能な社会開発や経済成長に焦点があてられました。それらの中において、パートナーシップはCBIDの目的達成のためのキーエレメントだという印象を持ったことを覚えています。 今回、2023年会議のメインテーマは、Strengthening social and economic empowerment of persons with disabilities during and after the COVID-19 pandemic through Community-Based Inclusive Development (CBID).(仮訳:CBID を通じたCOVID-19 パンデミック中および後の障害を持つ人の経済的エンパワメントと社会の強化)でした。障害インクルーシブが人権の観点のみならず、社会経済の発展にリンクしていること、国内外のステークホルダーとの連携の必要性や、パートナーシップに触れた挨拶が多いなあと感じました。 JANNETとしてぼくはPoster presentationセッションに参加してJANNETの取組みとパートナーシップ評価について発表しました。発表資料の作成においては、JANNETの清水直治会長(日本ポーテージ協会)はじめ、野際紗綾子企画委員長(AAR Japan 難民を助ける会)、嶋本恭規広報啓発委員長(全日本ろうあ連盟)、そしてJANNET事務局の村上博行さま、仁尾志保さま(日本障害者リハビリテーション協会)からご尽力をいただきました。本当にありがとうございました。 またぼくの所属、日本理学療法士協会として、Parallelセッションに参加しました。カンボジア理学療法士協会と協働し、両国を比較した内容で、「「コミュニティベースの現場における理学療法の役割: 日本とカンボジアの病院、ヘルスセンター、ケアサービス」について発表しました。前半は日本理学療法士協会会長の斉藤秀之氏が、日本の地域における理学療法士の活動や、それにともなう社会保障の費用対効果などを紹介しました。後半はカンボジア理学療法士協会会長のHoeung Heam氏が、カンボジアの実状について日本と比較し、カンボジアにおける全国的ガイドラインの必要性について言及しました。質疑では両国の社会保障制度の違いや、カンボジアでの専門職育成への取組み、地域で専門職が活動するために必要な財政的要件などについて意見交換がなされました。多くの質問や活発な意見交換ののちモデレーターより、障がいを持つ人を中心として、コミュニティレベルで多様なステークホルダーが活動をしていくこと、またそれらが社会参加につながることが重要であり、CBIDが発展するとのべ、セッションは終了しました。 今回の会議では、世界レベル、国家レベル、地域レベルでのステークホルダーらのパートナーシップの必要性ととともに、更に民間における組織レベルの連帯の重要性を実感し、学ぶことができる機会となりました。このたび参加の機会をいただけましたことを心からお礼申し上げます。   〜第5回アジア太平洋CBID会議参加報告〜 2. 第5回アジア太平洋CBID会議 ポスター発表報告 特定非営利活動法人 難民を助ける会(AAR Japan) プログラム・コーディネーター 横尾 和磨 2023年3月15日から17日まで、カンボジアの首都プノンペンにて開催された「第5回アジア太平洋CBID会議」に出席し、私たちの活動内容をポスター発表してきましたため、ご報告させていただきます。 私はAAR Japanに所属し、ミャンマーのパアン事務所にプログラム・コーディネーターとして勤務しています。パアン事務所は、2020年よりインクルーシブ教育支援事業を実施し、障がい児の教育を支援しています。地域において村長や校長など村の主要関係者や地域住民から成る支援体制を構築し、補助具の提供やバリアフリー改修・整備など障がい児が教育の機会を得るための環境整備、および、特別学習活動の実施など障がい児の就学促進に取り組んでいます。また、地域住民に対しては、障がいに関する啓発活動などを行っています。 本会議の初日3月15日、ポスターにて、パアン事務所の活動内容についての発表を行いました。パアン事務所が実施してきた活動の目的や内容、実績、今後の見通しについて、図や活動写真を交えながら、共同発表者である当会パアン事務所の現地スタッフ1名とともに、私たちのポスターの近くに来られた会議の出席者に説明しました。多くの方々が私たちのポスター発表を聴きに来られました。聴きに来られた方は、インクルーシブ教育事業を実施されている方やインクルーシブ教育事業に関心のある方が多かった印象で、活動内容や課題に関する質問が寄せられ、また、インクルーシブ教育事業に関して情報交換をすることができました。当現地スタッフを含め、私自身、国際会議に出席し、発表することが初めてであり、多くの方々に説明し、協議をすることができたこの時間は非常に貴重な経験となりました。また、ポスター発表を行う中で、多くの方々と知り合うことができ、こうした繋がりを今後活かしていきたいと考えています。 一方、国際機関や各国の他団体、有識者の発表に参加し、それぞれの活動内容や課題について聞くことができました。私たちの事業に関連したテーマを扱う発表に中心に参加し、地域の支援体制構築における手法や障がい者への社会サービスに対する分析などのNGOの発表を聴き、多くの視点を学ぶことで私たちの事業を俯瞰的に捉えることができました。また、ある国際機関による障がい者世帯の経済状況に対する調査と分析に関する発表は、私たちの事業を推進していく上で必要な知識となるもので、非常に勉強になりました。 現在、私たちの事務所の今後の事業を検討する必要がある段階に差し掛かっており、こうした時期において、本会議に参加し、多くの方々と交流し、多くの知見を得ることができたことはとても有意義でした。本会議での経験を活かし、今後も私たちが多くの方々へ支援を届けることができるよう、事業を運営していきます。 ******************************************************************************** インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署名国・地域数164/ 締約国・地域数 186 (2023年5月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2.「学ぶことは変わること 自分と地域の力を引き出すアイディアブック」(書籍&電子版)が出版されました。 この度、アジア保健研修所(AHI)さんから、BiPHさんとコラボした「学ぶことは変わること 自分と地域の力を引き出すアイディアブック」(書籍&電子版)が出版されました(税込価格 3980円 PDF版 2980円)。 1982年の初版以降、増版が続くベストセラー“Helping Health Workers Learn”の日本語訳で、この本の著者のお一人は“Nothing About Us Without Us”や“Disabled Village Children”を執筆されているDavid Werner氏です。 ■本の詳細→ https://ahi-japan.jp/archives/press/18272 ■購入サイト→ https://sites.google.com/view/hhwljapan2023?usp=sharing *紙の書籍はAmazon、電子書籍(PDF)はBASEでの販売。   また、出版に併せて『「学ぶことは変わること」ちょい読みサロン』も開催されます。 【まずはちょっと読んでみたい…、買ってそのままになりがち…、なあなたに!「学ぶことは変わること」ちょい読みサロン開催(Zoom・無料)】 ■日程: @6/16金←この日は購入前の試し読み参加OK! A6/30金(購入者のみ)B7/14金(購入者のみ) *1回だけの参加でも、複数回でもOK ■時間はいずれも19:00-20:30 @Zoom  ■参加費:無料 ■申込み: https://forms.gle/De62zt8Q2h8YEzta8   【お問い合わせ先】 アジア保健研修所(AHI) 担当:大熊・清水 愛知県日進市米野木町南山987-30 Tel: 0561-73-1950  e-mail: info@ahi-japan.jp イベント情報 1.第17回「リハ協カフェ」〜第10回国際アビリンピック大会 開催報告〜 2023年7月14日(金) 日本障害者リハビリテーション協会の国際委員会では、コロナ禍においても国際交流の火は消してはいけないとの思いから、関係者への情報提供を行うべく、リモートによる報告会「リハ協カフェ」を立ち上げ、2020年8月より隔月で開催してまいりました。今回は第17回目の開催です。 第17回は、2023年3月22日から25日に開催された第10回国際アビリンピック大会について、日本選手団の派遣元である、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者雇用開発推進部長/当協会国際委員の村田裕香氏よりご報告いただきます。 関係者以外にも広くご参加を募ります。皆様のご参加をお待ちしております。 ◆日時:2023年7月14日(金)13:30〜15:00 ◆会場:リモート開催(Zoom) ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆参加費:無料 ◆定員:100名 プログラム(敬称略) 13:30-13:35 開会挨拶 君島淳二(公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 常務理事)       13:35-14:40 報告「第10回国際アビリンピック(フランス・メッス大会)報告」 登壇者:村田 裕香氏(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長)          14:40-15:00質疑応答 15:00 閉会 *プログラムの内容に変更がある場合がございます。ご了承ください。 【発表者プロフィール】 村田 裕香 氏 (独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者雇用開発推進部長) 【主な経歴】 ・平成11年4月〜 旧労働省入省 ・平成22年4月〜 ハローワーク飯田橋次長(障害者雇用指導担当) ・平成27年4月〜 厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部 企画課就労支援室長補佐 ・令和2年4月〜 東京労働局需給調整事業部長 ・令和4年4月〜 現職 【申込方法】 以下のサイト、またはFAXにてお申し込みください。 https://www.jsrpd.jp/cafe17/ 申込受付:2023年7月13日(木)15:00まで ※情報保障が必要な方は、7月6日(木)までにお申し込みください。 満員になり次第、締め切りとなりますので、ご了承ください。 お名前、ご所属、ご住所を明記の上、手話通訳、要約筆記、点字資料など必要があれば申し込み時にお知らせください。 参加登録された方へZoomのURLをお送りいたします。  【お申し込み、お問い合わせ先】 《公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 国際課》 担当:村上・仁尾(にお) 〒160-0052東京都新宿区戸山1丁目22番1号 TEL: 03-5273-0601   FAX: 03-5273-1523    Eメール:kokusai@dinf.ne.jp 編集後記 先日、子どもの小学校の運動会がありました。お弁当を作って応援に行くと、なんと自身の子どもの競技以外は学校内にある教室で待機、ということでエアコンのある教室にレジャーシートを敷き、リアル動画配信を見ながら、自身の子どもの競技だけ運動場に出て全力で応援し、終わったらまた教室に戻る、親は日焼けもしない縦や横の交流もいらない、子どもたちや先生は炎天下の中盛り上がっているというなんともコロナ後らしい運動会でした。 さて、今月のニュースレターはいかがでしたでしょうか。カンボジアで開催された第5回アジア太平洋C B I D会議の参加報告を興味深く拝見しました。対面での参加でディスカッションも盛り上がったようで、私もいつか会議に参加して世界の人と意見交換をしたいと感じました。発表された伊藤様、野際様、横尾様、他の皆様本当にお疲れ様でした。 (西本 敦子/JANNET広報・啓発委員長) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会  〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 以上