JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第175号 3月号 2018年3月30日発行 ―目 次―  トピックス 1. モンゴル障害者権利条約推進への取組 - 障害者国家委員会 - JICA専門家 千葉寿夫   2. コミュニティづくり:「支援する人」から「当事者」を目指して 野毛坂グローカル 代表 奥井利幸 インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2. アジア経済研究所より『途上国の障害女性・障害児の貧困削減――数的データによる確認と実証分析――』刊行 3. 新教材!『スマホから考える世界・わたし・SDGs』発行のお知らせ 4. 第6回「笑顔をあきらめない。」写真コンテスト(2018年)開催決定! 5. Social Impact for 2020 and Beyond 未来予想から未来意志へ イベント情報 1. 4/14(土)開催 講座シャプラバ!「ネパール大地震から3年 ”私たちは忘れない”ラジオドラマワークショップ」        2. 「Yes Peace! ハッピーアースパレード」への、ご参加のご案内 トピックス 1.モンゴル障害者権利条約推進への取組    - 障害者国家委員会 ?     ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト JICA専門家 千葉寿夫          モンゴル政府は2009年に障害者権利条約を批准し、2012年に人口開発・社会保障省(当時)の下に障害者開発課を設置、さらに2016年2月にモンゴルで初めて障害者の権利を保障した障害者権利法を制定しました。本法により、障害者が政策に参加する機会が飛躍的に増えたのですが、今回は、その仕組を紹介します。  まず首相を議長とし、全省の事務次官、労働社会保障省の大臣と担当局長と課長、障害関連のNGOから12名(うち障害者7名)からなる「障害者国家委員会」が2017年に設立されました。モンゴル政府は、2017年に権利条約に基づく障害者国家プログラム(2017?2020年)を承認しましたが、本委員会はこのプログラムの実施を担当する最高責任機関です。今年は2月に実施され、2018年度の活動計画が承認されました。  次に、全省の下に「障害者副委員会」も設立されました。これは各省で国家プログラムを実施するために設立された委員会で、当然、障害当事者もメンバーに含まれています。教育省、保健省、建設省などに副委員会が設置されることも画期的なのですが、防衛省や外務省にも設置が義務付けられています。障害者団体は希望する副委員会への参加を申請し、障害者開発課によって割り振られた委員会に参加しています。  さらに、モンゴルの全21県およびウランバートル市とその下にある9区において、障害者支部委員会の設置も義務付けられました。これは地方自治体においても障害者の政策参加を確保し、障害者とともに国家プログラムの実施に取り組むためです。2018年2月現在で、支部委員会が設置されていないのはわずか数県しかなく、すでに多くの地方自治体に支部委員会が設置されています。  この様に、障害者国家委員会、副委員会、支部委員会と全省および全地域で障害者の政策参加の機会が確保されたため、いまモンゴルでは多くの障害者が政策策定に参加しています。一方で、障害者団体の政策立案能力はまだ十分とは言えず、我々JICAプロジェクトでは、障害者団体の能力強化に取り組んでいます。 2.コミュニティづくり:「支援する人」から「当事者」を目指して 野毛坂グローカル 代表 奥井利幸    皆さまはじめまして、JANNETに昨年入会させていただきました野毛坂グローカルの奥井と申します。  自己紹介を簡単にさせていただくと、私は長く国際協力の現場で働かせていただき、地域コミュニティ開発、高齢者支援、人身取引対策や、アジア太平洋障害者センター(APCD)プロジェクトでも働かせていただきました。途上国での仕事は非常にやりがいを感じる仕事で、貴重な経験をさせていただいたと思っています。 一方で、その仕事はあくまで「支援する側」であり、心情的には当事者の人と同じ立場で活動したいと思いつつ、組織の都合を最優先しなければならないジレンマを感じることもありました。  1年半前に、ミャンマーでの人身取引対策のプロジェクトが終了するのを機会に、「自分で当事者になる」との思いで、横浜で野毛坂グローカルという団体を立ち上げ地域コミュニティづくりの活動を開始しました。今は「誰もが住みよい街づくり」を目指して地域コミュニティで活動をしています。  SDGsのコンセプトでも「誰一人取り残さない」とありますし、様々な団体の多くの活動が『誰もが』というキーワードを使っています。しかし、『誰もが』は理想であるとし、本当に実現することに注力している団体や活動は実はあまり多くないと感じています。  私の考える『誰もが』という意味は、障害者だけではなく、すべての生きづらさを抱えた人誰もの意味です。多かれ少なかれすべての人は生きづらさを抱えていると思います、私の活動は特に障害者にフォーカスしているわけではありません。しかし、様々な社会のバリアによって特に生きづらさを感じることの多いであろう障害者から学ぶことにより、すべての人が住みよい街づくりになることを目指しているのが私の活動です。   と、偉そうなことを書きましたが、予想していた通りなのですが、地域コミュニティで働いている人達は人間的には素晴らしい人達が多いのですが、従来の価値観の中で例えば困っている人には「助けてあげて」また「感謝してもらって」それが活動の原動力になっている現状があります。また阿吽のハーモニーの中で非言語コミュニケーションが充満しており異なる価値観の導入には抵抗も多く感じます。 私はいま「住民」として地域コミュニティに関わっています。「支援する人」であり外部の人間であればある程度ズケズケ率直にモノを申すことは認められます。国際協力ではそれが有効な面もありました。しかし、住民の立場であれば「異物は排他される」危惧を感じる中でのより慎重な活動になります。 そのため、地域コミュニティの中での信頼関係を得る活動が重要であり、一歩一歩、いや半歩半歩前に進むことを目指す活動にならざるを得ないと思っています。「誰もが住みよい街づくり」を目指して少しずつ頑張りますので、ぜひ皆様の指導や助言をお願いします。 写真1:横浜国際フェスタで(左はしが奥井) 写真2:地域の空き家を改装して設立予定のコミュニティスペース予想模型 写真3:野毛坂グローカル主催イベント「公開トーク:弱者が社会的弱者にならないためには??日本とアジアの障害者から学ぶ?」2017.10.19実施 ************************************************************************************** インフォメーション 1. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報     (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)     署名国・地域数161/ 締約国・地域数 177 (2018年3月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=IND&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en 2. アジア経済研究所より『途上国の障害女性・障害児の貧困削減――数的データによる確認と実証分析――』刊行 障害女性と障害児について、これまで印象論や質的研究だけで語られがちだった 彼らの状況や交差性の問題について、計量データでの確認とそこからの計量経済 学的な分析を行ったものです。図書館などで頼んで頂いてごらん頂ければと思い ます。なお、執筆は全員、アジア経済研究所の研究員です。 目次 まえがき 略語表 序章 障害女性と障害児――彼らはどのように開発から取り残されているのか― ― / 森 壮也 はじめに――持続可能な開発目標と障害生計調査―― 第1節 障害女性と障害児 第2節 国際的な場面における障害女性と障害児の取り扱いと統計データの問題 第3節 本書の構成 おわりに 注文等は以下のサイトから可能です。 http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Books/Sousho/636.html 3. 新教材!『スマホから考える世界・わたし・SDGs』発行のお知らせ      http://www.dear.or.jp/book/book01_phone.html ・発行:開発教育協会 ・2018年3月20日、A4判68頁 ・一般価格:¥2,000+税 ・会員価格:¥1,600+税 ・対象:中学生以上 ・助成:LUSHチャリティバンク、大阪コミュ二ティ財団 生活必需品と考える人も多くなったスマートフォン(スマホ)。 そんなスマホが採掘現場や組立工場で様々な問題を引き起こしている!? 本教材では、スマホを通じてグローバル経済の仕組みと社会問題、自分とのつな がりを理解し、消費者として、市民としての今後の行動について考える10のワー クを収録しています。 また、教材購入者特典として、スライド資料や写真も無料でダウンロードして自 由にご利用いただくことができます。 ▼ねらい わたしたちが日常で使っている製品は、世界各地の生産地における、労働問題、 人権問題や環境問題と密接につながっています。特に工業製品の場合、そのつな がりは農産物や衣料品よりもさらに広範かつ複雑です。そして、生産工程が複雑 で消費者の目から見えにくくなるほど、問題が看過される可能性は高まります。 本教材は、日本を含む世界各地で普及しているスマホを取り上げることで、生産 工程においてさまざまな問題をはらんでいる工業製品の事例を学び、責任ある消 費者として、またより公正な社会をつくる市民としての意識を高めることを目的 とします。 4. 第6回「笑顔をあきらめない。」写真コンテスト(2018年)開催決定! http://www.japanpt.or.jp/general/activity/photocon/06/ * 募集作品概要 「笑顔をあきらめない。」をメインテーマとし、理学療法士の活動に関するオリジナリティあふれる写真作品を、医療・介護・研究・スポーツなど様々な領域にて幅広く募集します。 * 応募期間   2018年1月9日〜6月15日まで   (データ受付)最終日の23:59まで   (郵送)最終日の郵便切手消印日もしくは宅配便受付日 * 応募方法 応募要項の内容について、必ず了承したうえ専用投稿フォームまたは郵送にてご応募ください。 結果発表 「日本理学療法士会ホームページ」にて、7月17日(理学療法の日)公開予定 *入賞者には郵送(またはメール)で通知を致します。 * 贈賞   最優秀賞(1点) 賞状・賞金5万円   優秀賞(2点) 賞状・賞金3万円   佳作(数点) 賞状・賞金5千円 * お問い合わせ 以下のフォームよりご連絡ください。https://support.japanpt.or.jp/contact/?site=jpta&inq=133213   ※選考基準についてのご質問にはお答えしかねます。     5. Social Impact for 2020 and Beyond 未来予想から未来意志へ(NPO法人ETIC) * 社会課題取り組み中MAP、SDGs取り組み中MAP 社会課題をチャンスと捉えて、ポジティブに次の社会を創ろうとする。 私たちはまさにこれから必要なその力を「未来意志」と呼ぼうと思います。 そして2020年とその先の未来のために、未来意志でつながる仲間を募ります。 企業や行政、そして個人の未来意志をつなぎ、イノベーターどうしが持つ 能力と情熱を掛け算させて促進しながら、まだ見ぬイノベーションを生み出していける。 そんなプラットフォームを提供します。 * 未来意志プラットフォームへの参加  https://2020.etic.or.jp/ このサイトでは企業や行政、そして個人がつながることで日本がかかえる人口減少社会、高齢化社会、過疎化、エネルギー不安などの社会課題を解決することを目的としています。       <NPO法人ETIC  http://www.etic.or.jp/etic/index.html>        イベント情報 1. 4/14(土)開催 講座シャプラバ!「ネパール大地震から3年 ”私たちは忘れない”ラジオドラマワークショップ」  2015年4月にネパールを襲った大地震から3年。 ネパールで暮らす人々の思いやシャプラニールの活動、さらにシャプラニールが 2011年から5年間活動した福島県いわき市での様子を、シナリオを通して 肌で感じることのできるワークショップを開催致します。 企画・シナリオはシャプラニールのボランティアグループ「シャプラニール劇団」のオリジナル。 シナリオを読みあわせるところから始めますので、演劇経験等はまったく問いません。 皆さまのご参加、お待ちしています。 【日時】4月14日(土)13:30〜15:30 【場所】早稲田奉仕園内セミナーハウス105号室     https://www.hoshien.or.jp/map/     (東京都新宿区西早稲田2-3-1早稲田奉仕園内)    ・東京メトロ東西線 早稲田駅 徒歩5分    ・副都心線 西早稲田駅 徒歩8分 【定員】15名 【参加費】500円(資料代・参加費) 【講師】シャプラニール劇団 【お申込み】 以下のお申込みフォームからお申し込みいただくか、 下記のお問合せ先まで、お名前/ご連絡先(電話/E-mailアドレス)をご連絡ください。 https://www.shaplaneer.org/eventform/ ※キャンセル待ちの方への連絡や会場準備の都合上、お申込後に 欠席される場合は必ずお早めにご連絡ください。 【お問い合わせ先】 (特活)シャプラニール=市民による海外協力の会 担当:上嶋 電話:03-3202-7863  Fax:03-3202-4593  E-mail:event@shaplaneer.org 2. 「Yes Peace! ハッピーアースパレード」への、ご参加のご案内 4月21日(土)「アースデイ東京2018」のイベントの一つです。 【パレードのコースの概要】 集合場所:代々木公園けやき並木 スタート:14時  終了:16時頃予定 道程:公園通り → 渋谷駅前スクランブル交差点 → 明治通り → 表参道 → 代々木公園 【ご参加の方法等】   パレードへのご参加方法は、次のような方法がございます。   1.貴団体として、ご参加くださる。   2.当NPOのパレードとご一緒にご参加くださる。   3.個人で、ご参加くださる。   ※その他、お問い合わせは、下記まで、お願いいたします。 【お問い合わせ先】     SDGsハッピーアースパレードチーム     安在     hibakushaten@gmail.com     080-3558-3369 ■SDGsハッピーアースパレードフライヤー.pdf http://bit.ly/2pnXhTU ■主催者等 企画 YES PEACE!プロジェクト(http://bit.ly/2HMNXjZ) (NPO 法人世界ヒバクシャ展:https://www.no-more-hibakusha.net/) 運営 アースデイ東京 2018・SDGs ハッピーアースパレードチーム 「◆アースデイ東京2018 Yes Peace! SDGs ハッピーアースパレード」 http://bit.ly/2u8r3Sd 「アースデイ東京 2018」 http://www.earthday-tokyo.org/2018/02/02/5174 編集後記  2018年冬、ピョンチャンオリンピック、パラリンピックが開催されました。トレーニングを重ねた人間の動きはとても美しく、また努力を重ねた人間性が佇まいに表れているように思います。  NHKではパラリンピック競技の理解を深める番組や、選手の紹介番組が放映されていました。選手たちの輝きを多くの国民が目にし、2020年東京オリンピック、パラリンピックに向けて、障害者スポーツの推進を後押しするものになったのではないでしょうか。  今回の記事に、「誰もが住みよい街づくり」を目指した活動の報告があります。私たち自身が自分の心身の健康に留意し、スポーツや地域活動に参加していくことと、障害者スポーツが推進されることは、地続きであるように思います。  皆様自身も、身体活動を増やし体力をつけ、益々ご活躍ください。   (知脇 希 公益社団法人日本理学療法士協会/JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。         JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/