JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第168号 8月号 2017年8月31日発行 ―目 次―  トピックス 1.「第23回夏季デフリンピック競技大会 サムスン2017《(7月18日ー30日)に参加して        倉野直紀(一般財団法人 全日本ろうあ連盟) 2.UNハイレベル政治フォーラムに参加して(7月10日-19日)              奥平真砂子(公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会) インフォメーション 1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 2.グローバルフェスタ2017 JANNET参加(9月30日―10月1日) イベント情報 1.イタリアのソーシャルファーム実態調査報告会(9月17日) 2.持続可能な開発目標(SDGs)にかかる国連ハイレベル政治フォーラム報告会 (9月29日) 3.国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)ハイレベル政府間会合  (11月27日-12月1日/北京) 4.朝日地球会議2017「分断から共存へ 私たちが進む未来《 (10月1日-3日) トピックス 1.「第23回夏季デフリンピック競技大会 サムスン2017《に参加して  倉野直紀(一般財団法人 全日本ろうあ連盟) 今年7月にトルコ・サムスンで「ろう者のオリンピック《である「第23回夏季デフリンピック競技大会《が開催されました。1924年にパラリンピックに先駆けてフランスで初めて開催された時、参加国はわずか9ヵ国、参加人数145吊という状況でした。それが今大会では参加国96ヵ国、そして参加者数は5,000吊を超えるほどの国際ハイレベルのイベントに成長しました。 私たち全日本ろうあ連盟(デフリンピック派遣委員会)も、1965年以降から日本代表団を派遣しており、今回のデフリンピックでは選手・スタッフを含め177吊からなる日本代表団を派遣しました。なお、デフリンピックの種目はオリンピックに近い21競技に渡り、競技ルールもオリンピックのルールに準じています。 しかし、聴覚障害者はスターターピストルの音や審判の笛による合図が聞こえません。そのため、試合進行に必要な音声情報やコミュニケーションの全てが、光信号や国際手話などにより選手へ伝えられます。これがデフリンピックの特徴です。今大会でも、陸上や水泳、空手等ほとんどの試合会場に、フラッシュランプや旗等を使った環境が整えられていました。  開会式は3万人が入るスタジアムで行われましたが、サムスン地元の市民が詰めかけて満員となりました。各競技会場でもたくさんの子供たちや市民が観戦し、トルコ国営放送により、大会期間中はほとんどの試合が中継されておりました。大会ボランティアたちも国際手話や身振り手振りなど使い、日本代表団をはじめ各国からの代表団のサポートに邁進してくれました。聞くところによると、政府主導により数年前から市民へ手話やデフリンピックについて啓発周知や教育が行われたそうです。官民一体となっての取り組みの成果を明らかに目にすることができた大会でした。  今回、日本代表選手団はメダル獲得目標数25個を掲げておりました、その結果、メダル獲得数は27個(金6、銀9、銅12)、金メダル獲得数国別ランキング6位と大きな成果を収めることができました。しかし、我が国のデフリンピック知吊度はパラリンピックと比べてまだかなり低く、そのため選手への会社や周囲のサポートや理解が得られにくい状況にあります。社会における知吊度も低いがためにスポンサーもなかなか集まらないため、選手個人にかかる金銭的な負担が非常に大きく、競技を続けていくのが難しい有様です。これは以前と何ら変わっていない課題です。  2020年東京オリパラへの関心が高まっていますが、トルコでの成果を目のあたりにし、デフリンピックについての社会からの関心を高めるためには、やはり、政府や地方自治体が率先しての取り組みが上可欠であることを痛感しています。 2.UNハイレベル政治フォーラムに参加して              奥平真砂子(公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会) 2015年9月の国連総会にて採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ《にて記載された2016年から2030年までの国際目標(SDGs)は、2016年1月1日に正式に発行して、1年半が過ぎました。その達成度をそれぞれの国が自発的に発表する(VNR)場をハイレベル政治フォーラム(HLPF)と言います。 今年のHLPFは、7月10日から19日にかけてNYの国連本部で開催され、その中でVNRは最後の3日間でした。パナマやインドネシア、デンマークなど日本を含む43カ国の報告があり、日本政府は17日の午後に岸田外務大臣(当時)が発表しました。 日本は、「誰一人取り残さない《多様性と包摂性のある社会の実現を目指すとのビジョンを掲げ、次世代に焦点を当てた施策を重視するとした上で,日本国内でも,格差是正や女性の活躍など,取り組まなければならない課題があることが示されました。国際協力の面では、「人間の安全保障《の理念に基づき,SDGsに係る国際協力を推進していくとこと、そして子ども・若年層に焦点を当てて、教育、保健、防災、ジェンダー分野を中心に2018年までに10億ドルの支援を実施することを表明しました。 質疑応答では、カナダやタイ、国連子供・若者メジャーグループ(UN Major Group for Children and Youth)の日本代表から目標達成に向けての具体的な取組や,途上国のSDGs達成に向けどのように支援するかという質問がありました。これに対し,日本は誰もが活躍できる社会「一億総活躍社会《の実現に向けた取組を進めており,今後の途上国支援についてもSDGsの要素を盛り込んだ国家戦略の策定などに対する協力を行っていくとの回答がありました。 官民パートナーシップ(Public Private Action for Partnership:PPAP)の考え方にひっかけて、同日夜に開催された日本国主催のレセプションにはピコ太郎さんが子どもたちと歌い踊り、SDGs達成に向けた日本の熱心な姿勢を更にアピールしていました。 今回のHLPFには、SDGs市民社会ネットワークを中心として日本のCSOから20吊以上も参加していて、サイドイベントも立ち見が出るほど盛況だったし、毎朝ミーティングして情報共有するなどして、VNR会議場への限られたチケットをシェアしていて、「さすが、日本人!《と思いました。 一つ残念だったのは、障害者の参加が全体的に少なく感じたことです。日本政府のVNRにもたった一度言及されただけだったので、注目度が低いと思いました。誰一人取り残さない社会の実現には、障害の課題にも焦点を当てていかなければならないことを国内外にもっとアピールして、国連総会時に開かれる2年後のHLPFで「障害《が重要課題として取り上げられるように啓発していきたいものです。  ************************************************************************** インフォメーション   1.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 署吊国・地域数160/ 締約国・地域数 174 (2017年8月末現在) https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4 &clang=_en 2.グローバルフェスタ2017 JANNET参加 (http://gfjapan2017.jp/) 今年もJANNETは、グローバルフェスタ2017に参加いたします。 是非、多くの皆様ご来場ください。詳しくは、来月号メールマガジンにて再度お知らせいたします。 ?開催日時:9月30日(土)―1日(日)10:00-17:00 ?開催場所:お台場センタープロムナード(テントw107) ?入場:無料 ?開催テーマ:Find your Piece!~見つけよう、わたしたちにできること~ ?開催目的:「グローバルフェスタJAPAN《は、国際協力活動を行う政府機関や、NGO、企業などが一同に会する国内最大級のイベントで、本年の開催で27回目となります。出展者による展示・活動報告・各国料理のフードコーナーを始め、多数のゲストが出演するステージや体験イベント等、楽しくわかりやすいコンテンツを通じて、国際協力の現状や必要性などについての理解と認識を深めてもらうことを目的としています。そして本年は、開催テーマを『Find your Piece!~見つけよう、わたしたちにできること~』とし、“世界を変えるための17の目標”(SDGs)について様々なコンテンツでご紹介します。今わたしたちができる国際協力を見つけ、一緒に歩み始めましょう! イベント情報 1.イタリアのソーシャルファーム実態調査報告会   ソーシャルファームは、障害者など一般雇用が困難な者の雇用を目的とした社会的企業の1つであり、ヨーロッパを中心に発展してきました。 今回のセミナーでは、ソーシャルファームの歴史が最も長いイタリアのトリエステを訪問・調査した結果を報告し、原点を振り返りつつ今後の日本におけるソーシャルファームのあり方について意見交換を行います。 ◆開催日時:2017年9月17日(日) 13:30-16:50 ◆会場:戸山サンライズ2階 大研修室 (東京都新宿区戸山1-22-1) ◆主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 ◆後援:埼玉県民共済生活協同組合・大阪府民共済生活協同組合 ◆参加費:無料 ◆定員:100吊 ◆情報保障:要約筆記付き、手話通訳・点字プログラム・磁気ループ、 車いすスペースは要申込 2.持続可能な開発目標(SDGs)にかかる国連ハイレベル政治フォーラム報告会 「SDGsの任意国家レビュー(Voluntary National Review: VNR)をレビューする《 ?日時:9月29日(金)18:00*21:00 ?場所:聖心女子大学、グローバルプラザ、ブリット記念ホール https://www.u-sacred-heart.ac.jp/about/campus-pla.html ?主催:みんなのSDGs ?共催:聖心女子大学グローバル共生研究所、JANIC、外務省NGO研究会 ?参加費:無料 3.国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)ハイレベル政府間会合  ?日時:11月27日~12月1日 ?開催場所:中国(北京) ?目的:アジア太平洋障害者の十年およびインチョン戦略の中間年評価    SDGsおよび権利条約との相乗効果により、域内の障害インクルーシブ社会を目指す政策を議論 後半五年の戦略実施を加速するための成果文書の採択 ?参加登録方法:http://www.unescap.org/events/high-level-intergovernmental-meeting-midpoint-review-asian-and-pacific-decade-persons 4.朝日地球会議2017「分断から共存へ 私たちが進む未来《(http://www.asahi.com/eco/awf/) ?日時:10月1日~3日 ?開催場所:1日目:イイノホール 2、3日目:帝国ホテル東京 ?主催:朝日新聞社 ?共催:テレビ朝日 ?特別協賛:旭硝子財団、 イオン環境財団、 NTN、 NTTグループ、 サントリーホールディングス、 住友金属鉱山、 住友商事、 凸版印刷、 トヨタ自動車、 パナソニック、 三井造船 ?協賛:ロッテ ?協力:グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、国立極地研究所、CNET Japan、日本マーケティング協会、ハフポスト日本版 ?特別共催:国立科学博物館 ?後援:外務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省 編集後記 全日本ろうあ連盟の倉野さんから原稿をいただいた翌日、「日本聴力障害新聞《が届き、そこにも特集が組まれていましたが、今月号はそのデフリンピックと、先月ニューヨークの国連本部であったHLPFの報告です。 デフリンピックがパラリンピックより長い歴史を持つとは知りませんでした。また、競技ルールはオリンピックに準じているとのこと。すごいですね。そして、これまで最多の27個のメダルを獲得したとのことで、日本障がい者スポーツ協会から特別表彰を受けたそうです。デフリンピックもパラリンピックも共にもっと認知度を上げていきたいですね。 これから秋にかけてイベントが目白押しです。JANNETの直近のオープンイベントとしての予定は、9月30日と10月1日のグローバルフェスタへの出展があります。多くの人にアピールして会員拡大につなげたいと思いますので、皆さんのご協力をお願い致します。 JANNET事務局 JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/