JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第164号 4月号 2017年4月27日発行 ―目 次―  トピックス 1. パキスタン・障害分野NGO対象CBR研修開催                                清水 香子(アジア保健研修所)   2.障害者権利条約カナダ「建設的対話」ジュネーブ傍聴記   曽田 夏記 (DPI日本会議・特別常任委員) インフォメーション 1. JANNET総会〔5月27日〕 2. JANNET広報・啓発委員会の取り組み 3. JDF拡大国際委員会開催 4. 研究双書「アジア諸国の女性障害者と複合差別」 5. 「アジア民衆パートナーシップ支援基金」で助成事業を募集中 6. 「世界自閉症啓発デー」 7. JICAグローカル強力隊(育成型)募集中 8. 石川准委員(国連障害者権利委員会)のウェブサイト 9. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 イベント情報 1. 五輪応援ワークショップ「スポーツの価値を考えようvol.5-日本の運動会を世界のUNDOKAIにー」」 2. SDGsから考えるアジアの若者と持続可能な未来 3. アジア太平洋障害者リーダー育成事業「海外研修生成果発表会」 4. 第14回ゴールドコンサート トピックス 1.パキスタン・障害分野NGO対象CBR研修開催                               清水 香子(アジア保健研修所)  アジア保健研修所(AHI)は毎年、アジアのNGOワーカーを日本に招き、住民参加とエンパワメントをテーマに参加型のリーダーシップ研修を開催しています。2014年度からは、元研修生との協働でパキスタンでも研修が始まりました。このパキスタン研修の修了生の中の障害分野で活動する人たちが、自分たちの同僚を対象に参加型研修をやりたいと声をあげ開催したのが、2016年11月ラホール市での、5日間の「CBRファシリテーター養成研修」です。  参加者は障害者支援を行う小規模NGOワーカー19名。多くが、施設中心・サービス提供型の活動に行き詰まりを感じていました。また地方のNGOに研修の機会は少なく、長年障害者支援に取り組みCBRを掲げているものの、CBRマトリックスを初めて見る、という人たちでした。  研修の内容は、CBRやCBID、IL、国連障害者権利条約等、基本概念や重要事項のアップデートを始め、障害者平等研修(DET)ファシリテーターを講師として招き、障害の社会モデルについて理解を深めました。また自立生活センターを訪問し、その社会の障害を取り除くために活動する力強い当事者とも出会いました。その過程で、CBRワーカーの役割を捉え直し、課題の洗い出しを行い、最後に活動計画を作成しました。これらは、ワークショップやロールプレイ、グループ討議を用いて進められました。  この研修で参加者が発見したこと。それは障害者自身が活動の主役だということです。これまで、障害者は無力な人たちであり、リハビリをし、薬を渡す専門家である自分を中心に活動を考えていました。「私の地域の障害者が、自ら決め、動く。それを支えるのが私の仕事」。活動計画のひとつに、自立生活センターのメンバーを講師として自分の団体に招くプログラムをたてた人もいます。パキスタンで、小さいけれども方向を変える一歩が、生まれつつあるのを感じています。   2.障害者権利条約カナダ「建設的対話」ジュネーブ傍聴記                     曽田 夏記 (DPI日本会議・特別常任委員)    2014年1月、障害者権利条約が批准され、私たちは今、国内における「条約の完全実施」に向けた第2ステージに立っているといえます。国連は、各国で各人権条約の内容がしっかり実現するよう、批准国と「建設的対話(審査)」と呼ばれるモニタリングを定期的に実施しています(報告制度)。日本は、2016年5月に最初の国家報告書を提出しており、国連による初回の「建設的対話」は2020年春頃に予定されています。  国連における上記の監視枠組みにおいて、「市民社会の声(NGOレポート)」は、政府報告書とは異なる事実・課題を伝える上で重要な役割を担っています。4/2(日)〜4/4(火)、JDF(日本障害フォーラム)条約推進委員会は、阿部JDF代表を団長とする傍聴団をジュネーブに派遣、2020年の日本審査に向けカナダから学ぶべく、同国と国連の「建設的対話」を見学しました。  国連での「建設的対話」は、@4/3(月)午後15〜18時、A4/4(火)午前10時〜13時の計6時間行われました。市民社会の総力戦は、@の直前に1時間だけ実施される、B「権利委員とのプライベートミーティング」、いわば審査を担う権利委員への「最後の打ち込み」です。  カナダ市民社会グループの特徴は、いわゆる「伝統的」な障害当事者団体以外にも、LGBT、反貧困団体、認知症、先住民など、多様な市民社会組織と連携していた点でした。彼ら・彼女らは、NGOレポート策定過程で、互いの「声」を聴きあい、課題を理解し合い、「仲間」になっていったプロセスを語ってくれました。「包括的」な議論ができる権利条約の場であるからこそ、今ある「輪」を広げる努力、社会から排除されている人びとの声を丁寧にひろいあげる覚悟が必要であると感じました。  “I have a dream.” の演説で有名な、キング牧師が動員したワシントン大行進。全米から参加した20万人のうち、7万人は「非黒人」だったそうです。私たちの想いに共感し、同じ志で動いてくれる「仲間」たちを、今後、この日本でどれだけ増やしていけるのか。2020年に向け、カナダ市民社会グループから学んだ「仲間づくり」の仕事が、いま始まっています。 ************************************************************************************** インフォメーション 1. JANNET総会  JANNET総会の日時が決まりました。5月27日(土)15:15より、会場は戸山サンライズ2F大研修室です。 2. JANNET広報・啓発委員会の取り組み その1.JANNET清水会長の動画が撮影されました。近日中に日本語と英語でJANNETのホームページに掲載される予定です。 その2.JANNETの活動を社会に広めることと会員の拡大を目指して、新しいパンフレットとロゴを制作しています。「誰ひとり取り残さないインクルーシブな社会の実現を目指して」との文字が、印象的な絵柄とともにパンフレットの表紙を飾っています。A3用紙を四つ折りにした大きさで、JANNETの多様な活動を紹介する構成です。JANNET総会で承認をいただいてから皆様にご案内いたします。 3. JDF拡大国際委員会が開催されました。  4月10日戸山サンライズにて開催されたJDF拡大国際委員会では、先日のAPDFおよびUNESCAP会議へ参加された委員から、会議の情報保障や国際線でのアクセシビリティ等改善の必要な事項への建設的で問題意識に富んだ報告がありました 4.研究双書「アジア諸国の女性障害者と複合差別」が出版されました。 https://www.jetro.go.jp/view.php?pageId=405804   アジア経済研究所から出版された本書では、障害のある女性が被る複合差別に対応した、アジア諸国(韓国、カンボジア、タイ、フィリピン、バングラデシュ、インド)の法制度や仕組みの構築について、現状と課題が考察されています。 5. 「アジア民衆パートナーシップ支援基金」で助成事業を募集しています。 http://act-trust.org/info/01.html  日本が第二次世界大戦で被害を与えた国々の民衆と日本の人々が交流し、経験・知見の共有を通じて共に成長・発展しようとする事業が対象です。締切は2017年6月2日です。 6. 世界自閉症啓発デー http://www.un.org/en/events/autismday/  毎年4月2日は国連の「世界自閉症啓発デー」です。スカイツリーがシンボルカラーの青色にライトアップされました。自閉症についての理解を深めるために世界各地で様々な取り組みが行われました。 7.JICAグローカル強力隊(育成型)募集中〔応募締切:5月10日〕 https://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/glocal/training/  JICA青年海外協力隊として開発途上国で活動を目指している20歳から39歳までの方々を対象に、海外で活動する前に日本国内で1年間程度実習する機会を提供するプログラムです。現在、障害児・者支援の職種を募集中です。 8.国連障害者権利委員会の石川准委員のウェブサイトをご存じですか? http://ir.u-shizuoka-ken.ac.jp/ishikawa/   国連の障害者の権利に関する委員会に日本人として初めて選出された、全盲の社会学者である石川委員が、4月の委員会で質問された内容を発信されています。国連障害者権利委員会は、確定約国の権利条約実施状況をモニタリングする専門機関です。 9. 国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報     (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)    スリナムがUNCRPDを2017年3月29日に批准しました。     署名国・地域数160/ 締約国・地域数 173 (2017年4月末現在)   参照:外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_002110.html      国連(英語)https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4 &clang=_en イベント情報 1.五輪応援ワークショップ「スポーツの価値を考えようvol.5-日本の運動会を世界のUNDOKAIにー」」 * 日時:2017年5月19日 (金曜日)  18:30-20:45 * 会場: JICA市ヶ谷ビル 2階 国際会議場 * 参加費:無料 * 定員:100名(先着順) * 主催: JICA 地球ひろば * 参加申込: 下記問合せ先まで、電話またはE-メールで申し込む。 * 問合せ: JICA 地球ひろば 地球案内デスク 電話:0120-767278, Eメール:chikyuhiroba@jica.go.jp https://www.jica.go.jp/hiroba/information/event/2017/170519_01.html 2. 「SDGsから考えるアジアの若者と持続可能な未来] * 日時:2017年5月14日 (日曜日)  14:30-17:30 * 会場: JICA市ヶ谷ビル 2階 セミナールーム202AB * 参加費: 学生無料、社会人500円 * 定員: 40名(先着順) * 参加申込: 下記問い合わせ先までEメールでお問い合わせください。 * 主催: アジア教育交流研究機構 * 問合せ: アジア教育交流研究機構 Eメール:yoshikawa@aaee.jp https://www.jica.go.jp/hiroba/information/event/2017/170514_01.html 3. 「海外研修生成果発表会」 * 日時:2017年6月4日 (日) 13:30-16:30 (13:00 開場) * 会場:戸山サンライズ 2階 大研修室 * 参加費: 600円(介助者は無料) * 定員:100名(先着順) * 申込締切:5月29日(月) * 主催:ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業18期生。 〔公財〕ダスキン愛の輪基金  〔公財〕 日本障害者リハビリテーション協会 * 申込・詳細: http://www.normanet.ne.jp/~duskin/infomation/2017/clipmail.html 4.  障害をもつミュージシャンのコンテスト:「第14回ゴールドコンサート」      * 日時:2017年5月6日 (土) 13:30 開場、14:00 開演 * 会場: 山野ホール * 参加費: 500円 * 事前予約が必要です。 * 主催: NPO法人 日本バリアフリー協会 ゴールドコンサート事務局 * 問合せ・詳細: info@npojba.org 電話:03-5215-1485  Fax: 03-5215-1735 編集後記   今号もお読みいただき、どうもありがとうございます。    今月1日、障害者差別解消法が施行されて丁度1年が経過いたしました。  この間、日常のさまざまな場面に存在する「差別」を見つめ、それをなくしていくための方法や、障害者に提供されるべき「合理的配慮」のあり方について考え、話し合う営みが続けられてきたかと思います。  障害当事者からは大小さまざまな訴えが行なわれ、訴訟として提起されたケースもありますし、公的機関や企業との新たな「対話」に繋がったものもあったでしょう。  思うに「合理的配慮」という考え方は、当事者が声を上げることと、それを受けた「対話」を必要としています。  そこで、困難な状況は続いていますが、「さて、しばらくは粘り強い対話を続けてみますか」と、改めて思い直す年度の始まりなのです。  今年度もどうぞよろしくお願いいたします。 伊藤 丈人(社会福祉法人 日本盲人会連合 /JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。         JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/ 1