JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第163号 3月号 2017年3月31日発行 ―目 次―  トピックス 1.ベトナムのメコンデルタのベンチェ省に0歳から始まる障がい児支援センター開設   坂東あけみ(ベトナムの子ども達を支援する会 事務局長)  2.APDF総会、UNESCAP総会   田畑 美智子(日本盲人会連合国際委員会/JANNET企画委員会委員) 3.企業の連携推進ネットワークの定例会に参加して   前島 富子(ADDP代表/JANNET広報・啓発委員会委員) インフォメーション 1.「国際協力NGO経営層のためのSDGsガイドブック」発刊 2. 無料連続公開講座「発達障がいを理解して、共に歩む」のお知らせ 3.南太平洋医療隊の河村康二さんが読売新聞社主催「第45回医療功労賞」を受賞 4. アジア保健研修所(AHI)が英文ニュースレター100号発行 5.アジア太平洋地域のCBR/CBIDについてのジャーナル発行のお知らせ 6. ILOビジネスと障害ネットワークの2017年行動計画 7. 吉本興業、笑いの力でSDGsの推進に一役 8.国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1. JICA地球ひろばリニューアルお披露目イベント 「もす!ボビー・オロゴンさんと考えよう、持続可能な開発目標」 2. 「マザーテレサに学ぶリーダーシップ」- 国際人へのリーダーシップ強化シリーズ 3.「私たちがつくる未来SDGs」 4. 「マッケンジー・ソープと現代アーティストによるチャリティー絵画展」     同時開催「ディスクレシアの才能展」 トピックス 1. ベトナムのメコンデルタのベンチェ省に 0歳から始まる障がい児支援センター開設 板東あけみ ベトナムの子ども達を支援する会 事務局長 「ベトナムの子ども達を支援する会」は、1990年に開設されたNGOです。主に南部メコンデルタにあるベンチェ省を事業地として活動してきました。1990からは省立障がい児学校の建設、1995年からは省立伝統医学病院の一部建設、1997年からは村診療所の設備改善、並行して1998年からは母子手帳の使用について提言して印刷費の協力をしてきました。母子手帳は2004年からベンチェ省全村において現地公的資金で印刷して使用されており、今は政府保健省が音頭を取って全国展開を目指しています。2005年からは全村でCBR活動も展開され、そのガイドブック印刷費の協力をしてきました。なお当初より毎年小児リハビリ、障がい児教育、新生児ケアと小児循環器、小児腎臓、小児救命救急などの技術協力も合わせて実施してきました。この経過の中で、それぞれの活動は発展してきているのに、相互連携に課題があることをベンチェ省と当会で確認し、障がい児支援センターを作ることになりました。 ベトナムでは、日本と違って0歳から教育研修省の管轄になるため、このセンターの所長は、障がい児学校校長が兼任しており、担当は障がい児学校で十分に経験を積んだ教師が当たっています。2017年11月現在、0歳を含む34人(知的13人、聴覚11人、自閉症6人、ダウン症3人、視覚1人)の就学前年齢の子ども達が週1回通ってきています。保護者負担は無料です。このセンターに来る以外の日は在宅:14人、私立幼稚園:12人、公立幼稚園:8人で、遠隔の1郡を除き、ほぼ省内全域から保護者が同行して来ています。当会の交流ツアーで、毎年8月にはCBR班が現地に1週間行きますが、このツアーで家庭訪問、幼稚園訪問、省立病院リハビリ科の訪問や研修をすると、CBRワーカー、幼稚園教員、病院職員から障がいのある子ども達への指導方法についてもっと学びたいという強い希望が行く先々で出てきます。これからは、経験を積んでいる障がい児学校や支援センターの教員と一緒になって、公立や私立の幼稚園教員、CBRワーカーの研修、支援センターの周知広報、地域での保護者の交流会、医療関係者やCBRワーカー、幼稚園とのネットワーク強化などが大きな課題であろうと思われます。2017年のCBR班の交流ツアーは、7月30日から8月6日まで行います。参加をご希望の方は、事務局長 板東までご一報ください。svcaban@cg8.so-net.ne.jp  2.APDF総会、UNESCAP総会   田畑 美智子 (日本盲人会連合 国際委員会/JANNET企画委員会委員) 2月27日と28日は、アジア太平洋障害フォーラム(APDF)の総会が、バンコクのアジア太平洋障害センター(APCD)を会場に開催されました。直後の3月1日と2日、国連アジア太平洋経済社会会議(UNESCAP)で開かれるインチョン戦略作業部会に合わせた開催で、効率的な日程には助かりました。  APDF総会は、直前に事務局の担当者が交代したことが影響し、参加者が今までになく少なく、特に地元タイからは支援NGOの担当者のみという、ちょっと寂しい会議でした。香港・日本・マレーシアなどでのインチョン戦略の実施状況が報告されましたが、特にマレーシアの障害者計画がインチョン戦略をかなり反映しており、参加者から関心を集めていました。また、WBUのような国際組織が担うべき役割に就いても話題が及びましたが、ASEANや太平洋諸国のようにサブリージョンでフォーラムが活発な現在、APDFの果たすべき役割をもう少し見つめ直す必要を感じました。また、各種委員会の委員長は選出されても、委員会が実質的に機能できないことが多いことは益々大きな課題という印象を受けました。 UNESCAP作業部会の大きな話題は、現在の「10年」の中間年となり、インチョン戦略の進捗を話し合うハイレベル政府間協議でした。今年の11月最終週に北京で予定されており、NGOを主体とするサイドイベントも予定されています。UNESCAPとして、この政府代表に少しでも障害当事者が入るよう推奨していました。 昨年の会議で、電動車いす利用者が国際線に搭乗するのに種々の問題に直面したことを受け、WBU・ASEAN障害フォーラム・世界盲ろう連盟の3団体で、障害のある旅行者の国際線利用に関するガイドライン案作りが進んでいます。今回の会議でたたき台を発表し、その後幾つか修正提案が出され、さらに個人的な経験を集めてガイドラインの資料とすることになりました。また、国際民間航空機関(ICAO)の担当者がSkypeで会議に参加し、これから最終版のガイドラインをICAOに提出後、ICAOの障害者対応マニュアルに必要に応じ反映を検討してもらえることになりました。 いずれの会議も大変重要なものですが、視覚障害者が単独で参加することが想定されておらず、食事、トイレや資料などで先が見えず、ややきつい会議参加となりました。せめて若干名で良いので地元のボランティア動員などの対応を検討いただければと思いながら帰国しました。 3.企業の連携推進ネットワークの定例会に参加して   前島 富子  (ADDP代表/JANNET広報・啓発委員会委員) 2017年2月27日、赤坂東急エージェンシー本社会議室に於いて、NGOと企業の連携推進ネットワーク定例会がありました。今回のテーマは、『インクルーシブな社会へ!』、副題が「全ての人の権利を考える!」でした。当日参加の企業は5社、15人程で、企業CSR担当の方々の出席がありました。基調講演の講師は(株)ミライロの岸田ひろ美さんで、ユニバーサルマナーについて体験を通した講演内容は、直接心に響きました。今回会場に参加された企業担当者からの質問の多くが、「障害者を職場に迎えたとき、彼らとどう付き合ったらいいのか?」や「町の中で障害のある人に出会った時、どんな態度で彼らを受け入れたら良いか、分からない!」等、心優しい、正直な質問だと感じました。「何かお手伝いしなければ・・・」「大丈夫かな?」と、その気持ちの深部は、やはり障害者を特別な存在だと感じているのかもしれません。障害者と健常者は当たり前の、ごく普通の関係で良いのではないか強く感じます。企業また社会で多くの人々がユニバーサルマナーを身につけることが、障害者の理解につながるのではないかと思いながら、岸田さんのご講演を聞きました。 今回はADDPもラオスでの事例を発表する機会を得ました。私たちADDPは、慈善の関係からWIN・WINな企業と社会とのパートナーシップを築きたいと願い、活動している団体です。障害を持つ女性達の自立・就労を進めるためのツールとして、美容とクッキーを選び、良質な技術を身につけるための活動に集中してきました。結果として、クッキー工房は夢であったソーシャルビジネスに大きく近づき、自主独立に向かっています。目的に近づけた大きな一歩が企業との繋がりでした。CSRの考えを持っていたラオストヨタに当会が訪問し、会社の販売促進グッズに私たちのクッキーを是非使って欲しいと熱意を込めて申し入れた結果、受注が始まりました。勿論、ラオストヨタのCSRの形として「トヨタは、障害者の収入向上のために貢献しています!」というロゴをパッケージに印刷しました。ラオストヨタの一例が功を奏し、現在はカフェやミニマートなど、81ヶ所以上の顧客へとクッキーの販売網が広がりました。 ADDP美容院は地域の人々に愛され、仮想就労の場として営業を続けています。研修生は一流の技術を身に付け、自信を持って生活しています。慈善の対象から脱却して社会と共生し、目指す目的に向かっています。本定例会より様々な可能性を感じながら、今後も企業と連携したソーシャルビジネスを展開したいと願い、企業の皆様との連携を模索していきたいと思っております。 ********************************************************************************* インフォメーション 1. 「国際協力NGO経営層のためのSDGsガイドブック」発刊 「本ガイドブックには、各NGOがSDGsを反映させた中長期計画や事業計画を策定していく上での必要な視点や具体的な方法が網羅されており、本書がNGOの皆様の今後の活動の一助になりますことを期待しています。」(SDGsガイドブックより) http://www.janic.org/MT/pdf/sdgsguidebook.pdf 2. 無料連続公開講座「発達障がいを理解して、共に歩む」のお知らせ 応募締切:4月7日 (社会福祉法人 日本キリスト教奉仕団) キリスト協奉仕団の座間のアガペセンターと板橋区高島平のアガペ東京センターで毎月交互に、無料の連続公開講座が開催されます。詳細、お申込み手続きはホームページに掲載されています。  http://www.jcws.or.jp/houjin/houjintop.html 3.JANNET会員の南太平洋医療隊代表で歯科医師の河村康二さんが読売新聞社主催「第45回医療功労賞」を受賞されました。 「トンガ王国で子どもたちの虫歯を減らして笑顔を増やしたい!」と、虫歯予防プログラムの活動を続けてこられたことへの表彰です。おめでとうございます。 https://info.yomiuri.co.jp/contest/lfmd/iryo.html 4. アジア保健研修所(AHI)から英文ニュースレター100号が発行されました。 http://ahi-japan.sakura.ne.jp/english/html/modules/pico/index.php?content_id=81 5.アジア太平洋地域のCBR/CBIDについてのジャーナル発行のお知らせ Disability, CBR and Inclusive Development (DCID) http://dcidj.org/ 6.ILOビジネスと障害ネットワークの2017年行動計画 この行動計画では、障害についての普及啓発に向けて3つの優先事項を決めています。 http://www.businessanddisability.org/index.php/en/news-and-events/featured-initiatives/483-looking-into-a-bright-future-2017-action-plan-of-the-ilo-global-business-and-disability-network 7.吉本興業、笑いの力でSDGsの推進に一役    国連広報センターと吉本興業はお笑いの力でSDGs を広めようと、4月20日-23日に開催される沖縄国際映画祭でSDGsを紹介する映像の公開やスタンプラリーを実施します。吉本興業では社員(約千人)が1月末にSDGsの勉強会をして理解を深めました。 http://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1188899_1501.html 8.国連障害者の権利条約(UNCRPD)締約国情報 (関連サイト:http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html)  署名国・地域数160/ 締約国・地域数 172 (2017年3月末現在) 参照:外務省http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page22_002110.html 国連(英語)https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4 &clang=_en イベント情報 1.JICA地球ひろばリニューアルお披露目イベント 「もす!ボビー・オロゴンさんと考えよう、持続可能な開発目標」 ?日時:2017年4月15日 (土曜日)  12:00-12:30 ?会場:JICA市ヶ谷ビル 2階 国際会議場 ?参加費:無料  ?定員:100名(先着順) ?参加申込:下記問合せ先まで、電話またはE-メールで申し込む。 ?問合せ:JICA 地球ひろば 地球案内デスク 電話:0120-767278, Eメール:chikyuhiroba@jica.go.jp https://www.jica.go.jp/hiroba/information/event/2017/170415_02.html 2.「マザーテレサに学ぶリーダーシップ」- 国際人へのリーダーシップ強化シリーズ ?日時:2017年4月15日 (土曜日) 13:00-17:00 ?会場:JICA市ヶ谷ビル 6階 601/602 ?参加費:無料 ?定員:30名(先着順) ?参加申込:下記問合せ先まで、電話またはEメールで申し込む。 ?主催:国際協力レポーター/ODA民間モニター OB/OG会 ?問合せ:同上OB/OG会 電話:048-951-8186, Eメール: bun.soda2007@gamil.com https://www.jica.go.jp/hiroba/information/event/2017/170415_01.html 3.「私たちがつくる未来SDGs」 ?日時:2017年3月9日−9月16日 (第1/第3日曜日休館) ?会場:JICA地球ひろば ?参加費:無料 ?問合せ・詳細: JICA 地球ひろば フリーダイヤル0120-767278 https://www.jica.go.jp/hiroba/information/exhibition/basic/index.html 4.「マッケンジー・ソープと現代アーティストによるチャリティー絵画展」 同時開催「ディスクレシアの才能展」 ?日時:2017年4月25日−30日 10:00-16:00 (最終日は15:00まで) ?会場:セントラルミュージアム銀座 ?参加費:無料 ?主催: NPO法人エッジ ?問合せ・詳細:edgewebinfo@npo-edge.jp 編集後記 本会(JANNET)が加入しているJANICでは、「国際協力NGO経営層のためのSDGsガイドブック」を発行しました。こちらはJANICホームページからダウンロードすることが可能です。上記インフォメーションにURLを記載しています。 本号のトピックスでは、本会の加盟団体である「ベトナムの子どもたちを支援する会」の教育の取り組み、「アジアの障害者活動を支援する会」のラオスでの企業連携の取り組みが紹介されています。また、障害のある旅行者の国際線利用に関するガイドライン案策定の報告もあります。 本会内では、「障害者を取り残さないインクルーシブな社会の実現」を目指していることを、規約やリーフレットの中に明記する準備を進めているところです。 今後も皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。 知脇 希(公益社団法人 日本理学療法士会 /JANNET広報・啓発委員) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/