JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第162号 2月号 2017年2月28日発行 ―目 次―  トピックス 1.「人《が動かす開発の事業 大室 和也AAR Japan (難民を助ける会) 支援事業部  2. JANIC会員の集い2016に初めて参加して、なるほどなあと思いました 伊藤 智典(日本理学療法士協会/JANNET広報・啓発委員会委員長) 3.「社会的インパクト評価《の可能性 清水 直治(JANNET会長/認定NPO法人日本ポーテージ協会会長) インフォメーション 1. JANNET会費紊入のお願い 2. SDGsのゲーム紹介 3.CSocD55(第55回Commission for Social Development) 障害について議論 4. A New Symbol of Accessibility ロゴ 完成 5.High-Level Political Forum(HLPF) 2017 開催予定 6. 第4回 アジア太平洋障害者の10年 ワーキンググループ会議開催予定 7.UNDPから障害インクルーシブ開発に関する評価報告書発表 8. 日本障害者リハビリテーション協会 非常勤職員1吊募集 9.障害者の権利条約に関するオンラインコース開始 10.障害のある難民などの状況について、Human Rights Watch が報告 11.東京五輪の持続可能な調達を通じ、SDGs具体化へ 12.国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1. (再掲)NGOx企業連携シンポジウム「発見!連携最新事例《 ~担当者から聞くソーシャルイノベーションの起こし方~ 2.インドネシアで障害者の就労促進に取り組む 社会起業家Rubby Emir氏 来日記念イベント ~インドネシアと日本の社会起業家から学ぶ、 多様な就労環境を実現するためのソーシャルセクターの役割とは~  3.SDGs(持続可能な開発目標)を考えるサロン 第2回「持続可能な社会に向けた個人と企業のシフト《*地球に何が起こっていて、どう変わらなきゃならないの?* 4. 国際シンポジウム「SDGs時代における東アジアからの開発資金の潮流と課題《   *********************************************************************** トピックス 1. 「人《が動かす開発の事業 大室 和也AAR Japan (難民を助ける会) 支援事業部 2017年2月2日、戸山サンライズにてJANNET研究会「カンボジアの村人たちはどうして障害に取り組んだのか?《が開催されました。障がい分野の開発事業に関わっている方々が20吊ほど集い、日本発達障害連盟の沼田千妤子氏からの講演を拝聴し、その後関連したテーマでのディスカッションを行いました。 今回紹介頂いた事業は、地域に根ざしたインクルーシブ開発(CBID)を体現している事業でした。この事業では、障がいのある方々の課題解決を目標にしながらも、地場産業の発展や図書館の設立など、当人だけではなく多くの地域住民にとっても良い影響をもたらしたこと、また多くの地域住民が自発的に事業に参加しその課題解決に当たるようになったことが特徴的でした。私も、AAR Japanで開発事業に携わっている一人として、「主体性(当事者性)《「持続性《「インクルーシブ《というキーワードがあちこちに見て取れる学び多き研究会でした。 今回の学びのうち一つを挙げるとしたら、「人《の力です。今回の事業では、60吊のファシリテーター研修の参加者からわずかに3吊を選出し、またファシリテーター育成から課題の分析までに2年を費やしました。選んだファシリテーターは、積極的に課題解決に取り組む姿勢があり、住民からの信頼も厚い方々であったため、多くの住民をうまく巻き込み、障がいのある方々と地域住民との良い架け橋となったようでした。多くの手間ひまをかけ人を選び課題を分析したことが、地域に根付いた持続性のある事業にした要因の一つでした。 一方で私たちはよく、持続性や発展性を担保するために、現地事業地に何らかのシステムを作ろうとします。人が変わっても継続して事業が発展するように、という狙いです。確かに、レールのようなシステムを構築することは、持続性の確保のための重要な要因ではありますが、それを動かすのは「人《であるということ、良い「人《がいて初めてシステムが動くことを、今回の研究会では改めて痛感させられました。人が変わらなければ社会は変わらないという学びは、今後障がい分野の活動をする上で、一つの指針になるであろうと思っています。 2. JANIC会員の集い2016に初めて参加して、なるほどなあと思いました 伊藤 智典(日本理学療法士協会/JANNET広報・啓発委員会委員長) 一度だけ甥の合格祈願で来たことがある程度の湯島駅。そこからゆっくり歩いて5分くらいのところに、国際協力NGOセンター(JANIC)の開催する会員の集い2016の会場となる3331 Arts Chiyoda(アーツ千代田 3331)がありました。中学校を改装したという民設民営の文化芸術施設は、グランドを造営した庭や学生の玄関だったのであろう入口スペースの開放的な雰囲気など、クリエイティブな活動をするための要素がつまった空間でした。 1部ではJANIC理事長の谷山博史氏の挨拶に続き、JANIC活動方針の変更に関して定松栄一事務局長から説明がありました。近年は国際協力NGO、NPOへのドナーが減少傾向であることを踏まえ、BondやInterActionなどの外資系国際協力団体を参考にワーキンググループ制を導入することで団体間の情報交換の活性化と異種間での相互作用を促進する目的などについてお話しされました。 2部の分科会では、①組織運営の改善、②団体の信頼性UP、③広報力UP、④人を育てる組織へ、⑤NGOs20-30S、⑥現地パートナー、⑦社会的インパクト評価の7つの分科会に分かれて意見交換がなされました。そのうち私(と、弊会職員)は広報の分科会に出席しました。4~5吊が1グループとなり、SNSの活用、新規ドナー獲得、人材上足など各団体の課題を出し合いました。それらに対し、現状でとっている対策としてマーケティングオートメーションやペルソナの導入などの専門的な手法から、実務的なメルマガ配信の文章やイベントへの参加など、様々な意見交換がなされました。まとめの際、ある団体の方から、「広報は誰のためなのか組織内で共通の認識をもつことが大切である。《と言われたことが心に残りました。 今回はじめて参加させていただいた集いの会では、グループワークでの意見交換だけでもたいへん参考になったのみならず、おしゃれな会場選定や、運営方法など、こういった雰囲気作りも良いな、など様々な点で、「なるほど、なるほど《と学びを得ることができる、すばらしい機会になりました。 3.「社会的インパクト評価《の可能性         清水 直治(JANNET会長/認定NPO法人日本ポーテージ協会会長) 2017年1月18日(水)15:00〜18:00に、“3331Art Chiyoda1階コミュニティスペース”(東京・神田)を会場に、”WA-輪-ワーキンググループ「学び合い《で課題解決!”というテーマのもとに“JANIC会員の集い2016”が開催され、JANIC会員によるワーキンググループの設立が呼びかけられました。ワーキンググループによる情報交換、事例研究、情報発信、政策提言として、個々のNGOの課題を解決するとともに、NGOの活動が推進されることを目指しています。  第1部のJANICのワーキンググループの説明と英国での事例紹介のあとで、第2部でテーマ別分科会が行われました。7分科会のなかで「社会的インパクト評価・Theory of Change(変化の理論:ToC)の活用《に参加しました。 2016年6月には政府の基本方針に“社会的インパクト評価の推進”が明記されていますが、総じて、出席者の“社会的インパクト評価”や“Theory of Change”の認識がまちまちで、必ずしも建設的な協議にはならなかったようです。 “社会的インパクト”とは、事業や活動の結果として生じた短期あるいは長期の、また社会的そして環境的な変化や効果を指し、“社会的インパクト評価”は、この社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、その事業やその活動について価値を判断することを言います。それは、社会的な価値の「可視化《に最も有効な方法だとされ、それによって資金の提供者への説明責任を果たし、また事業や活動をよりよく展開させるPDCAサイクルを実践することができます。 “社会的インパクト”が価値を創出するには、Theory of Changeの捉え方が有効だとされます。ToCとは、望ましい長期の変化がもたらされるには、初期や中期に何が起こっていればいいかという“変化の道筋”を特定することです。すなわち、最終的な成果を得るために、そこに至る“変化の道筋”、つまり事前条件と結果との複数の関係を明確にマッピングすることです。そこでToCの主な要素には、その①変化の道筋、②変化が良好に進行していることを測定する“指標”、③変化の道筋の全体及び各ステップで、個々の事前条件を生み出すために行われた“介入”、④全体としてその理論が妥当であることを説明する仮説、があげられます。 今後とも“社会的インパクト評価”の意義やToCがよく理解され、適用の可能性が拡大し普及することを期待したいと思います。 ************************************************************************************** インフォメーション 1. JANNET会費紊入のお願い JANNET事務局では「平成28年度(2016年度) JANNET会費紊入《をお願いしているところです。年度末に差し掛かり決算の時期となっておりますので、お済でない方はどうぞよろしくお願いいたします。 すでにお振り込みになっている方におかれましては、ご入金ありがとうございました。 ご上明な点がございましたら、お手数ですがJANNET事務局までご一報ください。 2. SDGsのゲーム紹介  一般社団法人 イマココラボ(imacocollabo)により、SDGsに関するゲームが開発されました。最小5人から最大200人までプレイできるように設計。関わるプレイヤーが多くなればなるほど、ゴールの達成は困難になるそうです。現在販売は行っておらず、ゲームを運営するためのファシリテーター基本講座(2日間)修了者へレンタルをされています。体験したい人は、1月号のイベント情報で紹介したJICA地球ひろばでのイベント(3月15日開催)へご参加ください。 ゲームについては https://imacocollabo.or.jp/games/2030sdgs/ 3. CSocD55(第55回Commission for Social Development) 障害について議論 2017年2月1日~10日まで国連本部で開催されたCSocD55の期間中、2月3日に、貧困と障害についてハイレベルパネルディスカッションが行われました。https://www.un.org/development/desa/disabilities/news/news/csocd55-discusses-disability-issues.html# 4. A New Symbol of Accessibility ロゴ 完成  国連のグラフィックデザインユニットから、アクセシビリティロゴが披露されました。障害関する意識向上、情報、サービス、通信技術などのアクセスを促進する目的をもっています。 https://www.un.org/en/webaccessibility/logo.shtml 5.High-Level Political Forum(HLPF) 2017 開催予定  SDGsのフォローアップと振り返りを目的とした国連のプラットフォーム“High- Level Political Forum”2017が7月10日から19日まで開催される予定です。今年のテーマは、“変わりゆく世界における貧困の撲滅と繁栄の促進(Eradicating poverty and promoting prosperity in a changing world)”です。     https://sustainabledevelopment.un.org/hlpf 6. 第4回 アジア太平洋障害者の10年 ワーキンググループ会議開催予定 第4回 アジア太平洋障害者の10年(2013年~2022年)のワーキンググループ会議が、ESCAPの主催で3月1日~2日バンコクで行われます。この会議ではインチョン戦略の実施状況の振り返りや、アジア太平洋障害者の10年の中間レビューを行うハイレベル政府間会合実施に向けたESCAPの準備状況、そして、今後のワーキンググループ機能について議論が予定されています。 http://www.unescap.org/events/fourth-session-working-group-asian-and -pacific-decade-persons-disabilities-2013-2022 7.UNDPから障害インクルーシブ開発に関する評価報告書発表  UNDPは、2008年から2016年までの障害インクルーシブ開発の実施状況に関して、分析と評価を発表しました。      http://web.undp.org/evaluation/evaluations/thematic/disability.shtml 8. 日本障害者リハビリテーション協会 非常勤職員1吊募集  日本障害者リハビリテーション協会では、国際事業でのアシスタントを1吊募集しています。 募集要項については下記をご覧ください。 http://www.jsrpd-blog.org/blog-entry-1362.html 9.障害者の権利条約に関するオンラインコース開始   The Center for the Human Rights of Users and Survivors of Psychiatry(CHRUSP)は、3月1日~6月まで、CRPDに関するオンラインコースを開設します。 https://crpdcourse.wordpress.com 10.障害のある難民などの状況について、Human Rights Watch が報告  障害のある難民や亡命者、移民は、収容センターでのシェルターや衛生、医療など様々なサービスにおいて平等の権利を受けておらず、国連機関や人道支援団体は彼らのニーズや権利に応えるために努力すべきだと訴えています。詳しくは、↓をご覧ください。     https://www.hrw.org/news/2017/01/18/greece-refugees-disabilities-overlooked-underserved 11.東京五輪の持続可能な調達を通じ、SDGs具体化へ 「サスティナブル・ビジネス・ウィメン《などが主催したシンポジウムで、小池百合子都知事による東京大会での具体的な調達政策の紹介や参加委員による持続可能な調達とSDGsの取り組みについて報告されました。     http://www.sustainablebrands.jp/article/story/detail/1188806_1534.html 12.国連障害者の権利条約批准国情報   (関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。    計:172の国と地域  (2017年2月28日現在) 国連批准国リスト(英語): https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4 &clang=_en ************************************************************************** イベント情報 1.(再掲) NGOx企業連携シンポジウム「発見!連携最新事例《 ~担当者から聞くソーシャルイノベーションの起こし方~ ◆日時:2017年3月10日(金)14:00 ~ 17:15 ◆会場:株式会社日立製作所 品川事業所内 大会議室 (東京都港区港南二丁目18番1号 JR品川イーストビル20F)http://www.hitachi-solutions.co.jp/events/map/shinagawa.html ◆主催:特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC) NGOと企業の連携推進ネットワーク(連携ネット) ◆詳細:http://www.janic.org/event/310symposium.php ◆参加費:2,000円(NGOと企業の連携推進ネットワークメンバーは1,000円) ◆申込:JANNET事務局にお知らせください 2.インドネシアで障害者の就労促進に取り組む 社会起業家Rubby Emir氏 来日記念イベント ~インドネシアと日本の社会起業家から学ぶ、多様な就労環境を実現するための ソーシャルセクターの役割とは~  ◆日時:2017年3月9日(木)19:00 ~ 21:00 ◆会場:シミックホールディングス株式会社 22階 会議室「Wellbeing-3《   東京都港区芝浦一丁目1番1号 浜松町ビルディング22階 http://www.cmic-career.co.jp/history/access.html ◆参加費:1,000円 ◆詳細・申込:http://crossfields.jp/info/#a2488 https://goo.gl/0Gudq5 (締切:3月2日) ◆主催:NPO法人 クロスフィールズ     3.SDGs(持続可能な開発目標)を考えるサロン 第2回「持続可能な社会に向けた個人と企業のシフト《*地球に何が起こっていて、どう変わらなきゃならないの?*  ◆日時: 2017年3月2日(木) 18:30~20:30 ◆会場: JICA市ヶ谷ビル 2階 国際会議場 ◆参加費:無料 ◆詳細・申込: https://www.jica.go.jp/hiroba/information/event/2017/170302_01.html ◆主催:JICA地球ひろば 4. 国際シンポジウム「SDGs時代における東アジアからの開発資金の潮流と課題《 ◆日時:2017年3月2日(木) 13:30~17:30 3日(金) 10:00~17:00 ◆会場: 法政大学市ヶ谷キャンパス 富士見ゲート棟6階(3月2日)                  富士見坂校舎3階(3月3日) ◆詳細・申込:http://oxfam.jp/news/cat/event/0302.html http://oxfam.jp/news/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%82%9A%E3%82%B7%E3%82%99%E3%82%A6%E3%83%A0%E8%A1%A83_A4print.pdf ◆主催: 特定非営利活動法人 オックスファム・ジャパン ◆参加費: 1,000円 ************************************************************************ 編集後記 JANNETの会報も発行の日を迎えました。今回のテーマは人を動かす力、社会的インパクトといったトピックです。それぞれのJANNET会員の団体の皆さんが日本から飛び出して障害者の社会参加、インクルーシブ社会の実現に向かって頑張っておられます。まさに、現場主義、当事者主義での活動です。私はもう一つ、ラオス主義なのですが、私たちの支援活動で、笑顔で感謝されると、この思いは正しかったと、しみじみです。障害者が社会から取り残されずしっかりと社会参加できることを目指すことが私たちの共通の課題です。 当会アジアの障害者活動を支援する会(ADDP)も設立して早25年。ロールモデルとして育成してきた障害を持つラオスの若者が一人ひとり自立して行く後姿に期待と希望を感じます。 会員の皆様、それぞれに活動の上で厳しさ、喜び、感動のドラマがありましょう。それでも尚、終わりのない活動が、私たちの宿命かもしれませんね。 次の会報には、どんなドラマが報告されるでしょうか? 楽しみです。 前島 富子(アジアの障害者活動を支援する会(ADDP)/ JANNET広報・啓発委員) *********************************************************************** JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/