JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第157号 9月号 2016年9月30日発行 ―目 次―  トピックス 1.「持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)2016《参加報告会             清水 直治(JANNET会長)   2. インド・バンガロールでワーカビリティ・アジア(WAsia)会議2016開催 佐藤 ふき(WAsia事務局/きょうされん事務局) 3. 報告:国際セミナー「日本型ソーシャルファームの推進にむけて《 野村 美佐子((公財)日本障害者リハビリテーション協会参与) 4.国連障害者権利委員会委員 石川准さんとの懇談会(日本障害フォーラム) 原田 潔(日本障害者リハビリテーション協会/日本障害フォーラム事務局) インフォメーション 1. Disability, CBR & Inclusive Developmentから最新ジャーナル発行 2. 日本のトップモデルがSDGsを啓発 3. “Leave No One Behind” を映像で紹介 4. 持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議 (第1回会合 議事要旨) 5. アジア生協協力基金2017年度・助成金一般公募のご案内 6. United Nations Enable Film Festival(UNEFF) 映像募集 7. 国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1. グローバルフェスタJAPAN2016  JANNETのブースが決まりました! 2. 人間の安全保障展「世界の幸せと悲しみ《 3. 市民セクター全国会議 2016 4. 幅広い支援を得るための必要な社会的インパクト評価とは 5. 特別展「SDGs*未来につながる17の約束*《 6. 国際セミナー「エンパワーされた障害者が地域を変える!《 7. SDGダイアログ:地域機構と持続可能な開発目標(SDGs)―科学と政策、能力形成 トピックス 1. 「持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム(HLPF)2016《参加報告会             清水 直治(JANNET会長) 2015 年9 月に国連総会で採択された17目標・169ターゲットから成る「持続可能な開発目標(SDGs)《は、2016 年1 月から実施段階に入り取組みが開始されていますが、世界レベルのSDGs の進捗状況を1年ごとにレビューすることを主眼に、それまでの持続可能な開発委員会(CSD)に代わって「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)《が設立されました。このHLPF2016が7月11日~20日にニューヨークで開催され、そのフォーラムに参加した日本の市民社会からの報告会が、8月31日に地球環境パートナーシッププラザ(GEOC)を会場に行われました。 報告1「HLPF2016と市民社会《で今田克司氏(一般財団法人CSOネットワーク代表理事・動く→動かす代表)は、SDGs採択後グローバル指標の議論が十分になされないままである一方で、官民の力を合わせたデータつくりやモニタリングへの関心が大きかった。今回のフォーラムの目玉は自発的に手をあげた22カ国(日本は上参加)によるSDGs実施の進捗状況のボランタリー・ナショナル・レビューで、それら22カ国の市民社会にSDGs実施に向けた課題を調査し、共通認識が得られた。またSDGs策定にアドボカシーを行ってきた市民社会のネットワークが再編され、サイドイベント等を開催した。さらに、SDGs実施においてグローバル指標と国単位の指標を使ったレビュープロセスが今後展開することが意識されたが、同時にSDGs評価はモニタリング以上の価値判断や学びを伴うもので、客観的データによるモニタリングに留まることに警鐘が鳴らされた、と述べました。 報告2「HLPF2016に参加して《で堀江由美子氏(公益財団法人セーブ・ザ・チルドレン アドボカシー・マネージャー)は、「2030アジェンダ《の前文で表明された「誰一人取り残さない《は実現可能か?という発言がある中で、HLPFは何も決定権をもたず画期的な役割を担わされていないし、そこでのフォローアップ&レビューは拘束力がないと述べ、HLPFの限界を示唆しました。HLPF終了後に「フォローアップ&レビューに関する決議文《が採択され、4年を1サイクルとして各目標をレビューする年度ごとのテーマが決定されました。HLPFは今後、市民社会の連携・ネットワークを拡大し、SDGs実施に向けた政府への圧力を高める機会として活用する必要があるとされました。 報告3「SDGsに関する青年意識調査《によれば、永井忠氏(創価学会インターナショナル:SGI)は、日韓のSGIに属する学生メンバーの友人を対象とした調査から、日韓とも約半数がSDGsを知らなかったが、重視する目標に日韓で差異がみられたものの、その8割以上がSDGs達成の取り組みが重要であると回答したことが示されました。 総じてまだ「トライアル・フェーズ《であり、今後の成果は未知数だということでした。 2.インド・バンガロールでワーカビリティ・アジア(WAsia)会議2016開催 佐藤 ふき(WAsia事務局/きょうされん事務局) “インドのシリコンバレー”と言われるバンガロールで開催されたWAsia会議2016。ワーカビリティ・インターナショナル・ジャパン(WIJ)の構成団体から10人+日英通訳2吊が参加しました。2016年8月25日~27日、9カ国・地域から35人を含む470人の参加者で、会場のパーク・プラザホテルは熱気であふれていました。会議のテーマである「障害のある人の雇用を通じたエンパワーメント《をどのように促進していくのか、全体会や分科会の中でたくさんの実践報告とディスカッションが展開されました。インド国内外の障害者団体だけではなく、企業からの報告も多く、インドの障害者団体が企業とタッグを組んで障害者雇用を促進している様子が手に取るようにわかりました。バンガロールで事業展開している団体を2カ所訪問することもでき、たくさんの刺激を受けてきました。  また、会議の準備段階でホテルやイベント会社のスタッフを招いてワークショップ開催したり、英語からヒンディー語や現地語への言語通訳者と手話通訳者を全体会・分科会に配置したり、車いす利用者むけにビュッフェを低い位置にセッティングするなど、“インクルーシブ”および“アクセシブル”を追求した会議運営にも多くを学ぶことができました。  一方、ホテルの窓の外には、大きな一軒家のすぐ隣にバラックが立ち並び、経済的な格差は想像以上だろうと感じます。そんな環境で活動しているインドの仲間からもらったエネルギーは、かけがえのないものとなりました。  WAsia会議2016終了後には、年次総会が開催されました。これまでの東アジア・東南アジアからの理事に加え、南インドからはじめて2人の理事が選出され、計7人の理事で新しいWAsiaのスタートを切ることになりました。WAsiaには現在、アジア14カ国・地域から45団体が加盟しています。アジア地域での障害のある人の就労をすすめ、権利を保障するため、今後も会員を増やしネットワークを広げていきたいと思います。  来年のWAsia会議は、ワーカビリティ・インターナショナル(WI)と合同で、2017年6月12日~14日香港で開催されます。関心のある方は、以下にお問い合わせください。きょうされん内WAsia事務局(f-satoh@kyosaren.or.jp 担当:佐藤)。 3.報告:国際セミナー「日本型ソーシャルファームの推進にむけて《 野村 美佐子((公財)日本障害者リハビリテーション協会参与) 2016年9月18日(日)、日本障害者リハビリテーション協会主催で「日本型ソーシャルファーム推進に向けて《と題する国際セミナーが戸山サンライズで開催されました。当協会は、炭谷茂会長と共にソーシャルファームの実態調査をこれまでに英国、ドイツ、フィンランドと行ってきましたが、本セミナーは、それらの国から招へいした講師と共に、日本型ソーシャルファームの在り方について検討する機会となりました。 最初に、ソーシャルファームジャパンの理事長でもある炭谷会長より、欧州の上記国々へ視察を行ってきた結果を踏まえて、社会的目的をビジネス手法で果たす組織の一つで、障害者やホームレスなど社会的な弱者の雇用を担うソーシャルファームの必要性と要点について説明をいたしました。また日本における具体的なソーシャルファームの実例を示し、今後、欧州での手法を参考にした、日本でのソーシャルファームの推進のために、法的・財政的整備、他制度との調整、ビジネス展開と採算の確保、指導者養成等の課題を述べました。 次に、今回来日をしたフィンランドのバネス財団開発部長のリンドバーグ氏、ドイツ国際協力公社民間セクター開発・雇用創出プログラム責任者(現在パレスチナ在住)であるシュワルツ氏、そして英国のソーシャルファーム・ウェールズの開発部長であるシモンズ氏より、それぞれの国における、ソーシャルファームの特徴と現況についての講演がありました。各講師においては、本セミナーの前に日本の障害者雇用状況を知るために特例子会社など3社を訪問していただきました。その上で炭谷氏が提言する「日本型ソーシャルファーム《についてコメントを講演の中に入れていただきましたが、コミュニティの企業や市民とつながる障害者が働くリサイクル事業などに注目が集まりました。  最後に、質疑応答と日本型ソーシャルファームの方向性についてのパネルディスカッションが行われました。講師からのアドバイスを得て、炭谷会長は、ソーシャルファームが経済的、社会的な構造の変化の中で一定の役割を果せることや人権の観点において重要であること、また対象者は多様であるが、それぞれに対する適切な対応の必要性、ネットワークの協調性、そして政府や企業との連携が必要であることを学んだとまとめました。今後、日本におけるソーシャルファームの発展を期待したいと思います。本セミナーの報告書はDINFに掲載予定です。   4.国連障害者権利委員会委員 石川准さんとの懇談会(日本障害フォーラム) 原田 潔(日本障害者リハビリテーション協会/日本障害フォーラム事務局) 日本障害フォーラム(JDF)では、去る9月7日(水)に、石川准さんとの懇談会を開催しました。 石川さんは、去る6月、国連の障害者権利委員会の委員に選出されました。石川さんは、静岡県立大学の教授で、内閣府の障害者政策委員会の委員長も務めています。視覚障害のある当事者です。 ご存知のように、日本は2014年に障害者権利条約の締約国となり、日本からこの委員が選出されるのは初めてです。障害者権利委員会は、権利条約の第34条に基づいて設置され、各締約国での条約の実施状況の報告を受け、その内容を検討し、必要な提言等を行う機関です。日本は、さる6月に権利条約の第一回政府報告を権利委員会に提出しましたが、JDFでは、政府報告に並行して民間から提出できる代替報告(パラレルレポート)を作成する準備を進めています。 このような中、石川さんが日本から委員として選出されたことは、条約の実施のために大きな好機であるととらえています。 懇談会では、石川さんから権利委員会の役割や、市民社会組織への期待などをお話しいただいたあと、今後求められる取り組みなどについて意見交換と懇親を行いました。 今後とも石川さんを応援しつつ、条約の実施を民間から推進する取り組みを、JDFでは行っていきます。 ************************************************************************************** インフォメーション 1. Disability, CBR & Inclusive Developmentから最新ジャーナル発行  Disability, CBR & Inclusive Developmentから最新ジャーナルが発行されました。    最新号: http://dcidj.org/issue/viewIssue/23/14       バックナンバー:http://dcidj.org/issue/archive 2. 日本のトップモデルがSDGsを啓発   国連広報センターでは、東京ガールズコレクション出演のトップモデル17人が参加し たSDGs啓発映像を配信しています。 https://www.youtube.com/watch?v=auGyobvPC1I&feature=player_embedded 3.“Leave No One Behind” を映像で紹介   The Leave No One Behind Partnership という団体連合体がSDGsと“Leave No One Behind”をテーマに映像を作成しました。 https://www.youtube.com/watch?v=Vuvys7Wcv3s 4. 持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議 (第1回会合 議事要旨)   9月12日(月)に、政府関係者、NGO、NPO、有識者、民間セクター、国際機関などが集まり、重視すべき点、実施指針の意義、現状評価、ビジョンと優先課題、実施のための原則、推進のための体制、実施指針に含まれるべき個別施策など、SDGs実施指針策定に向けた意見交換が行われました。 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/entakukaigi_dai1/gijiyousi.pdf 5. アジア生協協力基金2017年度・助成金一般公募のご案内   生協総合研究所による助成金の一般公募が始まりました。助成対象など詳細は募集要項(http://ccij.jp/jyosei/pdf/kikinkoubo160829_01_01.pdf)をご覧ください。  応募締め切りは2016年10月31日までです。 6. United Nations Enable Film Festival(UNEFF) 映像募集   国連では、12月3日の国際障害者デーでのフィルムフェスティバルに発表される映像を募集しています。応募締め切りは11月20日です。詳しくは、以下のサイトをご覧ください。 https://www.un.org/development/desa/disabilities/united-nations-enable- film-festival-uneff.html 7. 国連障害者の権利条約批准国情報   (関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html) 標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。    計:160の国と地域  (2016年9月30日現在) 国連批准国リスト(英語): https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4 &clang=_en イベント情報 1.グローバルフェスタJAPAN 2016  JANNETのブースが決まりました! ◆日時:2016年10月1日(土)~2日(日) 10:00~17:00 ◆会場:お台場センタープロムナード・オレンジエリア 06       (東京都江東区青海1*2) ◆入場料:無料 ◆詳細:http://gfjapan2016.jp/     ◆主催:グローバルフェスタJAPAN2016実行委員会 ◆共催:外務省、JICA、JANIC ※ JANNETではJANNET加盟団体の活動紹介や民芸品の販売を行いますので、どうぞお立ち寄りください。皆さまのお越しをお待ちしております。 2.人間の安全保障展「世界の幸せと悲しみ《   ◆日時:2016年9月13日(火)~2017年1月8日(日)10:00 ~ 20:00 ◆会場:JICA地球ひろば(新宿区市谷本村町10-5 JICA市ヶ谷ビル)     ◆参加費:無料     ◆問合せ:JICA地球ひろば地球案内デスク(0120-767278) 3.市民セクター全国会議 2016     ◆日時:2016年11月23日(水・祝) 10:00 ~ 17:30     ◆会場:聖心女子大学(東京都渋谷区広尾4*3*1)     ◆参加費:6,000円(日本NPOセンター正会員5,000円)     ◆申込・詳細: http://jnpoc.ne.jp/ss2016/     ◆主催:認定特定非営利活動法人日本NPOセンター  4. 幅広い支援を得るための必要な社会的インパクト評価とは ◆日時: 2016年11月2日(水) 10:00 ~ 12:00 ◆会場:日本財団(東京都港区赤坂1*2*2)     ◆参加費: 2,160円(日本ファンドレイジング会員価格) 3,780円(非会員価格)     ◆申込・詳細: http://jfra.jp/event/13760     ◆主催: 日本ファンドレイジング協会 5. 特別展「SDGs*未来につながる17の約束*《 ◆日時: 2016年9月21日(水) ~ 2017年1月8日(日) 10:00 ~ 18:00      ◆会場: JICA中部 なごや地球ひろば(吊古屋市中村区平池町4*60*7)      ◆参加費: 無料    ◆詳細:http://www.jica.go.jp/chubu/event/2016/ku57pq00000fpphq-att/ku57pq00000fppip.pdf ◆主催:JICA中部  6.  国際セミナー「エンパワーされた障害者が地域を変える!《 ◆日時: 2016年11月12日(土)13:00 ~ 17:30      ◆会場:戸山サンライズ2階 大研修室      ◆参加費:無料 ◆参加申込: FAX (03) 5273*1523 Email sakuma_stf@dinf.ne.jp     ◆問合せ:日本障害者リハビリテーション協会 (03*5273*0601)     ◆主催:日本障害者リハビリテーション協会     ◆情報サービス:同時通訳、日本手話通訳、PC要約筆記、点字プログラム、磁気ループなど用意しますので、申し込みの際はお知らせください。 7. SDGダイアログ:地域機構と持続可能な開発目標(SDGs)―科学と政策、能力形成 ◆日時:2016年10月13日(木) 14:00 ~ 16:30 ◆会場:国連大学エリザベス・ローズ国際会議場(東京都渋谷区神宮前5*53*70)   ◆参加費:無料     ◆申込:https://connections.unu.edu/civicrm/event/register?id=325&reset=1     ◆詳細: http://ias.unu.edu/jp/events/upcoming/sdg-dialogue-regional-institutions-the-sdgs-science-policy-capacity-building.html#overview     ◆主催:国連大学サステイナビリティ高等研究所 編集後記 メールマガジンは、会員の皆様への情報共有や理解の深化に適した媒体と感じています。 また、近年ではSNSを利用し、手軽に新しい情報を多くの方へ発信できるようにもなりました。「障害分野NGO連絡会(JANNET)《もfacebookにて情報を発信しています。 このページでは「ビジター投稿《も可能ですので、ご利用ください。 この週末、10月1、2日はグローバルフェスタがあります。グローバルフェスタのような楽しいイベントは、途上国への興味や障がいに関する関心を高める良い機会です。facebookページにて様子を伝えますので、よろしければシェアをお願いします。 JANNET広報・啓発委員として新米ではございますが、今後ともよろしくお願いいたします。  知脇 希(公益社団法人日本理学療法士協会)    ********************************************************************************* JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/