JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第152号 4月号 2016年4月27日発行 ―目 次―  トピックス 1.シンポジウム「Future Ready Asia 〜アジアの明日(あした)のために」 (NPOリトル・クリエイターズ主催、日本人間関係学会協力) 長谷川 仰子(きょうこ)(NPOリトル・クリエイターズ) 2.RI次期会長Ms. Zhang Haidiとの意見交換会 佐藤 久夫(日本社会事業大学特任教授) 3.障害と防災(DiDRR)国際会議-仙台防災枠組の実施にむけて 香山(こうやま) 千加子 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(上席国際コーディネーター)              インフォメーション 1. JANNET役員会開催報告(4月20日)              2. JANNET英文ニュースレターのご案内 3. JANNETアカウンタビリティセルフチェック、結果掲載 4.アジア太平洋地域における視覚障害児教育に関する調査報告書 5. スポーツ・文化・ワールド・フォーラム 6. Disability in the SDGs Indicators(March 2016) 7. Migration and Disability 8. 第2回CBR世界会議 プログラム 9. 国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1.平成28(2016)年度 JANNET総会開催 2.JICA地球ひろば設立10周年記念感謝祭 JANNET参加 3.市民の伊勢志摩サミット 4.ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第17期生成果発表会 5.DSPD/DESA Forum on Disability-Inclusive Humanitarian Action トピックス 1. シンポジウム「Future Ready Asia 〜アジアの明日(あした)のために」 (NPOリトル・クリエイターズ主催、日本人間関係学会協力) 長谷川 仰子(きょうこ)(NPOリトル・クリエイターズ)   去る1月7日、シンポジウム「Future Ready Asia 〜アジアの明日(あした)のために」が開催されました。社会的弱者と呼ばれる人が積極的に社会に参画し、自立し、また彼らを支える人やNGOの活動を益々活性化させるために一体何ができるかを考える目的で、アジアの国々やアメリカ、ドイツからも参加者が集まりました。  シンポジストの1人で重度の脳性麻痺をもつ安部隼人氏は、インクルーシブ保育を行う幼稚園に通ったことがきっかけで「私も人なのだから、ほかの人と同じように生きる」という意識が芽生えたそうです。とはいえ高校を出てから社会に出るチャンスはほとんどなく、安部氏はパソコンを舌で操作することだけでのみ外の世界と繋がりました。今はパソコンの代わりに携帯を使っていますが、使い勝手が悪くなる可能性があるためソフトのバージョンを変えることすらできずにいるということです。  現代社会では、どのような生活をしていてもパソコンなどのICTをある程度使いこなせないと必要な情報も手に入れられず、むしろハンディになってしまいます。諏訪東京理科大学の奈良松(まつ)範(のり)教授は、ICTを利用して、高齢者や貧困層の人も含めた社会的弱者の支援に取り組んでいます。今は発達障がいの子どもをICTでサポートするシステムを開発中です。奈良教授によると、どのような障がいをもっていても端末を使うことは可能で、すでに様々な障がいの状態を想定して使いやすい端末が開発されており、また端末を利用する人の機能を補う技術も開発されています。加えて、電気の無いところでも端末を動かすための電力生産方法や、端末使用のランニングコストを安くする方法も既にあります。  道具がそろっているのなら、社会的弱者と科学技術をどうつなぐかが弱者の社会参画への手段の1つなのだから、支援の補助ツールとして、だれにでも優しいポータルサイトの立ち上げを目指すべきではないかという結論に至りました。今年、マレーシアとシンガポールで、具体策を練るシンポジウムが開催される予定です。 2.  RI次期会長Ms. Zhang Haidiとの意見交換会 佐藤 久夫(日本社会事業大学特任教授) 今年10月からRI(国際リハビリテーション協会)会長となる予定の中国障害者連合会(CDPF)会長、Ms. Zhang Haidiを囲む意見交換会が4月11日、JDF関係者や日本のRI関係者などの参加で開かれました。日本障害者リハビリテーション協会が主催したもので、日本からは約20人、中国からはハイジさんをはじめCDPF関係者4人が参加しました。  まず日本の障碍者分野の動向を藤井克徳JDF幹事会議長が報告しました。とくに障害者権利条約批准に向けての国内法の見直しの経過や東日本大震災に係わる障碍者団体の取組を紹介し、障碍者に関する基礎データの不足を指摘し、今後の重要な課題は障碍者団体が一致してパラレルレポートを作ることだと述べました。  ハイジさんは血管の病気で5歳から車いす生活となり、独学で勉強して作家としても活躍するようになり、2008年からCDPFの会長となりました。CDPFは障碍者の声を代表する役割とともにサービス提供の役割も担っているとのことでした。サービスの中ではリハビリテーションサービスが最も重要で、全国に7000弱あるリハビリテーション施設のうち2600カ所はCDPFが運営しているということでした。  約30年前に日本を訪問して障碍者が作業施設で働いている姿や自動車を運転している姿を見てうらやましいと思ったそうですが、今では中国も追いついてきてうれしく思うとのことでした。例えば、最近では聴覚障碍児が補聴器を使えるようになって統合教育を受けるようになった、大学入試に点字や拡大文字が使われるようになった、盲導犬が公共の場所に入れるようになった、月々の障碍者特別手当制度が始まった、昨年にはリハビリテーション大学の設立をCDPFが提案し採用されて政府計画に盛り込まれた、などです。8900万人の障碍者の内2600万人が登録されていて、その全数調査が最近行われたそうです。  まだまだCDPFには医学モデル的な発想が残っているようでしたが、障碍者の社会参加が確実に進んできているのも事実のようで、日本との民間レベルでの交流を強く期待していることが伝わってきました。 3. 「障害と防災(DiDRR)国際会議-仙台防災枠組の実施にむけて」   香山(こうやま) 千加子        (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(上席国際コーディネーター) 2016年4月8日、障害者の防災に関する国際会議が日本財団、国際リハビリテーション協会(RI)及び支援技術開発機構の共催で開催されました。使用言語(キャプション含む)は英語のみ、海外の講演者は多くがライブストリーミングで自国から参加、世界各国からのオンライン参加が可能、という先進的な会議で、国連機関(経済社会局障害者権利条約事務局、ESCAP、国際防災戦略事務局)に加え、エクアドル(インクルーシブ障害管理事務局長)、ベトナム(視覚障害者)及びドイツ(聴覚障害者)からの講演もリアルタイムで聞くことができました。日本財団会議室に参集した参加者は40名程度でしたが、様々な地域からのオンライン参加者数はこの何倍もあったとのことです。                      基調講演はRIのDiDRRタスクフォース委員長Mathieu Simardによる「防災から緊急対応まで連続した障害インクルージョン」で、これに続くセッション「世界における仙台防災枠組の状況」では、国連3機関から「仙台からキトへ」「インチョン戦略目標7の実施」「サイクロン・ウィンストンと南太平洋におけるDiDRRの地域開発」のテーマで発表があり、これに続いてエクアドルから「ラテンアメリカにおけるハビタット3に向けた障害インクルーシブなDiDRRの地域開発」、ベトナムとドイツから「仙台後の障害インクルージョン好事例」と、多方面から多彩な発表がありました。  続いてのパネルディスカッション「防災及び災害リスクマネージメントにおける障害インクルージョンと持続可能な開発の促進に向けた次なるステップ」では、「国際電気通信連合のIPTVアクセシビリティー規格開発」及び「アラブ地域におけるDiDRRの状況」(RI:レバノン)の発表後、RIのJoseph Kwan(香港)も加わってディスカッションが行われました。  障害と防災における技術開発の有効利用をはじめ、これら各国の状況や好事例等の情報交換は、今後の政策推進に資することが期待されます。 <追記>  4月15日から熊本県地方を中心に最大震度5~7の地震が相次ぎ、被害は九州各地に広がりました。亡くなった方、負傷した方に加え、多数の避難者が出ており、病気や障害がある災害弱者はとりわけ困難を感じています(毎日新聞4月17日)。そして17日にはエクアドルで大地震が発生し、大きな被害が確認されたというニュースが入ってきました。このような緊急時において、今回の会議で確認されたさまざまなノウハウがすばやく、有効に活用されることを心から願っています。         ************************************************************************************** インフォメーション 1.JANNET役員会開催報告(4月20日) 平成27(2015)年度第3回JANNET役員会が4月20日(水)に開催されました。合計15人の参加のもと、平成27年度の事業や決算、会員の動向、アカウンタビリティセルフチェック実施などについて報告されたのち、今年度の事業計画や予算案、中長期計画の策定、そして、役員改選などが議題に挙がりました。今後は総会に向けて準備を進めていきます。 2.JANNET英文ニュースレターのご案内 2015年9月に開催した第3回アジア太平洋CBR会議のサマリーレポートがJANNET英文ニュースレターとしてホームページに掲載されていますので、ご紹介をお願いします。 http://www.normanet.ne.jp/~jannet/e/news_letter/newsletter2016_no1.pdf 3.JANNETのアカウンタビリティセルフチェック、結果掲載 JANICのホームページにJANNETのアカウンタビリティセルフチェックの結果が掲載されています。 http://www.janic.org/MT/img/ASC/asc_jannet.pdf 4.アジア太平洋地域における視覚障害児教育に関する調査報告書 日本点字図書館では、アジア太平洋地域14ヵ国と日本の視覚障害児教育に関する調査を実施し、改善のための提言を行いました。報告書は日本語と英語で作成されていますので、ご希望の方は点字図書館へ直接お問い合わせください。 5.スポーツ・文化・ワールド・フォーラム 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた最初の国際イベントで、スポーツ選手や芸術家が文化発信を行うそうです。          ○京都: 2016年10月19日-20日 ○東京: 2016年10月20日-22日 http://wfsc2016.mext.go.jp/ 6.Disability in the SDGs Indicators (March 2016) 障害に関わるSDGsの指標が国連より発表されました。 目標1 No Poverty, 目標4 Quality Education, 目標8 Decent Work and Economic Growth, 目標10 Reduce Inequalities, 目標11 Sustainable Cities and Communities, 目標16 Peace, Justice and Strong Institutions に対する12の指標です。 http://www.un.org/disabilities/documents/2016/SDG-disability-indicators-march-2016.pdf 7.Migration and Disability   障害を持つ移民や難民に着目したホームページが新たに開設されました。 https://www.un.org/development/desa/disabilities/migration-and-disability.html 8.第2回CBR世界会議 プログラム   9月27日~29日までマレーシア・クアラルンプールで開催されるCBR世界会議のプログラムが掲載されました。http://www.2ndcbrworldcongress.com/program/   また、発表要旨の提出期限が5月15日までに延長されたようです。 9.国連障害者の権利条約批准国情報   ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。    計:160の国と地域  (2016年4月27日現在)  国連批准国リスト(英語): https://treaties.un.org/Pages/ViewDetails.aspx?src=TREATY&mtdsg_no=IV-15&chapter=4&lang=en イベント情報 1.平成28(2016)年度 JANNET総会開催  ◆日時: 5月25日(水)  18:30 ~ 20:30      ※17:30から開場しますので、会員の皆さま同士の交流をお楽しみください。 ◆会場: 戸山サンライズ 2階 大会議室 ◆総会内容:平成27(2015)年度の事業報告・決算、平成28(2016)年度の事業計画・予算、 中長期計画策定、役員改選など(詳細が決まり次第、お知らせいたします) 2.JICA地球ひろば設立10周年記念感謝祭 JANNET参加   ◆日時:5月28日(土) 10:00 ~ 18:00   ◆会場:JICA市ヶ谷ビル   ◆参加費:無料   ◆詳細:http://www.jica.go.jp/hiroba/information/event/2016/160528_01.html    ※ JANNETも展示ブースを出しますので、みなさん、ぜひお越しください! 3.市民の伊勢志摩サミット    ◆日時:5月23日(月) 10:00 ~ 18:30 5月24日(火) 9:30 ~ 15:30 ◆会場:じばさん三重(三重県四日市市安島1丁目3-18)   ◆参加費:無料(交流会は別途3,000円程度必要)   ◆主催:2016年G7サミット市民社会プラットフォーム 東海「市民サミット」ネットワーク ◆申込・詳細:http://tokaicn.jimdo.com/%E5%B8%82%E6%B0%91%E3%81%AE%E4%BC%8A%E5%8B%A2%E5%BF%97%E6%91%A9%E3%82%B5%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%88/ 4.ダスキン・アジア太平洋障害者リーダー育成事業 第17期生成果発表会   ◆日時:6月4日(土) 13:30 ~ 16:30 ◆会場:戸山サンライズ 大研修室(新宿区戸山1-22-1) ◆主催:ダスキン・アジア太平洋障害者育成事業 第17期生    公益財団法人 ダスキン愛の輪基金    公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会   ◆参加費:600円   ◆申込・詳細: http://www.normanet.ne.jp/~duskin/infomation/2016/clipmail.html 5.DSPD/DESA Forum on Disability-Inclusive Humanitarian Action ◆日時:5月22日(日) 13:00 ~ 17:00   ◆詳細:https://www.un.org/development/desa/disabilities/wp-content/uploads/sites/15/2016/01/desa_forum_whs.pdf ※ 23日~24日に開催されるWorld Humanitarian Summit に付随したイベントです。   https://www.worldhumanitariansummit.org/ 編集後記  平成28年熊本地震により被災をされた方々、ご家族のご不幸やお怪我をされた方々、 またご関係者の皆様全てにお見舞いを申し上げます。 避難所で生活される方々の中でも、障がいを持つ方々やそのご家族は、きっと寂しい思いや、不便な思いをされておられることと心が苦しくなる気持ちです。 JANNETを構成するリハビリテーションの専門職団体は、関連団体とともにJRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)という協議会を通じて支援をされているようです。あってはならないことですが、有事には、障がいを持つ方々を支援する団体が機能的に展開できることが必要なことと思いました。 伊藤 智典(日本理学療法士協会)  JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/