JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第148号 12月号 2015年12月25日発行 ―目次―  トピックス 1. ソウルで障害者権利条約実施に関する国際ワークショップ開催される           松井 亮輔(JANNET会長) 2. インチョン戦略に関するCSO会議ご報告 田畑 美智子(日本盲人会連合)                           インフォメーション 1.「国際障害者デー」によせて-JICAの障害と開発の取り組み 2.「障害と教育」をテーマとした政策セミナーをモンゴルで開催 3. 国連開発計画と世界盲人連合アジア太平洋地域協議会、 視覚障がい者の「情報と知識への平等なアクセス」を提唱 4.WHO「Capturing the difference we make Community-based Rehabilitation Indicators Manual」を発表 5.国連障害者の権利条約批准国情報 イベント情報 1.JICA中部 なごや地球ひろば 企画展「SDGsってなに?」 (12月16日~2016年3月13日) 2.講演会「持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて」(2016年1月15日) 3.山岳部で暮らすしょうがい児福祉の現場へ  「 第4回 フィリピンスタディツアー」参加者募集(2016年3月5日~11日) トピックス 1.ソウルで障害者権利条約実施に関する国際ワークショップ開催される           松井 亮輔(JANNET会長)  2015年11月23日(月)と24日(火)の2日間にわたった、ソウルのアイルームセンターで開催されたこのワークショップに参加しましたので、その概要を紹介させていただきます。 ワークショップの主催団体は、韓国障害者の親ネットワーク(KPNPD),韓国障害フォーラム(KDF)および国際障害同盟(IDA)で、その目的は、①障害者権利条約(以下、権利条約)に沿って国内法を見直す上でのチャレンジと機会について明らかにすること、②権利条約実施のモニタリングのための障害者団体の能力構築、および③障害者の権利促進に向けての障害者団体の域内および地域間協力の強化です。  ワークショップ参加者は、全体で約40名。その内訳は、韓国22名、海外19名(IDA事務局2名、ペルー、コロンビア、ハンガリー、オーストラリア(2名)、ニュージーランド、中国、香港、モンゴル、インドネシア、フィリピン、タイ、インドおよび日本(4名))です。 ワークショップのプログラムは、ほぼその目的にそったテーマから構成されていましたが、その中心は、権利条約締約国報告審査プロセスのレビューとそれから学んだ経験の共有化。すでに障害者権利委員会による審査を受けた韓国、ペルー、ハンガリー、オーストラリア、ニュージーランド、中国およびモンゴル関係者から、審査後同委員会から出された総括所見等について、各国政府がどのように対応しようとしているのかについて、発表が行われましたが、各国政府の対応状況は、彼らが期待したようにはなっていないということでした。2019年秋または2020年の春に権利委員会による審査を受けると思われる日本の審査後、政府にどのように働きかけていくかを考える上で、このワークショップは、日本の関係者にとって参考になることが少なくないと思われます。 2. インチョン戦略に関するCSO会議ご報告 田畑 美智子(日本盲人会連合) 12月1日と2日、韓国のソウルに於いて、アジア太平洋障害フォーラム(APDF)の事務局を担っている韓国障害者リハビリテーション協会(KSRPD)の主催で、インチョン戦略に関するCSO会議が開催されました。私たち海外からの参加者は旅費含め費用すべて韓国持ちで、韓国の意気込みが感じられました。 韓国側からの多くの参加者の他、韓国の厚労省に当る部局から1名ですが挨拶においでになりました。海外からは、フィリピン・マレーシア・バングラデシュ・フィジーから参加。パキスタンからも参加予定でしたが、直前になって参加予定者が政府のインチョン戦略実施に向けた組織立ち上げに関わることになり、嬉しいドタキャンでした。 国連ESCAPがインチョン戦略を採択して3年になりますが、取組はおろか認知すら広まらない状況です。障害者権利条約同様、インチョン戦略のNGOレポートもESCAPで受け付けることになり、障害者団体側の積極的な取組がより重要となっています。今回の会議にも各国がインチョン戦略実施状況を持ち寄りましたが、実施がまだまだなだけではなく、一部を除き情報自体が収集できていない現状が浮き彫りになりました。参加者は、会議の決議文のような形で、ESCAPに対し、各国政府に実施のロードマップ作成を促す等の要請を纏めました。日本に対しても、日本障害フォーラム(JDF)等が中心となって、実施状況のデータ収集体制を早急に検討するよう、参加者各位からの呼びかけがありました。 アジア太平洋地域のNGOで役員をしている者として、同様の働きかけを域内の他国に対しても発信する必要を痛感しました。                                                                 ************************************************************************************** インフォメーション 1.「国際障害者デー」によせて-JICAの障害と開発の取り組み ミャンマー、コロンビア、ヨルダンでの取り組みと、9月に開催された第3回アジア太平洋CBR会議が紹介されています。 http://www.jica.go.jp/topics/2015/20151130_01.html 2.「障害と教育」をテーマとした政策セミナーをモンゴルで開催  JICAによるモンゴルでのインクルーシブ教育に関する調査報告が紹介されています。 http://jica-ri.jica.go.jp/ja/topic/post_240.html 3.国連開発計画と世界盲人連合アジア太平洋地域協議会、 視覚障がい者の「情報と知識への平等なアクセス」を提唱    視覚障がい者、及び、印刷物の利用に障がいのある人々の知る権利を訴える報告書が 発表されました。 http://www.asia-pacific.undp.org/content/dam/rbap/docs/Research%20&%20Publications/hiv_aids/rbap-hhd-2015-our-right-to-knowledge.pdf 4.WHO「Capturing the difference we make Community-based Rehabilitation Indicators Manual」を発表     CBRの指標マニュアルがWHOから発表されました。 これにより、あらゆる国や地域で実践されているCBRの比較やCBRが障がいを持つ人々へ与    える効果を具体的にモニタリングできるようになりました。 http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/199524/1/9789241509855_eng.pdf?ua=1 5.国連障害者の権利条約批准国情報   ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。    計:160の国と地域  (2015年12月25日現在)  国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 イベント情報 1.JICA中部 なごや地球ひろば 企画展「SDGsってなに?」 ◆日時:12月16日(水)~2016年3月13日(日) 10:00-18:00 ◆場所:JICA中部 なごや地球ひろば   ◆詳細:http://www.jica.go.jp/chubu/event/2015/ku57pq00000epkyl-att/ku57pq00000epkzk.pdf 2.講演会「持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けて」   ◆日時: 2016年1月15日(金) 14:00-18:50 ◆場所: 甲南大学西宮キャンパス 2階201教室 ◆対象: 大学生・大学院生(大学を問わない)、一般、国際開発学会会員 ◆費用: 無料 ◆主催: 国際開発学会 人材育成委員会   ◆詳細問合せ:真崎  k_masaki425@nifty.com  ◆参加申し込み:2016年1月7日(木)まで 3.山岳部で暮らすしょうがい児福祉の現場へ  「第4回 フィリピンスタディツアー」参加者募集   ◆日程:2016年3月5日(土) ~ 11日(金) 6泊7日   ◆場所:フィリピンルソン島バギオ市   ◆費用:75,000円(詳細はホームページを参照)   ◆主催団体:一般社団法人 コミュニティ・4・チルドレン   ◆詳細:http://www.community4children.com/home/studytour-philippines/    ◆問合せ・参加申し込み:community_4_children@yahoo.co.jp 編集後記  2014年1月20日に日本が国連障害者権利条約に批准してから、2016年1月で3年目を迎えようとしています。日本政府は2016年2月に「政府報告書」を国際連合へ提出する方向で準備を進めているという情報が入っています。今回の記事で当JANNET松井会長が述べているように、パラレルレポートの取組みにおいて、国内外の障害者団体をはじめ関係組織と情報を共有し、連携しながら、日本においてすべての障害者の社会への「完全参加と平等」が実現できるよう取り組みましょう。 今年はアジア太平洋CBR会議参加やアジアろう女性自立調査等を通して、アジア諸国の法律制度、宗教文化、そして、女性障害者の家事優先遂行などの障壁があることを改めて実感し、他に男性本位傾向が未だに強い障害者組織が残っている中で女性の社会参加の機会を積極的に創出することに努めなければならないと強く感じました。   宮本 一郎(全日本ろうあ連盟) JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/