JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第145号 8月・9月合併号 2015年9月28発行 ++ 目次  + トピックス 『第3回アジア太平洋CBR会議報告』 + インフォメーション 1.アジア太平洋CBRネットワーク新役員決定 2.持続可能な開発目標(SDGs)採択 3.国連障害者の権利条約批准国情報 + イベント情報 1.グローバルフェスタJAPAN2015ご案内 ++ トピックス  『第3回アジア太平洋CBR会議報告』  JANNETメールマガジンでは、昨年月から前月号まで、巻頭メッセージ『第3回アジア太平洋CBR会議にむけて』にて、会議に関わるキーマンおよびJANNET広報・啓発委員の方々からのメッセージを掲載してきました。  標記会議は9月1日〜3日に新宿京王プラザホテルで開催され、国内外から多くの方々のご参加を得、盛会となりました。会議開催準備および運営にご協力いただいた皆様、会議にご参加くださった皆様に感謝申し上げます。  今号では、会議の概要報告およびJANNETと関わりのある以下の参加者の皆さんに寄せていただいた参加報告を下記の通り掲載します。 + 【概要報告】 第3回アジア太平洋CBR会議概要報告 上野 悦子(第三回アジア太平洋CBR会議事務局長)  第三回アジア太平洋CBR会議は成功裏に終了しました。  参加者は、46の国と地域から551名。うち日本国内の参加者は約150名でした。モンゴルやタジキスタンを含む外国から多くの参加が可能になった背景としては、WHOの支援およびCBMやAIFO、リリアンフォンドなどの国際NGOが途上国からの参加を支援したことが考えられます。  プログラムは5つの全体会と13の分科会。基調講演はAlicia Balaさん(ASEAN事務局次長)と福田暁子さん(世界盲ろう者連盟事務局長)。そして日本の10の実践者がCBIDの事例を発表しました。  サイドイベントは3つ開催され、1つめは9月2日に行われたJANNET主催のイベントです。 ASEAN諸国での障害分野での国際協力の実践を発表しました。参加団体は、難民を助ける会、アジアの障害者活動を支援する会、日本ポーテージ協会、笹川記念保健協力財団、全日本ろうあ連盟でした。最終日の閉会式では、成果文書である、コミュニティにおけるインクルーシブ開発(CBID)東京宣言が採択されました。 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/intl/cbr/tokyodeclaration_apcbr2015_jp.html  実行委員および約60名のボランティアのほとんどはJANNET会員で、事務局の日本障害者リハビリテーション協会スタッフとともにCBR会議の成功のために力を合わせる機会となったのは何よりも大きな成果といえるでしょう。 + 【参加報告@】 第3回アジア太平洋CBR会議参加報告 社会福祉法人JHC板橋会  クラブハウス サン・マリーナ一同  社会福祉法人JHC板橋会は、精神障がい者の社会参加をはじめとする福祉活動を、広く板橋区民の心と健康と福祉に寄与することを目的に1983年に設立した民間の支援団体です。昨年、CBIDの視点から国内の10の事例に選出させていただき、今回の会議で発表できたことに心より感謝申し上げます。  私たちは「コミュニティにおける自助グループと障害者団体」という分科会で、クラブハウス国際基準に基づいて、行政や諮問委員とのパートナーシップを大切に、当事者主体の活動を行っていることを報告しました。会場からは「地域を巻き込んだ良い取り組み」との評価や、「民主的な運営方法」とのご意見等を頂きました。他の分科会や全大会でも「自己決定」や「パートナーシップ」、「当事者主体」「私たち抜きに私たちのことを決めないで」等の声がたくさん飛び交い、CBRの取組みとCBIDが目指していることがクラブハウスの理念と共通していることを再認識しました。特にインフォーマルなコミュニティづくりはクラブハウでも大切にしていることであり、今回得た自信をバネにして今後は地域の方々と“持続”にも焦点を当てた取り組みを目指したいです。  他参加した当事者の方からの感想もご紹介いたします。 ・アジアの人々と日本を橋渡しする為、また世界の人々と日本との交流を図るために世界共通言語の英語を学び、サン・マリーナを始めとした国際的なコミュニケーションの場で、正確な通訳ができる通訳者として活動して行こうと考えました。 ・地元商店街店舗を無償でお借りして行っている地域バザーや、諮問委員のご協力で場所を提供していただいて営業している喫茶店を身近な地域の活動として参加し活性化していきたいです。 ・会議の中で孤立と言う言葉を聞いて、地域住民として、自分が孤立しない“ひとりぼっちにならない”事が、他者を孤立させないのではないかと思いました。地域活動に積極的に参加して行きたいです。 ・今回のCBR会議に参加させて頂き、啓発は自身で会議を主催するだけでなく、多領域・多分野の会議等へ参加させて頂くことにも効果があると感じました。今後も様々な分野、地域の研修等にも参加させて頂き、日々の活動に活かしたいと思います。 + 【参加報告A】 会議の感想 宮本 亮平  3年前にインドで行われた第1回世界CBR会議で、第3回アジア太平洋CBR会議開催の紹介の場に立ち会うことができ、それ以降、この会議の準備に関わらせていただきました。  会議2日目の夜にあったサイドイベントとして、「CBID=地域に根ざしたインクルーシブな開発」を行うための課題や成功をもたらす要素について意見を出し合うワークショップが行われ、私は「経済的貧困」をテーマにしたグループのコーディネーターを行いました。アフガニスタン、インド、モリシャス、タジキスタン、ネパール、スリランカなどの多様な国のメンバーが集まり、NGO、当事者、政策立案者などの立場から、時には声を荒げての議論にもなりながら、それぞれの意見が述べられました。特に障害者と家族に金が無いことを様々な不公正な現実の根本原因とする意見に対して、それを親族が助け合わないことが問題だという意見もあり、その是非についてお互い譲らず白熱した討論となったことは印象的でした。そんな中で、CBIDを持続可能にするために最も大事な要素が「平和」であるということが全員から合意されました。それは、平和が身近でない地域での実際の活動から導かれたこととして、重く受け止めるべきと考えました。  3日目の午後、閉会にあたって「東京宣言」の採択が行われました。400人から500人程度の参加者が一同に会した大会議室で、示された草案に対して参加者の思想や理念、見過ごされてはいけないと考えるものに対する配慮などが様々な意見として出されました。これを座長が取りまとめ、その場でモニターに映し出された草案に修正を加えていき、30分程度の間で確定していった過程は圧巻で、新鮮でした。その中で、宮本一郎さんが聴覚障害者や視覚障害者等の情報面のハンディキャップがある人への配慮を加えるよう手話で意見をした場面が印象に残りました。  今回は、スタッフ側にいたため、分科会における具体的な事例の発表などを聞けなかったことが心残りですが、今後公開される抄録などを楽しみにしています。 + 【参加報告B】 第3回アジア太平洋CBR会議に参加して 小池 宏美 公益社団法人日本キリスト教海外医療協力会  9月1日から3日まで、新宿京王プラザホテルで開催された標記の会議に出席いたしました。全大会、分科会ともそれぞれの発題者の方々の活動が熱い思いをもって報告され、また質疑応答が活発に交わされ、非常に実りの多い会議でした。私が参加した分科会の「ジェンダーとインクルーシブネス」「障がいとインクルーシブビジネス」を通して学んだことについて報告をいたします。  「ジェンダーとインクルーシブネス」では、4人の発題者からジェンダーの視点にたったCBRについて、それぞれの活動の紹介がありました。その中で共通して語られた背景は、途上国の女性の障がい者は、女性であるということと、障がい者であるという二重の差別を受けることが多く見られるということです。特に農村部においてそれは顕著で、障がいのある女性は、教育を受ける権利も侵害されているとの報告がありました。そのような状況において、インド、ジャワハルラール・ネルー大学の発題者からは、お金やものを与えるのではなく、啓発的にCBRを展開する必要があること、障がいのある女性への教育が鍵になるとの見解が語られました。また、バングラデシュ、障がい者リハビリテーション・リサーチ協会の発題者からは、蜂蜜の採取と販売を地元のリソースを使って行い、障がいのある女性に就労する機会を提供し、順調にプロジェクトを拡大していっている例が報告されました。  後者の蜂蜜販売のプロジェクト報告の中で、印象的だった言葉があります。「私たちは品質を売っているのであって、同情を求めているのではない。」商品は、国際品質にかなうものを作ることを徹底しているそうです。このことは、「障がいとインクルーシブビジネス」での学びとつながりました。この分科会では、障がいがあっても、適切なトレーニングを受け、専門家の助言を受けながら就労し、障がいのない人も一緒になって、地域が経済的、社会的発展をしていく例が語られました。                                                                   ++ インフォメーション 1.アジア太平洋CBRネットワーク新役員決定  標記ネットワーク総会が、第3回アジア太平洋CBR会議の前日8月31日に、戸山サンライズで開催されました。そこで新役員が選出されました。 新会長には、グーラム・ナビ・ニザマニさん(パキスタン)が選ばれ、日本からの新役員には、JANNET会員団体である難民を助ける会の野際 紗綾子さんが決定しました。 + 2.持続可能な開発目標(SDGs)採択  9月25日、米国・ニューヨークで開催されている「国連ポスト2015採択サミット」において、「持続可能な開発目標」(SDGs)を含む「私たちの世界の変革:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が国連加盟国によって採択されました。2030年までにあらゆる形態の貧困をなくすことを目指し、持続可能な社会への移行を宣言する国際合意です。(JANICウェブサイトより) + 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 標記条約批准国の国と地域の数は以下の通りです。  計:157の国と地域  (2015年9月25日現在) 国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ イベント情報 1.グローバルフェスタJAPAN2015開催およびJANNET出展のお知らせ  グローバルフェスタJAPAN2015について以下の通りお知らせします。 日時:10月3日(土)、4日(日) 10時〜17時 会場:お台場 センタープロムナード(シンボルプロムナード公園内)     東京都江東区青梅1-2   ★開催会場が変わりました。  標記イベントでは、国際協力に関わる各種プログラムが予定され、国際協力NGO等の各ブースではそれぞれの活動紹介や物品販売がおこなわれます。さらに、アジアやアフリカ諸国の料理、飲物を楽しむこともできます。多様な文化に触れることのできる楽しいイベントです。詳細は下記専用ウェブサイトをご覧ください。 イベント専用ウェブサイト:http://gfjapan2015.jp/event/  JANNETは、専用ブースにてJANNETおよび加盟団体の活動紹介および、CBR関連の冊子や手工芸品等の販売をおこないます。加えて、会員団体「アジアの障害者活動を支援する会」が、支援国ラオスで作製されたクッキーを販売します。JANNETブース番号は下記の通りですので、ぜひお立ち寄りください。  ◆JANNETブース番号: O(オレンジ)-67 どうぞよろしくお願いいたします。 事務局 ++ 編集後記   東京へふらりと立ち寄った秋雨のおかげで、先日までの酷暑がどこへ消えたのか、と思うほど涼しい9月1〜3日、第三回アジア太平洋CBR会議が開催されました。昼夜を問わず準備にあたられてきた障害者リハビリテーション協会の皆様、CBR実行委員会の方々の情熱と努力に感服いたしますとともに、運営にご協力くださいました委員・ボランティアの皆様には、心より感謝申しあげます。ありがとうございました。このイベントが関係の皆様にとって、将来に向けた着火剤となることを祈っております。 伊藤 智典 CBR会議ボランティア部会長 ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/