JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第126号 2014年1月30日発行 ++ ◆日本政府、国連障害者権利条約批准!◆  1月20日(現地時間)ニューヨークにおいて,我が国は,「障害者の権利に関する条約」(以下「本条約」という。)の批准書を国際連合事務総長に寄託しました。これにより,本条約は,本年2月19日に我が国について効力を生ずることとなります。 出典:外務省報道発表 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_000524.html  日本は141番目の批准国となります。本号インフォメーション「2.国連障害者の権利条約批准国情報」でもご確認ください。   ++ 目次  トピックス 1.フィリピン台風被災地 AAR Japan【難民を助ける会】緊急支援報告 2.第24回国際開発学会(2013年11月30日、12月1日、大阪)報告 + インフォメーション 1.ESCAP笹川賞の受賞者決定のお知らせ 2.国連障害者の権利条約批准国情報 ++ トピック 1 フィリピン台風被災地 AAR Japan【難民を助ける会】緊急支援報告 五十嵐 豪 プログラム マネージャー AAR Japan【難民を助ける会】   フィリピン中部を2013年11月8日に襲った台風30号による死者・行方不明者は約8千人、被災者総数は1,400万人にも上りました。被災から2ヵ月以上経った今も、400万人を超す被災者が避難生活を続けています。私はAAR Japan【難民を助ける会】の緊急支援チームリーダーとして11月14日にフィリピンに入りました。  当初は略奪や暴動なども報告されており、被災地に入るための準備を慎重に進めました。11月17 日にセブ島北部(および島嶼部)、11月19日には最も被害が深刻だったと言われるレイテ島タクロバンを訪れ、支援に向けた調査を実施しました。被災地に入ると、甚大な被害を受けた光景が広がっていました。緊急支援で私も参加したハイチ大地震や東日本大震災を思い起こすほどの、私たちの想像する台風被災地とはかけ離れた凄惨さでした。  AAR Japanの緊急支援では、障がい者など災害時に特に脆弱な立場にある人々に焦点を当てた活動をしています。今回の緊急支援で最初に直面した課題は、情報の不足でした。甚大な被害を前にし、ありとあらゆる支援が必要であることは明らかでした。しかし、被災した障がい者がどこにいるかということがわかりません。現地の障がい者団体や行政機関を訪れると、温かく協力的に迎え入れてくれましたが、具体的な情報はほとんど得ることができませんでした。  災害時に支援が届きにくい社会的弱者については、まずはマッピング調査を行い、個々の被災者がどこにいて、現在どんな支援を必要としているのかを把握する必要があります。AARはセブ島北部およびレイテ島東部で、被災した障がい者を一人ひとり訪問するマッピング調査を行いながら、同時に食料配布や壊れた家屋の修繕などの緊急性の高い支援を実施しています。2014年1月現在までに、約500世帯の障がい者のいる世帯を調査し、約1,700世帯(約8,500名)に食料、約100世帯(約500名)にトタン板などの家屋修繕セットを配布しました。また、タクロバンの障がい者の作業所では、台風で壊れてしまった資機材を供与しました。今後も補助具の供与や生計支援、心理的サポートなど個々の障がい者の多様なニーズに合わせた支援を検討しています。  緊急支援では、「目に見える支援」としての食料や物資の配布に活動が偏りがちです。しかし、支援へのアクセスが困難な障がい者のニーズを把握し、被災者の「平等に支援を受ける権利」を守るなど、「目に見えにくい支援」も大切な支援なのです。 + トピック 2 第24回国際開発学会(2013年11月30日、12月1日、大阪)報告 上野 悦子  2013年11月30日・12月1日に、大阪大学を会場に第24回国際開発学会が開かれました。この学会では、障害と開発から見ると企画ラッシュで3つのセッションがありました。うち2つは諸事情により時間が重複したのは残念!  1つめのセッションは、ポストMDGsに関する企画で、2015年以降の世界の開発の枠組みにかかわる大きなテーマです。企画は、Beyond MDGs Japanというネットワークで、JANNETも運営委員会に加わっています。開発、環境に障害が加わりポストMDGsでの重要な領域として位置づけられました。障害分野の報告者は、JICA研究所の研究員カマル・ラチャミネ氏でした。  2つめは、国際開発学会に置かれた「障害と開発」研究部会の企画セッションで、3年間の活動の集大成として開催されました。報告者は森壮也さん、亀井伸考さん、千葉寿夫さんと上野悦子でした。  3つめは、「開発と障害」のもうひとつの企画セッションでは、JICAの土橋喜人さんが、荒柾文さん、渡邊雅行さんとともに「JICAボランティア事業における障害と開発のメインストリーミング:結果報告」というタイトルで、膨大なデータを元に報告しました。(発表は土橋さん)  私の発表のタイトルは「CBRの到達点としてのCBRガイドラインの概要と日本の国際活動における使用の検討」です。CBRがCBIDに変遷したことにより、インクルージョンの達成のために地域社会の誰でも参加できる取り組みという考えに変わったことを紹介し、事例として、カンボジアでの地域住民による知的障害者支援事業と中国におけるハンセン病回復者の村での日本と中国の学生によるワークキャンプを紹介しました。                                                                  ++ インフォメーション 1.ESCAP笹川賞の受賞者決定のお知らせ  ESCAP笹川賞(ESCAP Sasakawa Award)の受賞者が決定しました。本賞は、国連アジア太平洋経済社会委員会(United Nations Economic and Social Commission for Asia and the Pacific:ESCAP)と日本財団、アジア太平洋障害者センター(Asia-Pacific Development Center on Disability:APCD)が、共同で、アジア太平洋障害者の十年(2013−2022)を支援するために、障害者を包含する革新的な企業活動を推進することを目的に設立されました。  同賞には、3つのカテゴリーがあり、それぞれのカテゴリーの受賞企業は、次のとおりです。 ●障害者を包含する多国籍企業:ワイプロ・リミティッド(WIPRO Ltd)=情報に関する技術、コンサルティング、アウトソーシングに関する先進的なインドの会社 ●障害者を包含する国内企業:ホリデイ・イン・シンガポール・オーチャード・シティ・センター(Holiday Inn Singapore Orchard City Centre)=障害者の訓練と雇用に力をいれているホテル ●障害者を包含する新規事業:トラッシ・トウ・キャッシュ・プライベート・リミティッド(Trash to Cash Pvt Ltd.)=インドのごみのリサイクルの会社  表彰式は、昨年12月3日にバンコクのインターコンチネンタルホテルでおこなわれたとのことです。詳しくは、http://www.di-business-award.com/をご覧ください。   *出典:リハ協ブログ(2013年12月27日(金曜) 17:00) http://blog.normanet.ne.jp/jsrpd-blog/index.php?q=blog/2&from=10  + 2.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html )  新たに標記批准国となった国と地域は以下の通りです。                 140. コートジボワール  141. 日本                    計:141の国と地域  (2014年1月28日現在)  国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ 編集後記    1月20日に日本が141番目として、国連障害者権利条約の批准が実現されました。2008年5月に発効して以来、5年の歳月がかかりました。それは、私たちの障害者団体と関係団体が団結し、「国内法の整備を優先に!」要求の声を日本政府へ届けたことの事実を忘れてはならないのです。  2013年11月8日、フィリピン・レイテ島を台風30号が襲い、タクロバン市を中心に死亡・行方不明を含む被災者が1,400万人以上となっています。 日本の各障害者団体は、東日本大震災の事情を把握分析を踏まえて、避難所のアクセシビリティなどの対策を立てていますが、世界各国の大部分は、避難や情報などのアクセシビリティの障壁に障害者が立ち塞がれたままです。  国連障害者権利条約と災害対策を切り離してはならないと、我々が肝に銘じるべきです。 宮本 一郎 ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/