JANNET障害分野NGO連絡会 メールマガジン 第119号 2013年6月28日発行 ++ 目次 トピックス 1.JANNET総会、第3回アジア太平洋CBR会議準備会議報告 2.2013年4月23日ESCAP CSO会議報告 3.国連国際防災戦略(UNISDR)防災グローバルプラットフォーム会合のご報告 4.ハンセン病セミナー「隔離から共生へ:ハンセン病療養所の内と外から社会を変える」(JANNETミニ研究会) + インフォメーション 1.日本点字図書館国際事業のご紹介 2.NGOと企業の連携推進ネットワーク:2013年第一回定例会参加報告 3.国連障害者の権利条約批准国情報 + イベント情報 1.第1回JANNET研究会 (7月10日) 2.笹川記念保健協力財団世界のハンセン病シリーズ第2回 <届け、ハンセン病の治療 〜現代ハンセン病治療法確立から今日まで〜> (7月11日) 3.2013年度CBRセミナー 「CBRマトリックスを使って考える」公開研究会in名古屋 (7月13日) ++ トピック 1 JANNET総会、第3回アジア太平洋CBR会議準備会議報告 大垣内 勇 NPO法人ヒーリングファミリー財団 2013年5月25日(土)13時から、戸山サンライズ2階大会議室にて、平成25年度JANNET総会が行われました。 当日出席団体19、委任状16、および学生会員2名の参加のもと、松井会長より平成24年度事業報告ならびに平成25年度事業計画の提案があり、承認されました。 当日は、CBRアジア太平洋ネットワーク会長のグーラム・ナビ・ニザマエ氏がパキスタンから、アジア太平洋障害者センター(APCD)所長の二宮アキイエ氏、同センタージェネラルマネージャーの佐野竜平氏がタイからかけつけ、参加をしていただきました。 今回は通常の総会の後に2015年9月1日から3日にかけて行われるアジア太平洋CBR会議についての意見交換も行われました。この会議は500名から700名程度の参加が見込まれるとのことです。 ちなみにこの会議の第1回は2009年にタイ・バンコク、第2回は2011年にフィリピン・マニラにて開催されています。 グーラム・ナビ・ニザマエ氏からは、途上国では日本やその他先進国のような社会保障がない状態であり、「福祉」という概念さえない国も存在することや、場所によっては家に閉じこもっているだけの障がい者がいるということ、また、コミュニティー次第で障がい者にとって生きやすさが変わってくるということが話されました。そして、2015年に日本で開かれる会議についても、そのような途上国のことも考えていただき、会議の準備をしていきたいと、期待をこめての話がありました。 17時からは、20名程度が参加され、懇親会が行われました。グーラム氏、二宮氏、佐野氏も翌日帰国という多忙の中引き続き参加をしていただきました。 私自身3年ぶりとなるJANNET総会の参加でした。日頃より社会福祉士という立場で活動をしていることを意識していますが、まだまだ勉強することも多く、このような会議や皆さんとの交流・情報交換を重ねながら自分の活動を高めていきたいと再確認いたしました。 + トピック 2 2013年4月23日ESCAP CSO会議報告 宮本 一郎 全日本ろうあ連盟 昨年11月2日に韓国・仁川で開かれた政府間会議で採択された『仁川戦略』第30条には、ワーキンググループを設立し、AP障害者10年計画を通じて完全且つより有効な実施がされるように支援するものとすると規定されました。これをうけ、30名の委員で構成したワーキンググループを設けることになり、政府15委員・市民社会団体(以降「CSO」)15委員とすることにしました。また、少なくともCSOの半分は障害者団体及び新生CSOが参加を保障できるよう配慮されました。この30委員について、政府17ヶ国とNGO19団体が参加立候補を表明しました。 19団体のうち、AP地域の活動に該当しない1団体を外し、18団体からどのように15委員を選出するか話し合うために、4月25日〜5月1日の第69回ESCAP総会に先駆け、ESCAP事務局が召集して、AP障害者10年計画(2013年〜2022年)のワーキンググループに関する非公式セッションを開いたものです。 17NGOが出席し(WFDuが欠席)、議論を行ない、@CSO間の連帯維持、A障害者組織の優先を合意した上、まず、『仁川戦略』策定に関わった実績のある15団体が前期(2013年〜2017年)のメンバーとなりました。昨年11月の仁川で新たに参加表明した3団体は、オブサーバーとなり、後期(2018年〜2022年)の選出において優先的参加を考慮にいれることにして、全員の合意を得ることができました。 CSO15団体: @ASEAN Disability Forum AAPCD BAP DPO United CAPDF DCentral Asian Disability Forum EDAISY FDPI AP GII HPDF IRI JSADF KWBU AP LWFD AP MWFDb AP NWNUSP 後期の選出に優先的考慮:OASEAN Autism Network PChristian Blind Mission QCBR AP Network + トピック 3 UNISDR防災グローバルプラットフォーム会合のご報告 可児 さえ マルティーザ・インターナショナル 去る5月19日−23日、スイス・ジュネーブにて「第4回防災グローバルプラットフォーム会合が開催されました。2年おきに行われるこの会合は世界各国の関係省庁や国連機関、NGO、研究機関、また企業などが集まって、「兵庫行動枠組」の実施を基本とした報告や、気候変動などによる新たな自然災害パターンに対する問題やそれらに対する対策を話し合うもので、今年は第4回目、実に3,500人以上が参加しました。 昨年10月に行われた「アジア防災閣僚会議」で私たちが立ち上げた、障害者当事者団体の直接参加を推進する「障害者インクルーシブ防災ネットワークDiDRRN」は今回アジア・太平洋から22人からなる代表団を組み、会合開催中あちこちの本会議または分科会で、障害者の視点からの防災計画の重要性を訴えました。 DiDRRNはドイツ経済援助省(BMZ)、日本財団、IDA (International Disability Alliance)と共同で「ポスト2015年に向けての障害者インクルーシブな防災」のタイトルで分科会を開きました。この分科会には、日本から宮城大学の松崎丈准教授に基調演説をしていただきました。 また、DiDRRNメンバー以外の「障害者インクルーシブな防災」に関わりをもつ方々全員で集まり、UNISDRにポスト2015年に向けての提言も行いました。過去3回のこの会合でここまで「障害」というトピックにスポットが当たった事なく、あと2年で終了する兵庫行動枠組とその後30年政策といわれるポスト・兵庫に向けて、今まで主流の防災政策議論に参加されてこなかった障害者当事者団体とまた関連団体が増えてきたことをとてもうれしく思いました。 今回はその皆さんの努力と会合中の積極的なアピールの結果、20カ国以上の政府が「障害者」という言葉を公式声明文に入れこみました。(今まではほとんどありませんでした)残念ながら日本政府はこれには入っていないので、2015年に向けて、日本政府にも働きかけをしていく必要があるようです。 今年の10月13日、世界防災デーは「障害」がテーマになっています。とてもタイムリーで、今回の会合の結果を踏み台にして、UNISDRと連動して世界各地で障害者インクルーシブな防災に関してのアドボカシーを行えればと思っております。 2015年3月は世界防災会議が仙台市で行われることに決定しました。この会議ではすでに決定された議定書にサインするだけですので、今後30年の世界防災政策を決定するにあたっては今年と来年が正念場です。兵庫といい、次回の仙台といい、やはり防災先進国である日本という立場で、障害者、女性、高齢者などのニーズ、視点をしっかり入れこんだ防災政策を日本から発信していっていただきたいと思っております。 + トピック 4 ハンセン病セミナー「隔離から共生へ:ハンセン病療養所の内と外から社会を変える」(JANNETミニ研究会) 戸引 理 笹川記念保健協力財団  6月16日(日)に、東京都東村山市にある国立療養所多磨全生園にて、IDEAジャパンとJANNET、笹川記念保健協力財団の共催で、ハンセン病セミナーを開催しました。共生とは何か、包摂的な地域発展とは何かを考えるため、ハンセン病問題をテーマに、療養所の内と外、それぞれの立場から共生の在り方を探ってきた5名の方をお招きして、自らの経験やご活動を伺いました。 ハンセン病首都圏市民の会代表の鈴木禎一氏、IDEAジャパン代表の森元美代治氏からは、ハンセン病を経験した当事者として、療養所の内からの歩みをお話しいただきました。らい予防法廃止、隔離政策の誤りが国賠訴訟で認められた後も、家族から自らの存在を隠すことを求められたこと、しかし家族と粘り強く対話を続け、絆をとりもどしたという人生の歩みを伺いました。 次に、療養所の外からの働き掛けとして、都立武蔵台学園府中分教室ひだまり学級教諭・佐久間建氏より、ハンセン病問題を小学校の教育プログラムに組み込み、子どもたちに人権、そして共に生きることの大切を伝えている活動をお話しいただきました。また、ハート相談センター相談員・高久洋子氏には、退所者に寄り添った、生活に対するきめ細かいサポートをご紹介いただきました。最後に、ライターでありIDEAジャパンの事務局長を務める村上絢子氏より、一個人として、ジャーナリストとして、そしてIDEAジャパンのメンバーとして、どのように当事者と向き合い、ハンセン病問題に取り組んできたかというご経験を共有いただきました。 5人のスピーカーの方からのお話を受け、会場からも、自らの率直な経験や思いを語ってくださる声が挙がりました。参加された皆さんが、当事者の立場・目線に立って、ハンセン病問題を他人の問題ではなく、私たちの社会の問題として考え、またご自身の問題や課題と取り組むための学びを得る機会となったことと思います。本セミナーの開催にあたり、ご協力くださった皆様、大変にありがとうございました。                                                                   ++ インフォメーション 1. 日本点字図書館国際事業のご紹介 加盟団体の日本点字図書館・田中理事長から下記の通り国際事業のご紹介をいただきました。 ●第10回池田輝子ICT訓練講習会 日程:8月3日〜17日 中級クラス、参加者 8人     8月18日〜9月2日 上級クラス、参加者10人 場所:St. Nicholas Home, Penang, Malaysia 参加者:アジア太平洋地域の盲青年       インドネシア、フィリピン他 計11か国から参加 ●第20回コンピュータ点字製作技術指導講習会 日程:9月16日〜20日 場所:Senese inclusive education for persons with disabilities,Apia, Samoa 参加者:インクルーシブ学校の教職員 各講習会についてのお問い合わせは下記までお願いいたします。 【日本点字図書館】 TEL: 03‐3209‐0241(代表) *他の団体・個人会員の皆様も、貴活動についてぜひお知らせください。会員同士の情報交換の場として、メルマガでご紹介させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 + 2.NGOと企業の連携推進ネットワーク:2013年第一回定例会参加報告 上野 悦子 JANIC(国際協力NGOセンター)内、NGOと企業との連携を模索する部会が設置されています。これまで連携ガイドライン作り、事例紹介などが行われてきました。今年一回目の定例会が6月7日に開催されました。NGO、企業ともに登録は毎年更新し、JANNETは当初から参加して情報収集に務めています。2013年度はNGOが33、企業は21社が登録しました。参加企業は毎年増えています。第一回目の定例会のプログラムは「アフリカ開発から学ぶ、企業とNGOの連携の実態と課題」というテーマで、ちょうど終了したばかりのアフリカ開発会議(TICAD V)およびアフリカでの企業とNGOの連携の事例が報告されました。 アフリカ開発会議での成果と課題については、TICAD VでNGOコンタクトグループ事務局を担当した方から、企業の事例では味の素のガーナでの栄養改善プロジェクトの紹介がありました。 TICAD Vの成果文書は「横浜宣言2013」と呼ばれます。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/page3_000209.html 今回の特徴は経済開発偏重が強く、市民社会の位置づけが弱く、社会開発が取り上げられなかったという報告でした。 ガーナでの味の素の事例は、ガーナの離乳食であり一般の人の朝食である、Koko(コーンのお粥)をより栄養価の高い内容にするため補助食品を現地で作って販売するという、味の素のソーシャルビジネスです。様々なセクターとのパートナーシップによりウィンウィンの関係を築くという取り組みです。パートナーとして参加したのは、大学、ヘルスサービス機関、NGO(Plan、Care)等で、NGOの役割は、女性の自立支援、流通における栄養教育の実施(ドラマ、参加体験、絵リーフレット等でわかりやすく伝えること)です。印象的だったのは、パートナーシップにおける関係性の変化についてで、初めはお互いに好印象で期待が高まるが、現実がわかってくると溝が深まることがある、そこで次の我慢の時期が1〜2年かかることがあり、それを経て信頼関係が高まり事業の成果も見えてくる、ということでした。味の素は10〜15年続ける方針なので、信頼関係を築くにも時間を十分かけることができるのでしょう。示唆に富む発表でした。 + 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 新たに標記批准国となった国と地域は以下の通りです。             131. ノルウェー 132. パラオ         計:132の国と地域  (2013年6月26日現在) 国連批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ イベント情報 1.第1回JANNET研究会 皆様には既にMLで案内をお送りしました通り、バングラデシュからCDD(開発と障害センター)所長であるナズムル・バリさんを講師にお迎えし、標記研究会をおこないます。 【日時】 7月10日(水) 18時〜20時50分 【場所】 戸山サンライズ 大研修室B 【講師】 Mr. Nazmul Bari CDD(開発と障害センター)所長、バングラデシュ 会の詳細とお申込みついては、下記URLよりご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/~jannet/kenkyukai/130710kenkyukai.html まだまだ皆様からのお申込を受付けております。どうぞよろしくお願いいたします。 事務局 + 2.笹川記念保健協力財団世界のハンセン病シリーズ第2回 <届け、ハンセン病の治療 〜現代ハンセン病治療法確立から今日まで〜> 加盟団体・笹川記念保健協力財団が、上記トピックスでご報告いただいた6月16日のハンセン病セミナーに引き続き、シリーズ第2回のセミナーを開催されますので以下の通りご案内いたします。 講師: 湯浅 洋先生(笹川記念保健協力財団専門家) 日時: 2013年7月11日(木)18:30より 場所: 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル2階会議室 http://www.smhf.or.jp/outline/access.html 地下鉄銀座線 虎ノ門駅(3番出口より徒歩5分)、地下鉄南北線 溜池山王駅(9番出口より徒歩5分) 参加費:無料 内容: 有効な治療法確立前から今日に至るまで、長年にわたり世界のハンセン病対策活動の第一線で活躍されてきた湯浅洋先生に、治療法確立以前に対策活動を行っていたネパールや、WHOにおける研究開発、試験的な治療普及活動が行われたフィリピン、国レベルでのハンセン病対策プログラム作りを指導されたミャンマーでのご経験等についてお話頂き、ハンセン病のコントロール活動がどのように確立され、世界中に普及されるにいたったかを学びます。 お申込み、詳細は下記、笹川記念保健協力財団ウェブページでご確認ください。 http://www.smhf.or.jp/news/3253/ + 3.2013年度CBRセミナー 「CBRマトリックスを使って考える」公開研究会in名古屋 会員MLでご案内済ですが、日本障害者リハビリテーション協会主催による本年度CBRセミナーを、今年は名古屋で開催いたします。上記JANNET研究会でも講師をつとめられるナズムル・バリさんに講演いただきます。そして開催地・愛知県の地域福祉の具体的事例についてCBRマトリックスを使って読み解いていきます。バングラデシュと日本各々の地域福祉を理解し、参加者各自の地域での活動を見直す機会としたいと考えています。 【日時】 7月13日(土) 10時〜17時 【場所】 名古屋国際センター 〒450-0001 名古屋市中村区那古野一丁目47番1号(名古屋駅から徒歩7分) TEL: 052-581-0100 【講師】 Mr. Nazmul Bari CDD(開発と障害センター)所長 戸枝 陽基    社会福祉法人むそう、NPOふわり代表 渡辺 ゆりか 一般社団法人草の根ささえあいプロジェクト代表 本セミナーの詳細、お申込みについては下記URLよりご覧ください。 http://www.normanet.ne.jp/info/seminar130713.html お申込お待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。 事務局 ++ 編集後記 先日6月19日に、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が参議院本会議において全会一致で可決、成立しました。 2008年5月3日発効の国連障害者権利条約に批准しようとした政府にストップをかけたのは、多くの障害者団体でした。まず国内法整備を強く要望したため、内閣府で障害当事者が加わった委員会を発足し「障害者基本法」「障害者総合支援法」などの改正を政府が進めることになりました。そして、私たちの念願であった「障害者差別解消法」成立に至ることができました。国連障害者権利条約の批准に待ったをかけ、国内法の整備を推し進めるという国は、アジア太平洋地域では日本だけであり、世界に類をみないと思います。 それは、日本の、障害者による、障害者のための、障害者の運動を推し進めてきた力だと思います。 宮本 一郎       ++ JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集 しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 + JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/