JANNET障害分野NGO連絡会  メールマガジン 第101号 2011年12月27日発行 + 3月11日の東日本大地震で被災された皆様、そのご家族様へ心よりお見舞い申し上げます。 JANNETの会員で、被災地にて支援活動を開始した団体の状況をお知らせしています。 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet++ 目次 トピックス 1.第8回DPI(障害者インターナショナル)世界会議報告(10月10-13日、南アフリカ・ダーバン) 2.第2回アジア太平洋CBR会議参加報告(11月29日-12月1日、フィリピン・マニラ) 3.2011年度JANIC正会員の集い参加報告(12月5日) ++ インフォメーション 1.CBR APネットワークの動き 2.JANNET英文ディレクトリーの完成、およびJANNETメールマガジン100号記念号の発信(11/25) 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ++ トピック 1 第8回DPI(障害者インターナショナル)世界会議報告 アジア・ディスアビリティ・インスティテート                           中西 由起子                                                         第8回DPI世界会議南アフリカ大会は、2011年10月10−13日、南アフリカの風光明媚なダーバンで開催されました。日本からは40人が、2回の乗り継ぎいれ約1日をかけ、アフリカに降り立ちました。車椅子トイレまで完備したきれいな空港を一歩出ると立派なリフト付きバスが待っているという、アフリカの第一歩はイメージとはかなり違ったものでした。 しかし会議が始まると、開会式の司会者が音頭をとって2000人ほどが集った会場のアフリカからの参加者が一斉に歌いだしたり、2日目の朝には反アパルトヘイトの歌を歌い踊りながら30人ほどがグループで会場に入ってくるなど、元気なアフリカの雰囲気に満ちていました。 「すべての人のための社会を作る障害者運動の連帯:障害者権利条約とミレニアム開発目標の実現を通して」をテーマとして、自立生活やミレニアム開発目標、障害者とHIV/AIDS、女性障害者、ユニバーサルデザイン・テクノロジーを含む実践的な取り組みについての発表が行われました。特に、日本からの自立生活やアクセス運動の発表は、自分たちの権利の実現という観点から注目を集めました。 大会の雰囲気を反映して、議長のジャビッド・アビディ(インド)を初めとして、選出された役員の大半が途上国出身者で占められました。世界地域、134カ国に広がったDPIの活動は、30年を迎えて新たな歴史を作ることになりました。 + トピック 2 第2回アジア太平洋CBR会議参加報告 杏林大学保健学部 日本作業療法士協会 JOCVリハビリテーションネットワーク 河野 眞 いきなり私的な話しで恐縮ですが、11月後半は2週連続で、チェンマイの第5回アジア太平洋作業療法学会、マニラの第2回アジア太平洋CBR会議と国際学会参加が続きました。短期間に2つの学会に参加すると、自然に比較してしまうものです。 国内学会と同様、「意味ある作業」に関する抽象度の高い議論が多い作業療法学会に比べ、CBR会議では「生計」「教育」「権利擁護」など具体的な社会生活上の課題に関する議論が多く、実際的で好ましく感じました。また当然ですが、作業療法学会の参加者が作業療法士に限られるのに対し、CBR会議では障害当事者も支援者も多彩な背景の人々が参加していて刺激的でした。 今回のCBR会議では、JOCVリハビリテーションネットワークとして実施している福島県の原発事故避難者支援活動について報告してきました。この災害支援に関するセッションだけでも、我々のような専門職、人形劇を通して防災教育を実施しているNGO、被災経験のある障害当事者など多様な背景からの発表がありました。どれも自分の専門分野や個人的背景からだけでは気付かない点に目を開かされたように感じています。 事務局の発表によると、今回は600名以上の参加者、94の発表があったといいます。専門性を超えた課題志向的な議論がこれほどの規模でなされていたのです。 第3回アジア太平洋CBR会議は2015年に日本で開催されます。この機会に、混沌として豊饒なCBRの世界に皆さんも足を踏み入れてみませんか。 + トピック 3 2011年度JANIC正会員の集い参加報告 日本理学療法士協会 田口 順子 去る12月5日ちよだプラットフォームスクエアにおいてJANICの集いが開催された。各団体より2名の代表の参加により約35団体が集まった。JANICから1年の活動報告と東日本大震災への活動状況が報告され、その後、参加団体の紹介がありJANNETから上野悦子氏が紹介を行った。参加団体のほとんどが国際活動を一時中断しても今回の大震災に参画していることが分かった。また、震災に参画したことが会のメリットにつながったという団体は16団体、メリットとしては活かされなかった、とりわけマンパワーの不足を感じた団体は12団体であった。国際協力活動という本来の活動と経験知から幅広く、迅速に、現地で何をすればよいかの判断状況が即座に行われ、フットワークの良さも評価されたと多くの団体から報告された。 各団体からの紹介を兼ねた活動報告だけでも内容のあるものであったが、その後、4グループに分かれてのデイスカッションが行われた。 1) どうする ファンドレイジング〜震災を経て改めて何が大切かを考える 2) どうする 国際活動と市民との繋がり〜これからの国際活動の伝えかた 3) 出来ていますか 労務管理 4) 実際はどう?認定NPOと公益法人ビフォーアフター いずれの課題も共有できるもので、一同に熱心な討議が行われたが、震災に目を向けることにより、国際協力活動を見直すことになり、また震災の中に入っていくことにより被災者からの励ましと協力活動の理解を得られることになったという報告が多く出され、震災の経験から学び活動を続けて行くことによってその経験を国際協力に活かしていく。原点に戻るのではなくより発展していく国際協力への構築を模索していくことだとの意見が多く聞かれた。 JANNETは各団体の連絡会であり、単一団体としての震災への活動を実施していないが、JANNET団体会員として所属している34団体の震災への活動状況を把握しておく必要を感じた次第である。   ++ インフォメーション 1.CBR APネットワークの動き 河野眞さんがトピックで報告されている第二回アジア太平洋CBR会議の前日(11月28日)にネットワーク団体の総会にあたる、Regional Council会議がManila Pavilionホテルで開催されました。そこで、規約の修正案の採択とそれに伴う役員選出、次回会議開催地(2015年)選出が行われ日本に決まりました。 また規約改正のポイントは、サブリージョン毎に役員を決めたことです。今後アジア太平洋地域でのCBRの促進とサブリージョンでの活動をすすめて行けるよう皆さまのご意見を聞きながら進めて行きます。準備段階からぜひご参加ください。 JANNET事務局長 上野悦子 CBR APネットワーク副会長 + 2.JANNET英文ディレクトリーCDの完成、およびJANNETメールマガジン100号記念号の発信 <英文ディレクトリーCD (JANNET Directory of Member Organizations> 加盟団体の皆様を主な対象としたアンケートに対し、ご回答をいただいた約20団体の活動内容、連絡先を英語にて掲載したデータCDが、JANNET役員の青松利明氏、伊藤智典氏のご尽力により完成いたしました。海外団体等との交流の場で活用していただきたいと考えております。ただし、今回は残念ながらご回答いただけなかった団体分のデータを含めた完全版を今後、作成することを検討しております。今回作成分につきましては、ご参考として、会員の皆様に1部ずつ郵送させていただきます。今回編集分は完全版ではないということで、作成枚数に限りがございますが、追加でご希望の方は、事務局 (sasaki.yuka@dinf.ne.jp)までお問い合わせください。 <メールマガジン100号記念号> 先月、JANNETメールマガジンは通巻100号を迎え、田中徹二副会長、古西 勇役員に編集いただき完成した記念号を11月25日付で会員の皆様に発信いたしました。JANNETと関わりのあった海外関係者、JANNET役員からのメッセージや、JANNETのこれまでの活動記録、書籍リストも載せた内容となりました。今後、保存版として冊子にすることを検討しています。 + 3.国連障害者の権利条約批准国情報 ( 関連サイト: http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html ) 1. アルジェリア 2. アルゼンチン 3. オーストラリア 4. オーストリア 5. アゼルバイジャン 6. バングラデシュ 7. ベルギー 8. ボリビア 9. ボスニア・ヘルツェゴビナ 10. ブラジル 11. ブルキナファソ 12. カナダ 13. チリ 14. 中国 15. クック諸島 16. コスタリカ 7. クロアチア 18. キューバ 19. チェコ共和国 20. デンマーク 21. ドミニカ 22. エクアドル 23. エジプト 24. エルサルバドル 25. フランス 26. ガボン 27. ドイツ 28. グアテマラ 29. ギニア 30. ハイチ 31. ホンジュラス 32. ハンガリー 33. インド 34. イラン 35. イタリア 36. ジャマイカ 37. ヨルダン 38. ケニア 39. ラオス 40. ラトビア 41. レソト 42. マラウイ 43. モルディブ 44. マリ 45. モーリシャス 46. メキシコ 47. モンゴル 48. モンテネグロ 49. モロッコ 50. ナミビア 51. ネパール 52. ニュージーランド 53. ニカラグア 54. ニジェール 55. オマーン 56. パナマ 57. パラグアイ 58. ペルー 59. フィリピン 60. ポルトガル 61. カタール 62. 大韓民国 63. ルワンダ 64. サンマリノ 65. サウジアラビア 66. セルビア 67. セイシェル 68. スロバキア 69. スロベニア 70. 南アフリカ 71. スペイン 72. スーダン 73. スウェーデン 74. シリア 75. タイ 76. チュニジア 77. トルクメニスタン 78. トルコ 79. ウガンダ 80. ウクライナ 81. イギリス 82. タンザニア連合共和国 83. ウルグアイ 84. バヌアツ 85. イエメン 86. ザンビア 87. アラブ首長国連邦  88 エチオピア 89. マレーシア 90. リトアニア 91. アルメニア 92. ナイジェリア 93. モルドバ共和国 94. シエラレオネ 95. セネガル 96. セントビンセント及びグレナディーン諸島 97. 欧州連合 EU 98. ルーマニア 99. トーゴ 100. コロンビア 101. ベリーズ 102. キプロス 103. パキスタン 104. バーレーン 105. ルクセンブルク 106. カーボヴェルデ 107. インドネシア 108. ミャンマー (2011年12月27日現在) 国連 批准国リスト(英語): http://www.un.org/disabilities/countries.asp?navid=12&pid=166 ++ 編集後記  先週出席したESCAPの会議では、2013年からの新しいアジア太平洋障害者の十年の戦略について話し合い、ポジティブに未来を考えてきました。報告させていただいた南アフリカでのDPI世界会議では、ほんの少しの成功でも喜び合い、それを希望につなげることを学びました。 思いがけない災害に直面し、日本人は今年どう生きたらいいのか模索していたように思います。でも今は、いろいろなことがあってもいい方向に向かっていることを信じています。 どうぞ良いお年をお迎えください。 中西 由起子 + JANNET事務局では、会員の皆様よりメールマガジンに掲載する国際活動に関する情報を募集しております。団体会員様のイベント情報などありましたら事務局までご連絡ください。 「会員の皆様、良いお年をお迎えください。新しい年も、引き続きよろしくお願いいたします。」 事務局スタッフ一同 JANNET障害分野NGO連絡会 〒162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1財団法人日本障害者リハビリテーション協会内 【JANNET事務局直通】 TEL:03-5292-7628 FAX:03-5292-7630 URL: http://www.normanet.ne.jp/~jannet/