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社会福祉法人日本点字図書館主催
第1回池田輝子ICT奨学金事業講習会終る
社会福祉法人日本点字図書館 理事長 田中徹二

 日本点字図書館の近くにお住の池田輝子様のご好意により、当館に寄託された池田輝子福祉基金を財源として、本年度からアジア太平洋地域の視覚障害青年を対象に、ICT(情報通信技術)の講習会を始めました。
 目的は、彼らにICTを指導することにより、将来、それぞれの国の視覚障害リーダーとして、各国及びアジア太平洋地域の視覚障害者の文化、福祉の向上に貢献する人材を養成するためです。
 参加資格は、(1)アジア太平洋地域内の発展途上国に居住する視覚障害男女で、視覚障害者及び障害者の分野で活動している者、(2)英語によるコミュニケーションが可能で、点字の読み書きが堪能な者、(3)30歳以下の者、という条件をすべて満たすことです。人数は5人にしました。
 選考方法は、世界盲人連合アジア太平洋地域協議会(WBU-AP)アイバン・ホ・タクチョイ事務局長が、各国の視覚障害者組織に推薦を依頼し、集約した候補者を選考委員会に提出しました。12カ国19人の中から選考委員会により、以下の5人を選びました。

(1)Maung Aung Naing Tun (男性、28歳) ミャンマー 大学生
(2)Dinh Viet Anh (女性、26歳) ベトナム ベトナム盲人協会指導員
(3)Ashoka Bandula Weerawardhane (男性、29歳) スリランカ 社会サービス省開発官
(4)OM Prakash Banjade (男性、26歳) ネパール ネパール盲人協会役員
(5)Shirin Akhter (女性、29歳) バングラデシュ 盲人職業訓練センター指導員

 講習期間は、8月から9月にかけての約1カ月でした。講習生には、(1)ノート型コンピュータ(マイクロソフトオフィス英語版)、(2)画面読み上げ用ソフト(JAWS英語版)、(3)点字ディスプレイ(ブレールメモ英語版)を、それぞれ講習会開始時に渡し、講習会終了後、自国に持ち帰ってもらいました。現在、Eメールで情報交換や各人の消息を伝え合っています。
 第1回講習会としてはたいへん成功したと考えていますが、成功した最大の理由は、講師陣の貢献です。9人の講師のうち、全盲が7人、みんなコンピュータを駆使でき、しかも英語で講義ができる人たちです。2人の晴眼の講師と日本アイ・ビー・エム社の社員がボランティアで駆けつけてくれたこと、英語ができる視覚障害大学生が助手として活躍したことなどがあいまって、実質3週間という短期間に、初心者をコンピュータの使い手に育てあげられたのだと思います。
 なお、JANNET会員でもある「国際視覚障害者交流・協力ネットワーク(JIBEC)」からは、多数の講師や助手を派遣してくれました。
 講習会のプログラムは以下の通りです。

講習日程表(2004年)

8:20(金) 講習生 来日
8:21(土) 宿泊先オリエンテーション
8:22(日) 日本生活オリエンテーション
8:23(月) 開講式、機材贈呈)
8:24(火) 点字ディスプレイの基礎
8:25(水) 点字ディスプレイの基礎
8:26(木) コンピュータの基礎1
8:27(金) 休日
8:28(土) コンピュータの基礎1
8:29(日) 同上
8:30(月) コンピュータの基礎2
8:31(火) 同上
9:1(水) 同上
9:2(木) コンピュータの基礎3
9:3(金) 休日
9:4(土) 午前 コンピュータの基礎3
午後 視覚障害大学生との懇談会(午後)
9:5(日) 同上
9:6(月) 午前 筑波大学附属盲学校訪問
午後 (株)アメディア訪問
9:7(火) 日本における視覚障害者の実態
9:8(水) 点字ディスプレイの応用
9:9(木) 同上
9:10(金) 休日
9:11(土) コンピュータの応用編
9:12(日) 同上
9:13(月) 同上
9:14(火) 同上
9:15(水) 最終評価
9:16(木) 閉講式(終了証授与) 最終講義
9:17(金) 休日
9:18(土) 帰国準備
9:19(日) 帰国準備
9:20(月) 離日

(講師)
寺島 彰 浦和大学
David Hathaway 慶応義塾大学
伊藤聡知 東京大
高橋玲子 (株)トミー
白石幸雄 (株)ケイジーエス
坂本 貢 (株)ケイジーエス
中根雅文 慶応義塾大学
細田和也 (株)日本マイクロソフト
浅川智恵子 (株)日本アイ・ビー・エム
山口和彦 ロゴス点字図書館
青松利明 筑波大学附属盲学校教諭

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