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 障害者自立支援法訴訟 第一次提訴の状況


弁護団 主任弁護士 地裁 原告 第1回口頭弁論期日 第2回弁論期日 動向 
福岡  中村  福岡  1 1月30日(金)13:10 5月8日(金)13:30  1月24日 勝利をめざす福岡の会発足
広島 紅山 広島 2月5日(木)13:30 4月23日(木)13:30  12月7日 勝利をめざす広島の会発足
兵庫 福島 神戸 2月20日(金)10:00 5月22日(金)10:00
大阪 青木 大阪 2月10日(火)11:00 4月28日(火)11:00  6月25日 第3回弁論決定
京都 藤井豊 京都 3月11日(水)10:00  3月11日 弁護終了後 報告集会(弁護士会館)
滋賀 竹下育男 大津 1月22日(木)10:30 4月16日(木)10:30  1月9日、勝利をめざす滋賀の会発足
東京 藤岡 東京 協議中  2月21日、勝利をめざす東京の会発足へ
埼玉 柴野 さいたま 3月25日(水)10:30  1月22日 さいたま市で学習会150名

2009年1月30日 福岡

1月30日(金)、傍聴のための整理券配布は12時35分からはじまるのに、12時過ぎには福岡地裁1階ロビーは、傍聴希望者でいっぱいになりました。
100名が入れる301号法廷は市民の関心が高い裁判で使われる大法廷ですが、今回の口頭弁論には180名を超す支援者や新聞報道で関心を持った市民が駆けつけました。
また、県外の熊本や鹿児島からも駆けつけてくれました。大法廷には10席の車椅子用の席に加え、聴覚障害者の方々への傍聴のために手話通訳者の席の確保をしてもらうなど90名ほどが傍聴できました。
◇緊張感が張り詰めた大法廷は、13時10分に開廷し、原告の平島龍磨さんの堂々とそして落ち着いた意見陳述から始まりました。
障害者基礎年金受給が認められず収入は利用している第2つくしの里からの月8000円〜9000円の工賃と企業実習での実習手当だけで、利用料と給食費を払うと手元に1000円弱しか残らず、何も買えずにガマンの生活をしているという現状を裁判官に訴えました。
 また難病罹患前には手取りで20万円を超える給料をもらう仕事をしており、働きに来ているのに利用料を払うということになったこと、しかし現在はただでさえ生活が苦しいのに自立支援法による応益負担を強いられ「これ以上苦しめないで欲しい!」と強く述べられました。
◇つぎに事業者の赤松英知さんが意見を述べました。
 つくしの里の設立の始まりは、障害ある人びとの家族らの「障害があっても朝は『行ってきます』と言って家を出て、夕方には『ただいま』と帰ってくる、そんな当たり前の生活をおくらせてやりたい」というわが子への思いからだったということ、しかしながら応益負担が「利用料が払えなければもう通うことが出来ないかもしれない」「今さら在宅になるなんて…」など家族に大きな衝撃を与えたことを述べられました。
 また、応益負担が利用者とその家族の暮らしに大きな打撃を与えたと同時に、施設経営に甚大な負の影響を与え公費収入の大幅な減収の中で、職員の昇給ストップとボーナスカットを余儀なくされ、従来から他産業に比べ低かった賃金が一層低い水準となっている現状を述べ、根底に障害自己責任論がある応益負担の根絶を、裁判官に力強く迫りました。
◇3番目に中村弁護士が意見陳述を行ないました。
 200頁に及ぶ訴状のポイントをおさえ、障害者自立支援法の矛盾点を理路整然と述べていかれるので、傍聴席で頷いてばかりでした。
障害者自立支援法の立法目的が一般就労による稼働所得を得ている障害者が少ないので、一般就労に向けた自立を推進する必要があるということでありながら、実際は応益負担により働いて得た収入を取り上げて一般就労の意欲を奪う―「福祉の支援を受けるためには収入をはき出せ、それが嫌なら家に引きこもれ!」と言っているのと同じであるという訴えや、必要な福祉に自己負担を課すのは、介護を受けて呼吸をすること、食事・排泄・入浴をすることに税金を課すのと同じであり、生存権の行使にお金を取ることになり憲法25条違反という訴え、健常者に課されない税金を障害者に課すことは差別であり憲法14条違反などの訴えなど、本当に思わず「そうだ!」と言いそうになるのを法廷では声を出せないので必死で堪えていた傍聴者も多かったと思います。
◇最後に竹下義樹全国弁護団長による陳述は、短い時間の中で3点を話されました。1点目は、この立法段階から多くの問題がありつつ成立した障害者自立支援法の応益負担は憲法13条の個人の尊厳に違反していること。2点目は障害者の生存は自立と社会参加と言われるが、重度の人ほど制度利用をせざるを得ず、重度の人ほど負担が多いというのは憲法25条の福祉の増進に違反していること。3点目は、原告が自分自身の障害やプライバシーをさらけ出すという、勇気をふりしぼって訴訟に踏み切った最大の理由は、応益負担のおかしさをたくさんの人に知ってもらいたいという思い、人間として生きていきたいという思いからである、ということを力強く述べられました。


2009年1月22日 滋賀(大津地裁)

・10時前に大津地方裁判所に支援者など集合。総勢150名をこえる。
・裁判所が傍聴者が多いため、民事法廷(50席)から70席のある刑事法廷に変更。
・10:10 傍聴抽選始まる 60名が傍聴(残り10席はテレビや新聞などマスコミ)
・傍聴できなかった支援者側は、弁護士会館で、原告の日常生活を映したビデオの上映や自立支援法についての交流を行なう。
・10:30分〜11:30ごろ 口頭弁論
・竹下義樹全国弁護団長が、自立支援法の矛盾点を暴露。
 つづいて滋賀の日比野弁護士がパワーポイントを使って、憲法と自立支援法の関係や応益負担の矛盾点をわかりやすく説明。
 原告Hさんの母親と宇都宮さんが、補佐人として裁判官に認められそれぞれ10分の意見陳述を行なう。子どもの生い立ちや苦労話、今の作業所で本当に生きがいを持って通っていること、でも応益負担の矛盾、生活の苦しさ、支援の必要性を切々と、裁判官を諭すように語りかけました。「この悪法残して死ねない」と。原告の宇都宮真輔さんは母親の発言後、拍手をしました。
・第2回目の口頭弁論期日は、4月16日(木)10:30〜 同じ大きな法廷で。
・11:40〜13:00 弁護士会館にて報告集会。元永沙織里弁護団長がポイントを説明。東京や大阪、兵庫、広島などの弁護士も応援に駆けつける。

自立支援法違憲訴訟、国、全面的に争う姿勢 大津地裁  asahi.com 関西ニュース 2009年1月22日
  http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200901220046.html


  2009.2.20