聴覚障害者の放送通信バリアフリー Barrier Free Broadcasting and Telecommunication for Hearing Impaired People (社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 President of All Japan Association of Hard of Hearing People(AJAHHP) 理事長 高岡 正Tadashi Takaoka, 私の社会参加の形 ・障害者放送協議会で会議に参加 ・フィンランドからビデオチャット 聴覚障害者の範囲(1) ○厚生労働省身体障害者実態調査(2001年)   聴覚障害者 30万5千人 両耳70dB以上 ○コミュニケーションに支障のある難聴者人口  ・600万人 (全人口の約5%)  「全国社会福祉協議会の「補聴器普及および音環境に関する調査研究報告書」(平成6 年3 月)」  「『難聴化社会』対策を急ごう」朝日新聞社説1994年10月10日 等々        聴覚障害者の範囲(2) ○実態は1000万人を超える! ☆高齢化社会 65歳以上2400万人 ☆70歳を超えると二人に一人は難聴に。   65歳では7割、80歳では8割という説も。 日常生活の中で聞こえに不自由を感じる音 全国社会福祉協議会の「補聴器普及および音環境に関する調査研究報告書」 テキスト ボックス: 65歳以上のデイサービス利用者 電話 補聴器使用者の55.4% (非使用者の32.2%) 家族との対話 53.5% (44.6%) テレビ・ラジオ 49.0% (37.2%) テキスト ボックス: 全国老人クラブ連合会の会員 家族との対話が58.5% 電話が52.3% 病院での呼び出し・問診が51.1% テレビやラジオが44.3% 日常生活で聞こえにくいと感じる程度と音・音声の種類 テレビの音声49.4% 電話の受話器41.9% 遠くから呼ばれる声40.1% 電車・バスの放送37.9% 公衆電話 36.0% 聴覚障害者のコミュニケーションの手段 聴覚障害者のコミュニケーション手段の利用状況(複数回答) 括弧内は構成比(%) 総数 305(100.0) 補聴器や筆談・手話・人工内耳等の補聴機器 241(79.0) 筆談・要約筆記 75(24.6) 読話 19(6.2) 手話通訳 47(15.4) その他 52(17.0) 聴覚障害者の運動とアメリカの影響 テキスト ボックス: 1990年 字幕回路法成立 1991年 ADA成立 1990年〜 聴覚障害者の文字情報-字幕放送シンポジウム 1993年 「通信放送円滑化法」 1994年 障害者基本法 放送のバリアー 字幕放送拡充の壁 1.免許料が高い   文字放送の免許制 2.制作コストが高い   制作に時間がかかる 3.字幕放送受信機がない テキスト ボックス: 国会請願署名 40万名 スポンサー葉書作戦 1万枚→ 放送法の改正 1997年 放送のバリアフリーへ前進 放送法の改正(1997年、平成9年) ・字幕放送は免許不要 ・補助金の一般財源化 「字幕放送の普及目標」策定 11月 2007年までに、字幕付与可能な番組にすべて(100%)字幕を付ける 字幕付与可能な総放送時間に占める字幕 放送時間の割合 事業者名 字幕放送割合 字幕放送割合(付与可能時間) NHK 33.80% 92.40% 日本テレビ放送網 19.70% 34.20% 東京放送 15.60% 43.30% フジテレビジョン 20.10% 44.40% 全国朝日放送 18.20% 46.80% テレビ東京 10.70% 20.30% 字幕付与可能な総放送時間に占める字幕放送時間の割合(系列局の制作番組を含む) 事業者名 平成13年度 平成14年度 増加率 NHK(総合) 73.40% 77.90% 6.10% 民放キー5局 16.10% 28.90% 79.50% 放送のバリアフリーへ リアルタイム字幕配信 字幕RT ・パソコン通信のチャットによる字幕提供  →通訳IRCによる字幕 ・著作権問題発生 ・障害者放送協議会放送委員会  著作権団体と利用者の協議 ・著作権法改正2000年 リアルタイム字幕配信事業  2001年1月1日〜 リアルタイム字幕の仕組み ボランティア テレビの音声をパソコンに字幕入力 入力者が自宅で入力 →インターネット→ テレビとパソコン、両方を見る。 パソコンに字幕が現れる。 放送のバリアフリーへ  CS障害者放送統一機構の設立 下矢印吹き出し: 阪神淡路大震災 テキスト ボックス: 1998年(平成9年)に設立。 NPO法人認可 平成14年 緊急災害時情報提供システム構築 「アイドラゴン」 身体障害者日常生活用具指定 目で聴くテレビ ・聴覚障害者中心の制作 (ディレクター、手話キャスター、カメラマン) ・スーパーバードC号によるCSデジタル通信 ・専用受信機「アイドラゴンU」 ・視聴者数  ・聴覚障害者6000人及び関連施設  ・ケーブルテレビ契約者約8万人。  ・地上波 京都テレビ   UHF テレビ神奈川、テレビ埼玉 約1630万世帯 目で聴くテレビ 1週間の放送時間30時間 火曜日 1時間 水、土曜日 各30分間 再放送 火、木、金、土曜 各7時間 リアルタイム字幕・手話付加放送 週2回約2時間 (報道ステーション、笑っていいともなど) 目で聴くテレビの字幕・手話の映像とテレビの映像を合成 字幕と手話をCSで受信 字幕放送普及の課題(1) 1.テレビへのアクセスは基本的人権 ・字幕放送の義務化 2.生放送を含めた字幕放送のガイドライン策定 3.テレビ受信機のガイドライン策定 字幕放送普及の課題(2) テキスト ボックス: 地上波デジタル放送とインターネットの融合 1.放送規格の改定に当事者の参画 2.コンテンツの開発に当事者の参画 情報バリアフリーの規格化 ユニバーサルデザイン →  障害者等電気通信設備アクセシビリティ指針 → 情報バリアフリーの規格化  電気通信アクセシビリティガイドライン 情報通信ネットワーク産業協会 CIAJ 情報通信アクセス協議会  提供者部会 利用者部会 作業調整班→ テキスト ボックス: 「障害者等電気通信設備アクセシビリティガイドライン第1版」2000年7月 障害者等電気通信設備アクセシビリティガイドライン第1版 2000年 ・対象機器 固定電話、携帯電話・PHS、ファックス、PDA、モデムなど ・利用者の参画 開発・企画段階から ・聴覚障害者対応   電話の磁気コイル対応   振動、文字で知らせる 障害者等電気通信設備アクセシビリティガイドライン第2版 2004年 ・対象機器 固定電話、IP電話、携帯電話、PHS、ファックス、テレビ電話 ・通信に関わるサービスも対象   電話リレーサービスなどメディア変換も ・利用者の参画 開発企画段階から  ・テレビ電話 フレーム数の記述  →手話を使う聴覚障害者を想定 情報アクセシビリティのJIS ・2000年9月  日本規格協会JISの情報技術標準化研究センター(INSTAC)の元に「情報バリアフリー実現に資する標準化調査研究委員会」が設置 ・2001年4月  (社)電子情報技術産業協会(JEITA)も「アクセシビリティ標準化対応専門委員会」を設置 相互に連携しながら情報分野のアクセシビリティガイドラインの策定が進められてきた 3層目の個別指針 ・2004年5月20日JIS X8341-2:2004「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス− 第2部:情報処理装置」制定、 ・2004年6月20日JIS X8341-3:2004「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−   第3部:ウェブコンテンツ」が制定。 電気通信機器のJIS(素案) ・情報通信アクセス協議会の「電気通信アクセシビリティ標準化専門委員会」 (委員長:山田 肇 東洋大学教授) ・電気通信機器のJIS(素案)「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス−第X部:電気通信機器 情報アクセシビリティのJIS構造 ・「JISZ8071:高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針」→@基本規格(ガイド71) ・JIS X 8341-1 「高齢者・障害者等配慮設計指針−情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス−第1部共通指針」 2004年5月、JIS規格 → A共通規格 B個別規格(個別製品・分野ごとの規格) 通信の放送バリアフリー テキスト ボックス: 1.通信機器のバリアフリー 現在、作成中 7月にも発表 2.通信サービスのバリアフリー ・実際の通信の利用はサービスを通じて行われる ・現行法規に規定がない ・今後の課題 <身体障害者の情報機器の利用率・全データ(1998年)>図 関係する主な法律、指針等  ○福祉用具等の研究開発とユニバーサルデザイン化の促進 「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」(更生労働、経済産業省)  ○情報バリアフリー   「高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画」 (総理官邸IT戦略会議)   「高齢者・障害者等の情報通信技術に関するアクセシビリティ方針・ガイドライン」   「障害者等電気通信設備アクセシビリティー指針」郵政省(総務省)   「障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティー指針」(経済産業省)   「高齢者・障害者の利用に留意したコミュニケーション環境のガイドライン(総務省) 厚生労働省の施策 V.障害者情報バリアフリー化支援事業   補助対象者数:1万人   4億円(15年度)    ○パソコン周辺機器、ソフト等の購入費用の一部援助     例 音声化ソフト 画面拡大ソフト インテリキー等    ○購入経費の2/3以内 10万円限度 W.パソコンボランティア養成・派遣事業    59県市  1県市当たり事業費:448万円     年間60人を養成 X.パソコンリサイクル事業    59県市  1県市当たりの事業費:214万    1県年間500台 Y.ITサポートセンター運営事業    実施か所数:10か所    1か所当たり事業費:500万円 通信・放送における情報バリアフリー支援 「通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する基本的な方針」(総務省) ・通信、放送身体障害者利用円滑化事業を進める中で、とりわけテレビ放送における視聴覚障害者への対応として、解説番組及び字幕番組の放送時間数の拡大及び放送地域の拡大を重点化することが、方針づけられている。 ・字幕放送の普及促進、有料放送に関する規制緩和等を実施 字幕放送・解説番組の普及のための措置等…免許手続きの緩和 テキスト ボックス: 雇用・就業の確保に関するもの 「障害者雇用対策基本法」 「障害者の雇用の促進等に関する法律」など 平成12年度・13年度のNHKと民放キー5局の字幕番組 事業者名 12年度字幕番組の放送時間数 13年度字幕番組の放送時間数 再放送の際に新たに字幕を付与した時間 字幕放送割合 NHK(総合)1,731時間15分 2,002時間20分-22.90%  NHK(教育)878時間59分 1,158時間50分 43時間06分 13.40% 民放キー5局 2,698時間45分 1,435時間07分 366時間11分 6.30% 事業者名 13年度字幕番組の放送時間数 再放送の際に新たに字幕を付与した放送時間 字幕放送割合 日本テレビ放送網 523時間38分 17時間45分 6.00% 東京放送 650時間26分 110時間55分 7.50% フジテレビジョン 670時間17分 83時間44分 7.80% 全国朝日放送 438時間07分 86時間45分 5.20% テレビ東京 416時間17分 67時間02分 4.90%