はがき通信ホームページへもどる No.86 2004.3.25.
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も く じ
ballごあいさつ 広報委員:麸澤 孝
ball「はがき通信」から懇親会についてのお知らせ
ball「前は前にあらず」糞投の徒労玉葱 広島県:玉葱おやじ
ballフケ野郎、勝負だ! 匿名希望
ball「二十日ゑびすとふなんこぐい」とことば遊び集第14弾! 佐賀県:中島 虎彦
ball「お互いさま!」に生活できる社会に 神奈川県:伊藤 道和
ball希望をわすれずに(2) うらら妹
ball脊髄再生医療:ヒトへの臨床応用開始(1) 東京都:A・Y
ball「在宅リハビリ研修会」のお知らせ 在宅リハビリサポートの会“レッツ”
ball支援費の説明会に参加して 匿名希望
ball急性期のリハビリの重要性 仙台市:N.T
ball膀胱ろう大丈夫?(医療行為について) 新潟県:T・H


ごあいさつ

皆さん、ご無沙汰しています。お元気でお過ごしでしょうか? 私は、昨年11月にハワイに行って来て「褥瘡」を再発させてしまいました。原因は飛行機の中か電動車いすに乗りすぎたのか? わかりませんが、いまだに引きずっています。
 でも、今回の旅行は充分なくらい楽しめました。外国製の電動車いすで海風を感じながらワイキキのビーチを突っ走り、公共リフトバスを利用しショッピングセンターに行ったり、現地の方の日本にはない障害者に対する意識も感じました。褥瘡作っても良いくらい……?(こんなこと書くと怒られますが)
 現実を考えると、やはり自立生活には褥瘡は大きすぎる障害です。どうしても外出しなくてはいけないときは電動車いすに乗るし、焦りばかりで精神的にも良くありません。褥瘡をはじめとする合併症とうまく付き合う重要性を改めて実感しているところです。私も頸損歴20年、また皆さんと元気でお会いできるよう体調管理に充分注意します。今年もよろしくお願いいたします。

広報委員:麸澤 孝

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 「はがき通信」から懇親会についてのお知らせ 


 詳細は、追々「はがき通信」の誌面でお知らせしたいと思います。
【京都懇親会関係】
 日程については、№85でお知らせした通りです。会場と宿泊場所の西本願寺・聞法(もんぽう)会館へは、京都駅(新幹線)から電動車いすの自走で15分ぐらいです。京都駅からボランティアさんが付き添う予定です。それから、久留井真理さんが実行委員を引き受けてくださいました。よろしくお願い申し上げます。

[スケジュール予定] 

●10月1日(金)
 13時:開会式と発表会〜15時30分
 講演会「非暴力が伝統の東洋思想」白河先生(中央仏教学院教授)〜16時
 休憩
 18時〜20時:歓迎夕食会

●10月2日(土)
 9時〜12時:発表会 昼休み 13時〜観光

●10月3日(日)
 9時か9時30分〜10時:講演会「仏教の見方考え方(未定)」白河先生
 その後解散

 身障者部屋3、ツイン6、トリプル20、和室6部屋を予約しました。これで40組以上の宿泊が可能です。宿泊代は¥5,500と消費税。朝食はレストランでのバイキング、昼食は外で、夕食会はホール(3F)という予定です。


【ハワイ懇親会関係】
 出発日が決定しました。6日29日(火)です(旅行日数は各自)。各飛行場から、グループで出発したいと思います。参加締め切りを4月中とさせていただきます。
 下記に格安チケットが取れる旅行会社をご参考までに記します。なお、「はがき通信」の情報誌かホームページの、バックナンバー№79〜№81でハワイ懇親会に関する記事をご確認ください。

「IACEトラベル」
TEL: 093−541−6680 
FAX: 093−541−6681
http://www.iace.co.jp/tyo/

今年の6月出発のハワイ格安航空券料金がまだ出ていません。
これは目安の料金です(航空会社は決まっていません)。
・福岡発  ¥63,800(エコノミー)
・大阪発  ¥67,000(エコノミー)
・名古屋発 ¥61,000(エコノミー)
・東京発  ¥54,000(エコノミー)¥164,000(ビジネス)

ホノルル空港からホテルまでの移動の車とホテルは、「はがき通信」で予約します。

[申し込み・問い合わせ先]
 <ハワイ懇親会>
伊藤 道和
E-mail: gorilla@kk.catv-yokohama.ne.jp
大竹 保行
E-mail: ohtake@enjoy.ne.jp
<京都懇親会>
久留井真理
E-mail: hello-mari@enjoy.ne.jp
瀬出井弘美
E-mail: h-sedei@js7.so-net.ne.jp (注:アドレスが変更になりました)

 ※京都懇親会の申し込みについては、瀬出井までご連絡ください。


 「前は前にあらず」糞投(ふんとう)の徒労玉葱 


 前進という。前向きとも言われる。積極的な姿勢が好ましい印象であることは、間違いのない障害者の生き方であろうと思う。
 省みて、玉葱の生きた軌跡を船の航跡の如く描ききれないもどかしさを覚え、前方が明らかでないように思う。航跡のように目に見えれば万人が認める前進であるが、玉葱の日常は泡沫の幻影のような暮らしに終始している。前進も前向きも理解できない状況に戸惑う。自分の座標軸が定かでなく、方向が見えてこないから言動に迷いが生じているように思う。
 四十にして惑わず、と言うが、五十を半ば過ぎて迷路を歩く如き心境は何とも心もとない。自身に叱咤しつつ、細々と日常をやり過ごすことの焦燥感が増し、不甲斐なさを省みる。
 日頃の発言に威勢のよさに、いい加減な賛同で付和雷同の玉葱オヤジの前方とは一体何処なんでしょう。周りの人々に目標を持てとか発想の転換を促すが自身に目標が持てず、発想の陳腐さを自嘲しながら思考に埋没する。
 今年こそは! の思いに駆られて今年も行動プランを立てた。このプランが年末にどれだけ縮小し曖昧になっているか……否定し難い結果が見えているようだが……やはり、前向きな姿勢が行動に駆り立てようとするのであろうか。前後不覚ながら、今年も穏やかな新年に玉葱オヤジの誓いの行動プランが壁に貼られた。自分の思う方向が前方だと信じて前向き思考で活きようと思う。
 広島県:玉葱おやじ E-mail: ecosakohata@do2.enjoy.ne.jp


 フケ野郎、勝負だ! 


 私はフケがあまりにも多く、エレベーターでは見知らぬ老人から払ってもらったりしていました。どのシャンプーも合わず、洗髪後もパラパラと落ち、どんなことをしてもまったく無駄で、諦めて、最後の手段として皮膚科の医師に診せたところ、たちどころに良くなり、その薬の名称はフルコートローション、ニゾラールローション、リンデロンローションと3つあり、最初と最後はステロイド系だそうで、私は今はフルコートかリンデロンを塗ってもらい、フケというものが無いかのようになっています。掻いても出ないものですから。宝くじに当たったみたいです。毎日朝刊を広げ、そこへブラシで出ては減らないフケをボリボリ落としていたのですから。
 まぁそんなことですので、頸損の方は残存知覚が過敏になっていて、フケにもし悩まされている方がいらっしゃいましたら、すぐに皮膚科医にでもご相談なされて下さいませ。このまえ薬を塗ってから約1ヶ月近くにもなりますが、いくら探してもフケは出てきません。「嘘ー!」と思われる方はすぐに試されて下さいね。ぼくは何十年間も悩み続けました。以前、「はがき通信」の中にかゆい方が出ていましたが、今どうなされていますか?
 それではまた、読者の方々お元気で。 
(匿名希望)


 「二十日ゑびすとふなんこぐい」とことば遊び集第14弾!


 大寒のあとの一番凍てつく時期に、二十日正月のお祝いがくる。かつては正月の祝い納めとして仕事を休む物忌みの日であったという。「二十日ゑびす」ともいう。
 ところで「ゑびす」は「恵比寿」と書くが、あるいは「蛭子」とも書く。漫画家に蛭子能収(えびすよしかず)さんという人もいる。「蛭」とはあの田んぼや森で血を吸う「ヒル」のことだとしたら、何かそぐわない語感である。どういう謂(いわ)れなのだろうと、ずっと怪訝(けげん)に思ってきた。
 「古事記」によれば、イザナギ・イザナミの命の初めての子作りがこの「蛭子(ひるこ)」だったという。「水蛭子」と言ったりもする。蛭のようにぐにゃぐにゃした子(おそらく脳性マヒか?)だったので、無情にも川に流したとある。それを下流で庶民が拾い上げ、「恵比寿」として大切に祀ったという。たとえ不具でも一応は神の子であるから、何らかの光彩を放っていたのかもしれない。確かエジプトにも似たような逸話があったような気がする。
 為政者の冷酷さと庶民の温かさがよく現れた逸話である。恵比寿は現在は兵庫県西宮神社の祭神で、事代主(ことしろぬしの)神とも呼ばれ、商売繁盛の福の神とされる。あの下がり眉の笑顔がお客(福)を招くと重宝がられたのだろう。それ以外にも、日本各地の旧街道沿いなどに道祖神「えべっさん」の石像として親しまれている。
 その恵比寿さんが宝船で率いている七福神(しちふくじん)といえば、恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・布袋・福禄寿・寿老人の七人で、瑞祥(ずいしょう)の象徴とされる。カレンダーのさし絵などで昔から見馴れた構図ではあるが、あらためてしみじみと見てみると、女神の弁財天をのぞいてみんな異様な風体ばかりである。
 それについて、脳性マヒの俳人で障害者運動の重鎮(じゅうちん)である花田春兆さんは、「水頭症、脳性マヒ、肥満……ある意味で障害者ばかりだ」と指摘している。確かにあれらの異形は各種の障害者を思わせる。脳性マヒや水頭症や筋ジストロフィーやALSなど昔々からあったのだろう。そんな者たちが勢揃いして福を運んでくるというのだから痛快ではないか。これも恵比寿さんの人徳と統率力だろうか(笑い)。映画「七人の侍」の素案もこんなところから取られているのかもしれない。そんなめでたいさまを「なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな」などという回文にもされている。「めでたさや七福神は不具ばかり」(拙作)というところだろうか。古川柳にも類句があるようだ。
 これを自然界の生態系に当てはめていえば、「アリの社会は、よく働くアリと、普通に働くアリと、働かないアリが六対三対一の割合で構成されている。実験的に働かないアリを排除したら、残りのアリがちゃんと六対三対一に再配分され、働かないアリが必ず出てくる。(中略)働かないアリであっても、アリ社会にとってはなにか役立つ機能を果たしているからこそ、排除されずに存在している。それが生態系のメカニズム。(中略)人間社会だけは役立たない者を排除してきたため、生態系としては著しくゆがんだ社会、人間性が失われた社会になった」(横川和夫著「もうひとつの道—競争から共生へ」共同通信社刊)というような存在意義に重ねあわせることもできるだろう。昔の人たちは賢明で、ちゃんとそのことに気づいていたのだろう。
 もうひとつ、初夢のめでたいものとして「一富士、二鷹、三茄子」に続き「四扇、五煙草、六座頭」というのもある。最後に障害者(盲目)が出てくるのも興味深いところだ。異界からの稀人(まれびと)として迎えられたのかもしれない。こうしてみると、障害児(者)はある意味で宝子だったのかもしれない。愛憎の裏腹になったところもあるだろう。まあ、実際の障害者にしてみればこそばゆいような話だが。障害者たちは別に神さんに祭り上げられたいのではなく、普通の人間として生きたいのであるから。
 そういうふうに日本の歴史を障害者の側の視点から見直そう、という研究が進んできて、一つの学問にまで高められている。それが最近のしてきた「障害学」である。長瀬修、石川准、花田春兆というような碩学の研究者たちが気鋭の論文を発表している。そんな中に混じって、私の評論「障害者の文学」(明石書店)や、同人雑誌「ペン人」や全国脊髄損傷者連合会の機関紙「脊損ニュース」での障害者本の書評の仕事ぶりも、いわゆる障害学の一翼を担っているのではないかと評価して下さる方もいて、ありがたいことだと思っている。
 さて、そんな二十日ゑびすを日本各地でいろいろに祝う風習がある。そのうち佐賀県鹿島市では、三百年もつづくという「鮒市」が十九日に開かれる。かつて漁港と酒造りで栄えた浜町の通りに早朝五時からにわか出店が立ち並び、大小の生簀(いけす)に鮒が積み重なるように活けられ、ひとしきり賑わい六時にはもう売り切れる。ちょっとあっけないほどだ。
 佐賀平野や白石のクリーク(用水路)だけでなく、久留米や柳川あたりから捕られてきたマブナたちのほか、鯉やすっぽんや日用雑貨も売られている。地元だけでなく近在から車で駆けつけたお客さんたちはキロ単位で大きなビニール袋に買っていく。実際に料理したものも売られていて、寒風の中では身体が温まる。これがいわゆる「ふなんこぐい」という奇習? である。貧しい藩政時代、二十日正月を迎えて高価な鯛の代わりに姿の似ている鮒の昆布巻きで祝い、恵比寿・大黒に供えたのが始まりという。
 大きいものは50cmほどもある鮒を、丸ごと一匹昆布でぐるぐる巻きに包みこみ、大根やレンコンやゴボウなどとともに一日じっくり煮込むので、ずがずがと頭から骨まで食べられる。いかにもクリーク育ちらしく、泥臭い佐賀の滋味である。最近少なくなったムツゴロウをもほうふつとさせる。ハンバーガーなどファーストフードに馴れた都会の人たちには好き嫌いが分かれることだろうが、一度味をしめたら最後忘れられなくなり毎年通ってくる人も多いそうである。
 山間部の我が家ではとりたてて作らないが、鹿島市の能古見(のごみ)に嫁いでいる姉が毎年お裾分けしてくれるので、焼酎のおつまみにいただくのを楽しみに待っている。あまりに馬鹿でかいものは私のマヒした手指に余るほどである。何も作れない私はお礼に短歌抄のコピーなどをあげている。決してスマートな食べ物とはいえないが、これこそ最近見直されている「スローフード」「スローライフ」の骨頂ではないだろうか。派手さはないが、本来の自然の滋味とはこういうものではないかと思う。
 私は牛肉が嫌いなので、はなわの歌う「佐賀県」に出てくる「吉田屋の牛丼」がBSEの影響で鶏丼に変わってしまおうが、いっこうに不都合は感じない(笑い)。ふなんこぐいや味噌汁丼(?)で十分である。

 【ことば遊び集】
どこかで見たことのあるデブじゃ、競艇場で暴徒と化す観客、漠とした印象のばくち打ち、絶滅危惧種であるジュゴンの呪言、コートからふっと去る選手、道端の柿厳禁、ワンチャンスを活かす王監督ホークスの力が若っ鷹、ずぶの素人の濡れ場、ドイツの浮浪人間たちのサッカーチーム、佐賀の熱気急に静まる、お肌にこらあ元気出そうよ、マ二フェス党、あれだけ長生きしたらかまとと婆さんも本望だろう、ヨーグルト摂るグーよ、鯉の病は治りにくい、押しくらめんじゅうして咲く赤い花、長島監督には急場しのぎの秘策があってね五輪、男子マラソンの宗が熱かったのは昔の話、山地にすむ平野さん、最高にほらあ怖いだろう、辻元元議員はもともとそんなに悪くない、電話笑わんで、和菓子を食べてる最中、ああしよう交渉、中嶋マギー美年子、リビアの少佐と中佐に大差はない、邦子の裁判は無効だ、手書きの賀状とは念が入ってるね、北風ピープー人々を吹きすぎる、いちもつの不安、こんなに寒いとき咲いていいのか狼狽する花、どう料理するのか煮ものだ、中野ルナにセクハラは癖になるのかな、急く腹はクセ、ワクチン竹輪、「自国のことのみに専念」してほしい米国、うおー出世したブリっ子、「気分を変えて」がおハコ、長湯は禁物、鳩派でも道路族、アダルトビデオを帯で撮るだあ、なくて七草、まーず火星人はいない、ベースボーラー、缶チューハイお見舞い申しあげます、汚れた菊にギクッとする、イクラじぇったい掃けん、立春出世、特訓見合いを演ずる二人、福の神のA・B・スィ、豆まきのもようを拙文にする、晩から朝までガリ勉する硬派、三寒四温六四のお湯割り、丸太を探訪する、なつかしの江戸去り晩ショー、イラクの様は物騒だ、山間に紫苑の咲く頃、須田爺のとんぐり頭、春の味覚には菜の花を推したし、よその牛との差がギューッとは縮まらない。
佐賀県:中島 虎彦 E-mail: nakaji@po.saganet.ne.jp
「障害者の文学」 http://www2.saganet.ne.jp/nakaji/
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