はがき通信ホームページへもどる No.77 2002.9.25.
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も く じ
ball ごあいさつ 編集顧問:松井和子
ball 「はがき通信」 京都懇親会の参加者 編集顧問:向坊弘道
ball 「はがき通信」購読料未納のお知らせ はがき通信
ball 活発な意見交換を期待 TH
ball はじめまして YK
ball 歩くこと MK
ball 地上500メートルの世界 瀬出井
ball 超・短期入院 KH
ball 蘭とメダカと独居老人と(2) 鳥取県:HY
ball あきらめなくてよかった YA
ball リフターのついた宿 佐賀県:MI
ball インターネットバンキングとネット専用カード(後編) TH
ball 歩けない人は乗せれません!(前編) KIJI
ball 道徳的な抵抗感と言葉あそび第9弾 中島虎彦
ball 「バリアフリーゆかたProject Since 2001」2002年の取り組み ミカリン
ball 新しい命が誕生しました HS
ball 立った!そして今ついに歩いた(その3) 右近清
ball ひとくちインフォメーション


ごあいさつ

 今年の夏も酷暑でした。皆さん、夏バテから快復されたでしょうか。

 9月23日から約10日の日程でカナダBC州地域呼吸管理のコーディネーター、アイリーンさんが来日されます。6年ぶり、2回めの訪日です。今回は東京で2日間、BC州で開発されたプログラム・人工呼吸ケア講習会を開催します。

 1日めは医療専門職、2日めは家族と介助者を対象にアイリーンさんの指導で研修を行います。28日には、愛知在宅人工呼吸療法研究会主催の講演会で講演されます。この講演会の呼びかけは、6年前浜松で開催したアイリーンさんの講演会に参加された松本ドクターです。日本の医療常識と異なるBC州の呼吸訓練法やケアスキルを半信半疑で患者さんに試みた結果、著しい成果が得られたそうです。松本ドクターは日本でもBC州のようなシステムを創りたいと、講演会を企画されました。

 30日は、「はがき通信」京都交流会で講演されます。日本がモデルにしたいBC州システムも州政府は財政難を理由に予算を打ち切り、システム廃止が当事者に通知されたそうです。呼吸ケアを打ち切られたら、地域で生活できなくなると、当事者とアイリーンさんが立ち上がりました。その結果、昨年6月当事者団体であるBCPA(BC脊損協会)に州政府がプログラムを依託することでシステムの継続は実現し、ベンチレータ使用者が地域で安心して生活を続けられるようになりました。アイリーンさんは単に呼吸ケアの専門家ではありません。ベンチレータ使用者の地域生活を護るために闘ってきた人です。

 今回の講演タイトル「飽くなき挑戦」とは、その運動のプロセスをアイリーンさんから学びたいと願いを込めた向坊さんの命名です。うまいタイトルだと思いませんか。

編集顧問:松井和子

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第7回「はがき通信」京都懇親会参加者リスト

【日時】9月28日(土)〜9月30日(月)2泊3日

1. 手塚    2. 瀬出井

3. 伊藤    4. 坂上

5. 中島虎彦    6. 本村

7. 大竹    8. 土井

9. 麸澤    10.土岐 

11.山脇    12.石川

13.松下    14.奥 

15.河崎   16.樋口

17.竹田    18.吉田

19.宮本    20.藤田

21.向坊

(平成14年9月9日現在・敬称略)


「はがき通信」購読料未納のお知らせ

 今月号では「はがき通信」購読料の未納額をお知らせしますので、よろしくお願いします。帯封の宛名についている「様」の字の後ろに青い色で小さく数字を印刷してお知らせします。

 例えば、田中太郎 様3 というふうに表示しました。3は小さいですが青色ですから注意して見て下さい。3の意味は今年も含めて3年間未納の数字です。1の場合、今年未納か数年前の1年間未納だったか区別して表示できませんでした。購読開始以来一度も払っていない人はmの記号で表示しました。購読有料化は平成8年です。自分の記憶で結構ですので、未納期間の購読料を納入していただくようお願いします。

問い合わせ先: 向坊 弘道(編集顧問) zi5h-mkib@asahi-net.or.jp



活発な意見交換を期待
C4・5、頸損歴5年、43歳、電動車イス

「はがき通信」のスタッフの皆様、毎号の編集ご苦労様です。毎号楽しみにしています。

 誌面が改善されるようで嬉しく思っています。いままで情報提供の呼びかけや問題提起があってもその返事が誌上に載ることはまれで、反響がどのようなものかわからず残念に思っていました。パソコンを持っている方同士で直接メールのやりとりをされているのだろうなと想像はしているのですが、私はパソコンを持っていないのでどのような意見が交わされているのかわからないので少々物足りなさを感じていました。これを機会に、活発な意見交換が展開されることを期待します。私もこれまであまり投稿していないので、もっと投稿していこうと思います。

 小泉首相が郵政民営化をさかんに叫んでいますが、郵政関連事業法案が可決され民営化されると第三種、第四種郵便は廃止か値上げされるのではと危惧しています。そうなると、「はがき通信」は存続できるのだろうかと案じています。また来年の4月から、65歳未満の障害者は医療保険の措置制度から介護保険の支援費制度になると聞きましたが、私たちの暮らしはどのようになるのか、現在の介護保険制度の実情を聞くにつれ、とても心配になってきます。行政のほうから何ら説明がないのはどうしてでしょうか。

 うっとうしい梅雨時、暑くなったり寒くなったり気候が不安定ですが、皆様も風邪などひかぬようご自愛下さいませ。
6月26日

TH



はじめまして

 新聞でゆかたの紹介記事を見て、Iさんを知りました。59歳になってメディアの偉大さにおどろいております。長男(33歳)が事故で首から下の自由をうばわれ、1年半が過ぎようとしています。当時は皆に心配かけたくないと言っては泣いてばかり、また、のどに痰がからみ、穴をあけたりと、いろいろと苦難をのりこえてきたところへ、息子の奥さんから一緒に歩くのがはずかしい、めんどうを見られないので施設に入ってくれと言われました。息子は私たちの所へ帰ってきたいとの気持ちなので、自宅介護しようと思っております。

 現在は労災病院でリハビリ中です。口に棒をくわえて、パソコン、メールをしたりしており、院内では電動車イス(あごで)での行動です。

 1日も早く、生きていて良かったと思えるような落ち着いた気持ちになってほしいと願っております。今後とも私のグチを聞いて下さい。ヨロシクネ。

新潟県:YK




「歩く」こと 

 歩けないから、歩行にはきわめて興味がある。1968年、クーパー博士著『エアロビックス』で「有酸素運動論」が普及した。30年以前は、「歩くこと」が意識に昇ることはなかった。車社会になって急速に便利になり、人々は歩かなくなった。

 米国の体力調査でも日本の体力調査でも、国民の体力低下が明らかになった。逆に食事の量は増加しているから、「肥満」が国家的な問題となった。「体力=健康」であるから、体力低下は、国力低下につながる。

 姿勢の悪さ、あごの出ている人の増加、腰の弱さ、運動嫌いなど、指摘し始めたら切りがない。意識的に「体力造り」「健康保持」が必要になり、「スポーツクラブ」「歩け歩け大会」が盛んになる。日常的に負荷をかけない部分に、意識的に負荷をかける必要が生じた。それでも、食事(カロリー)の割に、動きが少ない現代生活が続いている。

 意志の力も低下、持久力の低下、切れやすくて忍耐力の低下、気候変化に対する対応力の低下、バイキンや花粉などに対する抵抗力の低下、不眠や疲労に対する回復力の低下、緊張・苦痛・不快に爆発しやすい傾向、考え出すと地球環境悪化と平行して、行きつくところまでいくのかなという感じになる。

 全員が車イスになって、皆が「バリアフリー」「バリアフリー」と叫ぶ時代になる。肺活量と歩行距離は、密接な関係がある。頭を使う、筋肉を使うと大量の酸素を必要とする。筋力強化、肺活量増加、頭の訓練など、意識的にやらなくてはならないことが現代では増えた。「できない側」からの「提言」が役に立つ時代である。

 「意識に昇らせる」ことの重要性は、長寿になっている現実に対応するためでもある。タイやフィリピンでは50歳は老人の世界に入り、孫のいる世代である。ところが、日本の50歳は社会の中心としての働き盛りである。200歳までの長寿も近い将来、実現するかもしれない。このような現実が「健康保持」を問題化している。歩ける老後と歩けない老後、動ける老後と動けない老後は、大変な差である。社会構造的な「バリアフリー」だけでは、解決がつかない。

 進行性筋萎縮症の自分の経験から顔を洗う、寝返りをする、テーブルの食物を食べる、寝起きをする、服を着る、入浴する、大小便をおこなうなど、単純ながら複雑な行程を含む日常行為を意識下でおこなうのは、奇跡に近い。すべてを依頼して、意識して行動しなければならない日常では、それが仕事になる。一日も、その行為を処理する(してもらう)だけで終わってしまう。「日常生活」は大変な活動なのである。

 「できない側」になるまで、想像さえしない人が多すぎる。知恵ある人は、「できない側」からの「提言」に敏感である。意識的に日々の生活の中で「歩く」ことは、便利な時代だからこそ必要になっている。近所を歩くことから、生活を考えていきたいと思う。

MK AAV16375@biglobe.ne.jp



  地上500メートルの世界


 7月に3泊4日で北海道旅行に行った。夏の北海道は3回め。湿度が低いので暑くてもとてもさわやかで、頸損にはおススメの場所だと思う。車で、トータル700キロ近く走った。

 今回の大きな目的のひとつが「グライダーに乗る」ということだった。SQMLで流された“<グライダー>身障者用の機体を導入”という見出しの新聞のニュース速報が目にとまった。ナニナニ、「身障者用に設計されたグライダーで車イスでも乗り降り自由」と記事には書いてある。フムフム、場所は滝川市にある『たきかわスカイパーク』。この記事を見たとたん、例によって(?)私の中の「体育会系頸損」の血がムクムクと騒ぎはじめたのだ。運良くか悪くかわからないが、ちょうど夏に北海道旅行を計画していた矢先のこと。この夏は「もう、これっきゃないじゃん!」。

 というわけで、いとも簡単そうにグライダーの体験飛行をやろうと決めてしまったように見える私だが、実はこの私、高いところの乗り物(飛行機、ロープウェイ、観覧車など)は何を隠そうキライなのだ。それもたぶん“大”がつくくらい。それなのになぜグライダーになんか! と思われるだろう。その理由が自分でもうまく説明ができない。「こわいもの見たさ」の心理に似ているかもしれない・・・。はたまた私って、相当な“マゾ”なのかも?! 頸損で普通、グライダーに乗ろうなんて考えないよね。ただひとつ言えること・・・それでもチャレンジしてみるのは、そこに“可能性”があるから。失敗、成功は関係なし。頸損だと制約やできないこともいろいろとある。だから、少しでもできそうなことはやってみたくなるのだ。不安や躊躇の前に、気持ちがまずワクワクドキドキしてしまう(この気持ちがもっと頭を使うことにも発揮されればよいのだけれど)。

 さて、当日、幸か不幸かお天気は晴れ。考えてみると4日の間、晴れたのはこの日だけ。天が私に「飛んでおいで」と言っている。正直言って当日の朝までどうしようか、実のところ迷っていた。だってやっぱりこわいんだもん。かなり緊張している。でも、スカイパークに電話をし、行く旨を伝えた。今日、晴れたのはきっと運命だよね(ってかなり大げさ?)。

 富良野から滝川まで車で約1時間ちょっと。スカイパークに近づくと、大空をグライダーが滑空しているのが見えた。まるで本当に鳥のようだ。それを見てほんの少しだけ気持ちが和らいだ。たきかわスカイパークは緑の芝生の広い敷地の中に、白い滑走路が1本ある。隣接して空知川が流れているので河川敷になるのだろうか。堤防の上を親子が自転車をこいでいる。のどかな風景だ。さわやかな風が心地よく、滑走路から飛び立つグライダーやモーターグライダーを見ているだけで気持ちがいい。フライト時刻は12時半とのこと。まだ時間があるので滑走路が見渡せるミュージアムで軽く食事をし、外でずっと飛び立つグライダーなどを眺めていた。

瀬出井さんグライダーに乗る
 いよいよ体験飛行の時刻(時間は10分間)になり、許可を得てグライダーの近くまで車で行った。滑走路の側に無線の司令室のような小さな建物があり、10人くらいの人たちがいた。私が乗るグライダーの機体は白で、想像していたより小さい感じだ。「車イスでも乗り降り自由」と聞いていたが、抱きかかえてもらって何とか座席に収まった。身体の大きな人は無理かもしれない。それに背もたれも車の助手席のようなわけにはいかず(後ろの操縦席から前が見えなくなるもんね)、頸損にはやっぱり座位バランスの面でちょっと厳しいかも。ベルトを締めてもらい、フード?(何ていうの? あの透明なフタ)を閉じていざ出陣! じゃなくて出発!

 グライダーというのはもちろんエンジンが付いていないので、セスナ機がロープで牽引する。滑走路を一直線にグングン加速してゆく。飛行機の離陸の感覚と似ているが、機体が小さい分、地面に近いので体感スピードは相当なもの。国体のときの競技用のレーサーを思い出した。地面を見ていると目が回りそうなので、前をゆくセスナだけを見るようにした。そして、グライダーの機体が浮く。そこからは一気に空めがけて上昇! うわ〜〜〜っ! 緊張に思わず身体に力が入る。何かにつかまりたいのだが(「溺れる者藁をもつかむ」そのものの気分)、つかまるところがない! 前に操縦レバーがあるのだが、頸損には無理。緊張しているときに手の置き所がないというのは、何とも不安。

 地上350メートル付近で1度水平飛行に入る。ときどきスッと、エアポケットのように落ちるのがこわい。後ろで操縦しているお兄さんが「初めての空の気分はどうですか?」と聞くが、楽しむまでの余裕はまったくない。そこから、またあっと言う間に500メートルまで上昇。すると、お兄さんが「(セスナが)両翼を左右に振るのがロープをはずす合図です」と言う。この瞬間が一番こわかった〜! 切り離されたグライダーは別に揺れることもなく、当たり前だが空に浮いている。上昇気流だと機体がフワッフワッと上がるのがわかる。お兄さんが景色の説明をしてくれる。こわいが、外を眺めることはできた。遠くの青い山々が美しい。緑の部分が田んぼ、濃い緑が玉ネギ畑、そして黄色く見えるのは麦畑だ。空知川が穏やかに流れている。やがて、石狩川と合流して海に注ぎ込むそうだ。日本一の直線道路(30キロ)も見える。家々は本当にまるで箱のよう。こわいので真下はあまり見られない。隣りをトンビが並ぶように滑空してゆく。鳥の目には、人間が作ったこの大きな鉄の塊はどう見えるのだろう? 私自身は、鳥の気分にはほど遠いかも・・・。

 そのうち食事をしたばかりのせいもあり、気分が悪くなってきてしまった。それと、グライダーの中はかなり暑い。ミュージアムで売っているグッズの中に日焼け止めがあってなぜなのかな? と思ったが、理由が飲み込めた。地上から高いということは紫外線も強いということで、日差しがジリジリと肌を刺すようだ。サングラスと帽子をかぶってきてよかった。お兄さんは、私の身体を気づかって揺れないように静かに静かに着陸してくれた。他の方々もとても親切でやさしかった。体験飛行は時間にしたら10分と短かったが、充分だ。楽しいときの1時間はあっと言う間だが、こういう心理状態のときの1分はとても長く感じるものだから。

 地上500メートルの世界・・・やっぱりチャレンジしてみてよかった。自分の足で一歩一歩登る山もそうだが、たどり着いた者にしか与えられない世界がそこには広がっている。その風景も、突き抜ける感動も、そのときの自分の精神の有り様も行ってみなければわからない。北海道旅行のとても良い思い出と経験になった。

 な〜んて、締めくくりはカッコつけたりなんかしちゃって。ただ難を言えば、風を直に感じられたほうがよかったかなと。。。というわけで、さてさて次なる瀬出井弘美の挑戦はパラグライダーか、バンジージャンプか、はたまたスカイダイビングか?!(私ってやっぱりマゾかしら・・・?)

編集委員:瀬出井 弘美


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