はがき通信ホームページへもどる No.76 2002.7.25.
Page. 1 . 2 . 3 . 4 .

前ページへ戻る

「脊損リハビリ連絡会」のホームページ拝見しました

脊髄C6・7・8、T1・2・3、非外傷性損傷(腫瘍)、不全、59.7歳、脊損歴13.5年、電動

 数年来の愛読者ですが、初めてのお便りです。今後ともよろしくお願い致します。
 前回号(№75)で、M.Nさんが紹介されていた「脊損リハビリ連絡会」のホームページを興味深く拝見致しました。同じ号のUさんの記事もエキサイティングでした。M.NさんやUさん達が取り組まれているアグレッシブ・リハについては、「はがき通信」、「せきずい基金」、「脊損連合会」などでたびたび紹介されていますが、このようなまとまったホームページの形で編集していただくと、その全貌と意義(現在の医療に対する実践的な問題提起)がよくわかります。このホームページを読みながら、どうしても考えてしまうのは次の点です。
 痛みとの関連、痛みの管理はどうなっているのだろうか、という点です。皆さん、きっと必死で痛みに耐えつつ頑張っているのだと思います。そこをあえてお尋ねしたいと思います。
 私はこの積極リハを興味深く思いつつも、同時にうらやましく思いつつフォローしております。私は手術後一年後位から、ほぼ全身的な痺れと痛み(痺れの極致、圧痛、灼熱痛、何と表現してよいのやら、病気前には経験したことのない激烈な感覚、自発痛)、触れられたり、揺すられたりすると一瞬電気が走るような痛みとも痺れともつかない異常感覚(カウザルギー? アロディニア?)を抱えるようになりました。それが年を経るに従って強まっています。手術後半年位の頃は、逆海老反りになるような激しい痙性をギャバロン(バクロフェン剤)で抑え込んだ後、ティルド・テーブルに85〜90度位で立ってキャッチボールをしたり、車椅子を自力操車するリハビリが可能でした。不思議にも起立性低血圧に悩むことも余りありませんでした。
しかしやがて、脚の骨がへし折られるような痛み、足の甲をハイヒールで踏みつけられるような痛み、胸を針金で締上げられるような痛み、鳩尾にボクシングのアッパーカットでも受けるような痛みが強まり(いずれも自発痛)、リハビリに耐え得なくなりました。無理をすると、えもいわれぬ内臓痛まで加わり、余り麻痺のない右首筋から脂汗が滲み出てくる状態となりました。逆海老反りの痙性痛が内在化した感じもあります。疼痛緩和治療は、手術治療とブロック治療を除いて(あえてこれ以上呼吸にも響きそうな人為的脊損を引き起こすことはないと考えて)、考えうるほとんどの治療法を試みましたが、望む効果は得られませんでした。
今では覚悟の上で歯を食いしばり、エイヤッと二人がかりで一気に電動車椅子に移動させてもらい(リフトなど痛みを増悪させるだけでトンデモナイ)、無理に苦笑いを作りながら、振動に耐えつつ1〜2時間散歩するのが精一杯です。私の脊髄の損傷の具合が余りに広範囲にわたり、複雑なためなのか、リハのやり方が悪かったのかは何とも言えません。恐らく前者の要因が強いとは考えられます。
 C損傷であってもアグレッシブ・リハで立ち、歩けるようになる方がおられる一方で、痛みのために簡単なリハ・プログラムもままならない者もおります。異常疼痛のためにこのリハを諦めた方、あるいは逆にしゃにむに頑張るうちに痛みが緩和した方等、いろいろなケースがあることと思います。リハビリと痛みに関連するケース情報もあれば、是非お知らせいただきたいと思います。
 M.Nさんのご子息やNさんがアメリカで受けられたリハビリには、既に理論的な根拠がありました。“脊髄は、仮に脳との連携が無くとも「歩くこと」を司る独自の神経回路を持っている”という、積み重ねられた実験的経験と理論的検証でした。そして徹底した歩く訓練、「脊髄に歩くことを教える」訓練が、欧米の多くの臨床の現場で集中的なリハプログラムとして組まれ、医療としての実践が積極的に進められたのです。それは、「麻痺」の診断基準の根本的修正を迫りかねないものでした。一方、Uさんも、迂遠なようでも麻痺がどの程度であろうと下半身を鍛え、立ち、歩くことを重視されます。次いで呼吸訓練を重視されます。その多くの成果もやはり、「麻痺」の診断基準の根本的修正を迫るものです。脊髄(人間の体)にはまだまだ解明されていないことの方が多く、これからどんな突破口が開けてくるかわかりません。ただ、どちらもまず、立ち、歩くことの訓練に重点を置いています。理論的根拠は重なるところもあろうと思われます。
 M.NさんもUさんもいわゆる「素人」です。しかし、病院という特殊な世界で、細分化された専門分野に特化することによって「専門家」の地位を確保している「玄人」よりも、時として「素人」の方が、人間の生命活動の全体像を直感的に把握できることがある、と言えるかもしれません。「素人」は、直立二足歩行の重要性と人間の尊厳に無条件にこだわることができます。それは強みです。
 立ち、歩く機能を回復することに集中してのアグレッシブ・リハ……我が身を振り返ると、誰かに抱えられた途端にまずビリッと電気が走り、脚を伸ばそうとすればまっすぐに突っ張ってしまう「バレリーナ症候群」、それでもゆっくりとアキレス腱を伸ばし、何とかお立ち台にセットしてゆっくりと角度を上げていくにつれ、一層強まる「骨折症候群」と「針金縛り症候群」、上肢も内側から痺れが痛みに近くなっていく。マッサージは全身に過敏反応が走るので不可、47歳から挑戦と諦めの繰り返しです。還暦近くになって私自身は諦めていますが、でも、「痛い人」は本当にどうしたものでしょう……。 
A.Y 東京都:AY



 食事支援ロボット「マイスプーン」を使ってみて 

 セコム食事支援ロボット「マイスプーン」が発売されたのは、皆さんご存じだと思います。私は療護施設で生活していた頃からマイスプーンの開発に携わってきましたが、セコムの方からモニターのお話をいただいた時は正直、「ロボットに食事介助ができるのか?」「食べ物を口まで運ぶことができるのか?」半信半疑でした。それだけに今回、開発モニターの一人としてマイスプーンの発売開始には本当に嬉しく思っています。
 食事支援ロボットとは、頸髄損傷者のように手の不自由な人が自分一人で食事をすることを支援するロボットです。電動車いすのようなジョイスティック操作に従って、ロボットアームがテーブルにある食物を口元へ運び、好きな時間に自分のペースで食事をすることができるというロボットです。
 手動モード・半手動モード・自動モードがあり、使用者の障害者の状況に合わせて操作法も選べ、一度セッティングすれば電源を入れるだけで介護者に食事をセットしてもらえば後は自分で食べられ、操作になれてくれば15〜20分ほどで一食、食べ終えることができます。
 「私は常時、介護者がいるからいらないよ」と言う声もあります。確かにそうかもしれません。「家族の食事介助で家族はいつも後でご飯を食べるのですが、マイスプーンを使うと家族と向き合って会話を楽しみながら食事ができる」とか「お菓子やお酒のつまみを介助者に頼むのは気兼ねするけど、マイスプーンを使えばいつでも食べられるので精神的に楽」など使い方はさまざまで、私もひとりの時間など「ちょっとお腹がすいた時に」マイスプーンが役立ちそうです。
 日中、介護者がいなかったり、家族が仕事に行ってひとりだけになる方など、このマイスプーンでまたひとつ生活の質の向上に役立てば良いと思います。
 [資料請求・問い合わせ]
 

セコム株式会社 myspoon@secom.co.jp http://www.secom.co.jp/

カスタマーセンター:0120-580-756(年末年始を除き毎日9:00〜20:00)

広報委員:麸澤孝 




 食事支援ロボット「マイスプーン」体験 

食事支援ロボット「マイスプーン」体験

 麸澤君が説明パンフレットに男前で「ちょうアップ」。そもそも見学に行くつもりでした。ところがドッコイ! 介助者が食べさせたほうが早いという言葉が僕の耳に。ロボットの進歩で何でもかんでもできるという過大な先入観をメディアが与えているようだ。「これは仕方ないかな」。
 だから、モニターを希望して操作終了後一言「このロボットのコンセプトを重視してください」と。今まで全介助だった人がロボットという媒体を通して自力行動し、介助者と「ペチャクチャ」会話しながらお互いのペースで食事が楽しめる。よって、プラスαのコミュニケーションが生まれる。
 現時点では、最高の食事介助ロボットだ! と、機械参入に抵抗を感じる人にも理解を求めました。=延岡より愛をこめて=の体験でした。
 

宮崎県:KF E-mail: chau@ma.wainet.ne.jp





 写真だより 

<写真1枚挿入>

 6月1日から1泊で、長野中部山岳「車山」(標高1985m)に山登りに行って来ました。北アルプスの山々を彼方に臨み、新緑の草原が美しい中、吹く風は私にはチョット寒かったですが、日頃のストレスやジレンマを解消するには十分でした。自然は、等身大の自分に戻してくれます。
 しっかし、お天気がよくて(よすぎて?)日差しが強く、顔に日焼け!!(それも顔の下半分のまだら焼け…)ア〜、またシミの原因になりそうです。。。(^^;;

 写真提供:瀬出井 弘美(編集委員)


このページの先頭へもどる  次ページへ進む


LINE
HOME ホームページ MAIL ご意見ご要望